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この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)

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74勇者降臨?


 ベルゼルグ王国
「に、兄ちゃん」
 魔剣とか神剣より切れる刃物を持った女に飛びつき、始めて合って言葉を交わしただけのオッサンの命乞いをしてくれた小僧に少し感動して、頬をペチンと叩いただけで悪魔大将軍を大泣きさせたのも驚いたが、腕を切られても一滴も血が出ない切り口や、四本に増えた腕を見て驚く感情のほうが強かった。
 それでも、賞金首のアイリス姫の頭を砕いて、本人かどうか判定すら出来なくなって賞金が出なくても、まだ12歳の女の子を殺害して、頭から下も渾身の力で叩き潰してやりたい感情、王子でも大公の娘でも、肉の固まりになるまで叩き潰して耕してやりたい、という真っ黒な感情からは開放された。
「そ、その二人も、さっきのプリースト?いや、片方羽付きだったから天使が生き返らせたのか?」
「え? まあ、アイリスちゃんに頼まれたんでちょっと…」
 周囲の目も怖すぎ、いつも通り説明できずにグダグダになっていると、復活した女王様が解説した。
「こうやって体中イタズラ書きして、カズマ様の下僕として弄ぶために生き返らせた」
 親父さんは王子の顔を見て落書きがないのも見たが、首輪のリードを離されても逃げ出さず、周囲の住民にも怯えて、カズマの影に隠れるようにしているのを見て、
「あ、この兄ちゃん、男もイケる口で、王子のを口で「YOU来ちゃいなYO(これが隠語の伏せ字です)」して若いオスの精子を吸い出して若返りしたり、ケツ「平井堅」まくってガラスの少年砕いちゃったな?」
 と勘違いされてしまったが、愛しのアイリスちゃんの兄上はハンマーの被害から守られたので特に気にしなかった。
「なんでえ? この剣、鉄じゃねえ、軽い…」
 自分の両腕と相棒のハンマーをバターより滑らかに切り、粉々にした恐ろしい剣だったが、仕事柄どうしても気になって単分子カッターを手にして、四本の腕で調べ始めた。
 小型ナイフより軽く、黒い刀身は柳より柔らかくしなり、柄を持っても持ち主ではないので刀身は震動しなかったが、近くに転がっていた石を当てると抵抗なく切れてしまった。
「うおおおおっ! コレを打った奴は誰だっ? どうやって作った? 俺を弟子入りさせてくれっ!」
 黒い感情やアドレナリン過多の症状も快方に向かっているのか、40ぐらいのオッサンが弟子入りまで願ってきた。
 子供の頃に勤めた親方から独立して、世襲なのか城塞内に店まで持っているので、家族持ちで国ごと無抵抗で陥落したので戦火に焼かれて死んでいないはずだが、妻子を捨ててでも弟子入りしたいと言った。
「え~と、作った人というか3Dプリンタで打ち出した天使が出掛けてまして?」
「打ち出した? どんな製法なんだ? どうやって打ったかだけでも教えてくれっ!」
「ええ~~と? カーボンチューブで編んで、単分子で、え~?」

