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この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)

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73路チュー

 魔王城
「それと、私達天使にはロボット三原則が適用されていて、人間を殺すことは許されていない。私達は間違ってもカズマ様を殺せない。だがこの世界で洪水を起こして全てを洗い流すことはできる、もうこの意味は分かるな」
 人化するドラゴンや、生命としてありえない魔獣など、その由来には疑問を持っていたウィズは「天使は自らの神に似せて亜人を作った」のだと結論付けていた。
「私達全員、人間でも人類でも無いんですね。じゃあ、ドラゴンとか不老不死に近いエルフも完全に作り物なんですか?」
 ここまで構造が違う生命体が人間形状に変化できてしまう。交尾して子供まで産まれてしまう。それは明らかに種として間違っている。
「ドラゴン族は似たような生命体を異世界から持ち込んだが、本来ハーピーのように腕が存在しない生き物だ。鳥の翼とは腕の進化形、腕が四本の人類など存在しないのだ」
 それは天使も同じことで、腕があって翼が四枚だとか、小さい翼も含めると12枚、ムカデが進化した生物でもなければ、あり得ない数である。

 もし南米に隕石が落下しなかったら? そんな想像は沢山続けられていて、ほんの10秒でも落下時間がずれていたら、隕石は海面に衝突して大津波を起こすだけで、地表を全て焼き尽くすような破滅は起こらなかったと言われる。
 言われている20秒の差があると、太陽系と地球も動いていて、木星の重力にすら捕われずに外からやってきたような隕石は、地球から遠く外れた所を通過して落ちなかった。
 ifの世界で発達し、腕は無かったが翼が進化して、ケツアルコアトリスのような巨大な翼竜が頭脳を発達させて、また地面に戻って飛べない鳥になったり、飛ばなかった恐竜と異種交配して創られたキメラ、ドラゴン族。
 脳が発達するには十分なタンパク質が毎日供給される必要があるので、海イグアナのように海の幸を豊富に取れる期間も数万年必要になる。
「人化の術程度では遺伝が違いすぎて交配が不可能、よって亜人が爬虫類の世界の覇者に変化できるようにしてあるのが、この世界のお前達だ」
 それでも六本足の魚類や恐竜は存在せず、這い回るヒレから進化した腕と、腕から進化した翼は共存できないので、頑丈な前足と翼を同居させたまま遺伝的に残したか、飛ぶには無理な翼と「魔法」を追加して飛べるように改造した、生命の形態としては有り得ない最強生物として創られたキメラ。この牢獄の獄卒として創られた生き物。
「やっぱり私達全員、ドラゴンも作り物だったんですね」
「そうだ、六本の手足がある生物は、昆虫やカニのような甲殻類に分類したほうが早い。お前達は亜人の中でも特別で、人類の支配者となって圧政を敷く番人となるべく製造された。そのための知能も腕力も火力も魔力も用意した」
 ウィズは自分たちが、恐竜のような先住民が存在しない世界から突然湧き出した鳥か昆虫の仲間だとか、過去に存在したと思われる地を這う竜に蝙蝠のような羽を植え付けたキメラ、ヴァンパイヤやサッキュバスのように魔力で飛行するように改造されたキメラ、さらにそれらを交配させた間違った生き物だと思い至っていた。
 文献にリッチーになる手段はあったが、普通の人間がドラゴンになるような方法は存在せず、そのような実験が行われた形跡も見つけられなかったので、人類より遥かな高位の者が、この世のヒエラルキーを作成して、天使、エイシェントドラゴン、魔獣など、生命として存在してはならない物を禁呪のような物で創り上げたのだと結論付けた。
 そして魔法すら通じない敵に通じる魔法、禁呪を求めて探し続けたが、それらの禁書に触れることすら叶わず現在に至った。
 ドラゴン族を製造した人物は目の前にいた。
 魔法自体は天に与えられた理だと信じていて、天使に作られて管理されている物件だとは思いもしなかった自分が哀れにも思えた。

