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KANON 終わらない悪夢

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86佐祐理の悪夢

 倉田家に招かれ、屋敷に来た祐一と舞。当然、美汐以下の者は、舞が心の声で命令し、祐一には近寄らせていない。
「なあ舞、胸当たってるだろ、ちょっと離れてくれよ」
 相変わらず、姉とは思えない表情で腕を絡め、胸もグイグイ押し当てたまま離れようとしない舞。
 手の握り方はもちろん恋人繋ぎ、5本の指を絡めてしっかりと掴んでいる。
「…嫌、こうしてないと祐一が逃げる」
 早速涙目になって抗議する舞。もしここで「まい8/18」に変身して、8歳に戻って天下の往来で大泣きされれば、ご近所の晒し者になるのは間違い無かった。
「逃げないから、ほら当たってるって、わざとやってるな?」
 祐一も夜に何本も抜かれているにも関わらず、また元気になる息子を隠し、前屈みになりながら異母姉に頼む。
「…こうしてると気持ちいい、それに祐一のここも大きくなって、気持ち良さそう」
 すでに我慢汁が出そうな祐一ジュニアを、ズボンの上からポンポンと叩き、反発力を確かめて嬉しそうにする姉。周囲の目は全く気にならないらしい。
「触るなっ、人が見てるだろ。今は8歳なのか? だったら人前でこんなとこ触っちゃだめなんだぞ」
 弟に注意されて、さらに涙目になるお姉ちゃん。
「どうしてっ? すきだったらだれでもするんでしょ?」
 涙の粒が盛り上がって来て、言葉使いと声も次第に幼児化して行く。このままでは。
「だ、だから、恋人同士でも、路上でオッケーなのはキスまでだ、だか…」
 舞は、その言葉を聞いた途端、祐一の唇を自分の唇で塞いだ。
「んん~~~っ」
 チュポンッ
「なっ、何するんだよっ、今のは絶対見られたぞっ、もし学校の奴がいたら…」
「キスはしていいっていった」
 当然、「川澄舞、実の弟に路チュー事件」は、多数の生徒や父兄に目撃され、後日、校内の話題になった。
「姉弟はだめなんだよっ、それに噂になったらどうする?」
「…見られても、噂になっても良い、祐一を馬鹿にする奴らは『また黙らせる』」
「うっ…」
 また、舞の言葉の力に負けてしまう祐一君だった。 自分本来の力を5分の2、両腕を取り戻し、校内でも「みーちゃん」より強力な暗示を掛けられた者達は、すでに舞の奴隷と化していた。

「いらっしゃい、舞、祐一さん」
 門まで来て、二人を迎える佐祐理。 そこから庭を通って、屋敷に入ろうとした時、祐一は既視感を覚えた。
「あれ? 昔、ここに来た事あるぞ、遊んでて迷い込んだのかな?」
「そうですね~、舞と祐一さんが会ってたんですから、佐祐理も会えていたら良いですね~」
 今は笑ってそう言うが、真実を知ってどうなるか、それはこの人物しか知らなかった。

(さあ、佐祐理さん、僕達は成長して力を付けた。 一弥を返してあげてもいいよ、舞を捨てられるならね、ははははっ!)

 屋敷に入って中を案内され、客間まで行く途中、佐祐理の母に出会った。
「あ、お母様、紹介します。 佐祐理の新しいお友達で、舞の弟さんの祐一さんです」
「始めまして」
 軽く頭を下げ、普通の挨拶をした祐一だが、母の視線は祐一の足の周り、別の一点に集中していた」
「かっ、一弥っ!」
 祐一の背後にいた霊を見て、驚きの声を上げる母。 それはこの日のために、天使の人形が憑依させた一弥本人だった。
「…この子が一弥? 佐祐理の弟… 悪い霊じゃなかったから追い払わなかったけど」
「え?」
 その姿が見える舞と母、見えない祐一と佐祐理。
「どうして貴方が一弥を? まさか、貴方が相沢様……」
「は…? ええ、相沢祐一です」
 最近起こった出来事から、自分達に「様」を付ける相手を見て、倉田家も妖狐の一族なのを思い出した。
「…ここがこの子の家、さあ、祐一から離れてお帰り」
 舞の言葉を聞かず、祐一から離れようとしない一弥。 そこで佐祐理の耳にだけ、あの声が聞こえた。

(さあ、一弥は目の前だよ、どうやって取り戻すかは知ってるよね、もう高校生なんだから)

