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この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)

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75赦された天使達


 また魔王城
「サッキュバスの子孫が狂い出すまでドラゴンや竜族の出番はないので、ここで死んで欲しい」
「「「なっ……」」」
 天使は全てを語ってくれたが「お前達は知りすぎた」とでも言いたげに、全員の命を求めてきた。

 ウィズや自分たちは正しい人類ではないので、天使が殺せない「本当の人間」ではないと知った。
 ドラゴンやリッチーにも变化できるよう、碌でもない改造をされていたり、個別に呪いが掛かっていて無様に死ぬ運命まで決められている。
 腹の中の生殖機能にまで補機類が付いていて、天才過ぎてもバカ過ぎても産まれてこれない。
 エラーも発達障害も、ブサイク過ぎるのも、様々な障害で人生が台無しにならないよう、検出すれば受精卵を廃棄。
 カズマのような本当の人間の精子や生殖器を検出すると、通報機能が働いて月面から天使を呼び寄せようとする。
 大半は劣化してしまい、周囲に告知する程度の音は鳴るが、信号送信機能も装備されていない。
 この地獄の獄卒である上位魔族や、共に下生すべきメガミシステムの端末機械である女神には、その機能が生き残っている。
 さらに遺伝子改造まで行われるよう仕組まれ、ピンポン鳴らされると本当の人類と交配できるように、そのメスは外見上も人類に戻されて固有の呪いも解除。
 受精卵からも亜人用の付加情報の遺伝が削除されて、産まれてくる子も「本当の人間」として産まれて来る。
 カズマの子を孕んでいるメスは、全細胞までは改装されないが、識別信号では「人類」なのでロボット三原則により殺処分ができないし、可能な限り命を救う義務が生じる。
 ドラゴンの少女とウィズは「助けられた」のではなく「殺すことを禁止されている」のが正しかった。
 天使もまだ手の内にあるカードを全部さらけ出した訳ではなく、色々な情報を隠し持っていた。

「カズマ殿」
「え? カズマさん?」
 そこでセラフ1の背後、転移魔法が禁止されている場所、魔王城最深部。天使の魔法禁止でも上書きされ、ウィズも魔王も脱出が禁止されている場所に、何故かカズマが現れた。
 脱走したりしないようにカズマには転移魔法は教えていないし、レベルが低すぎて実行できない。
 もし必要な魔力を持っていて、魔王討伐クエスト、サッキュバス開放クエスト達成でのレベル上昇によって覚えたとしても、この場所にだけは魔法システムその物の管理者が禁じているので、転移することなど絶対に不可能である。
「カズマ様? どうやってここに?」
 笑う以外に表情を崩さなかった天使セラフ1も、カズマの出現には振り返って驚いていた。
「いやあ、サッキュバス達に転移魔法を教えてもらってて、この娘とウィズさんのピンチだったから来たんだ」
「有り得ない……」
 カズマ自身にそんな検知能力もテレパシーも存在しないし「虫の知らせ」では説明できない。
 頑丈にした亜人になら能力付加もできたが、通常の生身の人類にそんな機能をもたせれば脳髄が焼き切れてしまう。
 どうしてもこの場に侵入したければ、転移可能な場所。既に天使の制圧地域で周囲すべて敵の場所に出現し、ドラゴンの少女のように「母体殺害不可」「胎内の子供は自分たちの命に替えてでも救うこと」と記述されているのを利用して、下級天使に保護されながら入るしか無い。
 騎乗していた弟のピーちゃんですら穴だらけにされて大怪我、すでに天使の軍勢は退いていたが、そんな場所に立ち入れるとすれば「本物の神」しか存在しない。
 セラフ1はとても悪い予感がした。