 そこに都合悪く、結構な人数をエスカリボルグ振るって禁呪?で復活させ、後の心のケアなどは一切せず、フラフラになって二人のアクアが戻ってきた。
「な、中々やるじゃないの、」
「あんたもね、決着は次回よ」
 洗浄で荼毘に付されて、櫓組んで燃えている所で生き返らされ、電流で炭化した焼死体の状態でも復活させられ、激痛に苛まれても生きていて、燃えながら人体に戻って行き、死ぬ体験を逆回しで「ゆっくり」繰り返し、生身に戻って部品も揃い、やっと火が消されたトラウマの方が恐怖体験でPTSD発症、ほぼ一生震えて寝たきり。
 一瞬で爆散した粉々の体に生命が宿らされて、二人のアクアで取り合った死体とか半分づつ生きていて、復活させた死体を瓦礫の外に整列させた後で最終カウントするのに、玉入れ方式で「ひと~り、ふた~り」をやらかして、半分とか三分の一で生きているのを等価交換して生き返らせ、何も知らないうちに爆裂されていた死体にも、あらゆる恐怖と苦痛を与えた女神。
「「フフン、私をもっと褒めなさい、敬いなさい、ついでにお供えのお酒なんかも出しなさい」」
「はいはい」
 カズマにもタップリ褒めさせ、二人共ふんぞり返って仰け反り、鼻の長さを伸ばして天狗になって偉そうにして、ついでに酒まで要求した。属性が変わってもアクアはアクアであった。
「あの、戻ってすぐで悪いんだけど、この娘が腕切っちゃったオジサンから「あの剣」の作り方教えて欲しいって言われてるんで、天使の人格に戻ってくれる?」
「「ハ?」」
 意味は分からないアクア達だったが、即座に天使の人格に乗っ取られて入れ替わった。
「全く、余り生き返らせすぎると本物の天使が来て捕まりますよ、カズマ様も本来罪人の一人で脱獄中なんですから、ケータイみたいに脱獄白ロム化出来てないんですよ」
 アクアの人格の影響でも受けているのか、語り口調が少し似ていて説教する天使。
「ハイ」
「フロッピーディスクに死んだのを記録される前に取り出すとか、ファミコンのROMに記録される前にリセットして「石の中にいる」とかロストして灰になったの誤魔化すのとは違います。もうこいつらは死んだのを記録されていて、改竄するとバレます」
 それをやらかした本人に説教食らうのは嫌だったが、人格が切り替わっているので我慢した。
 流石のカズマもプレステ2以前のゲーム機は知らず、PC8801とかファミコンの話をされてもジェネレーションギャップで付いて行けなかった。

「アンタがコレを打ったのか? 製法だけでも教えてくれっ、鉄じゃないのをどうやって打つんだ?」
 病んだ目で銀のアクアを見て、どうしても製法を知りたがる鍛冶屋の親父さん。殴り殺しに来た王族一同はどうでも良くなったらしい。
 天使に切り替わった銀のアクアから見ても、この男は茶色いイナゴでも、黒いゴキブリでも無くなっていた。
「ほう、自滅スイッチを自ら切った人間か、面白い。これの材質は赤道にある軌道エレベータとか移動用に宇宙で回っているテザーと同じでカーボン素材、炭素の糸で編んだ物だ」
 残念ながら金星にも軌道エレベータが存在して、ファンタジー世界でよくある○○の塔扱いで、バベルの塔と呼ばれるテレビ塔、言語調整アンテナとしても利用されているらしい。
 旧人類が建設して前回の滅亡処理も耐え抜き、ワイヤー交換など補修しながら利用していて、ゲートも使えない第一宇宙速度も超えられない下級天使の昇降用にも使われる。
「この糸は千切れないし酸化もしない、刃は単分子で出来ていて、どのような物質にでも入り込んで分子間の結合力を断つ、現在の人類には製造不可能な技術でできている」
 周りの人間も大半の単語を理解できなかったが、製造不可能なのは教えられた。
「作れねえのかっ、俺には打てないのかっ? 聖剣とか神剣打つのが俺の夢だったんだっ! 王宮なんかにに収める為じゃねえっ、勇者に持ってもらって、魔王倒すような剣を打ちたかったんだよっ」
 子供の頃に夢見た、本当の願いを思い出して泣く親父。それが集団自殺スイッチをオフにする鍵だった。
「では細くて絶対に切れない糸を作れ、そしてそれを刀身の形に編め、単分子はどんな技術でも打てないが、髪の毛よりも細く、絶対に切れない糸が刀身なら石でも切れるだろう」
 天使が言った言葉なので、文字通り天啓でも受けたようにガクガク震えて、帰ったら一語一句間違いないように書いて壁に貼り、人生の目標にした。
 後二週間で人類は滅びると知っていた天使なので、この程度の座興は許されると思っていたが、オッサンは許さなかった。鉄線から金線から燃やした竹でも何でも試し、切れない糸を作り続けた。

