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KANON 終わらない悪夢

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63鬼が二人に増える


 本日は数世代ぶりに妖狐の血族をお迎えする倉田家。
 それも純血の妖狐で、一月で消えない現人神に御行幸頂けるので、栞に破壊されて臥せっている先代当主ですらお出迎えの準備。
 料理人もてんやわんやでドッタンバッタンの大騒ぎだったが、爺やとメイドに「高級食材なら秋子様ですら通じた」のを聞いて俄然やる気を出して、上のお口からヒーヒー言わせてやろうとしてヤル気マンマン。
 本来なら一族の未婚の女全員差し出せる状態にして、お胤を頂戴する準備もしなくてはならないので分家にも連絡したが、既に解散している倉田本家では威光を示せず、妖狐の胤にどれだけの価値があるのか理解していなかったのか一族集結とはならず、佐祐理お嬢様と忌み子川澄舞、お嬢様の「妹」数人が、その光栄に浴することになった。

 解散して、妖狐や丘への朝貢を怠っていた倉田家に御行幸頂けるなど、有り得ないと怒る集団もあった。
 倉田とは不倶戴天の敵で、朝貢も怠らず、叱責も降格も受けていない天野家である。
 ちなみに秋子ちゃんと言う同じ天は仰いでいるが、美汐は倉田家には立ち入り禁止でノーサンキュー、同じ巫女同士であっても天野家的にも進入禁止。佐祐理も天野家には決して入れない。
 過去の例では、たったひと月で消えてしまうまでの逢瀬なので、妖狐を呼んだ女か男本人が密会を重ね、他家に呼ばれるなど有り得なかったが、今回の妖狐は消えない上に移動の自由や戸籍まであった。(秋子ちゃんが買ってきた)

 過去に忌み子川澄舞とその母も、倉田家の母屋から離れた使用人部屋に監禁されて監視の上で飼われていたので、佐祐理方面の監視が甘ければ、家で舞とガールミーツガールしていたはずだが、使用人の子や、それも忌み子との接触など許されるはずもなく二人の出会いは無かった。
 ある程度成長して危険性が無いと判断されて外に出され、母が一度死んでしまった後「超能力少女」として稼いだ金と、祐一の父が倉田家に託した現金を支給されて細々と暮らし、舞と佐祐理の出会いは祐一に森の中に呼ばれた時の一瞬だけになった。

