IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第429話】
前書き
まだオリジナルが続く( ´艸`)
食事を終えて一時間後、多分そろそろ美冬達が大浴場から出る時間だと思い、俺は部屋に鍵を掛けて出る。
寮の通路には、風呂上がりの女子がちらほら居て、自販機で買ったであろう紙パックタイプのジュースを飲んで部屋に帰っていた。
着てる物はやはり春同様、ラフな格好で足やら胸元やらが眩しく見える、新たなムーブメントの到来も近いのかもしれない。
下らない事を考えつつ、俺は美冬達の部屋の前に辿り着くとドアをノックした。
奥からパタパタと足音が聴こえてくる――そして、ドアノブが回るとドアが開き、隙間から美冬が顔を覗かせた。
「お、お兄ちゃん? ど、どうしたの? ……ぁ、く、口でっていうなら……お兄ちゃんの部屋で……」
何を勘違いしてるのか、美冬はボンッと急に顔を赤く染めてそう言った。
それと同時に、先日してもらった行為を思い出してしまい、下半身に血液が集中するのを感じるが、要件はそんな事では無いので考えを自重する。
「あ、美冬、取材の件で話があってな。 そ、そっちは……また今度で」
「そ、そっか……。 取材の件って、お兄ちゃん承けるの?」
「まあ……な、とりあえず上がっていいか?」
流石に玄関先で話す内容では無いので、室内に上がる許可を待つのだが――。
「ちょ、ちょっと待ってね? い、今上着着てないから……そ、それ着たら良いから、着替えてくるっ」
そう言って顔を引っ込めるとパタンと閉じ、慌てた足音が部屋の奥へと消えていく。
そして暫くしてから再びドアが開く。
「だ、大丈夫だよ。 みぃちゃんはまだ大浴場だから私だけしかいないけど、入って?」
「あ、あぁ、お邪魔するよ」
部屋に入るなり、美冬の服装を見るがこれがまた他の女子同様ラフな格好で、上に着た袖無しのシャツには窮屈そうに胸が収まり、谷間を強調する様な形で更におへそまで出ていた。
下に関しては美冬には珍しいホットパンツで、シャルにも負けない美脚を露にしていた。
美冬に促され、部屋に入ると相変わらず未来のベッドにはぬいぐるみが複数――というか、明らかに前に見た時よりも増えていた。
種類も様々で、可愛い動物があるかと思えば車の形をしたぬいぐるみ、卵型のぬいぐるみ等々――一部は枕にでもしてるのでは無いのだろうかと思ってしまった。
とりあえず未来ではなく、美冬のベッドに腰掛けると美冬は当然と謂わんばかりに俺の隣へと座り、寄り添う様に身を預けてくる。
そんな妹の行為にドキドキしつつも、軽く咳払いすると俺は美冬の方へと顔を向ける。
「取材の件だけどさ、黛先輩が美冬や未来にもお願いしたいんだって。 美春に依頼が無かったのは多分色々な問題があるのかもしれないけど」
「私とみぃちゃんに? お兄ちゃんと一緒の取材なら、私は構わないよ。 でも、もしお兄ちゃんに用が無く、私とみぃちゃんだけっていうならキャンセルだけどね」
「ん、まあそれで良いと思うぞ。 とりあえずはOKって事で良いんだな」
「うん。 多分みぃちゃんもOKだと思うよ。 美春に依頼が無いのは気になるけど、実際問題美春がメディアに露出しまくるよりはお兄ちゃん的には依頼が無い方が良いんじゃない?」
美冬の言葉に、俺は頷く。
美春はISコアから何らかの作用で擬人化した存在、だが構成としては人のそれと同じらしく食事も摂れば睡眠もとる、が――仮にコアから擬人化した存在だとバレれば確実に研究所に送られ、下手すると解剖までされかねない――非人道的と言われるが、元々コアだったのだから人権は無いと言い兼ねない人間も居そうだし。
勿論世の中そんな人間ばかりではないが、絶対とは言い切れないのも事実、下手に露出するぐらいなら美春はこのまま俺の義理の妹として暮らす方が幸せだろう。
「まあな、取材を承ける事は美春に伝えないといけないが……」
「あ、うん。 それはちゃんと伝えなきゃダメだよ? ……うーん、みぃちゃんには私から伝えようか? お兄ちゃんから伝えるならもう少し待てば帰って来ると思うけど」
「うーん……なら待つかな。 一応俺から話した方がいいし、あ、そうだ。 取材だが今度の日曜日の二時までにこの場所に来てだってさ」
言いながらメモを取り出し、書かれた住所を見せると美冬は手近にあった用紙にその住所をメモし始める。
「ここだと、一旦レゾナンス駅から降りてその地下鉄から乗り継がないといけないね。 場所はそれほど離れてないけど……そういやさ、取材受けたら何か貰えるの?」
「んと、ホテル『テレシア』のディナー券だな。 でもペアチケット二枚しか貰えないし、一枚は一夏達のだしな」
「ふーん……。 まあ私はお兄ちゃんがちゃんとした取材してくれるならそれで良いけどね」
小さくウインクする美冬――と、部屋のドアが開閉する音が聴こえ、誰かが中に入ってきた。
まあその誰かはわかっているのだが――。
「あれ、ヒルト? どうしたの? ヒルトが私達の部屋に来るって――」
「あ、んと。 今美冬にも説明したんだが実はな――」
風呂上がりの未来が帰ってきたのでさっきと同じく、俺は未来に取材の件を説明する。