 ナイフマニアならご存知のダマスカス鋼なども、完全に頭おかしいレベルのアスペヒキコモリ自閉症スペクトラム患者の職人が、人生かけて打ったのを弟子が受け継いで、金属のウーツ鋼と一緒に寝てお話したり、抱いて眠って愛を語って、自分の血とか混ぜるのに始まリ、舐めて擦って愛撫して、精子ぶっ掛けて孕ませたりするぐらいの変態でないと打てない金属も存在する。
 るつぼの中で木炭混ぜた鉄を結晶化させたり、藁を鉄に混ぜて打つと、一体どうやったのかカーボンナノチューブに変化して、あの斑の縞々もできて硬度が上がったり、折れない刃物ができる。
 現存している技術では作れないオーバーテクノロジーで、日本刀みたいに技術継承されていない。
 もちろん日本刀打ち続けた変態達も、ドリフターズに書かれたみたいに、ドワーフが「二万とか三万折り返して打つとかキモいわー、変態の所業じゃ」と書かれたように、数十万円する刀は結構な回数折り返して、刃は硬い鋼、刀身には柔らかい鋼を貼って、水に漬けて冷ました時に収縮力の違いで直刀が曲がって反りが入る変態工法が、切れない奈良刀(鋳型に入れて叩く安物)までも標準になり、変態と変態が競い合って、刃紋を見て敵の打ち方を盗んで、もちろん藁も投入してカーボン量の調整なんかして、大昔の「太刀」を打つ技術は失われていてオーバーテクノロジー(鉄のインゴットに人間の人柱入れて麟分とか調整)、もう鉄と性交渉済みで「鉄ってのは暖ったかいんだ~」と言うぐらいの変態でないと打てない。
 ちなみにダヴィンチもミケランジェロも究極の高機能アスペで、身ぎれいにしないで生活し、靴下を脱ぐとそのままの形で立ったと言う逸話まである。

「うおおおっ!俺はやるぞっ、いつか天使の作った神剣以上の物を作ってやるっ!」
 人間が天災の恐怖以外で脳内の破滅のスイッチをオフにするのを初めて見た天使。街中を「おさんぽ」すると、天使でも学習することがあるのだと笑った。
「あの、腕切っちゃったお詫びとハンマーの弁償に、コレ差し上げます。もうこの娘にこんな危ない物持たせませんし、アイリスちゃんとかご兄弟見逃してやって下さい、ね? ね? ね?」
 自分も持っていて、セレスに「連行された」コピーカズマも全員所有、ダクネスなんかも大剣バージョン(自分切らないように内側は刃引き)女王様全員所有、サッキュバス親衛隊の標準装備だったり、家には包丁含めてゴロゴロあるので「天使から賜った神剣」を業務用ハンマーと交換してしまうカズマさんだった。
「こんな凄い剣、くれるのか?」
「ア、家には一杯ありますんで」
 街の住人も、魔王を倒したと噂される勇者?の腰がやたら低く、まるで商売人のようにも見えたが、勇者しか持てないような剣がハンマーと両腕?と交換されるのを見た。
(あの親父の家に行ったら、あの剣盗めるな)
(殺してでも奪い取る(アイスソード))
(いや、あいつの家に行ったら一杯あるんだろ? 見付かってもあいつだったら許してくれそうだし、一本ぐらいくれるかも)
(いや、話しして買っとけよ、安く売ってくれそうだし、売り飛ばしたら家一軒とか大金になるぞ)
 ベルゼルグ王家発行の銀貨などは、ただの混ざり物が多いクズ銀に値下がりしそうなので、商売に目ざといものが「奇貨まさに置くべし」と殺到した。
「おれにも売ってくれ、言い値で払うっ」
「いやワシが買う、鍛冶屋の旦那、それも売ってくれ」
「私が買おう、殺された地主が所有していた土地、全て貴方名義に書き換えましょう」
 もう王子とか姫も放置で、金になりそうな神剣目当てに商売人とか役人まで取引を申し出た。

