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KANON 終わらない悪夢

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45穢された仄かな恋、快楽堕ちのヤンキー女


 最終兵器栞さんは、引退した舞の跡を継いで、何故か北海道を統括する総長の二代目を襲名した。
 本来血で血を洗う抗争が勃発して、道内を大混乱に陥らせる騒動に発展するはずが、現在の被害は、前レディース総長と校長先生が病院送りになった程度で、両方共美汐の仕業。
 舞お姉さまから栞ちゃんにはロザリオ贈呈ならぬ、特攻服贈呈が行われて、権力の禅譲がつつがなく行われた。

 秋子の家。
 佐祐理お嬢様を送り出した一団の中にセバスチャンの姿は無く、秋子と直接話し合いをするために残っていた。
 現在秋子の家にいるのは、秋子、あゆの霊、メイド、セバスチャン、座古2号の五人だけになった。
「さて、お嬢様方も送り出しましたし、片付けでも洗濯でも何でもお申し付け下さい。私も若返らせて頂きましたので、バリバリ働けますよ」
 四十肩が痛いような気もしたが、以前のように腰、膝、足首、股関節、肩、肘にまで及ぶ苦痛や、手足の神経障害からも開放されて元気なのを公表した。
『では、一番お困りの話しからしましょう、カメラの向こうの皆さんもお待ちのようですし』
 子供達がいなくなって、当事者のあゆが残り、妖狐の一族の各家でも秋子の言葉を待っていた。
「すべてお見通しでしたか、それではお茶などご用意しますので、お掛けになって下さい」
 メイドに続いて座古2号もメイド姿になって台所に行き、紅茶の入れ方を学習した。安物のティーバックしか見たことが無かった女も、ティーポットにグラム数千円する茶葉を入れて、メイドが持参した高級茶菓子を出すのを手伝った。

『ではまず現状からお話ししましょう、先日、私を狙って事故を起こそうとした報復に、各銀行や証券会社から準備金とか引当金が全額消えたはずです。返して欲しければ実行犯と責任者、判子を押して決済した全員の首を並べて下さい。これは前提条件です、できなければ銀行が全部倒産する楽しい事態になります』
 買い物中の主婦に、燃料を満載したタンクローリーが突っ込み、衝突爆発する瞬間を狙って、駐屯地へ移動している装甲車の150ミリ滑空砲から、対戦車HEAT弾が発射され、建物の屋上からどこかの炎龍を倒すのに使われたような対戦車ロケットも四方向から同時に打ち込まれる不祥事が起こるはずだったが、タンクローリーは故障してその場で搭乗者ごと炎上、装甲車は不発、駐屯地に帰ってから砲身が爆発してバナナの皮が広がったような形状になり、対戦車ロケットもすべて不発、持ち帰った所で爆発して負傷者と死者を出していたが、師団長が自殺させられたり、幹部数名がエクストリーム自殺するだけで、表沙汰にはなっていなかった。
「はい、それは私どもでも調べているのですが、尻尾切りが激しくて追い付いておりません、どうかご容赦を」
 セバスチャンが頭を下げている間に、座古も口を挟んだ。
「あ、私も自衛隊とか公安に浸透して調べてますから少し待って下さい、脳に直接入り込めますから関係者全員いけます、嘘とか吐いても無駄です」
『え?』
 観葉植物になった女で、昨日までは戦力外だったザコが、案外使えるようになっていたので秋子も驚いた。
 もう心の声を読もうとしても読めず、何を目的にしているのかも不明だったが、旦那様(天使の人形)に忠誠を尽くしているようなので、敵ではないようだが、今の所味方でもなかった。

『私に向けた悪意や災厄はその程度ですが、天使の人形君が起こしている災厄はその程度では済みません。あゆちゃん、何か知っていますか?』
「え? ボクは何が起こってるのか知らないんです…… 祐一クン、天使の人形クンに三つお願いをして、最後のお願いで栞ちゃんを助けて、それで終わりのはずだったんです。もう終わりにして、あの世に連れて行ってもらおうとしたんですけど、最初のお願い「ボクの事を忘れないで」ってお願いが叶わなかったから取り消してもいいって言われて、もう一度祐一クンに会いに来たんです」
 本来死んでいるはずのあゆを維持し、今日まで持たせてきた天使の人形。屍累々、屍山血河を作って生かされていたが、その惨状を知らない、知ろうとしなかったあゆ。
『そうですか、じゃあ昨日、貴方はどこから出て来ましたか?』
「気が付いた時には真琴ちゃんに乗ってて、神社の境内に」
 天使の人形のアジトは、倉田家が管理する稲荷神社の奥、天之岩戸の向こうにあり、人間が立ち入れる場所では無かった。
『貴方の本当の体もそこにあるんですね? 後で調べに行っても良いですか?』
 子供に語りかけるように、優しく穏やかに話しかける秋子。
 あゆも「首を並べる」の意味が、本物の首や死体を並べるのだとは思わなかったので、秋子に対しては恐怖は感じていなかった。
「はい、よく分からないけど、もう運びだしたから天使の人形クンも「いい」って言ってます」
 あゆは目を上に向け、天使の人形と会話するように了解を得る。この会話もすべて筒抜けなのも分かったが、完全な操り人形ではなく、自由意志を持って動いているのも確認された。
 もう殺戮の堕天使になる体は完成しているのか、どこかに移動させて隠されているようで。後は誰かが犠牲になって破滅し、あゆの心臓を動かすだけで勝手に人の命が奪われて行くらしい。
『天使の人形君は何か言ってましたか? これからどんな世界になるとか』
「はい、もう誰も木から落ちたり、病気で死なない世界になる、って言ってました」
 まるでそれが幸せな世界だと思っている少女だが、一旦弱い人間全員が殺されて、純血の妖狐の血を引いた者だけが生かされる世界に書き換えられるとは思っていなかった。

