KANON 終わらない悪夢
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101舞ちゃん月宮の里に逆侵攻の巻
翌朝
これから行く月宮の里は、くっっっっっっっっそ田舎である。
庄屋で地主である当主がいる本家が絶対の権力を持っていて、逆らうと水源を閉められて田畑が枯れ、村八分にされて祭りなど催し物全部ハブられ電気も道路も止められる。
とうほぐの無医村で、先代の医者も新しく来た医者も裸足で逃げ出した場所ぐらい、村長派だとか本家派だとか、役人と分家も入り混じって、相手の足を引っ張りあうゴミみたいな奴らが支配している場所。
駅から約三時間、昔の炭鉱とかあった頃の鉄道も廃線、丘の反対側でもう何もなくて、明治時代に妖狐に歯向かった一族の生き残りの分家が、どうにか昔の名残で繁栄を保っていた。
もう丘からは嫁も婿も来ないが、同族を一人も逃がさないと言う手段で。
その近く、憑宮の神域を守っている神社は、神職の一族が新興宗教を立ち上げ、本家を裏切ってはいないが、異様な繁栄を誇っていた。
当時の当主一族の資金を運用して、バブル時代とその後の地獄のような相場を渡り切り、どんな投資家でも火達磨になって死んだ鉄火場で、一度たりとも大損を出さず、土地を売って他人の資金でスキーリゾートやホテル施設を作らせ、神社までの傾斜地の原野を舗装整備させ、最盛期の20分の1の値段で倒産した会社の物件を買い戻した伝説の投資家がいた。
宗教法人である憑宮神社を隠れ蓑にして、法人税一切支払わず、本家の資産を神社に移して大相場を乗り切って、資産を数百倍にした魔女。
神域を売った売女と蔑まれた前々当主の愛人、チョロインさんの母親である。
普通、そんな人類は存在しないので、投資の知識や相場観とは違う、明らかに「予知能力系」の術者と思われる。
その能力を愛する当主のために捧げて使い切り、代替わりして放り出されて死にかけている女性が教団に保護されて、娘とその愛人の救いの手を待っている。
倉田家駐車場
「うふふふふ、ついに週末よ、色々あったけど、やっと大躍進集会なんだわ」
本日の主役、月宮真琴(祐一くんの初恋のお相手、沢渡真琴さんご本人)一行は根性で早朝5時に目を覚ました。
ケツの修復も終わっていたのか、腹の中に仕込んだ妖狐の子供という土産物もあり、任務達成もして三時間かけてバスで移動して、教団に向かう準備も整っていた。
里に魔物憑きになったのがバレて、もう少しで名誉殺人で始末されるところだった一同。もう月宮の里には一切近寄らずに、教団の方にだけ行く。
そちらなら妖狐の巫女で神人として迎えられ、現人神で天神で闇の王子様の祐一の嫁として、神の子を産む聖母となる。
何か宗教的にも高い位に付いて、正悟師だとかナンチャラヤーンとかインド的な宗教ネームまで貰って、お腹に宿った子が56億8千万年後に弥勒菩薩になる未来仏なんだとかホラッチョでマクドゥーガルして、アッチの世界で栄耀栄華を極められる、らしい。
「えへへへ、この私が妊娠? それも恋愛結婚だぞ? 30歳で死なない? 現人神で王子様が旦那様で主君がお腹の子の父親だぞ? ウヘヘヘ」
香里と同類の炎の化物になった娘も、倉田神社内だが結婚式までして貰い、自分が恋愛までして子供産んで、30歳ぐらいで心臓の鼓動回数が終了して死なずに生きられるので、何やらニヤついてお腹を押さえて「ハーー」とか「ふーー」とか言って、目つき悪くてデカくて170以上あって、怖そうな女がニヤニヤする、非常に面白くも怖い状態になっていた。
宗教に入れ込んでないその他2名は、母親と妹を助けて貰うのが処女の代金だったはずだが、快楽堕ちする前に命を二度救われ「王子様…(///)」と呼んで、目がハート型になって壊れてるのが1名。
魔物を入れられて快楽堕ちした後に、無限増殖して移動前なのに何体か教団にいたり、月宮の里でも親の敵を探し回って実行犯を殺していたり、自衛隊やら公安から宮内庁にまで浸透してサーチアンドデストロイしている化け物もいて、「ヤッパリ1回使い魔に憑かれた奴って、ナニしてでも殺しておくべきだよな?」という結論に至っていた。
当主自決と言う最悪の処分を下された里だが、まだ何をしてくるか分からない。
昨夜の兵員輸送用オンボロバスとは違う、現人神祐一様をお迎えに来たトイレ付き2階建てバスの運転手まで、教団の教えを問い詰めて信者だと確信して、さらに術まで掛けて聞き出して、術も武器も使えない一般信者なのも確認した。
本日は快獣栞と、何故かマコピーも秋子に呼ばれて、どこかにバイトに行く。