「やかましいわっ、クソッタレ共がっ! その汚い手でカズマ様に触れるなあっ!」
 気が短い女王様がファイヤーウォールと電撃とマジックミサイルで全員を引かせた。
 呪文不要で手を振って払い除けようとすると、奇跡が起こって実現するタイプの魔法である。
「はいはい、女の子がそんな汚い言葉使っちゃあだめだよ、鞘も外してオジサンにあげようね~、この怖い制服もプレイ中だけにして」
 ベルトごと鞘を外され、制服の上着と帽子も取られ、アーマークラスが少々下がった。
「あっ、ああっ、こんな人前で、それにこれが無ければカズマ様をお守りできません」
 群衆に向けた鬼の表情からコロッと入れ替わって、恋する乙女の顔になり、服を脱がされるのを恥じらう化け物。
 やっぱり制服の裏側には仲間と話し合ったように「やっぱ裏側にはドラゴンとか虎の刺繍欲しいよなあ?」「じゃあ私不死鳥」とか「ここに短歌縫い込んで、カズマ様への愛を誓わないとよう」とか、独特のソッチ系の思考と趣味で、天使にリクエストしたり刺繍入り、血の色でプリントした短歌が内側に入って、死ぬの生きるの来世がどうのこうの歌った詩が書いてあり、背中には「カズマ様命!」の大看板。本性は完全にヤンキー女だった。
「言っただろ、次にあんなことしたら俺が君を殺すって」
 二枚目でジゴロでホストの下衆野郎の表情をして微笑むカスマ、女の経験値だけは上がって、女を騙す手段だけは格段にレベルが上がっていた。
「ああっ、殺して、私をカズマ様の手で殺して~~っ」
 市民も、クッサイ三文芝居を見て引いた。
「君はもう俺が捕まえたからね? 刑期は永遠の無期懲役。日中の作業に清掃とか洗濯、食事の支度もしてもらうよ」
 言葉は違ったがプロポーズされていると気付いて真っ赤になり、目も合わせられずにモジモジしながら抵抗してみる。
「でも、まだ民主主義で資本主義の平和な世界をカズマ様にプレゼントできてません」
 そんな子供の戯言のような言い訳は聞かずに畳み掛けるホスト。
「毎年10ヶ月ほど俺の子供をお腹に入れて、その細い体を10キロも太らせて重くて苦しい思いもしてもらって、そしたら酸っぱいものが欲しくなったり悪阻(つわり)もあるよね? 物凄い痛い出産痛も味わって貰うよ。それを毎年繰り返してもらって、大変な子育てもするんだ」
「あっ、ああっ」
 抱きしめられて頭も撫でられ、何か「もう逃げられない、この人の腕の中からは」みたいな妄想とか、子供連れで公園とか丘の上にお弁当持って遊びに行く幻覚とかも見えてしまい現実の視界ゼロ。
 脳汁も出まくって、ドーパミン、エンドロフィン、セロトニンが奏でる三重奏のハーモニーで、お花畑の中でダンスを踊り「私が主人公~」になった。
「上の子が大きくなったら手伝わせてもいいけど、刑期が続いてる間はずっと子育て。それが終わったら孫の子育てもしてもらうよ?」
 さっきまで鬼で悪魔で化け物で魔物で悪鬼羅刹だった女が、完全にバカみたいな顔になって、ナメクジみたいな表情で溶けてヌメヌメ。
 本物の方の天使なんかも降臨しちゃって、さっきヤッた分で受胎告知もされて受精着床妊娠。
 ウェディングベルが頭の中でガランゴロン鳴り響いて、白目剥いて卒倒寸前。
「沢山の孫に見守られて、最後は二人で同じ日に手を繋いだまま死ぬんだ。それでお墓も同じ所で眠って、来世もまた巡り合って結ばれるんだ… いいね?」
 完全にクズマに騙されて完落ち、もう立っていられなくなって足もガクガク。
「はい…」
 一言だけ紡いで卒倒して、カズマにタイホされて胸の中に転げ込んで、刑期が永遠の永久就職をした女王様。

