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KANON 終わらない悪夢

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75鬼武者舞


 本来、天野と倉田の家がこんなに近いのは問題が有り、比較的最近、数百年から千年以内に、どちらかが住んでいた異世界平行世界が滅びて(滅ぼして)、「妖狐と嫁と子供が扉を開けて、神域から出てきたら異世界でぶったまげて、ご近所にも敵がいました」というオチらしい。
 いつか婚姻関係でも結んで親族になり、官軍幕府軍屯田兵が来ようが、蝦夷征伐やアンゴルモアで対馬に蒙古軍が来ようが(今なら1~7巻80%引き)、一緒に戦って侵入者を排除するはずが、両方共言葉も通じない青い肌の幻影族か、GATE超えて来た金髪碧眼のエルフとかボーパルバニーかフォックスだったようで、日本政府の呼びかけで敵を滅ぼして半分ほど自分の領地に貰う手はずで争って、無事不倶戴天の敵に出世していた両家。
 丘の裏側とはもう少しマシな関係らしい。

 今日は人形汎用無能兵器イフリーテス(TV版小説版エルハザードの黒髪ドジっ子鬼神)みたいなマコピーが来る。
 銀髪のイフリータみたいに、大陸とか星ごと敵をマジ掃滅したり、バックからネジ差し込んでケツ肉パンパン言わせて巻き巻きすれば、勝手に時空を超える法術も覚えたり「一万年待ったよ」にならないし、まんまその辺りパクってる「六畳間の侵略者」にもならない。
 覚醒していない今は、炎の神官と殴り合って相打ちになる程度の実力だった。

 境内下階段、武闘会会場

 まず北海道統一されてるはずの組織が一枚岩ではなく「舞姐さんが幸せになるなら」と観念して寿卒業を認めて、半分血が繋がっている弟さんとのケッコンカッコカリ(祐一クンまだ17歳)を祝福して、式場である神社を警備しているレディース一同。
 それに統一頭(ヘッド)もいる夜舞組(ナイトダンスパーティー)のような、舞原理主義者保守派。
「突っ込めえっ!」
「トツゲキ~~~~~~っ!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおっ!」」」」」」」」」」
 対してどんな手段を取ってでも舞を救い出し? 自分ではセキニンを取れないのにとりあえず結婚式をぶち壊して、姐さんを拐って行きたい楽クンみたいな、舞原理主義者無政府派、極右、極左、武闘派、シャヒード派、王権派、ジャコバン派? で分裂して抗争していた。
「クソダラッ、ころっそ! カスっ、ハナクソっ!」
「テメエが死ねッ、ゴミがっ、姐さんは渡さねえっ!」
 神社に入る一本道の階段下では、基本素手ゴロでマジ喧嘩、少人数が武装していて、それでも木刀とかバットぐらいで、殺人技光り物関節破壊技禁止、バイク用ヘルメットのシールドが割れるぐらいの殴り合いで、ドタマカチ割って人死にが出るような被害は今の所出ていない。
「良い喧嘩だぁ、若えもんは元気が有り余ってて良いなあ。俺か親父さんの若え頃みてえだ」
 どこかでお神酒をくすねて来て、用務員の親父さんと並んで呑み、若い奴らの大喧嘩を見物して悦に入ってる北川家二人。
 武器等準備集合でマジ抗争なのだが、警察はお休みなので来ない。

 そこに明らかに装備の桁が違う、身長4~5メートルぐらいのTAでメタルフェイクが2体、グレネードランチャーとか吸着地雷の類を爆裂排除するリアクティブアーマーを追加され、元から傾斜装甲も付いてる骨嵬(クガイ)が、機械獣みたいなキモい動きで獣道や竹林の上を走って飛んで登って行った。
 肩からワイヤー発射すれば、悪路、不整地、傾斜路、森林竹林に移動力を減らされないでブリッツクリークを行える機体が神社に侵攻する。
 女子高生能力バトル物で十分インフレ化していたのに、ついにロボ?まで出てしまい、ダメな系統に踏み込んで超ドラゴンボールみたいに、ナントカサイヤ人青みたいに無理で無駄な方向にインフレ化して行く。
 多分ククリとかタケミカヅチとかの案山子(かみさまドォルズ)が存在している村で、変な御神木か異世界の(ユグドラシル)とかドラシルが植えられていて、根の周りには死体が埋まっている系の木から加工すると動く。
 起動音もあって「ラン、ラ、ランララ」とか「ディディディ、ディケイド」とか電子加工された耳に残る音も発している。
 大昔の漫画みたいに、中にある三種の神器とか奪い合って争うらしい。
 まあボトムズのスタッフも「中古のATは中古車程度の値段で、皆様にも十分買える価格」と言っていたので、女子高生には無理でも天野家なら買えるし作れる。
 バスタードでは結局出なかったが、サムライマスターだとかイングヴェイとか全員に竜戦士(ドラゴンウォリアー)が与えられ、天使や悪魔と戦える設定もあったらしい。

