KANON 終わらない悪夢
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76鎧武者惨殺中
倉田神社境内、鬼武者鎧武者限定武闘会会場。
『このおっ』
まず素手のまま、真琴が憑依した鎧武者が掴みかかったが、舞が鯉口を切って鞘走りを使って居合で抜き、少しだけ刺した。
鎧の隙間、面の眼球から脳に当たる魔術的な器官の、神経の一部分だけ切ったが、それだけで鎧武者をは行動不能に陥った。
魔物自身でもある舞の精霊。使い魔状の生物のどこに急所があり、今までどうやって瀕死にしたか、瀕死にされたかも知り尽くしているので、どこをどれだけ切り離せば済むのかも知っていた。
その後は暴走や再生でもして生き返るといけないので、2号機だけに両腕を肩関節から落として、首を切り取り、器用にシンジ君?がいるシェルターの天上を突き破るように刃に乗せて投げられた。
『真琴っ!』
本来、妖狐に対する不敬と呪いで、舞の方が吹き飛ぶはずだが、真琴本体ではないのと、既に舞は苦痛と恐怖と痛みの対価を支払い終えて、払い過ぎるほど積み上げていたので報いを受けない。
妖狐の呪いによって死なず、舞の半分以上はあの世の生き物で反刻の存在である妖狐。血液ではなく呪いによって力を伝えて蠢いているので人間部分もダメージも受けない。
ダンピールのDとかハーフのブレイドみたいに、ヴァンパイアの各種呪いを打ち消して戦えて、エナジードレインも喰らわず、鉄剣でも殺しきれるのは人間とのハーフしかいない。
『あはははははっ!』
恐怖の散布者で受給者、その恐怖からヒキコモリでもあり、恐怖と苦痛を周囲にも振り撒くので世間からも身を隠し、孤独に暮らすはずだった楽の感情を持つ魔物。
その魔物が表に引き出されてしまったので、存分に恐怖と苦痛を世界に振りまいている。
後は苦痛で支払った対価の分、奪い、盗み返し、復讐の甘い果実を人類からも妖狐からも、「貸しがある世界」から正当な額を請求しなければならない。
『真琴っ、真琴おおっ!』
無駄に剣を抜いて舞に向かい、S2爆雷も持っていない美汐だが、そんな仕草も怒りも恐怖も無駄で、少年漫画特有の奇跡の大逆転は起こり得ない。
才能を持った者が訓練して鍛錬し、血の代償を払い続けた時にだけ勝利を得る。
もうそんな物に何の価値が無くとも。
『もういい、死ね』
飯綱使いのような剣捌きで、美汐の鎧武者も小手を切られて剣を落とし、一瞬で首の後ろの急所を切り離され、中身の魔物を殺され外見は綺麗なまま討ち果たされた。
やはり歩兵や術者の随伴が無ければ意味がない兵器で、歩兵の脅威にはなっても、1対1なら舞ほどの術者であれば生身と剣一本でも殺せた。
鎧武者の手足と首も切り落として止めを刺してやり、再生しても生き返れないように、穢れた生き物として他人や生き物の命を食わされてまで生かされていた、惨めな兵器の命を終わらせてやった。
『もう生きようなどと思うな、苦しいだけだ』
敵から鹵獲した使い魔を兵器に改造したのか、死を迎えた術者が解体されて繋ぎ合わされ、この状態の生がどれだけ苦しいのか語る言葉も持たないまま、無理に生かされて来た化物。
同じ立場の蠱毒の壺にいる勝者で怪物は、同類の命を切り取って救ってやった。
『剣の心得がなければ、刃を持っても赤子と同じ』
神官ザガートが勝利したので、エメロード姫が泣いて「よくも私の愛する人をっ!」とか叫んで魔神と合体せずに済んだ。
もし生身で殺し合いをしても同じ結果になった対戦。
美汐とマコピー本体は憑依物が斬り殺されたので卒倒している程度だが、力の差は思い知らされた。多分生身での命の取り合いは今後とも無い。
『よくもここまで酷い兵器を作り上げたな、人間共』
秋子と同じく、魔物の舞も人間の愚かさと惨たらしさを感じて反吐を吐きそうになった。
昼の間に退治した魔物、使い魔を始末せず、牛島師範みたいに筋肉が復活して暴れないように、大きめのオヤシロサマにブチ込んでおき、手足と胴体はそのまま頭を切り開き脳を取り出し、死にそうな術者の頭と入れ替える。