「「「「「「「「「「おお~~~~っ!」」」」」」」」」」
 男たちからは、下衆男に騙されて結婚も出産も、A(キス)~D(妊娠)を超える、小山田いく提唱の「Z婚」同じ骨壷に入って眠る。まで了承させ来世でも巡り合って二世を誓い合う約束で騙したホストに賞賛の拍手が送られた。
「いやっ、女の敵っ」
「女殺しっ、フケツよっ」
「あんな硬そうな子まで騙すなんて最低っ」
「一体何人の女の耳元で同じセリフを言ったの?」
「近寄ったら駄目っ、妊娠させられるわっ」
 落書きだらけのアイリス姫と大公の娘を引っ張っているクズ野郎だったので、女からは評判最悪だったが、「自分も言われてみたい、落書きされたい」と言う破滅型の変態もいて、拍手まで巻き起こって祝福された。
「いやあ、マイッタマイッタ」

 ゲスマさんが微笑んでいると、鍛冶屋の親父さんまでこいう言った。
「俺の娘もやる、二人共やる、俺はこれから鬼になって山篭りして剣を打つ。だから女房は里に返して一人で行く。兄ちゃんのとこには戦災孤児とか奴隷だった子とか一杯いるんだろ?」
「エ?」
 こんなゴッツイオッサンの娘なので、オーガみたいなゴッツイ娘に違いないので拒否権を行使してみる。
「イエ、ダイジナオジョウサントカ、イタダケマセンカラ」
「俺には分かる、その嬢ちゃんみたいに、兄ちゃんのためなら命がけで革命起こすような女ばっかりだ、サッキュバスも全部命がけだったし、俺は知ってる」
 目が病みきっているサッキュバス親衛隊を連れて「おさんぽ」してしまったので、全員で取り囲んで周囲を警戒して剣に手をかけたまま警護。
 自分の命を盾として庇って殉職する気マンマンの親衛隊に守られていたので、親父さんの目も曲がって「俺は知ってるんだぜ」みたいな目で慕われた。
「一番上の娘もいたんだが、そいつは貴族に召し出されて妾にされたんだ、俺はその娘を救いに… うおおおっ!」
 何かトラウマスイッチを激しく押してしまったようでゴッツイ顔で泣かれた。
 手製の剣や鎖帷子を配って市民に渡し、革命の先頭に立って娘を救いに行ったと思われる親父。
 助からなかったのか、貴族と運命を共にさせられたのか、取り返せなかったらしい。

「では、その娘とやら、勇者カズマ様に献上するのなら生き返らせてやろう」
「「「「「「「「「「エ?」」」」」」」」」」
 羽背負ってる方の銀のアクアが、いつもどおり何もない空間から娘を一人プリントアウトした。
「あっ、ああっ、ああああああっ!」
 ぶっ壊れた親父が、とても血がつながっているとは思えない美人の娘に駆け寄って、完全に親バカの顔になってナメクジみたいな泣き顔でしがみついた。
「市民よ! もう知っているだろう? この方こそ全てのサッキュバスを救った伝承に歌われた救世主であり、全ての魔族の呪いを解ける本当の人間! 先日魔王を討伐した勇者だ! 名はカズマ様、勇者カズマ様だっ!」
 天使も全力で乗っかって市民を煽り、本物の奇跡も一つ見せて驚かせてやった。
「勇者…」
「魔王は倒されたんだっ!」
「本物の天使が言うんだから間違いねえっ!」
「ここの占領軍も消えるぞっ」
「俺達は勝ったんだ!」
 市民たちの怒号とも悲鳴とも付かない叫びが巻き起こり、女たちの打算上皿天秤が激しく動作して、勇者の妾、愛人>>>もう死んだ王族貴族、地主、街路樹にぶら下がっている商人>越えられない壁>>>その辺のどうでも良い臭い男どもの貧乏臭い女房、に書き換えられ、カズマを測る側の天秤が音を立ててテーブルに当たり、どうでも良い男共は天秤から投げ出されて消えた。
 例え婚約者がいても夫がいても消えた。嫁入り前の処女の女はカズマの匂いを嗅ぐと、発情して発狂するのに、次第に包囲網の距離が縮まってきた。
 カズマは周囲でガチャガチャ言い始めた女達の装備?の音を聞いて「面倒なことになった」と思い始めた。
 
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