 その言葉で、以前、名雪に封印された一連の記憶と感情を取り戻す。 喜怒哀楽の全てを取り戻した時、その胸に激痛が走った。
「ゆ…… 祐一さんが一弥と一緒にいてくれたんですね… 約束通り、佐祐理の所に返しに来て下さったんですね…」
 いつも笑う事しかできなかった佐祐理に、悲しみと涙が戻り、ふらふらと祐一に歩み寄り、抱き付こうとするが舞に止められる。
『…だめ』
 佐祐理の目的は一弥だったが、自分以外の女が抱き付くのを許さなかった舞は、それ以上近寄らせなかった。
「意地悪しないでっ、舞っ、一弥はどこにいるんです?」
「相沢様の足にしがみ付いているわ、ほら、ここに」
 力を持つ母は止められず、祐一に近付けてしまったが、母は迷わず懐かしい自分の息子の頭を撫でた。
「こ、ここに… 昔みたいに顔は見えないのね、もっと暗い所に行きましょうか?」
 自分の足元で二人の女性が屈み、懐かしそうにしているので動けない祐一。
 ちょっと大きくなったままのジュニアや、我慢汁の匂いがしていないか、少し恥ずかしかった。

「…暗い所で何するつもりっ?」
 最近、毎日自分がしているような事を、佐祐理にもされるのでは無いかと心配する舞。
「えっ…?」
 その言葉を聞いて、昔、母が言った「縁が出来れば、一弥は貴方の子供として返してくれるかも知れません」と言う話も思い出す佐祐理。
(祐一さんが佐祐理の許婚… それで結婚して子供が出来れば一弥は。いいえ、結婚なんてしなくても…)
 戻された記憶の中から、天使の人形に都合の良い部分だけが鮮明に蘇って来る。 佐祐理もまた、他の少女達のように、奇妙な妄想に取り付かれて行った。
「お願い、舞っ! 一弥を返して欲しいんですっ! だからその間だけでも、祐一さんを貸してっ」
 佐祐理の言いたい事は心の声で舞に伝わった「祐一と交尾して、一弥の霊を自分の子供として生き返らせたい」と。
「絶対に嫌っ!」
 こちらも、香里から取り戻した怒りの感情を爆発させ、佐祐理達に対抗する。
 親友である二人にも絶対に譲れない部分、それが次第に二人の間を引き裂いて行った。

 別室
「お母様、お願いがあります」
 舞と祐一が茶菓子でも出されてイチャイチャしている間に、真剣な表情で母に語りかける佐祐理。
「どうしたの急に?」
「舞を押さえていて欲しいんです。 お母様達ならできるでしょう?」
「それは? 出来ない事は無いけど、何をするつもり?」
「祐一さんに一弥を返してもらいます。 私の体を使って」
「エ?」
 咄嗟には理解できなかったが、娘の目がすっかりおかしくなっているのには気付いた。 どこかの美汐ちゃんや、香里ちゃんぐらい、ヤバイ目付きになっているのを。
「まさか、佐祐理」
「以前、お母様も仰っていたでしょう? それに、夢の中で一弥と約束したんです「また会おうね」って。今日、一弥は約束を守って帰って来てくれました、祐一さんと一緒にいてくれたなんて知りませんでしたけど、もうこの家からは出しません。 今日にでも佐祐理のお腹の中に宿してもらって、産みなおしてあげます、それには舞が邪魔なんですっ、だからお母様、お願いっ!」
 震えながら、恐ろしい力でしがみ付く娘。 母も一弥の魂を取り返したかったが、夫のある身として、自分の体を使ってまでは奪い取れなかった。 しかし、目も前の娘は、獣の目をして大切な弟を取り戻そうとしている。 こうしてまた、祐一に取り憑いた魔物が一人…
「佐祐理… 貴女が?」
「はいっ」
 その決意は固く、頑固な娘はテコでも動きそうに無かった。 もう卒業前の騒動のように、手首の傷を増やす訳には行かない。 それに相手は「消えない妖狐」で、秋子と約束した許婚、母は観念して、娘の思う通りさせる事にした。
「分かりました…」
 いつか、秋子とした約束、「祐一君に力が付けば、一弥君を返してあげられるでしょう」とうとうその約束の日が来た。
 それは娘の親友を裏切り、弟と言うより、恋人を奪う事になるが、禁忌を破って生まれて来た川澄の娘から、倉田家の者として一弥と祐一を取り返すのに罪悪感は感じなかった。