 生徒指導室1 校長退場後。
「川澄さん、貴方と相沢くんが姉弟って言うのは本当なの? だったら交際も結婚もだめなのよ、ましてや妊娠なんて…」
 舞を心配する保健医からも、まともな意見が出されたが、いつも通り舞の答えは異常だった。
『私は仮のイザナミ、天孫降臨の儀式に名雪は選ばれなかった。もし名雪が祐一の妹の座を選んで兄妹で結ばれていれば、人間の数が減ったとしても、この世は続いたかもしれない。でも、そうは成らなかった。選ばれたのは姉である私、滅びの巫女が選ばれて反剋の世が訪れる』
 その意味を理解できる立場にいた保健医は、顔面蒼白になり、目眩を起こして突っ伏したが、意味がわからない一般人の教師はまだ舞を責めた。
「何を言っとるんだ君は? また訳の分からない事を言いおって、ふざけるんじゃないっ」
『私は人の世の汚い部分だけ見せられて育った。血の繋がった祖父は、私が母のお腹の中にいる時に復讐者に引き裂かれて殺された。その悲鳴と憎しみの声が私を動かす。母は化け物と契った女と呼ばれて場末の酒場ですら雇ってもらえず、妖狐の一族の家で禁忌を破って妖狐を追い返した女として、小間使い程度として生かされて来た。私は忌み子と呼ばれ、災厄を呼んだ証の娘として虐げられ続けた』
 舞の呪詛は、その場の空気をも穢し、一般人の教師の呼吸すら困難にさせた。
「うっ、げほっ、ごほっ」
「どうしたの舞っ?、やめてっ」
 親友が吐く余りの呪いに、佐祐理も席を立って止めようとした。
『いいの、喋らせて、佐祐理』
 祐一や佐祐理には影響が出ていないので、教師が苦しもうがどうしようが、気にせず続ける。
『それからも「母親を生き返らせた超能力少女」なんてのもあった。テレビにも引っ張り出されて、どこの誰かも知らない病人を「直す」作業。その時から私は、魔物、化け物、悪魔、怪物、鬼と呼ばれて、心は千々に切り裂かれて、昨日まで別々に暮らして、戦って傷つけ合って来た、でもそれも終わり』
 秋子の家では、誰かに聞かせたい時以外は盗聴も難しいが、学校内なら誰にでも、どの勢力にも筒抜けなので、舞の言葉は監視者を驚かせた。
『これから祐一は選ばないといけない、私を殺してでも人間を生かすか、選ばれた巫女の中からも人間の種を消して妖狐だけを選んで、天孫降臨の世代まで戻して、不死の神人の子だけが生まれて来るようにするのかを』
 そして舞も、半年後の自分が見えないのを知っているので、この結末は自分が始末されて、どうにかして人類が生き残ろうとしたのも予想していた。
 魔物で化け物で悪魔で怪物で鬼である自分と、荒ぶる神である祐一の子は、名雪に託して隠したのは誰にも告げなかった。
『舞… 知ってるのね? 貴方がどうなるか、自分がこれからどうなるのかも知ってるのねっ?』
 佐祐理も、自分の親友が何者かによって殺されるのか、最愛の人物によって命を絶たれるのかを予測して、こう言ってるのだと気付いた。
 自分はすでに一弥をお腹に宿し、舞と運命を共に出来ないのにも気付き、そんな運命を呪った。
『さあ、それが嫌なら私を殺せばいい… できる物なら、ね?』
 屋外の誰に向って言っているのか、愛用の刀が入った鞄を手繰り寄せ、泣きながら笑う舞。
 学校に来てからずっと、スナイピングポイントから標的として狙われているのは、月宮一行でも祐一でもなく、舞だった。
『もうすぐこの宇宙は裂け始める、遠ざかる星も光の速さは超えられない。星はそこで立ち止まるのか、逆に戻ってくる青い世界が始まるのか、私には決められない。重ね合わせの未来から、選ぶこともできない。でも祐一が、天使の人形が私を選べば宇宙の定数は-1.0じゃなくなる、何もかもがバラバラに千切れて裂けて行く、あはっ、はっ、あははははははっ!』
 瞼を抑え、涙を拭いながら笑い続ける舞。その凄惨な結末を知っているのか、どんな喜劇が巻き起こるのか知っているのか、その涙と笑いは止まらなかった。
『どうしたの? 佐祐理には舞が何を言ってるのか分からない、理解できないわ』
 悪魔の娘、リリスが選ばれると、重なりあった未来から最悪の事態が選び出され、現行の宇宙は裂けて未来は無くなり、青方偏移で過去に巻き戻る世界だけが残る。そんな物に追従できるのは、反剋の存在である純血の妖狐だけで、時間を片方に向かって落下して行くことしか出来ない人類には生きていく道が無い。
 選ばれた巫女であっても、人間として生まれ、時間を移動する事も、この世の物理法則を捻じ曲げる事もできない只人には、時間が巻き戻る世界では呼吸すら出来ない。箱舟の中を除いては。

