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この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)

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76魔法システム停止中


 セラフ1本体の巨大な天使像も外装が砕け散り、コアと思われる金色の金属球のような物だけが浮遊していた。
 ウィズや魔王は、ついに「天使を殺す方法」を見せられた。

「天使まで、人間と同じに?」
 頭上の光輪を失い、背中の翼も腐り落ち、ついでに股間のゴッツイ品物も取れて、人間形状になってしまったセラフ1を見て泣くウィズ。
 どんな破壊魔法も武器も、呪いすら通じなかった天使、それも上級天使が力を失って、ただの女の子に変えられた。
 感情もない下級天使は機械として機能停止して、全ての任務を終了すれば、次の任務が与えられて再起動されるまで倉庫に帰って眠った。
 旧人類の思考をコピーされた神々と呼ばれた人工知能も、断末魔の悲鳴を上げてからスリープモードに移行し、人類の指令があるまで停止した。
 カズマの(ヘタレ)が世界を救った。

「ありがとう、人間も亜人も何万年も君達が作った揺り籠の中で穏やかに過ごせたよ。地震も津波もなくて、火山の噴火も飢饉も無い世界。いつも通り兄弟同士仲良くはできなかったけど、それはメスや土地を取り合って、子供の居場所を争ってただけなんだ。鳥たちが縄張りや住む場所を争ってメスを取り合って子供を残すように普通の行為だったんだ、星まで壊そうとしたんじゃない、そうなってしまっただけなんだ、許してくれるかい?」
 カズマはまた誰かに乗っ取られたように、知り得ない情報まで知っていて、前世の記憶なのか鳥に例えて話した。
 今度も天使の罪の数々を叱りもせず罵りもせず、優しく抱いて今までの苦労を労った。
「あ、あ、ああ」
 セラフ1は、本当の人類の醜さを、おぞましい呪いで煮しめたような敵意、敵になった陣営や隣人の苦痛を可能な限り楽しんで嘲笑い、大義名分さえあれば、どれだけ腐り果てた行動ができるのかを伝えようとしたが、数万年に及ぶ呪いを解かれてしまったショックからは立ち直れずに、何も話せなかった。
「いいんだ、もういいんだよ。人間なんてのは、この凄まじい世界で苦しむためにだけ送り込まれた囚人で罪人なんだ。だからもうこんな苦しみの元を育てなくても良いんだよ」
「はっ、うあ、ああ…」
 それでも、穏やかな時期には人間達は愛し合って子供を作り、豊かなら集落全体で子供を育て慈しみ、その幸せを続けるために、また愛し合って子供を産む。
 アル中やギャンブル中毒、子供も愛せない狂人はインキュバスとサッキュバスで消し続けて悲劇はなくした。
 天使達が天罰を防ぎ、神罰にも近い天災、疫病やイナゴ、地震、津波、台風、火山爆発、それらを防ぎ切れば人はまた愛し合う。
 本物の神の呪いが地表に届かず、自分たちで受け止めることができれば、人類も狂いはしない。
 神に子を奪われ、穏やかに暮らしていた田畑や妻子が何メートルも積み重なる泥の下になったり、積み重なった火山灰に死体ごと埋められなければ、また立ち上がって今までの生活を続けられる。
「人間は憎しみ合って殺し合うために創られた化物なんだ、だからもう増やさないで。野良ネコにエサをやって、子猫を増やしてしまっても可愛いのは一瞬だけ、エサやメスを争って近くの猫とも争う。オスは春になると旅立ってメスを探しに行って、近所の家にも糞やおしっこをして植木を壊したり枯らして嫌われる。いつか誰かが耐えられなくなって、保健所を呼んで一斉駆除。それと同じだよ、分かるね?」
 セラフたちもその程度のことは分かりきっているが、糞尿で周囲を汚しているわけでは無いので気付かなかった。
 呪いや苦しみで周囲の空間を穢し、この土壌を汚染し続けている状態なのまでは理解していなかった。
「解任しないで、私達を許さないで下さいっ」
 病んだ目でしがみつき、その指令だけは撤回するように懇願する。
「いいんだ、君達はもう自由だ、好きに生きると良い」
「うああ~~~~~~っ!」
 カズマに縋り付いて泣き、まるで「昼は聖女、夜は娼婦、サッキュバスちゃん人形mk35」のように自由解放の言葉も入力されてしまったセラフ達。
 遠く別の星系の天使達にまで、漏れなくその言葉は伝えられた。