「お… 親父さん? ありゃあ何だ? 人形の魔物? 見たことねえぜ…」
「知らん」
 ジジイでもセバスチャンでも見たことが無いのもそのはず、50年以上アイアンゴーレムでリビングメイルを始動できる嵬で、連続動作させられるだけの妖力を持った術者が存在せず、丘から降りてきた妖狐やハーフなら始動テストはできても、妖力を放出して寿命を削るような鎧武者は動かせなかった。
 本日はそんな化物一名と、美汐のネコさ~んになった妖狐が、友人のためと祐一救出の為に参戦していた。
 他に動かせるとすれば、土の精霊を貸し出されたチョロインさんか、ハーフの舞本人ぐらいで、美汐の父は癒やし属性で能力が違うので動かせない。
 2号機は悪鬼羅刹でも神様が操っているので、呪いのATフィールドが展開されていて、もし実弾射撃すると、その本人が爆発してタヒぬ。
 エンジェリックレイヤー方式で「私とヒカルを誘って」して、特車2課からゴーレムをプラレス三四郎していう二人だが、実はマコピーはロボを操っている方が弱体化していて、まだ転移も術も何も使えないので腕力と機動力だけは上がっている。
 それでもぴろを発進させて、スタンドで「オラオラオラ」した方が強い。
 天乃御渡神社に奉納されている神輿(アーク)や鎧武者のように、倉田神社にも憑宮神社にも何体か奉納されているはずだが、起動できる者がいない。
 多分エメロード姫(佐祐理)と神官舞(ザガート)が思いの力?で作り上げた魔神がある。まあ佐祐理仕様は人馬型に決まった。
 エメロード姫は、今生で結ばれないのなら、せめてあの世で舞と結ばれるために魔法騎士(マジックナイト)を召喚したのかも知れないが、魔法騎士側に炎系熱血主人公が一人足りないので光の螺旋が使えない。
 結局どちらの陣営も喧嘩っ早く、異世界を滅ぼしてからこの世界に逃れて来た、オーバーテクノロジーがある異星人らしい。

 境内を勝手に警備しているレディースの皆さんの前に、ついにラムダドライバでも搭載してそうなポニーテールの鬼と、赤毛猿が操っている赤毛の鬼が降り立った。
「「「「「なんじゃあ、こりゃあ~~~っ!」」」」」
 ロボが出てしまったので、赤ずきんチャチャなどと同じく、もう少女漫画でもエロゲーでも抜きゲーでも泣きゲーでもない。
 FATEでもバーサーカーとか宝具の方は色々と化物でも、ロボは出なかったのでもうダメである。
『お姉さま方~、ゆうくんを返してくださ~い』
『ゆういちを返せっ』
 美汐さんの命令は周囲の人間にしか効かなかったが、マコピーの言霊はヤンキー共の抗争も一瞬で終わらせた。
 昼間と同じでセイレーンの呼び声で、頭悪そうと言うか頭悪い連中には一発で効いて魅了して、一般人である神職とか神主とか巫女の格好をしているだけの従業員とか全員魅了した。
「「「「「「「「「「あ、ああっ、あ……」」」」」」」」」」

『ゆ~う~く~ん~~~~~?』
『ゆういち~~~~~~~~!』
 ゆうくんは神社の本殿に繋がる建物の控室にいたが、妖力で発見され綾波のエヴァ9号機が船に取り付いて「碇君、どこ?」とか船全部に響くような声で呼ぶぐらい、マジもんの鬼がお迎えに来てしまい、搭乗者と言うか鎧武者に憑依しているバケモンが誰なのか一瞬で理解したので、舞も栞も佐祐理お姉ちゃんも置いて、竹林の奥に向かってすっ飛んで逃げて行った。
「ぎゃああああああっ!」
 残っている全員守る必要が無いというか、祐一の破壊力を1とした場合、2500倍のトバ火山とか3000倍のラ・ガリータカルデラぐらいのお姉ちゃんズなので、悪魔超人同士の抗争現場にいるだけで「プチッ」と潰される。
 外にはイエローストンぐらいの2400倍パワーの超人と、440万倍のシベリアトラップぐらいのマコピーがお迎えにキていた。
『どこ行くの~~~~? あたしだよ~~、みーちゃんだよ~~~、いっしょにかえろうよ~~~、ゆ~~~く~~~~ん』
 巨大な鎧武者で鬼が襲い掛かってきて、エフェクトが掛かった低くて大きな声で、風呂場で未来予知した粘菌美汐さんと同じぐらい怖い声だったので、待てと言う方が無理である。
『ゆ~う~い~ち~~~~』
 足音も重く、ズシンズシン言わせながら祐一をマコピー鬼が追う。もし捕まると、首根っこ引っこ抜かれて喰われるか、尻子玉ヌかれてナマのまま踊り食いされるので、ゆうくんは泣きながら丘の中を駆け巡った。
 もう家にいる8千万パワーぐらいある、オントンジャワ海台クラスの悪魔超人が来ないと収まらない。