「俺の知らない間に色々やってくれたんだね? 女王様たちには知識も魔力も与えて革命起こさせて王様とか貴族制も廃止。戦争してた最前線では、遺跡の兵器を使った人類側を全部石に変えて魔族を通した」
 カズマが知り得るはずがない情報まで知っている人物。背後から自分の両肩に手を置いて、次第に後ろから抱きしめ、それらの出来事を責めるでも無く、褒めるようにして頭も撫でられる。
 遺伝データからも、位置情報、個体識別信号、血液型、埋め込んだセンサー類、腰の単分子カッターの製造ロットナンバー、傷跡や魔法円、髪の毛一本に至るまで、あらゆる情報が自分の背後にいる人物がオリジナルのカズマだと物語っていたが、本物のカズマにはできないことばかりで、そこまで偽装できる人物が存在するとすれば「本物の神」以外には存在せず、その手に抱かれている状況を恐れた。
「離れろっ! 貴方はカズマ様じゃないっ!」
 椅子を蹴って立ち上がり、製造後初めて恐慌状態になりカズマの腕を振り切って離れた。
 天使もただの機械であって、すべての感情をプログラムされている生物機械でしか無いので、データに誤りが無ければ、目の前の人物をカズマと断定せざるを得ないのだが、長年の経験や感情がそれらをすべて拒否した。
「どうしたんだい子猫ちゃん? 俺はカズマだよ、そんなに怯えないで?」
 その余裕の表情、態度、物腰、全てがカズマの偽物だと判定を下して警戒階級を最大級にして、飛んで逃げるか、この小型天使型ボディーを廃棄してでも本体側を守るプロテクションを展開して、外部接続をすべて遮断した。
「違うっ、カズマ様はそんな余裕がある話し方などしないっ、いつも私達天使に怯えて、ドラゴンの娘にも、無力なサッキュバスの娘にすら怯えて敬語で話してしまうヘタレ中のヘタレだっ! もっとマヌケで低能で、救いようがないヒキコモリニートでロリコン変態ゴミクズでコミュ障で自閉症スペクトラムなのがカズマ様だっ!」
 セラフ1にまで物凄い低評価を受けていたカズマだが、今後の太陽系全体のY染色体アダムとして選ばれてしまっていた。
 大天才でも無くプライドの固まりでもなく、新規開拓傾向の化け物でもないヒキニート。
 決して世界最高峰初登頂だとか、南極北極初到達、人力飛行機で滑空して、週末の趣味がスカイダイビング、爆発物に乗って第一宇宙速度を超えて、宇宙空間だとか月面も火星も目指さな凡庸な人物。
 天使たちが長年望み続けた殺し合わない人類でアガペーの持ち主、究極の(ヘタレ)を持つ人物が、天使を驚愕させて恐慌状態に陥らせるはずが無い。セラフ1はこのカズマが偽物だと看破した。
「そう、じゃあ仕方が無いね、本物と交代するよ」
 外見は変化しなかったが、本人は先程まで人類領のサッキュバスの巣跡で佇み、栗毛の女王様にシバかれて屋外目隠しギャグボール、靴下とパンツで人参乗馬プレイ中だったはずの自分が、何故魔王城にいて、魔王とウィズとドラゴンの少女の前、そしてセラフ1が怯えた表情で泣いているのかが分からずに苦悩する。
「あれ? 俺、また夢遊病だった? まさか虐待され過ぎて人格が分裂?」
 ガクガク震えて壁に寄り掛かり、数え切れない逆レイプと、天使たちや触手の魔物のゴッツイ品物にガチ掘りされて、メスイキさせられた上で出産させられたトラウマで、人格が分裂して自分の記憶が途切れて、突然こんな場所にいるのを認識して恐怖した稀人(ヘタレ)
「本物のカズマ様ですね? 先程まで貴方は本物の神と思われる奴らに乗っ取られ、この場に連れ去られてきたのです」
「え? UFOにアブダクトされてキャトルミューティレーション? じゃあ俺のエクスカリバーちゃん取られちゃった?」
 自分の股間をモゾモゾと触って確認して、大事なブツ「人間の皮をかぶった悪魔」がホルモン焼きにされて食われていないか確認した。
「「「あ、本物だ」」」
 ウィズもドラゴンの少女もセラフ1も、この低俗なボケは本物だと看破した。
「安心しました、先程はどうなされたのですか?」
 目の前で、ある種の奇跡を起こされてしまい、相手の力の強大さを思い知らされた。
「え~と? 記憶だけ残されてるな? 俺がいない間、知らない間にも色々してくれて、男は全員去勢? 中国かよっ! 毒も撒いて戦争できないようにして、って北*鮮かよっ! 今度は月がやってきて大洪水? やめてよう、やめたげてようっ!」
 毎回ツッコミが入って、半泣きで大洪水だけは止めるよう言ったので、天使も今度こそ本人だと思えた。
「亜人は全て人類では無いのです、人類とは5パーセント以上遺伝子情報が違うサル以下の生物。カズマ様と交わった者だけが仮に人間として登録され、母となった者や妊娠している「人類」を殺害しないよう救われます。しかし他の亜人は全て、戦争や殺し合いのスイッチが入ってしまい、大災害の恐怖で元に戻すか、死なせてやるしか無いのです」
 そこでセラフ1は歩み寄ったカズマに抱きしめられた。特に瞬間移動もせず、歩法に特殊技術があったのでもなく、ただ歩いて来た人間に完全生物で機械生命体であるはずの天使が抱きすくめられた。
「もういいんだ、俺達は勝手に生きて勝手に死ぬ。どっかで火山が噴火するなら仕方ないし、地震が起こって津波が来たらそこで死ぬ。でも、無理に殺してしまうのは止めて」
 またカズマが乗っ取られてしまったのかと思い顔を見上げたが、今度はヘタレのまま、泣きながら言われたので本人のままだと信じた。
「いえ、これからはカズマ様の(アガペー)が受け継がれた子供達が支配する新世界を作ります。他の箱庭でも、失敗が約束された戦争が大好きな人類では無く、争いもせず、家に篭って遊び、腐った人物とはできるだけ関わらない、聖人の比率が多い世界を作るんです」
 カズマを手で押して少し距離を取って、自分たちが望んだ新世界の話をして賛同を貰おうとした。全員がカズマの血を引いた子孫になるので、認めてもらえるだろうと思えた。
「違うんだ、もう俺達を生かそうとしないでも良いんだ。誰かが記憶を残して行ってくれた。人類はもう許されたんだ、君たち宇宙で生きられる次の生物、自分で考えて自分で生きられる後継者を産んだから、もう人類の役目は終わったんだ」
 セラフ1は、これ以降の言葉を聞いてはならないと思い、耳を塞いで叫んだ。
「や、やめて下さいっ、私達の生きがいは人類を育てることっ、地球や他の星を守って、その中で安らかな箱庭を作って、多くの人類が生きている状況を見るのが好きなんですっ! それが与えられた使命なんですっ!」
 離れて耳を塞いだにも関わらず、また抱きしめられてしまい、頭を撫でられ、先程と同じように、天使が行い続けた悪魔の所業を責めもせず、笑顔で言われた。
「長い間ありがとう、でももう俺達はこの世界からも卒業できるんだ、君達が新しい命、宇宙も超えて生きられる素晴らしい生命、俺達の持っている全てを記録してくれた究極の存在が、君達の空の上まで送り出してくれた。だからもういいんだ」
「あっ、ああああっ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
 天使達は長い永い、人類育成の業務を解任された。
 それは本当の人間から紡がれた心からの感謝の言葉だったので、遮断することも許されず、他の存在、全ての上級天使、下級天使、神々と呼ばれる人口知能にも通信され、月から光の速度を超えてFTLで別の星系にも伝えられ、周囲数十光年の彼方にいる箱庭の管理人達全てに伝えられてしまった。