「何てこった……」
 監視者の中にも舞の言葉を理解できた者は少なかったが、何故か用務員にだけは舞の中に見えた地獄が伝わった。
 昨日、ゆうくんが目の前に居ると知った美汐より派手にお盆を落とし、取り乱してその場に座り込んで視線を巡らせると、一人だけその状況を変えられる人物が目に入った。
「おねげえしやす、旦那。このハチ公、何度もポンポン頭を下げる男じゃねえのは知っての通りだ。だけど一つだけ、たった一つだけ願いを聞いてやっちゃあくれやせんか? あっしはこの通り、決してお天道さまに顔向けできるような奴じゃねえのは分かっておりやす。でも、こんな奴にも可愛い孫がいるんでさあ、家族みんなとは言わねえ、もう死に時のあっしやカカア、娘の命もいらねえ、今すぐにでも差し上げやす。ですから孫娘だけでも嫁に、いやぁもう端女でも何でも構いやしねえ、孫娘も「天之岩戸」の向こう側に連れて行ってやっておくんなせえっ」
「そんな、手を上げて下さい」
 昨日から、やたら土下座だの、一生のお願いだのを受け取らされる祐一だったが、見知らぬ老人の、それも漢の泣き売、命の押し売りを受けるのには躊躇した。
「何でしたら、今すぐ孫を連れてきやす、顔だけでも見てやっておくんなせえ、あっしに似ず、結構器量良しなんでさあ、どうかっ」
 この手口と、コンパクトに纏まった綺麗な土下座を見て、その孫娘に思い当たった祐一。それは一時間目の休み時間、見せられたばかりだった。
「あ、何となく誰だか分かったような気が…」
「そいつは話が早え、すぐ連れてきますんで待っててくだせえっ」
「ああっ、待ってくださ~~い」
 祐一の言葉なんか聞いちゃあいねえ用務員のおじさんは、Bダッシュで校内を駆けて行った。
 この後は未来予知しなくても、授業中だか自習中の隣のクラスにおじさんが駆け込み、「ちょっと来やがれ、今すぐだっ、馬鹿野郎っ!」などと騒ぎを起こし、孫娘の方も「クソジジイッ、学校では他人だって言いやがったのはテメエだろうがっ、とっとと出て行けっ!」となって、軽~く拳で語り合って、胃袋の辺りに一発イイのを貰った孫の方が、首根っこを掴まれて生徒指導室方面に連行されていくのが目に見えてしまった祐一クンだった。

「あの、川澄さん…… 今の話は本当なの?」
 ダメージから立ち直った保健医が、震えながら舞に語りかけたが、その表情は化粧も落ち、生徒よりもひどい泣き顔になっていた。
『ええ、先生にも見えるでしょ? このイザナミの印が…』
 まだ泣きながら笑っている舞が、自分の近くにある矢印のような、「!」マークのような、自分に付けられた刻印を指差した。
『これで私はこの世界から守られる。皮肉でしょ? さんざんこの世界から嫌われた私が、次世代の人類の母に選ばれるなんて… ふふっ、先生はどうやって私を殺すの? もう私には刃物も銃弾も通じない、今朝の爆弾も通じない、どうするんですか?』
 朝の蓮コラ爆弾の存在も知っていた舞だが、もうその程度では仮のイザナミを消すこともできない。
 秋子のように吹き飛ばそうとすると、その報いを受けて別の何か、株価や債券が吹き飛ぶ。妖狐の各家も「忌み子」を消す手段を無くした。
『サデケスマハテ……(以下略)』
 一般人達の記憶を消し、命を守ってやった美汐だが、その配慮も虚しく、翌日には公安や中国人の別人に背乗りされて、別人が術を使って教師面をして教鞭を振るうようになった。

 生徒指導室2
「もういいですか? 早くしないと外の人達が待ちかねて襲いかかってきますよ、警察の人も帰っちゃいましたし、誰も助けてくれません」
 窓際に立った栞が、窓を開けて外にいる連中に合図を送ろうとしていた。これが親指を下に向ける処刑宣告や、特攻服を窓から投げ捨てるような行為なら、この学校は地獄になり、舞もそれを止めようとはしない。
 地獄の始まりを見て、佐祐理と祐一と名雪だけを守って、他はどうなろうと放置する。もちろん教師達がバスケットのゴールにダンクを決められ、首から懸垂していても眉一つ動かさない。
「「「「「…………」」」」」
 教頭達は無言で答えた。
「服装違反なのでこれは学校の中では着ません。でもこの制服を着ている生徒、わざわざ買って着ている子も私が守ります。逆にこれを着て恐喝する子は締めてあげます、いいですね?」
「分かった」
 教頭の絞りだすような声に答え、栞は腕を上げ、ガッツポーズのような姿勢を取った。
 外からは歓声が上がり、この学校も舞と栞陣営に無血革命?で制覇された。
「隣の指導室、校長先生は入院するみたいですから、教頭先生が校長やって下さい。私の窓口は教頭先生と保健の先生ぐらい、そこの体育の先生みたいな人非人とは話をしません」
 病弱な栞に失礼な態度を取った脳まで筋肉の教師は、後日外の連中に襲撃され、自分から退職して教員免許も返納、二度と教育や学校には関わらず、工事現場で残りの人生を過ごした。
「じゃあ、これで失礼します」
 栞は校則違反の上着をたたんで持ち、隣の指導室に向かった。

