IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第428話】
前書き
久々に二人登場
夕食、場所は寮の食堂、剣道部への派遣が終わり、俺は鞄を持ったまま食堂へと向かい現在一人で食事を摂ってる――と。
「よ、よぉ、ヒルト……久しぶりに一緒に食べないか?」
「おー、たまには食事に付き合えヒルトー」
理央、玲の二人が自分の食べる食事をトレイに乗せてやって来た。
断る理由もない俺は、頷くと理央はホッとした表情で俺の正面に座り、玲は理央の隣に座った。
「き、今日は部活の派遣日だってな。 どうだ、無理矢理働かされてないか、ヒルト?」
「ん? あぁ、今日は特に問題なかったかな。 まあ上級生は篠ノ之に少し不満があるみたいだったが」
「おー、でもそれは仕方ないのだー。 クラスメイトを悪く言いたくないけど、彼女は所属して練習にも練習試合にも出なかったー。 普通なら退部させられてもおかしくないのだー」
確か、六月に練習試合があったんだったか?
正直、IS学園で部活動に絶対参加っていうのも代表候補目指す子にとってはかなり面倒だと思うが……。
「まぁ実際、俺も上級生の愚痴を結構訊くからなぁ。 やっぱり、身内ってだけで専用機貰えるのが上級生にとっては面白くねぇんだってさ」
言いながらカツ丼を食べる理央、結構豪快な物を頼むんだなと思ってしまった。
「……まあな、あいつ自身が代表候補生になってたら別なんだが、実際問題技術がなぁ……」
「おー、単一仕様が無いと勝てない仕様なのだー。 本人は勝ちは勝ちって言ってるけど、実際あれだけ削られて勝ちと言えるあの子の性格は私にはわからないなー」
言いながらパスタを食べる玲、口元に僅かについたソースを舌で舐めとる姿が妙に生々しく、俺の下半身に血液を集中させるには絶大な威力を発揮していた。
「まあ篠ノ之の話は止そう、多分果てしなく悪口になるかもしれないし、何にしてもクラスの仲間だからな」
そう俺が口にすると、二人して目をぱちくりさせた。
「クラスの仲間か。 ふふっ、ヒルトらしいよな」
「おー、そういう所、私は好意的に見えるぞー」
「ん、そうか? ありがとう、二人とも」
コップの水を一口飲む、いつの間にか寮の食堂は賑わい、食事を摂る女子生徒の一団が見えた。
話に華を咲かせ、最近の話題やアイドルの話、ファッションの話、他だと部活動の今度の大会の話などが耳に聴こえてくる。
「あ、そうだ。 ヒルト、今日の特別講師、実際試合してどんな感じだったんだ?」
「私も気になるぞー、しかもあの黒夜叉かっこよかった~。 フルスキンだけど、パワードスーツって感じでー」
目をキラキラと輝かせ、玲は黒夜叉の勇姿を思い出してる様に見えた。
「……試合見てもわかると思うが、かなり強かったな。 正直エネルギー補給無し、休憩無しの四連戦で専用機持ち四人をフルボッコだからな」
「凄かったよなぁ。 俺も手合わせしたいけど、訓練機じゃあ無理かもなぁ……」
「おー、こうなると私も専用機欲しいぞー」
二人とも互いにそう言いながら五時限目の模擬戦を思い出しながら話に華を咲かせる、十代女子の話ではないものの、何だか楽しそうに見える。
味噌汁を飲みつつ、二人の会話を楽しんで訊いていると――。
「そういやさ、ヒルト。 最後お前の模擬戦の時一回機体が光ってたけど、あれ何かしてたのか?」
「おー、それ私も気になってたー。 光っただけで特に変わらなかったからちょっと騒ぎになってたけどー」
二人の指摘に、俺は多分単一仕様の事だと思った。
単一仕様【桜花幻影】、ハイパーセンサー類等を誤魔化す――で合ってるかわからないが、相手のハイパーセンサー及び此方にも可視化された桜の花びらが見え、相手が俺を斬っても撃ってもそれは幻影の名前通り、一種のカモフラージュ機能と言ってもいいかもしれない。
――が、この単一仕様の決定的弱点はハイパーセンサー類を使わない機械や普通の人から見ると、何も起こったように見えないのが弱点、戦闘中にハイパーセンサーを切る覚悟が無い限りは弱点らしい弱点にはならないが――。
「んと、単一仕様使ったんだが……使ったように見えなかったよな?」
「え? あぁ、機体が光っただけで特にヒルトの機体に変わった所は無かったな。 だから俺達の結論は閃光弾みたいなものかなって思ったんだよ」
「おー、でも単一仕様ならすごいぞー。 量産機で単一仕様何て、訊いたこと無いからなー。 でも、見る限りじゃ変わった所無いから信用されないかもしれないぞー?」
事実、俺だって光っただけなら信用する事は無いだろう、だから騒ぎにはならないのだろうし……まあ正直、騒ぎになると面倒だし、このままでも良さそうだが。