名雪以下女子陸上部は、予選会とやらで陸上競技場へ、サッカー部も学校で試合があるので1年も応援席で参加する。
草入りして陸上部にいた1年は、教団に帰って妖狐のお手付きになって居るのを報告して巫女になり、子供も妊娠したはずなので陸上の予選会欠席。
ただ… 3時間も着座出来ないほどケツアナが壊れ、破損が治っていないのが1名いた。
舞である。
「ひどいよっ、おねえちゃんのおしりがこわれるまでするなんてっ、ゆういちがおねえちゃんいじめる~~!」
もともと幼児化が酷い右手の人格が、さらに幼児化して、手をグーにしたまま弟をポカポカ叩いてくる姉、というか幼児。
「あれだけ大勢殺そうとしたくせに」
自分が滅びの巫女なのを自覚していながら天孫降臨の儀式をやって、下手すると北海道全滅か人類絶滅。死体が歩き回る世界にして、生者を闇に返そうとした怖い姉。
イザナミに選ばれたのは月宮あゆだったので地上全滅しなかったが、元は殺戮の天使として復活させる予定だったので、どの道碌でもないことにしかならない。
ヤンキーのお兄さんお姉さんも生贄にしようとして、巫女連中は生き残れたようだが、参列者の生死も不明、本来世界の終わりが確定してから神域に篭ってやる儀式を、現世でヤリやがったお姉ちゃんは、結構酷い目に合わせておかないと、事あるごとに人類を抹殺しようとする。
朝食の席でも、椅子の上に正座してケツに空間を作り、どうにか着座していた幼児の舞。
胃腸の中身が空っぽで腹は減っていたので、苦労しながらも飯を食った。
リムジンかバス移動でも、床に正座するか長椅子にうつ伏せにならないと移動できない。
「嫌だっ、アタシ行かないからね、引き篭もってポテチ食ってコーラ飲んで寝てる」
ヒキコモリニートの人格も出て来て駄々を捏ね、うまるちゃんみたいな一日を過ごすと言い出した。
昨日は美汐とマコピー入りの鎧武者を楽々切り捨てて、死ねない魔物に止めをさしてやった、案外優し所も有ったり無かったりする姉。
ネットが無い時代なので漫画でも読むか、主婦向けのテレビでも見るしか無い。
舞の家にはゲーム機すら無いので、自傷するかオナニーぐらいしか遊ぶ方法も無いが、現在ケツ*が裏返って脱肛してケツの割れ目の中におサルみたいにもう一個真っ赤なケツが出ているので股間をいじるとタヒぬ。
「まあまあ、珍しく皆んなで旅行ですから、舞も行きましょう」
嫁で夫の佐祐理に言われ、ケツの問題さえ解決すれば同行する舞。特に「敵地」に佐祐理だけ行かせるわけにはいかない。
『佐祐理、ちょっと来て』
「え?」
今度は胴体の人格「嫉妬」の魔物に連れられ、女子トイレに行く。
祐一には聞かせられない相談なので便所に行くが、また壁ドンされて『私の子供を産んで欲しいの』かと思った佐祐理。
ちょっと期待してドキドキした、かも知れない。
『どうしても行くと言うなら、鬼武者も連れて行きたい。できれば2体以上、佐祐理と祐一を掴んで逃げられる分だけでも』
舞が魔物の肉体を持つ鬼武者を操れば、呪いのATフィールドも張って、くっっっっっっっっそ田舎の月宮の里ごと掃滅できるのだが、敵の規模も分からず、教団の人物に悪意を持って囲まれて牢屋にでも入れられたり、洗脳されておかしな事になるのは目に見えているので、一人は中に搭乗して、もう一体を戦わせているうちに逃げ出す気の舞。他の娘は見捨てる気でいた。
「え…? そんな大事にしなくても?」
そこまで性善説なのは佐祐理だけで、実験体として切り刻まれたり、精子をパック詰めして持ち帰ろうとした奴らなので、少なくとも祐一を種牡として使用して監禁する。
舞も実験されたり、他の娘もお腹の子供まで引き摺り出されるような結果になる
『佐祐理は甘すぎるっ』
普通ならここでカチーンと来て、舞の判断と正反対の対応をして、どっかの赤毛の白雪姫みたいに毎回毎回何の学習もせずに捕まった所を王子様に助けてもらうところだが、佐祐理なので特に怒りもせず気にしなかった。金持ち喧嘩せず。
悪夢を見て予知夢だと思った舞は、悪の教団で実験されるぐらいなら、イカれた信者ごと鬼武者で叩き潰そうと思っていた。
ケツにお灸を据えられても、佐祐理と祐一の安全に比べれば、どうでも良かった。まあ、舞本体が搭乗すると、ケツが破壊されてしまうのは考慮に入れていなかったらしい。
「それに、アッチの皆さんも同行するみたいですし…」
新婚旅行が月宮の里方面と聞いて、その場で夜明かしした舞親衛隊、夜舞組以下、北海道統一総長やレディースも車で同行して、舞姐さんの警護を務めるつもりでいた。
誰が先頭切って走るか、特攻隊長同士でモメて決闘、殿は誰が務めるのかチーム同士でモメて抗争、週末で現場仕事も休みなので、結構なチーム数が参加して、大漁旗みたいなのを靡かせて参加する。