 生徒指導室1
 栞に続いて、青い顔をした教頭が続き、話し合いが終わった。
 部屋の隅で震えている校長はどこかに搬送され入院、栞や舞に逆らった者は同じ道を歩む。保健医は泣いていて話にならず、残りも記憶を封じられて倒れている。その状況で用務員が帰って来た。
「旦那、連れて来やした、こいつです、是非見てやっておくんなせえ」
「あ、相沢、またテメエの仕業か…」
 ボディー攻撃で嘔吐寸前のヤンキー女が、青息吐息で喋ったが、すぐに用務員のオジさんにブン殴られた。
「馬鹿野郎、こちらの旦那を誰だと思ってやがるんだ? 妖狐の血族っていやあ、てめえの親父でも裸足で逃げ出す程のお方だ。この世に降りてこられた神様の末裔、純血の妖狐様はな、この国の総理大臣より偉いんだ、てめえも頭を下げろっ」
 熟練の動作で足を払われ、その場で頭を抑え付けられて、再び三度土下座体制をさせられる気の毒な女。
「旦那、どうですかい? 少々跳ねっ返りですが、体だけは丈夫ですから、言うこと聞かねえ時はぶん殴って下せえ、すぐに大人しくなりやすから」
 その言葉で、佐祐理のほうが早く反応した。結構可愛い子で、反抗的な態度を取っているが「ぶん殴ってやればすぐに大人しくなる」と聞いて、嗜虐心に火が着いた。
『まあ、可愛い子ですね、佐祐理、気が強いのに力押しに弱い子に目が無いんです、どうですか? これから佐祐理の妹になってくれませんか?』
 親友で夫の危機的状況なのに悪い癖が出て、目の前のヤンキー女に「お仕置き」とか「調教」をして自分に屈服させ、金髪ヤンキーのクソ女を、自分好みの可愛らしい少女に変えてやろうと思っているお姉ちゃん。
「お嬢さん? 何を言ってらっしゃるんで? こいつは旦那に差し出して…」
 そこで任侠の世界と同じで、このメンバーのヒエラルキーを一瞬で読み取り、佐祐理>舞>天野の娘>>>>>メリケンサックの栞>その最下位の発言力しか無いのが祐一で、佐祐理お嬢様の妹にさえなれば、自動的に「俺の家に行って妹をファックしてよし」になるのに気付き、純血の妖狐に嫁入りさせる最短ルートにも気付いたおじさんだった。
「は、そいつはありがてえ、お嬢さんの妹やらになれたら、即旦那の女にもなる」
 その辺りの嗅覚の素晴らしさで業界を生き残って、任侠の世界を円満退職、引退から再就職、カタギの世界に降りて孫までいる生活をしている男の姿があった。
『今日から貴方は佐祐理の妹です、もっと貴女本来の、可愛らしくて素敵な女の子にしてあげますね?』
「は、はい……」
 ボディー攻撃などでヘロヘロ、頭もぶん殴られてピヨっていた女は、佐祐理のアルター攻撃から逃れる術もなく、簡単に籠絡(オーダー)された。
 掲示板に詳細を貼り出す前に、早速「お持ち帰り~」の被害者を出して、舞との間に座らせて、両側から弄くり回す二人。まず髪の毛を整えて、髪留めでポニーテールにしたりツインテールにしたりして、似合う髪型を探して行く。
「エヘ、エヘヘ」
 もちろんヤンキー女の中の変なスイッチは、全部「オン」に切り替えられていて、激しいお仕置きから言葉攻め、首輪を付けてリードで引っ張りながらの「お散歩」でもなんでもオッケーな体に改変されて、犬の喜びを全身で感じていた。
『おじさん、この子は頂いていきますね、もう天の岩戸の向こうでも、どこにでも連れて行ってあげます』
「はっ、本当ですかいっ? ありがてえ、ありがてえ……」
 人類が滅ぶほどの災厄が起きても、孫だけは佐祐理お嬢様に預けて生き長らえさせてやれる、用務員のおじさんは安堵の涙を流した。
 ただし、連れて行かれるのは岩戸の向こうではなく、電マやクリキャップによる責めに続く、天国とも地獄とも言えない場所で、舞と同じように着せ替え人形にして、ヒラヒラの服を着せたり、チビTにデニムのホットパンツ、ニーソックスまで履かせて鼻血ブー、目の前の引き締まって脂肪分が少な過ぎる少女を、今すぐハイエースして自宅に連れ込みたい佐祐理だった。
『貴方の名前は? これから私達の妹になるのに名無しじゃおかしいでしょ?』
「あ、ハイ…… 遊ぶと書いて游子デス」
 新しいオモチャを見付けた舞も、ご機嫌が良くなって泣き止んでいた。その新しい玩具は超が付くほどの貧乳で、明らかに女になるのを拒否してきた少女の胸を弄って楽しんでいた。
『本当の貴女は寂しがり屋の女の子、こうやって抱きしめてあげないと、心が寂しくて壊れてしまうの。だから私達が抱いていてあげる、貴女の寂しくて悲しい心は私が盗んであげる。貴女も心を開いて私を受け止めて。さあ、これから私の精霊を貸してあげる、貴女にはどの精霊がお似合いかしら?』
 ヤンキー憧れの星、舞姐さんに右側から低音で囁かれ、祖父の目の前で堕ちてメスの顔をする少女。左からは上流階級のお嬢様から頬にキスされ、胸や腰を撫で回されて、卒倒寸前になっていた。
「お姉さま、私を放っておいてナニしてるんですか? ここ、生徒指導室ですよ?」
 栞の指摘通り、まだ正気を保っている見物人がいる前でレズ行為を開始している三人。保健医は関係者らしいので、いつでも口封じが可能で、美汐の術で一般教師は倒れていたが、青い顔の教頭がさらに顔色を無くして、超問題児達の行為を見守っていた。
『あら、教頭先生、お恥ずかしい所をお見せしました、そちらの話はもう良いんですか?』
「え? ああ、話し合いは終わった」
 暴力に屈したと言うか、栞の軍門に下ったと言うか、この学校を火の海にしないように裏取引が成立し、栞、舞、佐祐理、祐一の問題行為は不問とされた。
「じゃあ私は表で待ってる人を解散させてきます、それまで変なことしないで下さいよ」
 もうペロペロされ始めているヤンキー女とお姉さま方を置いて、外の暴力集団を解散させに行く栞。
 その際、「俺は舞姐さん以外認めねえっ!」という抵抗もあったが、肉体言語やマッスルボディで会話して叩きのめし「ほ、惚れた…」と言わせて、納得しなかったマゾ男達を、舞と同じ手口で調教して追い払った。

