エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?
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第04話 中帝国侵攻 ターン03,04
――海軍司令部の会議室――――
「軍令部総長の見解としては、中帝国への早期侵攻を勧めます」
中帝国は四億年の歴史を自負する日本の隣国。
長年に渡り小競り合いが続いていた。
「たしかに前回の満州会戦における
日本軍提督の裏切りにより勢力を盛り返しておりますが……」
軍令部がまとめたレポートを配りながら説明を行う。
「今まで中帝国は我が軍に対して常に劣勢でありました。
また幼き皇帝の専制により内部もガタガタです」
「中帝国を裏で支援している大国ガメリカとソビエトが、
いつ日本に牙をむくか分かりません」
「宇垣外務長官によるとガメリカからの外交圧力が日に日に強まっているようです」
「中帝国、ガメリカの両面作戦になれば戦略的には敗北と言えるでしょう」
「対ガメリカに備えて早期に中帝国の領土を抑える必要があります」
満州会戦で日本海軍が敗北して後は正規艦隊の再編で大忙しだった。
後方勤務の戸隠中将、大原中将に予備艦船を預け、
治安維持部隊に須田少将、金杉少将を配し兵站の構築を図る。
史実の日本軍のような兵站の軽視はしない。諜報にも抜かりはない。
その辺は精神論者の山下長官率いる陸軍とは相性が悪いが、
ガメリカ留学の経験もある東郷海軍長官とは意思疎通ができている。
また軍令部に所属する軍事研究所の所長、平賀津波(技術)中将および
医務局の長、戸塚文雄(軍医)中将という
軍令部における研究者の双璧と今後の開発プランについて意見交換を行った。
再編を終えた日本海軍は第三艦隊のみ惑星日本に残し、
東郷長官率いる五つの正規艦隊が満州を越えて急侵攻し惑星北京を無血占拠した。
翌月には続けて南京モンに侵攻し、損害を出しながらも占拠を果たした。
――――軍令部総長室――――
「各国マスコミは第三帝国の敗北を事前予想? バカじゃないの」
各参謀部がまとめた国際情勢のレポートに目を通す。
ドクツ第三帝国が世界征服を掲げ欧州で各国に宣戦布告。
第一目標であるポッポーランド共和国の先遣艦隊は一日で壊滅。
主力艦隊も含めて開戦から三日で完膚なきまでにポッポーランド軍を叩き潰した。
どうやらドクツ第三帝国の総統“天才”レーティア・アドルフの造った艦は、
世界の先端技術の二世代先をいっているらしい。
「ウチの参謀部にも勝利を偶然とか考えてるヤツがいるのか……」
思わず、ため息をつく。
いくら先の第一次宇宙大戦で敗れたとはいえ、ドクツの潜在能力を侮っている者が多すぎる。
「ドクツ海軍大学時代に出会ったロンメル先輩も今や24歳で元帥か。……凄いなぁ」
ドクツ海軍大学校に留学した僕は親独派の将校だ。
ドクツを去るとき惑星ベルリンの街で二人の女性を見かけた。
一人はアイドルとして磨かれる前の地味な少女レーティア・アドルフ。
一人はアイドルを磨こうとする敏腕プロデューサー“宣伝相”グレシア・ゲッペルス。
彼女たちは一年後に選挙に当選し政権の中枢を掌握する。
「ドクツから同盟の打診があるかもしれない。宇垣外務長官に相談しないと」
続いてのレポートに目を向ける。
最盛期に比べ衰えたとはいえ、軍事力、経済力、植民地数において
今もなお世界の中心たるに相応しい世界最大の帝国――エイリス。
第一次宇宙大戦以降は宇宙の『名誉あるバランサー』であることを標榜し、
友好関係にある国々、植民地の経済と安全の安定化に勤めてきた。
「当然ながら第三帝国の動きに対してロンドン宮殿の女王と騎士たちは黙ってはいない」
再び欧州大戦が勃発。その火の粉は間違いなく宇宙全体へと広がるだろう。
――――御所内、御前会議――――
先週、日本近海に惑星規模の大怪獣富嶽が出現し、
総旗艦の長門の艦上で帝による神風の儀式が行われた。
猫平内務長官はコミケで欠席、
宇垣外務長官はガメリカ外交で飛び回っている。
熱くなった山下陸軍長官が、
「今こそガメリカに対して宣戦布告をすべきです」と宣うが、
さすがに帝ちゃんと一緒に止めに入る。却下で。
参加者も少なく御前会議は早く終わった。
知らない間に柴神様が仲間になっていた。
東郷長官が神風の儀式に参加した際にお会いし誘ったらしい。
柴神様は正真正銘の日本帝国の現神様である。
海軍司令部に所属し提督として参加するとのことだが……。
――――中帝国の終焉――――
修理を終えた艦隊を再編し中帝国が占有する最後の星域ア・バオワ重慶に向う。
山本中将、南雲中将に代わって第三艦隊が侵攻に加わる。
第三艦隊は東郷海軍長官の指揮下では初の外征となった。
東郷艦隊、伏見艦隊、小澤艦隊、田中艦隊の四艦隊で星域を撃破。
陸軍がア・バオワ重慶を占拠し、幼少のシュウ皇帝は行方知れず中帝国との戦争は終わった。
現地の管理担当には船山暇太郎少将が着任することになった。
ア・バオワ重慶から日本に戻って来たら
さっそくガメリカ外務長官から中帝国の件で通達があった。
『日本帝国が武力支配した中帝国の領地を即刻ガメリカに明け渡すべし(以下略)』
さすがに山下陸軍長官のみならず宇垣外務長官もぶち切れです。
東郷海軍長官と私こと伏見軍令部総長も
ガメリカからの不当な要求に対して反対を表明。
帝ちゃんも考えた末に国家の主として決断を下す。
「いち国家として言うべき主張はきちんと言わなければなりません。
無理なことは無理とはっきり言いましょう。」
そして数日後、ガメリカに特使として渡った宇垣長官が帰国した。
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