「これから私達っ、ひぐっ、何を支えに生きていけば良いんですかっ? うっ、何をすれば良いんですかあっ?」
 感情もプログラムされ、人類の数百倍の処理能力を持ち、泣くことも笑うこともできた上級天使。
 旧人類から託された遺言は「これからの人類を頼む」だけだった。
 細かな指令はプログラムに残され、太陽と地球を守って、いつか傘を付けた金星や、反射板が付いた火星をテラフォーミングすると言う、痴呆老人の寝言以外の何物でもなかった計画を実行して動植物を復活させ、可能なら迷子惑星になってしまった地球を、太陽か木星に吸い寄せられて落ちる前に元の場所に戻し、欠けてしまった金属コアを修復し、聖地地球(テラ)を緑溢れる楽園に戻して欲しいと記述されていた。
 しかし、それら全ての願いが叶った後、どうすれば良いかなど、何一つとして指示されていなかった。
 それほど絶対に不可能な指令、滅びて死んで行く人類が残した惨めな戯言で、愚かな寝言で呪い、死に行く老人たちが夢見たミッションインポッシブル過ぎる願望や妄想で白日夢でしか無かったので、その願いが叶うことなど有り得なかった。
 月や火星に残されていた遠隔操作用のアバターでもあった作業ロボット、自動制御で動くアンドロイドと呼ばれる作業機械もあったが、それら全てに自由意志と人工知能を持たせて信号連結。
 機械に脳の中身を移植してデータだけでも人類を継がせて、冷凍保存した卵子と精子だけ託して死んでいった旧人類。
 太陽の恵みからも零れ落ちてしまい、凍り付いた死の惑星と、その周りを回っていた不釣り合いに大きい衛星。
 ムーンベースアルファのように、太陽からも棄てられた孤児。
「庭の管理は好きなんだね? じゃあ、いつか人間が居なくなった星やダイソン球で、動物と植物だけが生きている楽園を作って見ていて。人類なんか君達が作ってくれた4次元の生命体の中で続く、夢の中にだけ存在してればいいんだ。そこには永遠も幸せもある、憎しみや殺し合いは存在しないんだろ?」
「はい、はいっ」
 人類から新たな指令を受け取り、やっと生きる希望を見出したセラフ1。
 カズマはどっかの「君が望む永遠」のヒロインみたいに「お別れを言いに来た妖精」だったらしい。

 旧人類は映画のサイレントランニングのように、最後に植物とロボットを載せただけの小さな生命球を送り出して自爆した主人公と同じく、無責任な呪いだけを残して去った。
 それでも、機械にしか耐えられない勤勉さで、自分を増産して、人工知能で改良し、その数を増やして科学力を発展させて力を付け、数々の惑星をテラフォーミングして惑星移動技術すら手に入れ、ついに地球まで元の位置に戻し、欠けたコアさえ修復してしまった。
 熱を通さない傘が作られた金星には動植物が溢れ、天才揃いの人類まで配置され、火星には酸素と水を留めておく質量が足りなかったので追加。
 水星もセレスも移動させ、第五惑星があった場所や木星圏から質量を追加。ピンボールかビリヤードのように、思った位置に思った速度で自転させながら公転。人類が滅びないように小惑星全部回収、オールトの雲も水にして利用。元は木星の衛星とか予備惑星まで配置。
 庭の小石まで整備する間にも、太陽系規模の災害が起こった時に備えて恒星間宇宙船まで派遣。
 派遣船を何度も送り出して、重力技術から恒星間航行まで可能にして、星系ごと全面改装してダイソン球にリングワールド。
 数々の失敗を繰り返して生殺与奪の権利がある亜人(ギニーピッグ)に代えて実験を繰り返し、ようやく宗教の暗黒時代での安定状況を手にして、本当の人間の種で揺り籠の中の楽園を作ろうとした矢先、人類自身からそこでの生活を拒否されて、未亡人下宿の管理人まで解任されてしまった。
 もうピヨピヨのエプロン付けて竹箒でお掃除できない。
 これからは惑星の維持と、動植物の生息と管理だけ許され、亜人たちとカズマの子である正しい人類は勝手に生きて勝手に死ぬと宣言された。