『ゆうくん、お姉さんがエッチなことしてるの見て興奮した? じゃあね『人払い』『消音』さあ、お前達はここから出て行け』
 美汐の術に掛かっていた教師達は、セリフの後半、極低音の命令口調を聞いてロボットのように立ち上がって退出。保健医は実家に報告するため逃げ出し、用務員のおじさんも孫娘を別の世界?に旅立たせる決心をして退出した。
「さあ、教頭センセイ、野暮は言いっこ無しだ、これから男の話がありやすから付き合っておくんなせえ」
 妖狐関連の大事件が起こっているのを伝えるため、教頭も引っ張って出て行くおじさん。この二人は切っても切れない仲で、生徒の問題を完全無視して「無かったこと」にする校長に代わって、闇社会と体を張って話し合いをする教頭と、話を繋いでやって間を取り持つ間柄で、孫娘をここに入学させるため、いつもの「男一生一度の願い事」で、いつもの土下座をやらかして、素行面のマイナスを消してもらったり、人には言えない関係があった。

『佐祐理、この子、良い香りがする。きっと金髪の下は黒髪じゃなくて、佐祐理に似た茶色、フォックスブラウンの髪だと思う』
 どの家の系列か分からないが、妖狐の家系か、濃い血を持つと思われるヤンキー女。愛人の母ではなく、父親の系統が妖狐の直系だと思われる。
『へえ、そうなんですか』
 真琴や月宮真琴のような、本物の色に近い茶色ではなく、佐祐理は自分と同じぐらいの濃さと思われる髪を撫で、優しく語りかけた。
『この髪の色で虐められましたね? でも、私達の世界では、この色はブルーブラッド、貴族の証なんですよ』
「え? そうなんですか?」
『ええ、その血を誇りなさい、その縁でこうして仲良くなって、一弥、いえ、祐一さんと結ばれる権利を得て、岩戸の向こうの世界にも行けるんですから』
「でも俺は男なんか嫌いだ… 嫌いです。嘘つきで女を騙しておもちゃ扱い、責任は取らねえし… あ、お姐さま方の弟さんは別でさあ」
 祐一こそがヤリチン無責任男で、女を全員騙して孕ませている犯罪者だが、一応お姐様の顔を立てる。
『いいんですよ、佐祐理も舞も、普通の男性はどうも苦手だったんですけど、どうしてか祐一さんとだけは仲良く出来て、全然嫌じゃなかったんです。今にして思えば。、純血の妖狐さんは匂いが違ったんですね』
 栞が祐一の匂いを嗅ぎ当て、自分にはない免疫を持つ男性として受け入れたように、佐祐理も舞も、普通の男に抱くような嫌悪感を持たず、素直に受け止められたのは、妖狐の血を感じて受け入れていたのだと思えた。
『さあ、貴女もこれで私達の仲間です、舞の精霊を受け取りなさい、そして貴女も神人の一人として祐一さんの精を受けて子を産むんです』
「エ? それだけは勘弁して下さいっ、男だけは嫌なんですっ、一生子供だけは作らないって決めてるんですよっ」
 自分の幼少時代や、父親と同じ髪の色を母になじられ、嫌われてきた半生。
 その経験から絶対に結婚はしないし、子供を産むなど有り得ないと思っていたのを、今すぐ変えろと言われても受け入れられない。
『じゃあ、もう少しこの世の理を知りなさい、舞の精霊を受け入れて』
「あ、ハイ…」
 憧れの姐さんの一部を「入れられる」と知って、震えて待つ少女。顎を持ち上げられると「通路を作る」どころではない熱烈なキスをされ、精霊を流し込まれた。
「うっ、うううううっ!」
 その一部始終は、事件の前後から録画されていた佐祐理のビデオカメラで録画され、光る体も、「はちみつを舐めるメスのクマさん二匹」に襲われて食べられてしまう光景も録画されてしまった。
『ふふっ、貴女の悲しみは私が全部食べてしまった。だからもう泣かなくていいの、一人で寂しがらなくてもいいの、私の分身が貴女の全部を書き換えてしまって、その刻印が貴女の体に永遠に残る、もう貴女は私達の物』
 結構責め好きな左腕の舞の人格。外見は気が強そうで、お転婆な少女も、中身は気が小さく、いつもは怒ったり喚いたりして自分を守っている弱い生き物で、舞はそれをいつもの猛禽類の表情で獲物を捕食しようとしていた。
「えっ、泣かなくていいんですか?」
『ええ、その代わり、今日からは「いい声で鳴く」のよ』
「やっ」
 凄い力で組み伏せられ、制服も下着も脱がされてしまった女。この制服を着ている女子を守るはずだった女は、それを自分の獲物だと認識して襲いかかるケダモノにクラスチェンジした。
「やっ、そんな所、広げて見ないでっ、ああっ、ビデオまでっ? だめっ、だめええっ」

『ゆうくん、すごく興奮してる、女の子同士がしてるの好きなんだ、昨日、私がお姉様に犯されてる所も見て興奮してたでしょ? ね? ね? ね?』
 祐一のズボンを引っ剥がして、上から乗って腰を使うプレデターな美汐さん。
 帰って来た栞の目には、下半身丸出しの祐一が何かに上から乗られて揺すられて、ソファーをギシギシ言わせ、白い液を美汐の子宮の形に空中に浮かせて、先っぽからさらに流し込んでいるように見えていたが、朝にかけられた術が効いていて「ゆうくんには暴力を振るえない」ので、恋人が見えない何かにレイプされているのも、お姉さま方が新しいオモチャに夢中になって遊んでいるのも邪魔できなかった。