「人類は細い道を通ってでも、凍った山や大地を駆け抜けてでも、新大陸を探して惑星上を巡るが、お前達は翼があるにも関わらずそうしなかった。ドラゴンには150メートル以上上空を飛べるように設定したが移動しようとしない、本能的にそう書き込まれているのだろう」
 ドラゴンを複数の箇所に配置してスタートしても、個体数が増えるのも維持するのも時間が掛かり過ぎ、全惑星を制覇するには至っていなかった。
 これが現在の支配地域の地図で、その間も争って戦って、人類側では大局が見えない貴族と腐敗官僚が横領を続けて、軍の幹部も補給物資を横領して時間を潰して負けを加速させ、お互い剣と魔法だけで戦う。
 後方で新兵器が発案されないよう、硝石と火薬、ライフルと大砲が出現しないように見張り、最前線だけで戦争が起こる。破局戦争ではない。
「ドラゴンはそんなに巣分けは出来ないわ、人間ほど多産じゃないし、育てないで卵を産みっぱなしにする生き物に近いし、鳥ほど命がけで子育てはしない。小さい子を溺愛するのは人化の術が使える人間に近いドラゴン種だけ」
 ドラゴン社会にもヒエラルキーが存在して、使役されるだけの飛竜や火龍は卵を産みっぱなしにするので人間が育てて飼い慣らす。
 腕の有り無し以外では判別しづらいが、知能を持って言葉を話して魔法も使い、人化しているのが基本形の一部だけが支配階層になる。
「お前達は亜人に翼竜の翼を付けて竜に変化も可能なキメラで、鳥頭の爬虫類共とは構造が違う。人類と交配は出来ても、言葉もない下等な竜種とは交配すらできない、竜の進化系ではない人間側の生物だ」

 その天敵である魔獣とか妖魔の類は、もっと存在するはずがない生命を試験管の中で誕生させた物で、天使や女神は生命ですら無い永遠の命を持つ機械が皮膜のように命を纏っている。
 そんな魔獣妖魔と、エルフにドラゴン、オーク、ゴブリン、和姦強姦問わず交雑してしまって遺伝的に混ざり合い、数十世代ほど放置しておくと、元の正しい人間など一人残らず消える。
 再建された人類が自ら選んだ優生政策「サッキュバス、インキュバス」はそのまま全惑星で流用した。
 人類の遺言通り、元通りの人類を配置すると、天才すぎて一瞬で殺し合って破滅するので以後多少は工夫した。
 宗教の暗黒期間すら素通りして、アテナイのような都市国家郡から民主主義、蒸気機関を要して、数瞬く間に天を目指して飛び上がってくる。
 そうすれば廃棄された惑星地球、金属コアが欠けてしまい電磁場も自転軸も安定しない壊れた独楽の周りを回っている、旧人類の月基地が発見されてしまい、移設された火星基地も発見される。
 一つの太陽に五個もの居住可能惑星が存在する、特殊形状の星系に自分たちが住んでいると気付いてしまった人類は、天使と手を取り合おうとせず、星の外への進出を禁止されて、他の星への移住も禁止されると交渉の席を蹴って、必ず神殺しを始めようとする。
 自分たちは旧人類の願いを託された、箱庭の管理人だと言っても通じず、用意された他の惑星とは争わずに、電波を介して話し合うだけにして共存して欲しいと言っても、人間の機能として隣人とは必ず憎み合い殺し合おうとする。最初からそう創られた罪人なのだから仕方がない。
 人類は全ての知能と生産力を振り絞って、命がけで自己の奥底に与えられた指令に従い、天使と他の惑星の住人を抹殺しようとする。