風呂から上がりたての彼女の髪は、しっとりとして明かりに照らされ、艶々と黒髪が輝いていた。
一通り説明を終えると未来は頷き――。
「うん、次の日曜日は特に何も無いから大丈夫。 パッケージのテストも終わったし、後はそのデータをフィードバックするだけだって有坂先生が言ってた」
二つ返事で頷く未来、取材を受けてくれるのはありがたいが、パッケージのテストが終わったというのは例の展開装甲を模したパッケージなのだろうか。
「パッケージって、みぃちゃんが九月最初からずっとテストしてたアレ? 後、美春も確か防御型をテストしてたかな?」
「うん、美春にも手伝ってもらってたよ。 ……パッケージは量産するかはまだわからないけど、あれがあれば既存の第二世代、第三世代は全部第四世代にバージョンアップ可能になるよ。 まあ第三世代は正確に言うと第4.5世代になるらしいけどね。 第四世代はパッケージ装備無しの全領域型だから主旨は違うかもしれないけど、わざわざ各国が威信をかけて作った機体が篠ノ之博士の最新型のせいで意味が無くなるなんて馬鹿らしいじゃない? とりあえず特許侵害――というか、篠ノ之博士は展開装甲に関して特許申請してないから有坂先生が先に出すみたいだね」
一通り説明する未来、まあ確かに正直いえば駆け足気味で世代交代されては機体に投じた開発費用が全て無に帰するだろうし……。
――しかし、今さらながら母さんが謎過ぎる、IS村雲の開発費用だって多分軽く億は越えてるはずなのに作ったり、後は人脈関連も――レセプションで母さんっぽい後ろ姿した人がテレビに映ってたが、俺は未だにそれを母さんに訊いていない。
話す時間が取れれば、一度訊いてみても良いかもしれないな。
そう思うと同時に、学園祭で奪い返したアラクネのコアも気になる。
初期化されたとは訊いてるが、やはり構造調べるために今も見てるのだろうか、ISコアを。
――少しは何か構造でもわかったのだろうか、気にはなるがどれも結局母さんに訊かないとわからない話だ――と、未来は更に言葉を続けた、というより、俺に何か伝える様で真っ直ぐ俺を見ていた。
「ヒルト、有坂先生が近いうちに一度私を訪ねてって言ってたよ。 何の話かは私も訊いてないけど、多分重要な話かも」
「了解、なら明日の放課後か明後日の放課後辺りには訪ねてみるよ」
「うん」
未来は頷くと、自分のベッドに腰掛け、側にあったぬいぐるみを抱き抱えるとムギュッとぬいぐるみの顔が変な形に変わる。
「……じゃあとりあえず、取材は今度の日曜日。 場所は美冬がメモしてるから未来はそれを見てくれるか?」
「わかった。 現地集合? それとも一緒に行く?」
「私はせっかくだからお兄ちゃんと行きたいかなぁ……」
何気無く美冬はそう告げると、未来も肯定するように頷いた。
「うん。 私もヒルトと一緒がいい……かな? ほ、ほら、私達二人だけ先にいって入れても、もしヒルトが門前払いされたら意味無いしね」
「……されるかな、門前払い。 とはいえ、可能性はなきにしもあらずって感じだしな。 一緒に行くか」
そう決めると、美冬も未来も嬉しそうに頷いた。
「へへッ、お兄ちゃんと一緒にモデルなら美冬は歓迎だよ♪ 水着はNGだけどね?」
「うん。 ……あ、あんなグラビアみたいなモデルポーズとか、私には似合わないしね」
そう言う未来だが、正直出てる所は出て、締まってる所は締まってるのだから未来は脱がしても問題ないだろう、無論美冬もだが――が、それを他の奴の目に映るのだけは我慢できない。
勝手だが、自分の妹や幼なじみが下心のある目で見られるというのは気持ちの良いものでは無いからだ――まあそう言いながら、俺は美冬にあんな事させてるし、未来にも中学時代までは朝、起こしに来てもらってた上に起こし方が馬乗りという――ヤバい、あんまり考えると下半身にまた血液が集中しそうだ。
ふと時計を見ると、八時二十分を回っていた為、これから美春に話すことを考えるとそろそろ行かないとと思った。
「じゃあ、そろそろ行こうかな」
「あ、そうだね。 ……じゃあ美冬が玄関まで送るね? 良いでしょ、みぃちゃん?」
「うん。 じゃあヒルト、また明日ね? おやすみなさい」
ニコッと笑みを溢し、手を振る未来に応えるように俺も手を挙げて――。
「あぁ、また明日。 おやすみ、未来」
そう未来に言ってから美冬に送られて玄関へ――と、軽く耳打ちしてくる。
「……お兄ちゃん、してほしい時は何時でも美冬に言ってね……?」
「~~~~っ。 ……こ、今度な……」
「……ぅん。 えへへ」
短くそう返事をすると、満足そうな笑みを浮かべ、頬に口付けを落としてきた美冬。
「じゃあお兄ちゃん、また明日。 おやすみー」
「あ、あぁ。 おやすみ」
多少ぎこちないおやすみの挨拶になったが、美冬は気にすることなくドアが閉まるまで手を振り続けた。
ドアが閉まったのを確認すると、俺は頭を掻きながら美春の部屋へと向かった。
後書き
デイで納涼祭があったが盆踊りの躍りの部分は稲刈りしか覚えられず('A`)
なかなかムズいです('A`)
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