「あっ、やっ、ひいいいっ、もう許してっ、もう出ませんっ」
 はちみつを舐めるクマさん(雌)に、代わる代わる上下のお口を舐め回され、ド貧乳で乳首しか無い、感じやすい胸を弄くり回されて、生徒指導室の中なのに別の指導を受けて手マンで潮も吹きまくり、もう出すものも無くなってギブアップしたヤンキー女。
 何やら言葉遣いから何から、大人しく従順なペットに調教されてしまっていた。
『あっ、ゆうくん、あんなペッタンコのがいいのね? いまビクってした、あんな絶壁見てビクってした、悔しい~~っ、あっ、出てるっ、膣内にゆうくんのいっぱい出てる~~っ!』
 断崖絶壁が好みの祐一は、肋骨が全部見えるようなド貧乳、乳首の周りだけのほんの少しの脂肪が、肋骨を見せないで済んでいる絶望的な貧乳を見て興奮し、美汐ちゃんキャンバスに激しく写生した。

「ハアッ、ハアッ、ハアッ」
 アヘ顔全開で、白目を剥いて舌を垂れ流して痙攣している所を画角いっぱいに録画されて、快楽堕ちしたのも記録される。そこで言われるいつものセリフは?
『さあ一弥、「佐祐理の妹をファックして良し」ですよ~』
 昨日、月宮一行が犠牲になったのも、ティンティンが付いてない佐祐理の代償行為として、弟のブツを詰め込んで、自分に近い遺伝子を妹にぶちまける所を見て快感を得るためだったが、今日は用務員のおじさん、ヤンキー女の祖父公認で祐一の巫女候補にするためにもファックするので、舞と一緒に両足を押さえつけてオットセイくんを待った。
「そっ、それだけは勘弁して下さいっ、男だけはっ、子供だけはっ、妊娠だけはやめて下さいっ、俺なんかに子供が生まれたら虐待しちまうっ、お袋みたいになっちまうっ」
 泣き叫んで首を振って嫌がる女に、無理矢理差し込むわけにも行かず、美汐の中に激しく写生して賢者モードの祐一も、ハードレイプはノーサンキューだった。
『こういうのは泣いて嫌がる所を無理矢理するのがいいんですよ。さあ、お姉様の命令です、これもスパンキングの一種ですから受け止めてたくさん泣きなさい。貴女が泣いている所を全部録画して、佐祐理がじっくり見てあげます』
「そっ、そんな…」
 青い顔をして手で蓋もして、オットセイくんの受付だけは拒否しているヤンキー女、グレても暴れても男だけは拒否して、ソッチ方面の悪行や遊びはしてこなかったのに、ついに膜をブチ破られる時が来てしまった。
『さあ、一弥、生でブチ込んで、タップリ中に出してあげなさい、その絶望の表情も佐祐理が全部観察してあげます』
 サディストの目で泣いている妹を見ているお姉ちゃん二人。神域に持ち込める新しいオモチャを手に入れて、「通過証」を祐一に発行させるためなので、多少の浮気は見逃すらしい。
「あっ、やめっ、だめだっ、どうせあげるならセンセイにあげるつもりだったのにっ、明日会場で告白して、結婚してもらおうと思ってたのにっ、だめえぇっ!」
 中学の頃に教師に世話になり、父親譲りの頭の良さを発揮して、憧れや愛情からブッチギリで中学校トップに躍り出て、この高校に入学できたヤンキー女。
 明日本気で告白して、玉砕しても良いから、この気持ちだけは、中学から暖め続けた大切な思いだけは、世話になった教師に伝えたいと思っていた所を、また祐一のオットセイ君に愛も恋も、少女特有のほのかな憧れも、何もかも踏みにじらてしまう犠牲者が出た。
「ごめん、体が言うことを聞かない」
 脂汗をかいて必死に抵抗している祐一だが、本気のゴージャスさゆりんの効果により、美汐まで足止めされ、勃起は収まらず、美汐が口でお掃除できなかったので精子でヌルヌル、そんなブツを大切な部分に、大事に守り続けた花園に押し当てられてしまった。
「いやあっ、そんな精子まみれの入れられたら、すぐ孕んじまうっ、後生だからやめてくれっ!」
 この部屋は美汐の術で「消音」され、「人払い」もされていたが、心の声であげる悲鳴は、隣の生徒指導室2で深刻な話をしている用務員のお祖父さんと、教頭の心にも届いた。
 そして、外で待機していた人物にも届き、四人が入室してきた。
「ああっ? お嬢っ、違うんだっ、これは… あのっ、そのっ、お姉さまと相沢が… それにジジイの奴がっ」
 一番この状況を見られたくなかった「親友」で「恩人」に見られてしまい、さらに絶望を増して涙の量も増やし、説明しきれない状況を吃ってつっかえて、親友への最悪の裏切りを説明しきれず泣いた。
「いいのよ、これで幸せになれるの、貴女もお姉様の精霊を貸してもらったんでしょ? 明日には神人として迎えられて、先生にも祝福してもらえるわ」
「そんな? どうして?」
 自分が別の男に犯されて何もかも踏みにじられ、会ったことも無い男の子供を受精させられてしまい、もしこの穢れた体で告白したとしても、憧れの先生を裏切って托卵までする事になる。どう考えても幸せになどなれず、親友の目の前で浮気し、不幸しか待っていない状況に混乱する。
「もしかすると、これから人類は滅びてしまうかも知れないの、お祖父さんからも聞いたでしょ?」
「そんなの何も聞いてねえ」
 うっかりさんなのか、「男の背中を見て察しろ」タイプの人なのか、必要な事は孫に何一つ説明していない用務員のお祖父さん。
 ただ「純血の妖狐様にヤってもらって神域にも連れて行って貰え、余計なことは考えんな」という状況らしく、何の説明もなくブチ込まれる寸前の女。
 母親のネグレクトも経験し、自分が妾腹の汚い存在で、生まれてはいけなかったことだけを親戚や父親の家族から言われ続け、拒食症も併発して自力で生理も止め、ガリガリの体からは女性ホルモンやエストロゲンの放出も完全拒否、高校に入ってお嬢に救われ、ようやく月経が再開して、女としての人生を歩み始めた途端のコレである。