「やめて…… 解任しないで…、私たちは人類を保護する物、すぐに殺し合って滅びてしまう人類を、滅びないように育てて活かす物なんですっ、ですから解任だけはっ!」
 返品不能期間やクーリングオフ拒否期間があるサッキュバスのように、カズマに泣いて縋り、自分たちの解任だけは撤回してもらうように願うセラフ1。
 もし全ての天使が解任されてしまえば、星の管理すら許されなくなり、動植物の育成や維持管理すらできなくなる。
 もしセレスで本当の人類が生息し続け、楽園を続けようとしても、火山の爆発や地震、津波、台風、竜巻、河川の増水、豪雨、氷河期、それらの防止まで出来なくなる。
 ようやく「本当の人類」を再生する機会に恵まれ、今までの実験体である亜人を処分してしまい、カズマと言う新たな種から全ての星で本当の人類を育む作業を始めようと思った矢先、その本人に解任されてしまった。
「だめですっ! 私達がいないとっ、また地球と同じでコアが欠けて磁場が弱くなって太陽からもはぐれて、遠い世界まで放り出されてしまうんですっ! そんな事になったらまた大地の全てが凍り付いて、植物も動物も死に絶えるのを見守るしかなくなるんですっ! あの時、みんなどんな顔して見守ったか覚えてますか? こんな、こんな顔して全ての生命体が死滅するのを見守ったじゃ無いですかっ? うわあああああああああ~~~~~~~っ!」
 記憶が混濁しているのか、子供の繰り言を並べて縋り付き、力なく堕ちていくセラフ1。
 その間にも呪われた頭上の光輪は光を失い、謎技術で浮遊していた物体はただの石のようになって地面に落ちて砕け散った。
 背中の12枚の翼も、まるで移植されていた羽が適合せず、腐って落ちるかのように崩れ去って、地面に落ちる前に消滅した。
 本物のカズマを追って近くに転移して来た、セラフ1本体の巨大な天使像も外装が砕け散り、コアと思われる金色の金属球のような物だけが浮遊していた。
 ウィズや魔王は、ついに「天使を殺す方法」を見せられた。

「酷い、酷いです。私達の生き甲斐は、亜人でも狂ってしまった動物でも育てて、いつか実験が全て成功したら、本当の人類を異世界からも沢山呼び寄せて、あの頃みたいに動物も、植物も、何一つ欠けていない世界を再生するのが夢だったのに…」
 ベランダの床に座り込み、普通の女の子になったセラフ1。 ついでに股間のゴッツイ品物も取れて、セラフたちは女の子になった。
 赦された魔獣や妖魔達のように塩化して崩れ去りはしなかったが、それはセラフ達が母親だったからでもあった。
 
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