『そこまでだ、お前達~』
 舞@ヒキコモリニートver、喜怒哀楽の楽で、性欲と恐怖の化身、土の精霊も鬼武者で出動した。
 現在フルパワーの舞なので、草木の精霊が神社の「祭具殿」に置いてあるデッカイ「オヤシロサマ」の中に、キカイダー01でも隠してあったのを見つけて、外郭を粉砕して出て来たらしい。
 美汐とチョロインさんに憑依して、教頭の孫まで汚染して性欲の塊にしてしまった魔物。
 土の精霊なのでアイアンゴーレムでリビングメイルを自由に操れる。
 母親のタヒ体であるフレッシュゴーレムを、10年以上操って来た熟練者なので、ゴーレムの扱いは純血の妖狐よりも上手かった。
『忌み子、川澄舞…』
 舞を忌み子にしてしまったのは妖狐の一族なのだが、仕組まれた子供でチルドレン(複数形)だったので、母親の腹の中で祖父が惨殺される悲鳴を聞かされるわ、妾腹のヤンキー女やチョロインさんより生まれてはいけない子供だったので、倉田家の使用人部屋住まいでもイビられ虐められ、ダブル浅野の「ゆう子」の方みたいに、親戚の家で一ヶ月間同じ物を食わされ続け、きゅうりか何かが一生食べられない体にもなっていた。
 本気で逆らうと普通の子など軽~く撲殺してしまえるので、ファイブスターのシバレースの女の子みたいにならないよう拘束衣で縛られ封印され育った。
 そんな罪人本人が闇の王子様と結婚など有り得ないので(遺伝的にも)、剣聖のお祖母様が「フィルモア王妃の証である、私のイヤリングを持つ者こそが正妻」と言い含めてやらないとイケないのだが、もう佐祐理のお祖母様はあの世に旅立っている。
 そんなお言葉を賜らなくてもバケモン(栞)より強い舞。
 ちなみに佐祐理のお祖母様の形見のネックレスは、栞にロザリオとしてではなく、首輪(チョーカー?)鑑札として取り付けられていたりする。孫悟空みたいに数珠を首に巻いているのかも知れない。
 その後も超能力少女だの夜の使い魔を送り出した術者だの、貧しい上に6歳以降は母のタヒ体をフレッシュゴーレムとして操り、死体と言うケガレを置きたくない倉田家からも追い出され、死体に自分を育てさせて操作に失敗するとネグレクトで虐待。
 優しいお母さんなど、もうどこにも存在しなかった。
 祐一と出会ってからも自傷行為と自殺未遂のメンヘラスペシャリストとして育ち、無事に悪鬼羅刹で魔物憑きの忌み子に育て上げられ、虐待によっても人格が分裂してしまい、現在5重人格の舞。
 本当に「あんなに楽しいこと、あれから一度もなかった」人生だった。

『ゆうくんをかえしてっ』
 平仮名の多さと漢字の少なさ、一人称が「あたし」なので、置いて行かれる恐怖から幼児退行している美汐。
 こちらもトラウマスイッチの数では舞に勝るとも劣らなかったが、鎧武者の装備は同じで、憑依すれば自分の体を動かすのと同じとは言え、ゴーレム操作の熟練度は桁違い。
 死んだ自分の母親をゴーレムとして操作して、日々の生活や買い物から料理までさせ、近所のBBAと挨拶までさせていた。祐一が来るまで胴体の魔物が入って操り命も繋いでいたらしい。
 舞が若返らせて、佐祐理が祐一と交尾させていなければ、いずれ体が腐り落ちて生きながら死んでいたフレッシュゴーレム。

 その上、武道や格闘技、真剣を使っての剣術の練度では、美汐と天と地ほどの開きがあった。
 剣道の段位差ではなく、本気で敵と殺し合って、魔物で化物で悪魔で鬼で怪物と命のやり取りをして、文字通り血の代償で描いて支払い積み重ね、天の上にも地獄にも財産を積み上げ、血で贖い終わった呪いで純粋な死の願い。
 デスウィッシュでノーヒューチャーでリーブミーアローンでヘルナゥな舞の人生。
 そこまでの差があると、勝つ可能性はゼロ。限りなくゼロではなく、本当にゼロである。

『さあ、かかって来い』
 扱う体は違えども、自分の肉体の延長線上で、魔物の呪いや禁呪で作られた、他人の命を踏み躙って土台にした鬼武者。
 住み慣れた魔物の肉体と同じで、他人の命を喰らって生きる化物。
 空っぽの舞ではなく、魔物として10年生きて来た舞が振るう、爪で棘で角で牙で背びれ、更に今は熟練の剣士で腰に剣まで携えている。
 他の女達のように苦痛の対価を一銭も、血の一滴足りとも支払っていない有象無象に負ける可能性もゼロだった。
『ああ、やっぱりそうなんだ、ハハハハ』
 佐祐理、舞、栞、美汐、真琴二人、何度も死んでいるメンバーも、新入りの香里も、天使の人形が扱っている壊れない、壊さないフレッシュゴーレムでもある。自由意志と妖力は持たされているらしい。
 天使の人形も、あゆにだけはその汚らしい復活方法を許可していない。
 
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