 佐祐理の家
 茶話会が終わったばかりなのに、校内にある飲み物の自販機と菓子パンぐらいのカフェとは違って、英国式ティーセットが運ばれオヤツとして三段重ねぐらいのケーキ入れが何台も出されて、昨日のケーキより強烈なのが食べ放題。
 それも屋外の洋風ガーデンではなく、和風の庭で屋根がある東屋に英国式なので違和感はあったが、羊羹とお茶とか、狭い茶室に招き入れて本格的な煎茶と、粉を水で練ったようなちょっと常人では食べられない菓子?は一般人では楽しめないので却下された。
 舞的にも、栞の友達の「ただ太ってるだけの癒し系の娘」にガッツリケーキを食べさせ、美味しそうに食べる瞬間を見るために目を輝かせていた。
「さあ、食べていいのよ」
「はい」
 普段なら家に帰ると、どんぶり飯に唐揚げとかハンバーグを乗せて、マヨネーズぶっかけ高カロリー丼を頂いている時間なので口が甘いものを求めていなかったが、食べ物には差別しない方針でストライクゾーンも広いので食える物は拒まず、寄らば食う人物なので、一口食べただけで昨夜の栞のように上の口も陥落した。
「んほおおおおおっ」
 甘すぎず、しっとりしていてパサパサしておらず、舌だけで溶けて口の中を侵略してくるチーズケーキ。デブい娘も上の口からのチーズケーキ口撃だけで快楽堕ちした。
「スゲエ、こんな美味いモン食ったことねえっ」
 金髪ヤンキー女も、甘いものが嫌いで買い食いもしない上に拒食症、1年前ぐらいまで足の細さも拒食症ラインだったのが、このままデブになるか庶民の味など食えない美食家の舌にされた。
 成人しても炭水化物やブドウ糖を摂らず、アルコール依存症からキッチンドランカー、脳のエネルギーサイクルがブドウ糖からアルコールの産物である酢酸に変更され、ウェルニッケ脳症で瓶の中や開封していないペットボトルの中にウジ虫が見えて、喉をかきむしるレベル5発症一直線だったのも救われた。
 周囲でも眼鏡の三人、舞、ボッチ、デブいの、うるさい女、皆泣いていたが、その中にも裏切り者が二人もいた。
 委員長と教頭の孫、来客が高級菓子を持ち込んで「教頭に娘や息子が救われたお礼(賄賂では無く挨拶品なので受け取る)」「大学に(人道に外れた実験治験で)予算を分捕ってきた謝礼」「講演のお土産」などなど、高級菓子を食べ慣れている人民の敵がいた。
 今後も滅びの巫女じゃない仮のイザナミなので、擦り寄ってくる者、献上品を届ける者が増えるので、美食し放題。
 教頭の孫も、舞の「楽」の魔物、怠惰の心と性欲の化身が宿っているにも関わらず、昨日までの美汐のように鋼鉄の精神で節制し、ヤンキー女のように甘い物を何個も掴んで踊り食いするような恥ずかしい行為をせず、フォークでお上品に食べていた。
 ただ一人、炭水化物と生臭物を食べられない修験道?がいたので、今日も泣きながら野菜スティックを齧るウサギが一匹いた。あんこと砂糖の組み合わせの羊羹や餡蜜も嗜好品なので不可らしい。

 そんな状況を監視している一同の中で、散々苦労させられた舞と、舞の魔物が入った「夜の使い魔」に軽く意趣返しをするため、少女が持っているティーカップをドラグノフの弾丸でふっ飛ばし、軽く警告してやろうとしたマヌケがいた。
 手に当たったりしないよう注意し、外れてもカップを素通りして行くようにしても、妖狐とその関係者に手出しするのが、どの程度愚かな行為で災厄を招くか理解していなかったマヌケは、引き金を引こうとした瞬間に異変が起きたのを感じた。
 信頼されている製品のフルオート暴発。何故か弾丸は射出されず銃身後部が破裂、それでも無理やり給弾されて連続暴発。
 覗いていたスコープと銃身の破裂、機関部から後ろが何故か人体方向に吹き飛ぶ、などの数々の奇跡が起こり、両目の破損と眼窩から脳に至る鉄製部品の突入、顎の消失と声帯に至る裂傷、右手手首より上の消失。
『あら、いたずらはいけませんよ~』
 マヌケ達は、秋子に向かって射撃した人物がどのような末路を歩んだか聞き及んでいなかった。
 アジア系のロシア人なのか中国人なのか、今回の化物がどのような神通力で人間を捕食して、楽しんで殺害する相手なのかを聞かされていなかった。要は生贄の一人である。
「AA! AAAAAAAAA!」
 その頃にはペアである観測員の前に、ちっちゃい佐祐理消防団が到着して、ニュルニュルの巨大な化け物に捕食される幻覚を見せていた。
 幻覚に向かってトカレフを発砲しても無駄で、その男も脳に仕込まれた情報から、手足を引き千切られてから生きたまま内蔵を食われるのが分かったので、苦しまないように拳銃を咥えて自分の脳を吹き飛ばした。
 後には舞と縁があった野犬が呼ばれ、新鮮な人間のハラワタを存分に味わった。

