メスデカ
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10年前に始まりシネでつながる
「凛君、良いよ、そうそう、その笑顔だ」
凛の家だ、母親の秋は仕事でいない、今日は日曜日で学校が休みだった。
(胸が出ていない?今日はサラシでも巻いているのか?それともこの前が胸になにか入れていたのか?)
確かめたくなった。
「凛君、シャツを脱いでくれる?」
「えっ?どうしてですか?」
「その方がお金になるんだ、お母さんのためだよ」
「で、でも……」
(なにかある、絶対だ)
「どうしたんだい?男どうしじゃないか、恥ずかしがる事はないよ」
「シャツ着たままじゃダメなんですか?」
(ここは強く押す、押せば嫌とは言えない性格だ)
「どうしてもシャツを脱いだ写真が必要なんだ、お母さんの借金返済の為には必ずしなきゃいけないことなんだよ」
口から出任せを言いながら見守る。
「……かりました」
「えっ?ごめん聞こえないよ」
「分かりました、脱ぎます」
「シャツくらいで大袈裟だなぁ」
わざと明るくしゃべる、しかし本心は凛の体が見たくて仕方がないのだ。
腰辺りからティーシャツをめくって行く。
「あっ」
坂田は思わず声を上げてしまう、デベソが見えたのだ、しかもかなり出ている。
凛が慌ててティーシャツを元に戻す。
坂田は声を上げた自分を呪う。
凛が下を向き顔を紅潮させている。
(なんか言わないとだめだな、なんて言おうか……)
「凛君、デベソくらいで恥ずかしがってたらだめだよ、大物になれないよ、将来何に成りたいんだい?」
坂田が話をそらす。
「僕は……刑事に成りたいです」
「だったらなおさらだ、デベソなんかでモジモジしてたら刑事には到底なれないよ、刑事は勇気が必要な職業なんだ」
凛は唇を少し噛み、意を決したようにティーシャツをめくって行く。
デベソが見える。
「パシャ、パシャ」
部屋は明るかったがフラッシュを焚いて撮る。
凛がティーシャツを脱いだ、胸にはサラシを巻いていた。
「ゴクリ」と坂田はツバを飲み込む、顔が酒を飲んだように赤くなっている。
「り、凛君……サ、サラシを……取って……くれるかな?」
坂田は異様な興奮を覚えた、声がかすれる、そしてまさか少女ではないかとも思えてきた。
「で、できません……」
「凛君……僕はどっちでも良いんだよ、君がお母さんを助けたいのかどうか、それだけなんだ」
茹でタコのような赤い顔で坂田が必死に説得をする。
「で……でも……恥ずかしいから……」
「何が恥ずかしいんだい?」
「む……胸が……」
「胸がどうしたんだい?」
坂田は目も充血してきた。
「ぼ、僕の胸は……ふ、膨らんでいるんです」
「な、なんだ……そんな事か……君くらいの男の子なら良くある事なんだよ」
坂田は適当にな事を言った。
「本当に?」
しかし凛は信じたようだ、いや、信じたかったのだろう。
「もちろん、ウソなんか言っても仕方がないじゃないか、どうするんだい?どっちでも良いんだよ」
「わ、分かりました……サラシを……取ります」
凛がサラシを取っていく、その様子を撮る。
「パシャ、パシャ」
凛も恥ずかしいからか興奮しているのか白い身体全体が朱に染まって来ていた。
中学3年生なのにどこか気品があった、しとやかだった。
サラシを取りきる。
「おおぉ!」
坂田は感激の声を上げてしまった。
「は、恥ずかしい」
凛が両手で胸を隠す。
「り、り、凛君……て、手を……手を退けなさい」
坂田が興奮しながら要求する、凛も坂田が興奮しているのを感じた。
ゆっくりと凛が手を下ろしていく。
「おおぉ!」
坂田がまた声を上げてしまう、しかし今度は凛は胸を隠さなかった、そのかわり顔を横に向けている。
膨らみは小さかったが確かにオッパイだ。
しばらく見とれていた坂田だったが思い出したように
「パシャ、パシャ、パシャ」
懸命にシャッターを押し続けた。
(今日はこれくらいだろう、焦りは禁物だ)
この日の撮影はそれで終わった。
ーーーーー
「主任、新たな情報を掴みました、失踪していた5人すべてが韓国に行っていました」
宮迫が本署に戻るなり結子に報告する。
「それはその……失踪してから? それとも」
「失踪する前です」
「旅行で?」
「それがそうじゃないんですよ、就業ピザで入っています」
「どういうこと?」
「5人ともアダルトビデオの撮影です、韓国で撮られています、監督はシネです」
「えっ?……シネ?……宮迫、良くやった!」
結子は宮迫の肩を掴み少し笑みを浮かべた。
「これで浅井姉妹と10年前の連続殺人、そして5人の失踪すべてがつながったわ!」
「水谷警部が最後に会ったと思われる人物ですか、すでに1課が当たっているはずです」
「ええ、西島の言うように事件性があると見て当たっているわ、宮迫は引き続き5人の失踪事件を調べて、テッペイは1課に行って何か情報を聞き出して、西島は私と」
テキパキと結子が指示を出す。
「いーい?10年前の連続殺人、5人の失踪事件、浅井姉妹の件、水谷警部の件、すべてを絶対に解決するわよ!」
「はい!」
部下一同が元気に返事をしてそれぞれ出て行った。
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