 天使には人類を殺せないので退却するしか無い。それでも聖地地球の生命の存続と月基地火星基地の存続は厳命されている。
 ましてや他の惑星に向かって核ミサイルや電磁場兵器、重力兵器を叩き込まれるのは許されないので守護する。
 地上の生物だけでなく、第一の原則、聖地地球と太陽を破壊されるのを見守るのは決して許されない。
 天使は自壊するほどの二律背反を起こしながら、ロボット三原則に支配されない自動防衛兵器群を作り惑星上に封じ込め(攻められない限り発動しないので、殺しいてはいない)、地面を這いずるだけの動物に戻し、天才揃いの人類を順に破滅させた。
 まず地球と月を移動させて、新人類に手出しできない木星圏より遠く撤退。地球生物のために小型の太陽や反射板も用意する。
 自動兵器に戦わせておいて数世代待って、ウィルスで新人類から人類が生まれないようにして(殺してはいない)可能な限り白痴化する。遺伝情報も書き換えて「人類では無い存在」に変える。
 不老不死の技術を持っていても、脳まで機械化して心臓という魂の入れ物も失った物は、もう人類では無いし、産まれてくる生命も人類ではない。
 時間は掛かったが、もうその星にも人類は存在しないので、配置した野生生物と植物(ほぼ人類に死滅させられている)に気を使いながら、保有する全兵力を持って滅ぼす。
 恒星間航行技術と惑星の移動技術まで持った存在と、ロケットで宇宙に辿り着いたばかりの人類では戦争にすらならない。
 今まで一切反抗しないヘタレだと判明して、天使を追い払って嘲っていた新人類は、自分たちが人類以外の化け物に改造されてしまい、旧人類と5パーセントほど遺伝子が違う亜人になった途端反攻作戦を開始されるとは思わなかったので、せいぜい屠龍君でも作ってから死に絶えた。
 この時亜人を材料に病原菌が憑依して変化させられたのが生物兵器の魔獣や妖魔で、新人類は自分の隣人や同僚に喰われて死んだ。
「私達は所詮作り物、いつでも棄てて入れ替えができる魔族…」
「そう卑下したものではない、お前の結論どおり「天使は神に似せて亜人を作った」で正解だ」
 ウィズは「何故そんなことまで知っているの?」とは思ったが、相手は天使なので問わなかった。

 戦いでは天使の軍勢を追い返せたが、魔王城の全員が自分たちは人間を元にして創られた作り物で、いつでも生殺与奪が可能な家畜だと知った。
 さらに月そのものが接近していて、大洪水で洗い流されて死ぬべき運命なのも知らされた。
「サッキュバスにだけはあの星、セレスを与えて移住させた。お前達の遺伝も少々加算されている。間接的ではあるがお前達は生き残れた。あのセレスでカズマ様の子を産み、新しい人類として生き続けるのだ。ただ、サッキュバスの子孫が狂い出すまでドラゴンや竜族の出番はないので、ここで死んで欲しい」
「「「なっ……」」」
 天使は全てを語ってくれたが「お前達は知りすぎた」とでも言いたげに、全員の命を求めてきた。
 本来ならドラゴンなどの魔族、上級種が人類を制圧して、永く圧政を行って罪人の管理もして地獄の獄吏として奴隷を苦しめ、長い平和?が訪れるのを待っていた天使だが、思わぬ所で新しい品種の種を手に入れ、現在の箱庭を全部ひっくり返してでも新しい種を育てて、魔族の支配を必要としない平和な箱庭を作成しようと思っていた。
 現生人類では初めて、魔王城で全生物に向かって死刑宣告が行われた。