「佐祐理は凄いのだ、ボクにはあんな遠い奴は仕留められない」
 喜びの舞、風と雷槌の精霊でも、狙撃用ライフルの焦点距離、200メートルほど離れたビルの屋上の敵は仕留められない。
 夜の使い魔の特徴として、憑依された人物の寿命を一切考えずに術を行使させるので、脳がすぐさま焼き切れるような術でも、術者や暗殺者を倒すためには、どれだけ強力な術でも平気で使用するので、魔物を放った術者より強力な術を使用できる。
 妖狐の一族が使い魔を恐れるのもこれが原因で、憑依者の体の命などなんとも思わず、妖力を使い果たして死ねば、使い捨てにして別の体に憑依する。野犬でも猫でもネズミでも、逃げられれば何でも構わない。
 佐祐理の場合は祐一から幾らでも妖力を吸収できるのと、他人の命を食って「オナカイッパイ」になっているので自由に術を行使できる。
 天使の人形が幼い頃、小さな手で寄せ集めた汚い蝋燭を焼いて使い切り、新たに集め直した大きな物を点火し、佐祐理自身が持っていた小さい命の炎は、最下層に置き直して緊急時にだけ点灯する。
 魔物の守護が解除され、力が発現するのに栞より数日遅れたが、闇落ちして有り余る妖力に溺れて人の心を失い、自分たちや舞の命を奪おうとする者には、虫けら以下の扱いができる精神を持たされた。
 闇堕ちした栞を見て、過去の一族が定めた掟が正しかったと悟った月宮一行も、数日あれば佐祐理や栞と同じになる。わざわざ地を這う蟻の命を思って歩いたりはしない。

 他にも軽い落雷が有り、観測員の四肢に麻痺が残るような神経障害、神経や脳の焼損が起こった。
 舞によって火水風の力を持たされた佐祐理、後は木土の力を渡されれば、舞と同等の力を持つ羽目になる。

 秋子の家
 人外同士何故か話が合い、委員長の母と談笑してしまえる秋子ちゃん。
「ええ、脳のこの部位に電極で刺激を与えると、発情が収まらなくなって、いつでも交尾できるようになるんですよ、人間と同じですね」
「あははっ」
 動物実験で、人や動物の心を換えてしまえる実験結果を公表し、術との併用でさらに悪魔的な効果が得られると情報交換し合い、相乗効果を目指している二人。
 妖狐になるまでのドッグイヤーの年齢を合わせると、40歳超えてるPTA会長と年齢も近い二人だが、秋子ちゃんの実年齢は21歳である!
 ええ、未亡人下宿の管理人さんは現在21歳なんです、大事なことなので2回言いました。
「私達が人間の記憶を書き換える時は、この辺りをいじって上書きしてしまうんですけど、どうしても記憶のバックアップが残ってしまうので、元の記憶は消せないんです。ですから元の記憶を取り戻すと死ぬような恐怖を与えて、そちらは取り出せないようにします」
「ああ、海馬体から書き換えるほうが楽ですよね、今の医学だとPTSDの記憶を消すのにも困ってますから、そちらのほうが楽ですよね、うふふっ」
 多分、美汐の記憶を消す時にも、白目剥いてお漏らしして気絶するような恐怖を与え、非人道的な処置をして書き換えた秋子。
 それ以降のレイプ目は、ゆうくんを失った悲しみではなく、秋子に与えられた恐怖がトラウマになったらしい。
 そんな話でも、普通人が「死ぬような恐怖」でも笑って話せる二人。もうどちらも人類じゃない。
 もちろんボランティアとして名乗り出た学生にも家族にも病人や老人にも、人道に外れた実験をして「病気や鬱病を治す?」治験をさせて、別人のような感情を植え付けたりもしている悪魔。
 治療と称してハッピーでラッキーな人格を新しく作成して無理やり入れ替え、記憶だけ継承した別人を作っておいて「治療に成功した」として治験者からも感謝されていたりもする。
「ペルソナの入れ替えには、この部位ですね、ここを焼いてしまうか、劣化させて次候補に入れ替え、書き換えするんですよ」
 精神構造とか「人格」「自己」の形成過程を理解しない常人には、元の陰鬱な人格回路を破壊するだけで「治療出来た」と思えるらしい。
「まあ、そんな方法もあるんですねえ? 私達が人体を乗っ取った時は魂や心を食べる、つまりこの辺りにある心、魔術的な回路を潰してしまって自分と同じ物をコピーするようにして、絶対服従のロボットを作るんです」
「まあ、参考になりますわねえ」