宗教の救いは、こいつらに必要かも知れないと、舞も佐祐理も思った。
「畏まりました、すぐに鬼武者が乗るトラックを2台ほど手配させます。わたくし共も頑丈な車でバスの後を付いてまいります」
結局、舞の要請を聞き入れた爺やさんがトレーラーを手配して、倉田製の鬼武者が2体以上配送される運びになった。
佐祐理の夫で嫁の発言なので、爺やにとっては上位からの命令でもあった。
それもお嬢様の体一つだけではなく、次期党首の一弥様までご懐妊中。親族でもあるメイドたちも孕まされたが、あくまで一弥様の予備の体で、魂まで持つご本人ではない。
爺やとしても昨夜の意趣返しに軍事侵攻、それも相手側は鎧武者のような兵器を操れる術者がいない状態で侵攻、自分や術者をかき集めて随伴の歩兵とする。
舞の別人格は魔物の体を操るエキスパートで、フレッシュゴーレムにまで精通しているのは昨夜見た。
伝承にある呪いの障壁を持っている伝説級の化け物。もし自分が後れを取ってお嬢様を守れなくとも、この娘が命を懸けて守ってくれる。
もう舞を忌み子と侮る事もなく、倉田の正式な戦力で、お嬢様を守る戦士として認めている爺やさんだった。
本日「メリケンサックの栞さん」で、佐祐理お嬢様にも懐いていて、一弥様とも友達で、将来は一弥様付きメイド予定の人物が欠席するのは痛かったが、月宮の術者まで魔物が入ってお嬢様の従者となっていたので、勝手を知る現地でも大丈夫であろうと思っていた。
この災厄のど真ん中で、同盟者をたばかる馬鹿はいないと信じた。
バタバタと朝の支度を済ませ、軽い朝食も済ませるかバスに持ち込んだ一同。
佐祐理も「舞ちゃん、バスで佐祐理と新婚旅行の巻」を撮影しながら「祐一さんも一緒で、お腹の中に一弥もいますよ」のミステリーツアーが開始された。
「え~、本日は月宮観光をご利用頂き、誠に有難~うござい~ます。他のバスは、途中で信者さんを回収して回りますが、このバスは相沢祐一様ご一行専用、月宮神社総本山への直通便となって~おります」
ザコちゃん@添乗員でバスガイドVerの案内も入り、観光案内もされた。トイレ付きバスでないと、高速道路とは名ばかり、インターチェンジも無ければ休憩所も道の駅も無い地上路面。
便意を催せば、どっかで止めて茂みの奥で用を足さないとイケナイ。
うら若き乙女たち、それも教主様の娘で猊下の姪、倉田のお嬢様にそんなことはさせられないので、トイレ付き2階建てバスが派遣されて、他の信者たちのように乗合なのに交通費3800円を徴収されて、駅とか公共施設がある場所で待ち合わせて、人を拾いながら走ったりせずに直通する。
「パラリラパラリラ、ボーボーボボッボボオーー!」
まず先頭を、各チームの特攻隊長のバイクが順番を交代しながら走り、地雷とか自動車爆弾が無いか、度胸と根性がある連中が先陣を務める。
武装は素手とか金属バット程度だが、窮地に陥ればご自慢の車もバイクも凶器に変貌する。
全員命がいらない勇者なのは間違いなく、イモ引いてまで生きようとは思っていない特攻隊長と隊員が、バイクの上で踊りながら先行。
続いて夜舞組他親衛隊にレディース総長のチームの車。鬼武者を乗せたトレーラー2台とトラックが1台バスの前後。
結局最大戦力の5体を載せて、舞の別人格は既に憑依済み。なぜかというと、舞本体にいるとケツが腫れあがって痛かったからである。
爺やさんはバスの車内でも警護、倉田家歩兵部隊はハンビーみたいなハマーだとかトヨタの自衛隊納入車、半分装甲車に乗って追跡、他はヤンキーだが結構な数が随伴している。
敵は瞳孔開いちゃってる教信者で、もし戦闘になったりすると、カラシニコフで武装して、手りゅう弾とか毒ガスまで持ってるような、月宮の里よりヤバい兵隊が一杯。
北朝鮮とか中国軍ぐらいの、戦闘薬という名の麻薬飲んで、3日3晩寝ないで戦えて、食事すら不要、宗教的殉職が天国への道だと信じてる怖すぎる人たちが相手。
案外やくざ者とかは、戦争の実戦では腰抜かして逃げる役立たずが多く、普段大人しい美汐みたいなのが一番怖いらしい。
まあ相手側も普段は平和主義で「神と和解せよ」とか「あなたが前に神と言葉を交わしたのを何時でしたか?」なんて張り紙を貼って回る平和主義者なので、余程の事が無ければ戦いにはならない。
それも舞がご神体の石像とか観音像を鬼武者でぶっ壊したり、ヤンキーどもがスプレーアートを書いてションベン引っ掛けてしまったり、トレーラーが「つい」巨大弥勒坐像を破壊したりしなければ… の話である。
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