「まあ他の生徒が単一仕様発現を信じるには、直接ヒルトと模擬戦してみないとわからないってことだな。 勿論、俺や玲は信じるぜ? お前、嘘つかないしな」
「おー、ばか正直ー。 だがそがヒルトらしいー♪」
楽しそうな間延びした声で、理央の言葉に賛同した玲。
――と、ここで理央が話題を変えた。
「あ、そうだ。 さっきの模擬戦から話は変わるけど……そういやヒルト、昼ぐらいに黛先輩来てモデルがどうのこうのって話してたじゃん? あれって結局受けるのか?」
「う?」
唐突な話題に、目を白黒させる俺だが、頷くと理央は――。
「へ、へぇー。 ……あ、あんま興味ねぇけど、せっかくお前の晴れ姿が写るっていうなら、俺も次の雑誌は買わせてもらおうかな」
視線を逸らし、興味のない声でそう言うもチラチラと俺の反応が気になるのか何度か視線を送ってくる理央。
「そうだな、多分最初で最後の雑誌デビューだろうしな。 記念に買うなら悪くないかも」
「だ、だよな。 ……し、仕方ねぇから買ってやるよ、誰もお前に興味持ってないってなったら可哀想だしな」
言いながらカツ丼のカツを頬張り、租借する理央、一方の玲も――。
「おー? 私も買うぞー、どんな写真か気になるからかっこよく写れよー」
「はは……かっこよくってなかなかハードな内容だな」
実際、モデルの様な仕事が俺に向くかと言われれば向かないとしか言えないだろう。
雑誌を鷹月さんから見せてもらったが、着た服をかっこよく着こなすモデルの姿が無数に写っていた――あんな事、俺には厳しいだろう。
「まあ何にしてもさ、やっとヒルトもちゃんとマスコミやら何やらに評価してもらえそうってのは、俺や玲にとっては嬉しいよな」
「そうだなー。 何だかんだで情報規制されてたとはいえ、織斑とヒルトの対比は凄まじかったからねー。 キャノンボール、あれのレース中継はニュースで使ってないけど、一般人が撮ったのは動画サイトにアップされてるしねー」
そんな玲の言葉に、何処の動画サイトなのかと気にはなったが、今さら考えたら評価が上がろうとも下がろうとも、俺は俺だということには変わり無いのだからいいやという結論に至る。
……別に褒められる為に何かをしてる訳じゃないからな、俺、そういうのは後々に付いて回る物だと思うし。
食事を食べ終え、俺はコップに残っていた水を全部胃に流し込む。
「そういやさ、二人はここのホテル『テレシア』の事知ってるか?」
ちょうどテレビでコマーシャルをしていたので画面を指差すと、理央は首を振るが玲は知ってるのか――。
「おー? ここ知ってるぞー。 国際的に有名だけど、私は嫌いだなー」
「ん? どうしてだ?」
いつもの間延びした口調だが、はっきりと嫌いだと口にした玲、出来るだけ情報は集めたかったので彼女の話に耳を傾ける。
「ここはねー、一流って言われてるけどパパに言わせれば三流以下のホテルなんだー。 私もパパにその一回だけ連れていってもらったけど、私の服装がドレスコードに引っ掛かるとか、その時中学生だったけどちゃんと制服着てたんだよー。 学校の制服はドレスコードに引っ掛からないのにねー。 後、お客の前でミスをした店員を叱ってたからねー、一流名乗れないよー」
内装等は一流かもしれないが、スタッフがそこの質を落としてるのか……。
それでも国際的に有名なホテル『テレシア』、何か政府が後押しでもしてるのだろうか……。
考えても全く答えは出ないが――と。
「でもー、食事は不味くは無いから大丈夫ー。 一回だけ立ち寄る程度ならオススメー。 常連になるつもりなら他に良い店知ってるからー」
「そっか、ありがとな玲。 行ったことなかったから教えてくれて助かったよ」
軽く一礼の為、頭を下げるとにへっと笑みを溢して。
「どういたしましてー。 わかることなら何でも答えるからねー。 理央の趣味とかー、理央の愛読書とかー」
「……って、そこは俺じゃなく自分の趣味を言えよな、玲!」
突っ込みを入れる理央に、舌を小さくぺろりと出す玲。
そんな感じに久々に二人と共に食事をした俺は、何だか少し気分も楽になった気がした――何が楽になったか、いまいちわからないが気分の問題かもしれないな、これが。
後書き
因みに単一仕様のあの説明で納得できるかは人各々、無理って言われても全員納得させる話を書けと言われてる感じがするので素直に無理ゲーって言います
指摘自体には感謝してますので(^人^)
てか疲れてるのかな、「呼び捨てにしないで」に気付かなかったのは('A`)
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