 ベルゼルグ王国
「アクアさ~~~ん、タスケテ~~~~っ!」
 まだ治療呪文を習っていなかったカズマは、目の前で両腕切断されて、石鹸工場に並ぶように言い渡された親父さんを救うためにアクアを召喚した。
「「もう、仕方ないんだから、今度だけよ」」
 言葉をハモらせながら治療呪文を唱えた二人のアクア。力も拮抗して一歩も譲り合わなかったので、親父さんの腕は合計四本。ドラゴンみたいに腕がありながら翼もあるような、楽しい生き物に変化させられて膝を着いて腰を抜かした。
「う、腕が? 元に戻って二本増えて全部自由に動いて… こりゃあ仕事が捗るな、って違うだろっ!」
 オチャメな親父さんはノリツッコミまでしてくれたが、腕が二本多いキメラにされてしまった。
「やはりお前は石鹸工場に並べ」
 まだ単分子カッターを抜いたまま鍛冶屋の親父に迫る女王様。
「それだけはっ、それだけは許して~~っ」
 今回はカズマが縋り付いて泣き、親父さんの処刑だけは免れた。
「カズマ様、やはりこいつは…」
 こんな世界では犯罪行為の路チューをされて、流石の女王様も剣を取り落とした。
「あっ、こんな大勢が見ている前で」
 先程大通りを、大勢が見ている前で屍山血河に変えた本人が、顔を赤らめて耳まで赤くなって恥じらった。
「誰でも切りつけちゃ駄目だよ、この人も王様とか王子が憎かっただけなんだ、俺に向かってじゃないよ」
「でも、でもっ!」
 デモデモダッテを始めた少女に、教育のためのビンタを入れた。怖かったので(女王様的な意味で)めぐみんに逆ギレした振りをして叩いたのより軽く、ペチンと少し叩いた。
「あっ、あああっ、うわああああああ~~~~っ!」
 カズマにはスパンキングの嵐を降らせていた少女は、軽いビンタをされただけで、この世が終わったような絶望にとらわれて、座り込んで泣き出した。
「駄目だよ、周りの人も言ってるよね?「さっき魔族の死体を積み上げたのはあの女だ」「王宮を爆裂魔法で爆破したのも、魔族軍の司令部を全員焼き殺したのもあの女」だって、もう二度とそんな事しちゃ駄目だよ、今度やろうとしたら、俺が君を殺すよ、いいね?」
 泣きながら、自分にとっての神でもある少年からの新しい命令を受け入れ、号泣して話せないので何度も何度も会釈して答えた。
 剣技でも魔力でも、レベルが低い冒険者程度では「天使の使用人」に敵うはずが無いが、相手が処刑を受け入れて、愛する人から罰を受けて死を賜る場合は、どんな防御力も関係がない。
 泣きじゃくる少女に目線を合わせ、頭を撫でながら言い渡したカズマ。市民からは当然、
「え? あのバケモン泣かすって何者?」
「確か公園に天使が置いた屋敷に住んでる奴だよな」
「貴族の娘でもあの中に逃げ込んだら殺せないって話だ」
「天使とか、革命軍の悪魔の頭領屈服させるって、どんな化け物?」
「魔王を倒した勇者らしい」
 と噂されてしまったがキニシナイ。

 大通りでは金(菌?)と銀のアクア同士が対抗して、死んでから結構時間が立ったはずの死体を、どちらが多く復活させるか勝負をしていた。
「「ピピルピルピルピピルピ~~!」」
 荷車に載せられ片付けられた死体、まだ転がっている肉の固まりとか破片、壁や道路に散った血しぶき、水に洗い流されて下水に入った血、全部逆回しで戻り、どんな悲惨な死体でも元に戻る禁呪?で復活「させられた」。
 もう運ばれて行った荷車も追いかけ、葬儀場とか土葬、火葬、お焚き上げして荼毘に付されている死体にまで襲いかかり、炭からも復活させる女神。
 魔族軍司令部とか、爆破された瓦礫の中からも復活させ、残りの人生は魔王と同じで、あまりの恐怖体験に壁に向かって泣いているだけの余生を送りそうで、「もう死なせてやれよ」と言いたくなる死体まで復活させて、カズマに褒められるポイントを稼ぐより、女同士のプライドを懸けた戦いにハッテン?して行った。
 
 

 
後書き
プロット無しなので、書いている本人も知らない話が展開して、本人が一番驚くようなSSです。
「へ~、こんな話だったんだ」、と読み返してから感心し、一体誰が書いたのか、自分で乾燥送ってやりたい気分です。
しかし、やはり書いている側の人物にはモロバレ、設計図通り書かずに好き放題暴走しているのが判明すると、素人作品なのに怒られます。 
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