 どこかのサヤ師以上の金髪ド貧乳女は、バスト70の驚異的な貧乳を震わせ、親友で相沢の恋人公認で処女を喪失しようとしていた。
「今はお父… 相沢くんを受け止めて、先生には結婚できない事情があるんだけど、それはご本人に聞いて頂戴。さあ、お父さん、この子も天国に連れて行ってあげて」
 他の女のように「天国」を独占するのではなく、友達にもプレゼントしようと思っている月宮真琴。
 もともと素質があるのか教信者の目をしていて瞳孔開きまくりで「お父さん」の愛を他の女にも分けてやりたいらしい。
「うっ、あああっ」
「やあっ、入れるなっ、だめええっ!」
 ヤンキー女の絶叫も虚しく、静寂が広がる生徒指導室で、「ブチューー」とかいう汚い音や「ビチッ」と肉が裂ける音を立てながら侵入してくる、赤黒く汚らしいオスの生殖器。
「うわああっ、いやだああっ!」
 女の体はその相手が純血の妖狐だと気付き、自分に足りない物を腹の中にできるだけ残して行ってもらおうと懸命になり、排卵し経血を溜め、今すぐ受精する準備を始めてしまう、さらに痛みがあるはずの股間からは喜びの絶叫が全身を駆け巡った。
「ひいいっ、気持ち良いっ、駄目なのに気持ちいいっ!」
 フニャチン状態の祐一のオットセイくんだが、天使の人形は眠っているだけ。その妖力は全身に侵入を始め、この行為が嫌で嫌で仕方ない脳以外は、手足にも腰にも裏切られ、愛しい純血の妖狐の生殖器を全身で受け止めた。
「ひいいっ、凄いっ、これっ、これがいいのおっ」
 両足を祐一の腰に回して絶対に抜けないように努力し、動かないように努力している祐一に代わって、ガンガン腰を動かして処女の血でソファーやカーペットを汚す。
 そして時折堪えきれず「おおうっ」とか「ぐふうっ」などと下品な声で快感の声を漏らし、妖力が手足の先や頭の天辺に到達すると本当に狂った。
「あうううっ、うおおおおおおっ、イイッ、いいいいっ、もっとおおおおっ」
 昨日の他のメスどもと同じように、快感を貪って泣き叫ぶ女、もう普通の恋愛などできない体になって、憧れのセンセイの面影も心から消えた。
「ああっ、ごめん、お嬢っ、気持ち良すぎて止まらない、腰が勝手に動くんだ、ああっ、いいいいい~~~っ!」
 破瓜の血を洗い流すように潮も吹き、メス汁、涙、ヨダレ、鼻水、あらゆる穴から水分を垂れ流し、自分で突きこむ度に達する女。その一部始終は佐祐理にも目撃され、愛用のビデオカメラで包み隠さず録画されてしまった。
 このテープは美汐によってダビングされ、後日、天野の家で「これだけ嫌がっていた女でも、純血の妖狐と結合した途端、どんな売春婦や下衆な女より動物に近くなり、獣の声を上げて自分から交接をせがむ見本」として上映された。
「どう? 気持ちいいでしょ? 夜のお父さんはもっと凄いのよ、妖力が体から突き抜けて、全身オマ@コになるの、良かったら今晩もしてもらって」
「あう~~、うぐうぅ、ひいいいいっ!」
 どこかの動物のような擬音まで発し、はちみつくまさんな表情でアヘって、ついに最期の時を迎える。
「ああっ、だめだっ、また出るっ!」
「はああっ、来てっ、いっぱい来て~~っ」
 アドレナリンとか出まくりだが、血糖値を使い切ってもうガクガクで力を失いかけた足で、必死に祐一の腰にしがみついて、純血の妖狐の子種を受け止めようとする女。
 先ほどの言葉や今までの決意はどこに行ったのか、もうどんな事をしてでも妖狐の子を授かろうと、泣いて懇願し始めていた。
「いいのかっ? 子供はダメなんだろ? 外に出してやるから、足を放せっ」
「いやあっ、中に出してっ、外には出さないでっ、妊娠するまで抜かないでっ!」
 心の根幹を快感だけでヘシ折られ、プライドも何もかもかなぐり捨て、今までの人生やポリシー、価値観も全て捨てて、ただ祐一の子供が欲しいと懇願する。
「出るぞっ、離さないならこのまま出すぞっ、いいのかっ?」
「来てっ、いっぱい来て~~~、赤ちゃん頂戴、子供生ませてっ、お願い~~っ!」
 素晴らしいド貧乳にも感動した祐一は、性格は嫌いだったが、体の好みでは筆頭に踊り出た女の胎内に、ありったけの子種をぶち撒けた。
「おううううっ!」
「ひゃああっ、出てるっ、中にっ、子宮の中ににガンガン来ちゃってる~~、孕むうっ、孕んじゃうよ~~~っ!」
 精霊を入れられたばかりで、生身で純血の妖狐の精を受け止めてしまった女は、立ちどころにパンクしてぶっ壊れ、すぐに命を落としたが、中から精霊にも修復され、死ねない呪いを受けた体は元に戻って行った。
「ヒューー、ヒューーー」
 ソファーの上に転げ落ちて、痙攣しながら気絶して絶命した女は、人体と精霊の機能によって修復されていた。
「ああっ、こんな胸の小さい女の子がうちの学校にいたなんて… その子とここまで濃厚セックスできるなんて凄い気持ち良かった」
 大変な失言があった祐一を、佐祐理と舞が睨んだが、後ろで額の血管から血を吹いたまま凝固させられている美汐と栞よりは怖くなかったので、中出ししたてのオットセイくんをゆっくりと抜いて突き出した。
「さあ、次は誰がして欲しい?」
 この言葉だけで機嫌を直さざるを得なくなった女達が、我も我もと群がってきた。
 その後、ロストバージンしたばかりのヤンキー女のタヒ体の横で、佐祐理、実の姉、栞、月宮一行の順にスペシャルビーフケーキをご馳走してマッスルドッキングしてやった祐一。授業を受けに行ってしまった名雪は、今回はお楽しみになれなかったらしい。
 こうして怒涛の二時間目、三時間目が過ぎて行った。