 食後に舞が入浴させられ、祐一と一緒にイチャイチャしている幻覚を見せられながらメイドと入浴。
 その間に引き離された祐一は、佐祐理に引っ張られて別室に通された。
「祐一さん、こちらです」
 佐祐理に案内された部屋は照明が消え、カーテンの向こうでは、大型プロジェクターによって、壁面にビデオが映し出されていた。
「あれ、真っ暗じゃないか?」
『あっ、祐一っ、もっとっ、もっとっ!』
 その映像を見て呆然とする祐一。 そこにはあられもない格好をした姉が、自分と交わっている姿が映し出されていた。
『いいのかっ、こんなに血が出てるのに、いいのかっ?』
『いいっ、凄くいいっ!』
 それは丁度、祐一が舞の股間に顔を埋め、指で中を掻き回している辺りから始まっていた。
「まあ、凄い表情。 舞と祐一さんって、姉弟なんですよね? どうしてこんな事するんですか~」
 その画面を見ても平然として、普段と同じ表情で笑っている佐祐理。
「どうして佐祐理さんが、こんなビデオを…」
 ズチュルゥッ!
『うっ! あああっ! あ~~~~~っ!』
 ア*コに舌が入り込み、きつく噛んでいた唇が、快楽に緩み涎を垂らす。 これは祐一が見ていなかったアングルから撮影されていた。
「隣からずっと見てたんですよ、佐祐理、凄く興奮してしまいました」
「そんな…」
 姉の親友とは言え、こんな映像まで撮られてしまい、その人物は明らかに何かの意図を持ってニコニコと笑っている。
 それは大切な舞を寝取られて怒っているのか、これを見せてからかっているだけなのか、祐一は佐祐理の真意を掴みかねた。
「どうぞ、こちらにお掛けになって下さい」
「え? ああ…」
 スクリーンの前に置かれたソファーを指され、異常な状況の中で席に座る。 佐祐理も、まるで一緒に映画でも見るように隣に腰掛けた。
『はあっ、こんな、こんな事って…』
 まるで空でも飛んでいるような舞の表情。 そこで手を取られ、指を絡めるように握って来た佐祐理の行動に、違和感と危機を感じる。
『す、凄っ、あひいっ! あおおおぅっ!』
「まあ、舞の声、まるで動物みたいですね~」
「そ、そんな事無いだろ」
 一応姉を庇うが、普段気の強い女を性の虜にする、とても征服欲が満たされる声と表情だった。
 そこで祐一が「ダビングして」と思ったかどうか、定かではない。

『あっ、出ちゃうっ、離してっ! 祐一の顔に… だめっ! だめええっ!』
 恥ずかしい所を見られて、絶望したようでもあり、快楽に体を支配されて、たっぷり潮を吹き、壊れて行く姉の表情が映し出されていた。
 ピュッ! ピチャッ! ブビュッ!
(ゴクリ…)
 カメラだけで無く、マイクの性能も良かったのか、生々しい音まで拾って、大きなスピーカーから音が垂れ流されて来る。
 姉の壮絶なあえぎ声は腹の底に響くような大きな音で聞こえ、その顔は実物の数倍の大きさで、絶頂の瞬間の表情を、顔の筋肉の細かな痙攣まで映し出していた。
「まあ~、あんなに背中を反らせて、よっほど気持ち良かったんでしょうね~」
『あうううっ………… あ~~~っ、あ~~~っ、あ~~~~~~っ』
 祐一の顔を持ち上げるように、肩と足でブリッジし、1分ほど震えながら絶頂の表情を見せ、白目をむいて崩れ落ちる舞。
「日本の法律ってどうなってましたか? 確か異母姉弟でも駄目だったと思うんですけど…」
 目線を上に向け、唇に指を当てて、無邪気に問い掛ける佐祐理だが、祐一は無言の圧力を感じていた。
 すでに校内ではベタベタのブラコンの姉に疑惑の目が向かっていたが「近親相姦している」とバレれば、二人とも退学の上、人生が終わってしまう。
「さ、佐祐理さん… 何をしたいんだ?」
 佐祐理の目的が分からず、つい聞いてしまった祐一だが、ここまで同じ事が何度も続いていて、気付かない方がおかしい。
「まあっ、「したい」だなんて、ストレートですね(///) 最初は大好きな舞と祐一さんが、姉弟で仲良くしているのが凄く羨ましかったんですけど、舞がどうしても「仲間」に入れてくれなくて…」
 普通、「…一緒にセッ*スしよう」と誘ってくれる親友はいないが、舞なら分からない。 しかし現状では、「弟に近付く雌には、牙を剥いて排除する」が原則なので、佐祐理も例外では無かった。
 
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