 その内容を理解できない名雪は、帰宅後の習慣でシャワーを浴びて着替え、夕食の準備に入ったが、理解してしまえる美汐は悪魔の会話を聞いてしまって、顔面蒼白でガクガクブルブルしていた。
(もしかして私も?)
 秋子ちゃんに処置を受けた「みーちゃん」も祖母も、悪魔の実験の被験者では無いかと思い、取り戻した記憶や「ゆうくん」側の記憶さえ、悪鬼羅刹に書き換えられたニセモノでは無いかと思いを巡らせて恐怖した。
「みしお~、お風呂空いたよ~」
「え? はい」
 嫁入した先のコトメ、姑の娘である純血の妖狐に声を掛けられて「ここはヤッパリゆうくんと一緒に入浴しよう」と思った美汐。
 股間とナプキンが二人分の精液でズルズルなのも、どうにかしようとした。
「さあ、ゆうくん、今日も一緒にお風呂しようね? ね? ね?」
「はい…」
 祐一には拒否権が存在しない。

 名雪的に美汐は、おとうさんに嫁入りした家族で妹? マコピーとかあゆの霊体同様、だんご大家族の一員。
 今日は陸上部メンバーも仲間に陥れ、可愛がっていた後輩まで丘の神域に連れて行けるようにして大ラッキー。
 昨日から家の中で聞こえる心の声では「自分がイザナミになるのを拒否したので、滅びの巫女である舞お姉様(性的な意味と血族的な意味で)の影響で、この世が滅びて人類が淘汰されるけど、お姉様が決めたことなので仕方ない」程度に思っていた。
 さらに今まで子供の頃から欲しかった「男親の愛」を毎晩毎晩、全身で浴びるように受け止めて、体の内側全部と表皮の毛穴や頭髪まで犯し尽くされて、体細胞まで精虫に突入されて受精するぐらいの気でいるので「おとうさんとおかあさん」が毎晩エッチな事をするのは家族内で普通の出来事で、「おとうさんおなかすいた、わたしにもして~」が言えるぐらい脳が破壊されていた。別に人類の今後とかは考えていない。

「奥様、祐一さんと一緒にお風呂とかどうです? 若い男の子、それも男子高校生の裸を眺めながらアルコールを一杯とか、お湯で煮出した男子汁とか、若いオスの妖狐が出す精子を吸ったりとか、お好みでしたら何でも出来ますのよ」
「「「ギャーーーーー!」」」
 ゆうくんと二人だけで入浴する気マンマンだった美汐の悲鳴が激しかったが、委員長とPTA会長の親子丼、秋子名雪ペアの純血の妖狐親子丼プラス吸い(クンニ)用のマコピーの組み合わせ前に、前菜や食前酒として「妖狐の精子直飲みでチューチューして「YOU来ちゃいなYO」してみない? 山羊のユキちゃんの母乳より美味しいよ」と聞いてみた秋子ちゃん。
「まあ、娘に見てもらいながらとか、その状態を知ってもらった上で出来たら良かったんですけど? ああ、夫に電話しておきますので、お電話お借りできますか?」
「ええ、どうぞ」
 悪鬼羅刹の一人は、職場にいる自分の夫に電話して「これから娘をロストバージンさせて小狐を六匹も妊娠させた男の子と一緒に風呂に入る。若いオスの精子吸って顔にもぶっかけて貰って美顔。ガンガン浮気して娘と同じ男に抱かれて狐の子を六匹も妊娠して来るから、自分の妻が男子高校生に犯されて、それも純血の妖狐だから人間との恋愛とか不可能なメスに落ちぶれ果てるから、職場の研究室で想像しながらガタガタ震えてろ!」、と宣告すると表情が物語っていた。
(((お、鬼……)))
 隆山の鬼の四姉妹より鬼なPTA会長、気の弱い男性なら上原多香子の夫みたいにその場で自殺する。
 
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