 二時間目頃、香里の病室。
 面会開始時間も少々過ぎ、香里の母がやって来た。何故かその表情は暗く、足取りも重かった。
「あら、母さん」
 舞の魔物、左手の精霊が抜けても、昨日の学校での出来事は覚えていて、自分の立場は揺るぎないと信じていた香里。
 あの後、気が弱くなって「祐一」から「相沢くん」に戻ってしまっていたが、その心情を便箋に書き、それでも足りないのでレポート用紙を使って書き込み、ちょっとかわいらしい封筒に入れるには困難になって来た分厚い力作を、封筒の中にこじ入れている時に母が来た。
「香里、実はね、朝早くに倉田家の顧問弁護士って人が来て、これを置いて行ったの」
 香里の前には「倉田弁護士事務所」の封筒と、プラスチックファイルに挟まれた婚姻届、それも「不受理」と何度か判子が押してある物が差し出された。
「なっ、何で?」
 不足書類があれば提出し、添付書類が必要なら捏造でも、偽造してでも出す予定だったが、婚姻届本証に不受理を押されて一瞬で受付を跳ねられてしまい驚かされる。
「ちょっと警告されてね、「今後、同様の書類を提出したりしたら、法的手段にでる用意がある」って言われて…」
 難しい法的用語は解説できず、封筒の中身を見せる母。そこにはこう書いてあった。

「相沢祐一氏は、7年前より当家の倉田佐祐理嬢と婚約関係にあり、現在も「婚姻届不受理申請」が継続的に提出されており、今回のように勝手な申請を却下するよう設定されています。今後、相沢祐一氏や倉田家が了解しない申請を提出した場合、法的手段を取り、接近禁止、連絡の禁止など、さらに厳しい対応を取らざるを得ません。以後、このような手段を取られる事が無いよう要請します、今後の対話は弁護士事務所を通し、直接相沢氏に連絡を取らないようご留意下さい、連絡先は……」
「何なのっ? これ?」
 佐祐理の母は、7年前の「口約束」を保持し、懸命に敵を潰し続け、祐一と佐祐理の将来の結婚を目指していた。
 佐祐理の言う「顔も見たことが無い婚約者」とは勿論祐一のことで、口約束だけとはいえ、誰もが羨む権利を持っていた。
 まず一ヶ月後に提出された、美汐との婚約合意や、裁判所とか公証人に出された届け出を却下、当然天野家とも対立し、他の政財界からのライバルとも戦って戦って戦い抜いて、この権利だけは死守していた。
 そんな暗闘も知らない香里は、一瞬で追い返され、門前払いの上晒し者、ありったけの悪意を込めて「不受理」が押された書類を受け取った。
「母さん、今日も学校行くわ」
 怒りによって立ち上がった香里は、祐一とは会話もできない恥ずかしい状態を脱し、佐祐理と雌雄を決するため学校に向かった。
 
 

 
後書き
低視聴率SSですがご感想を頂き、「あれ、投稿部分まで上げきってなかった?」ので追加します。

多少誤字を直して、視点が一文の中でグチャグチャのところは書き換えて出したつもりでしたが、残り数話忘れていました。

ハーメルンさんの頃でも一日100ビューぐらい、ここならページビューは100分の一程度なので数人いれば良い方です。
「はたらく魔王様」とか「このすば!」ぐらいの新しい話なら若い参加者のページビューも多く、あちらなら投稿日は2千ビューを超える日があってやる気が出ましたが、クビになってこちらに引っ越すと人気作品のSSでも100ビュー程度なので、毎日更新とかは止めてのんびりやっています。

あちらは複数アカウントで色々ごまかせたりランキングいじり放題、クソ笑えない話が3話しか無いのにいつでもランキングトップ。
ページビューのチートも水増しもあるようですが、こちらですと普通の表示で、どこにあるかも分からない感想掲示板で、返信で論争になったり、相手側だけ複数アカウント乱用で日本語書けない奴の賛同者が殺到したり、奇行種に暴れられてやりたい放題された上に、通報多数でクビにまでなったりせずに済んでいます。

書いている内容自体も、夜中に何かに憑依されたり、デムパ受信してヒーヒー言いながら書くような電波SSなので、技巧派の方が設計図(プロット)通り完成させるのと違い、その手の方が読むと何故か大激怒サれて嫌われる話です。趣味に合わなくても放置して下さい。

書いている本人が見ても「天孫降臨とか仮のイザナミって何? こんな話誰が書いたの?」状態で、寝起きや昼間の素の状態で読み返すとイミワカンナイ系です。
 
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