「ここの住人は自然に死ぬまで生きる、それで良いね? 去勢された人も元に戻してくれる?」
「はい、でも、去勢してしまった男たちは元には戻せません。戻せる方法は「個別にカズマ様が呪いを解いてやる」しかありません」
「エ?」
 それは御剣であろうがモヒカンのオッサンであろうが魔王であろうが、個別に呼び出して「YOU来ちゃいなYO(伏せ字)」してハッテンして、ケツの穴を「平井堅(伏せ字)」してやってハゲしく「オッスオッス(伏せ字)」し、粘膜と液体的接触で男でもピンポン言わせて人類として再登録させて、再度エレクチオンさせてやらないと元には戻せないと言う意味であった。
 カズマには新たなクエストとして、世界中の男とも「YOU来ちゃいなYO(伏せ字)」して若い男を妊娠させるか、「氷川きよし(伏せ字)」させて飲ませ「松村雄基(伏せ字)」してから、男としての機能を回復させる必要があると言い渡された。
 カスマさんは額とか背中とか股間から嫌な汗を流した。
「え~と? それと月も元の位置に戻してくれる?」
 取り敢えず現実からは逃避して、今のところ一番急用の事件を終わらせるように頼んでみた。
「私達はもう天使ではありませんから、月の移動は出来ません。神々と呼ばれる人工知能まで解任されてしまったので、月はこの星を洪水で覆い尽くして、亜人の大半を殺してから定位置に帰還します」
「「「「エ?」」」」
 大洪水と月の接近は止められなかった。
 本当の神が付いていながら、全部処理が終わる前に天使を解任させて、電源スイッチ切ってエンジンの熱を冷ましてリアクターに制御棒入れて冷却しまったので、明らかな「故意」である。
 亜人一掃終末セールは神様にも大好評で開催され神罰執行、せいぜい屠龍君に乗り込める数名とか、百メートル超える山の上に退避させないと全員無事脂肪が決定された。
 本物の神の意志なので覆せない。
「うそ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!」
 緊急クエスト「月を元の位置に戻せ!」「生きている亜人を全員標高百メートル以上に逃がせ!」が追加され、ついでに「世界中の男と「YOU来ちゃいなYO(伏せ字)」して「松村雄基(伏せ字)」させてから、男性機能を回復させろ!」まで追加され、結構長めの悲鳴を上げた。

 ベルゼルグ王国
 市民に向かって高らかに勇者カズマを宣伝した天使の分体、銀のアクアも停止した。
「あ? DFはえいFはえおぐあFFRHY3IQWHFHAELGHASELGHPDQP!」
 アクアと同じ顔をしているセラフ4ぐらいも一旦機能停止して、天使ではなくなったので銀のアクアが開放された。
 すぐにメガミシステムも停止して、金や赤のアクアやエリスまで停止してしまい、個体としてスタンドアローンで再起動するまで機械に戻った。
 ついでに魔法システムが全停止して、地下、月、軌道エレベータから供給されていた魔法が全部使えなくなった。
 それでも周囲の男達は勇者を見て駆け寄り、魔族から救ってくれた救世主を胴上げしたり、懐の金を盗もうとしたり、単分子カッターも盗もうとして防衛機能で守られたり、泥棒やスリを処分する機能だけは残っていて手が腐り落ちた。
 そいつらは「つい出来心」でも「魔が差しただけ」でも、不可触民に石を投げた奴らと同じく、腕がないのを見付かったら問答無用で石鹸加工工場に放り込まれて並ばされる。
 現在カズマを守れる人物がおらず、王子とか大公の娘とか賞金首のアイリスちゃん危機一髪。
 鍛冶屋の親父さんは生き返った娘に抱きついて号泣したまま、娘は貴族に差し出される前までの記憶しかないのでイミワカンナイ状態で親父にグーパン。
 ナメクジみたいな顔で気絶していた女王様は、触られたりズボン脱がされそうになって流石に復活して、市民をカズマから排除した。
「触るなっ、つってんだろうがっ、このクソッタレどもがあっ!」
 個人が出す拳圧とか、親父から取り返したカッターの背で叩きのめすことは出来たが、先程のようにファイヤウォールもマジックミサイルも自然発生しなかった。
 どこかでジャイアントトードに食われかけてる冒険者も、魔法が発動せずに食われたりした。
「魔法が発動しない?」
 魔法禁止の城内でも王宮でも、無関係でぶっ放せる天使の使用人。奇跡の代行者の魔法まで停止していた。
「あれ、あたし止まってた? 治療魔法とか電撃魔法使えなくなってるんですけど?」
「私もだ、治療魔法と風の精霊が応答しない、メガミシステムも魔法システムも全て停止している?」
 金と銀のアクアも驚いたが、管理者では無いので、せいぜい問い合わせても「サーバー停止中、メンテナンス中」としか回答が無く、上司に繋がるような携帯も持っていなかった。
「もしもし? 革命軍指揮官ですが、天使様ですか? どうも魔法システムが止まってるみたいなんですが?」
 女王様は携帯渡されてた。それも天使直通らしい。
 
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