残りの部位も埋め込み切り離した手足を呼び合わせる術で接続。動物や罪人の命でも食わせて生かし、瀕死から起き上がれるよになるまで育て、後はエサを与えていれば良いし、放って置いても分体を出して穢れた命を探して食うので、獰猛さを抑えて鹵獲兵器として利用する。
生命への冒涜と呪い、長寿や健康を呪う声が聞こえてくるような悪鬼羅刹で悪魔の兵器。
ここまで酷い生物でキメラ、魔物や人間を妖力で繋ぎ合わせたフレッシュゴーレムは見たことがなかったが、憑依搭乗した時点で自分たちも似たような存在なのだと気付いた。
もう自分達も死んでいるはずなのだが、コードを書き換えられ、死体表示のままでも現世で活動している。
ポニョにあの世の食い物を食わされて引導を渡された赤ちゃんが、ボートの両親も(故人)「これで安心して逝けます」と言ったように、敵に引導を渡されて死ぬまで他人の命を喰らい続け、あの世にも行けず、例え死んでも浄化されず浄土に行けるのかも不明。
接ぎ木で寄せ集めの汚い命のローソクで命の炎が燃えている鎧武者と鬼武者。製造方法は多少違っても、舞たちも大体同じ存在だった。
あゆを復活させる過程で、穢れた生き物としてでも生き返らせる実験体として使われ、ある意味完成形だが人格も崩壊して闇落ちして、人を人とも思わない悪鬼羅刹に変貌する。
あゆにはこの方法を使わない、生贄で実験体で使い捨て可能な失敗作、それが自分たちなのだと気付いた。
『ははっ、あははははははっ!』
自分が憑依している鬼武者も急所を切って死なせてやり、自分や佐祐理、栞や香里の命も終わらせて、安らかに眠らせてやりたいとも思ったが、全員が支払いすぎた対価がそれを許してくれない。
世間からも、自分たちを苦しめ続けた人間からも、今までの苦痛の対価を支払わせなければならない。
この化物を作った奴らも、自分と同じで対価を支払いすぎ、人間を呪う生き物にされ、その仕返しに命を辱めて汚し尽くした連中なのだと思えた。
そして、天使の人形が進めている天孫降臨を行えば、世界は逆転して死者が生者に、生者が死者に反転し、黄泉の世界の生き物が大手を振って歩ける世界になる。
世界も共に死に行き、太陽系全体も縮む世界、破れる世界として終わる。
委員長方式で世界を救って、世界の終わりも防ぎ、正しく明るく正常で清浄な世界へと組み替えるのは許されない。
自分が滅びの巫女になった意味も理解した舞だった。
舞は鬼武者のまま境内を降り、階段下の有象無象のヤンキーを割って歩き、美汐本体とお婆さんがいる特車2課?に迫った。
周囲に術者も歩兵もいたが、対戦車ライフルやロケットランチャーですら通じない舞の鬼武者。
倉田の鬼武者にはリアクテイブアーマーは着いていなかったが、最初から必要がない。
『この魔物の体は、こうやって使うのよっ』
魔物として鬼武者の体本来の使用法も知り、妖狐と同じ呪いのATフィールドを張る。
妖狐に弓を引き、引き金を引いたものは報いを受けて自爆した。銃が暴発して指を吹き飛ばされ、破片が目に刺さって失明、RPGが天文学的な確率で自爆して爆風で爆死した。
『はははっ、あははははははははっ! これが妖狐の力、鬼の力っ!』
鎧袖一触、衆寡敵せず。ただ動かせた美汐と違い、魔物として10年生活して自分のほんとうの肉体と命のやり取りをして、鬼武者の構造や呪い、その繋ぎ合わされた惨めな命の全てを理解している術者で、フレッシュゴーレムを動かす熟練者とは、肉体の支配構造が違いすぎた。
『忌み子めっ、孫は渡さんぞっ! 真琴様に手出しすると、お前もただでは済まぬっ!』
妖狐から無限の妖力と力を託されたお婆さんだったが、既に2世代60年が経過して、数々の危機によって力も使い切っていた。ゴミ以下の普通人である。
孫を消えない妖狐に嫁がせて今生での務めを終え、愛しい妖狐の元に嫁ぎ直すだけとなっていたので、孫と妖狐の少女の肉体を守るのが最後の務めだと思えた。
