IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第605話】
前書き
授業っす
全校集会が終わり現在授業中――備え付けられた投影ディスプレイが展開されての授業だが、前と違ってやりにくい。
ウィンドウの右下にある【新しいお知らせ】、それを指先で触れると『新しいルームが出来ました』と表示されていた。
目線の前にあるディスプレイの下に新たなディスプレイが現れ、其処に指を触れると下半分がメッセージウィンドウに切り替わり、上半分にはデフォルメされたアバター達が一室でおしゃべりしている風景が映し出される。
下のメッセージウィンドウにはチャット部屋、或いはスカイプの様にメッセージが更新されていく。
〉えみりん:さっきの笑顔大会、ちょっと面白かった♪ ヒルトくんをメロメロに出来たかも!
〉ソフィー:そうかなぁ? でもヒルトさん、あんな台詞吐くなんて……。 ちょっとドキッてしちゃいましたよぉ。
〉えみりん:むむ? ヒルトくんはえみりんの彼氏候補だからね? ソフィーに負けないもん。
〉ソフィー:ま、負けないとか言われても……。 それにヒルトさん、私みたいな目立たない子、気にかけないよぉ……席は隣だけど。
……どうやら隣のソフィーとえみりんって子のルームらしい……てか授業ツールに何て機能入れてるんだか。
ルームを閉じ、手元の投影キーボードを叩く――色々進んでるらしく、一枚のディスプレイはまるでノートのように使える。
授業内容見落とさない様にか大型ディスプレイに映し出された文字を指でなぞって範囲をしていすれば其処をコピーし、ペーストの様にノート替わりのディスプレイの画面に貼り付けれる。
機械に強い簪は既に使い方を熟知したのか、凄まじい速さで範囲指定、コピペで貼り付けと遣りながらキーボードを叩いて文字入力している。
しかも既に自分そっくりのアバターまで作っている――出席簿ウィンドウに載っているアバターが完全に簪だった。
因みに他には動物型アバターや宇宙人、野菜等のアバターもある。
自作するのが面倒な子は動物アバターを使ってるらしく、ちらほらと見えていた。
「じゃあ、この問題がわかる方は画面の挙手マークに触れて――はい、簪さん。 答えはウィンドウに書いて送信してくださいねー」
山田先生がそう告げ、キーボードを叩き答えを送信するとそれが大型ディスプレイに反映され、リンクしてあるディスプレイにもその答えが反映――正解と出る。
おぉっと生徒から漏れ出る歓声に、簪は僅かに顔を赤くさせた。
因みに一夏は使い方に四苦八苦している――山田先生も使い方に慣れてないからか説明も出来ない状態だった。
まあ慣れるしかないだろう――また再度ルームを開くと参加人数が増えていた、ルームの存在に気付いた子なのだろう。
〉みはるん:わあっ、何か秘密の会話が出来そうだねっ!
〉ティナ:そうね、ルーム主が部屋を作ってゲストを招く事も出来るっぽいし。
〉鈴鈴:ふーん、てかティナって詳しいじゃん。
〉ティナ:そんなに詳しくはないわよ? まあでも、チャットは経験あるし、部屋も作った事あるから。
〉セシリー:そうなのですか? ……というか、何だか文字で会話だ何て、慣れませんわね。
〉フューチャー:メールみたいなものだよ。 メールをリアルタイムでやるって思えば大丈夫。
〉ソフィー:そうですよ! というか、皆さんとこうして話せるの、嬉しいです!
〉のほほん:ほわぁ、そふぃそふぃ、嬉しいこと言ってくれるねぇー。
〉りおりん:てかさ、これってヒルトに見られたりしないのか?
〉シャル:うーん、ここから見る限りじゃ、気付いてない気がするけど……。
〉ティナ:でもログ記録は残りそうよね。
……授業中だが、コミュニケーションツールとしても悪くなさそうだ。
授業は続くが、ルーム内会話も続いていた、しかも新たにルームが出来ていてそちらのルームも開いてみる。
〉かなりん:でも選抜視察はいいなぁ。
〉りこっちょ:うんうん、先にいち早く京都だもんねー。
〉バーミヤン:でも、前の臨海学校の時は真耶っちだけだったのに何で今回は専用機持ち全員なんだろ?
〉千冬様の僕:さあ? 千冬様も行くらしいからもしかしたら向こうで専用機持ち皆を紹介するような偉い人が……。
〉ラブリー・ミキルン☆:ないない! てか最近委員会の人来たばっかじゃん!
>サマーデビル:うんうん、てかあの委員会のおじさん連中、目がいやらしかったのが……。
>ナイトバンブー:そうですね……。
……何か色々とツッコミたくなるネームの子が増えてる気がする。
軽く横目で教室全体を見ると、パッと見は授業をちゃんと受けてるが――いや、十代女子ならこんなものだろう。
「じゃあ次、この問題がわかる人!」
ディスプレイに挙手マークが現れる――ルーム内会話も一瞬途切れ、生徒が一斉に挙手マークに触れた。
「じゃあ鷹月さん、解答をお願いしますねー」
「はい」
目線のディスプレイに解答を書き込み送信――さっきと同様に正解が出た。
「正解です! そうですね、ここの方程式を当てはめて――」
山田先生の解説、だが既に無数に存在するルーム内会話が再開されていて聞いてない気がした。
いや、聞いてないんじゃなく、もう理解をしてるのだろう――各国から集められた優秀な生徒ばかりだからだろう。
>ふみ@:そういや織斑くん、運動会の記憶がないらしいね。
>( ・ω・):そうなの?
>レイラ:何でも操縦者保護機能の弊害らしいけど……。
>( ・ω・):ふーん。 でもちょっとがっかり、落ちこぼれって言われてたヒルトくんに負けちゃってるし。
>さよちん:そうだよねー、調子悪かったのかな?
>レイラ:でも明らかにヒルトの方が疲弊してなかった? 対照的に一夏、顔色良かったじゃん。
>( ・ω・):だよねー。 やっぱ勝てなかったのって実力?
>ふみ@:かもしれないねー。
一夏の会話で盛り上がるルームもあれば――。
>ヒルトは我が嫁:ふむ、アメリカのレーションはそんなに不味いのか?
>翠玉:改善されてはいるのだが、あまり美味しくないのだ。 レーションはフランスや日本、ドイツの物が美味しいと聞くが……。
>ヒルトは我が嫁:うむ、特にドイツのレーションは世界一だ、機会があれば翠玉にも食べさせてやろう。
>翠玉:ありがたい。 ……ところで、そのネームは何だ?
……このルーム、明らかにラウラとエレンの二人だろう。
何故レーションの会話なのかはわからないが。
そうこうしてる合間に授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
……普段皆が何の話をしてるかの一端を見た気がしてちょっとモヤモヤしてしまった。
後書き
授業じゃなかったっす
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