『エヘッ、大丈夫よ美汐のお婆ちゃん。今日は皆んなの結婚式なんだから、美汐も真琴もお婆ちゃんも来て? 倉田神社だからって遠慮しないで、祐一も佐祐理もそんなの気にしないから、あははっ』
明るく陽気に言った舞だが、その心の声からは醜く穢れた声で、『ここで天孫降臨の儀式を起こす。私達全員を生贄にして、死者の世界を作り出す。この世の生物を鏖にする』と言っていた。
『あああ~~、秋子様~~っ!』
自分の命を対価として捧げて、秋子の助力を願うお婆さん。ただの鉄製の薙刀で鬼武者である舞に向かって行った。
『もう、そんなにカッカしないでよ、ちょっと休んでて』
鬼武者のデコピン一発で吹き飛ばされ、昏倒させられたお婆さん。
これで真琴の肉体部分を持って行けば、正しい方の天孫降臨でも、自分を巫女で姉とした滅びの儀式でも好きな方が行える。
トラックの幌を裂いて美汐と真琴の体と命を両手に握り、元の道を戻っていく。
その時の舞が「生きたまま神になってやる」と思っていたかどうか、定かではない。
『さあ、皆んなも上がって、私の結婚式よ』
マコピーに魅了されたまま固まっていたヤンキーどもに上書き命令して、境内へと上がらせる舞。
こいつら全員も「捧げる」らしく、生贄でしか無い。
魔物が全て帰ってきた舞は、以前のような人間性は全て失い、栞や佐祐理のように汚染されて闇落ちして、ただの悪鬼羅刹として活動していた。
各家に残されていた掟は正しく、このような化物を生み出す前に、使い魔に憑かれた者や宿主と術者は、どんな例外も無く、必ず殺してしまわなければ一族や人類が滅ぶ。
それはいかなる犠牲を払ってでも行われて来たが、秋子ですら天使の人形に惑わされ、人類側を庇護する考えは失っていた。
元々災厄の妖狐でもあるので、人類を守る考えは持っていないし、破滅させるために来たので間違ってはいない。
『佐祐理~、帰ったよ~、美汐と真琴も一緒ダヨ、エヘッ』
自分の本体も別人格を利用して立たせる。舞なら属性違いでも人格を5つ使ってゴーレムを5機操り、空っぽの体は主人格が操作するか佐祐理にまかせて戦える。
儀式を進めるために、何の能力も無い神職や神主は不要だが、勅を唱えるのは自分がやるか佐祐理でも可能、栞にはちょっと無理そうで、美汐が気付いても従わない。
真琴なら正常な天孫降臨になるので唱えさせない。後は祐一が必要だった。
少し戻ってゆうくんの待避所。
鬼二匹に追われて逃げ、もう一匹実の姉らしき鬼が出て、ガッタガタ震えながら命の危機に怯え、頑丈そうな建物に隠れていた祐一だが、舞が狙って投げた鎧武者の首が飛んで来て天井を破壊された。
「アスカーーーー!」
2号機の首が飛んで来て、眼球が幾つかある赤毛猿の首が落ちて来たので、ついアラぬことを叫んでしまうゆうくん。
外に出た所でスイカ栽培している叔父さんに諭されて、自分が今できることをするように言われそうだが、神社の境内なので耕作不可である。
他の建物に逃げ込んだ所で、巫女姿の少女達がいた。倉田の一族で日当が高いバイトと称して佐祐理の親戚も集められていた。
「あ?」
男五人にラッコ鍋、何も起こらないはずもなく。という感じで年頃の女の子に密室で妖狐の体臭を嗅がせ、夜間のあふれる妖力で触れてしまった場合?
「「「「「「「「あ、貴方が純血の妖狐?」」」」」」」」
今回女子陸上部のように天使の人形の術は無かったが、昨夜の水瀬家同様、欲情しきったメス達が、床に汁溜まりを作るぐらい発情させられた。
普段は「え~~? ヨウコってなに~? アイドル天使~~? ぎゃはははっ!」ぐらいの認識しかしていない倉田家の親族だが、腹に直撃するローブローでも貰ったみたいに、胃からマジゲロじゃなく、子宮からマジゲロ吐かされて、経血と成熟させられた卵子とかがガンガン放出された。
「「「「「「「「祐一様~~~~っ」」」」」」」」
「タスケテ~~~~っ!」
もっかい百回輪姦されてしまうゆうくんだった。
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