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姦物語(ヤリモノガタリ)

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02プラチナむかつく奥様は13歳。

 忍がうちの家族を破壊して楽しんで、ホットケーキを5枚も食ってから朝の食卓は解散になった。
 母が出した結論は、何故か月火ちゃんと僕が結婚するという物だった。
 忍の説明では、母のお腹を借りて不死身の鳥の怪異が復活して、月火ちゃんになったと説明したので、病院での取り違いでもなく、本当の月火ちゃんが死んでる訳でもないので「私と月火は10ヶ月も血が繋がってお腹の中で育てたんだから親子なの。でも、遺伝子がつながってないのは可哀想だから、暦と結婚してうちの子になるのよ」と決定された。
 この場合、怒りんぼの奥さんが嫌で離婚するとどうなるんだろうか? いや、それ以前に戸籍上兄妹は結婚できないはずなんじゃないだろうか?

 2話 プラチナむかつく奥様は13歳。

 昔、奥様は18歳、というドラマシリーズがあった。
 学校の先生が女子生徒と結婚したとか、預かった女の子を育てた父親が娘に求婚されて困るとか、奥さんが若干18歳、というシリーズだ。
 最近はその程度では驚かれず、同じ石立鉄男が育てた「ちーぼう」は金八先生で14歳の母になるし、最近同じ題材を扱ったドラマでは、その程度現実で日常茶飯事なのか見向きもされなかった、ギネス記録は8歳以下だったような気がする。
 桜井幸子はドラマで近親相姦するし、最終回で学校の先生と心中した。それも10年以上前だ。
 最近なら戸籍上も兄妹で、人生相談されたり一緒にエロゲーしたり、他の彼女とか妹の友達とか幼馴染も全部仏恥義理で妹と結婚式あげるような変態でないと見向きもされないし、読者が許さないらしい。
 主人公が育て上げた小さな子は、父親代わりのダイキチが好きになって、女の読者から「キモイ!」と言って総スカンされても、エンディングは育ての父親とゴールインするラスト以外に許されなかった。
 同じように僕も、先日まで実の妹だとばかり思っていた女の子と結婚する羽目になった。
 これは母の決定なので、月火ちゃんがプラチナむかついても僕にも覆せない。

「う、ぅお兄ちゃん」
 解散後、月日ちゃんが僕の部屋を訪ねて、今後の取り決めだとか、「結婚式いつするの?」みたいな感じでテレながら人生相談に来た。一緒にエロゲーするか?
 今後は人生相談をしてからは多少デレてもらって、プラチナムカついて殴る蹴るの暴行、暴言を止めてくれると有り難い。
「オー、マイシスター、今日からは月日たんは僕の婚約者だ~」
「何よそれっ、ムカツク言い方、やめてよねっ」
 早速ムカつかれてしまった。まあ母さんの決定なので、ムカついた程度では覆らないのは学習しているようだ。
 どうしても嫌な場合、あの現場で言うか、リスカでもして左手取れるんじゃないか? ってぐらい僕と結婚するのが嫌だと主張するしかない。
 でも月日ちゃんは真っ赤になって吃音発症してピッタリ泣き止んでしまったので、多分却下だ。
 母はゼクシィでも買ってきて、式場探したり、せいぜいウェディングドレスにするのか神社で和服にするのか選ばせる程度だろう。
 母の趣味で、変な発音でカタコトの日本語を喋る神父は入れるに違いない。
 兄弟では結婚できないので早速DNA検査して、親子関係の排除?だとか法的な手続きを進めて、月日ちゃんが16歳のお誕生日プレゼントが、親子じゃない証明と、僕との婚姻届の提出と養子縁組を決めるだろう。
 ジューンブライドだとか日時の要望とか服装は聞いて、仕事関係から式の参加者も選んで、親戚をどの程度呼ぶとか決めるだろう。逃げ道は一切存在しない。
 月日ちゃんがプラチナむかついて、新婚旅行の行き道で成田離婚しないよう、母も付いてきそうだ。
「どうすんのよっ、お兄ちゃんが変なこと言うから、私達結婚することになったじゃないっ」
 変なことを言ったのは忍だ、僕は内々に相談して調査するよう頼むつもりだったのだが、あいつが色々とやらかして僕の家庭を破壊した。
 あいつはこの家に来た魔法少女になって、魔法?をかけて従姉妹として潜り込んだ。
「ああ、母さんが言ったんだから、よっぽどじゃないと取り消さないね」
 それでも月火ちゃんは自分がフェニックスの怪異で、両親と血がつながっていないことには、何一つショックを受けていないようだ。
 母さんの戦略勝ちと言うか、元々こうなるのを想定していたのだろう。
 より強力なショックを与えておけば、トリ頭の月火ちゃんは、三歩歩けば少しだけ困っていることを忘れてしまい、現在最大の問題「実の兄と思っていた男と結婚する」のに困って悩んで真っ赤になって、母さんに恋心とか見抜かれてたんじゃないか?とか、ソッチ系の悩みに傾倒する。
 実際赤くなったり青くなったり、自律神経が忙しそうだが、何か決心したようにこう言った。
「分かった、私、お兄ちゃんと結婚する」
「ヘ?」
 何か男の僕には理解できない、女の思考回路で何かが決定されたらしい、やはり月火ちゃんは母と血がつながっている。
「だって仕方ないでしょ、お母さんがああ言うんだし、親の顔も立てないといけないし、え~と、血も繋がってなかったら、私この家にいられないし、火憐ちゃんともお別れだし……」
 まあ放っておくと、僕と結婚する理由を色々語ってくれたり語るに落ちたりしてくれそうで面白かったが、このぐらいで勘弁してやることにした。
「オーマイハニー、月火ちゃんは僕の婚約者で大切な家族だ~、プニプニ~~」
 相撲取りみたいな声を出して巫山戯て、横に並んで手を回して抱きつき、両胸をプニプニしてやった。
 まあこれでいつも通りムカついて殴られて蹴られて、普段の月火ちゃんに戻って自分の部屋に帰るだろう。
 僕はその後テレビをつけて、日曜朝のスーパーヒーロータイムでも見て、ついでに今のプリキュアなんかもチェックして置こう、是非そうしよう。
「いいよ……」
「エ?」
 朝っぱらから月火ちゃんは、部屋着と言うか寝間着の浴衣を脱いで、女児用ブラと女児用パンツを出した。いやそれは反則だから。
 素早く僕のベッドに入って、モソモソしている月火ちゃん。ブラとか外してるらしい、いやソレダメ~って言うか、近親、じゃないんだ、妹、でも無いし、ああ、僕のほうが混乱している。
(まあ、妹御をタップリ可愛がってやるが良い、クックックッ)
 僕の家庭を破壊した、憎っくきロリBBAのヴァンパイアが、何やら笑っていて僕が混乱する様子を見て喜んでいる。
 この状況は「くっ、悔しい、でも感じちゃう」なので、みさくら語で「んほおおお!」とか叫んでしまいそうだ。
「お兄ちゃん、来て」
 ベッドから目から上だけ出した元妹は、ちょっと泣き腫らしたような赤い目とメスの顔で僕を呼び寄せ、準備オッケーの合図を出した。
 いや、妹にプニプニ~は出来ても、血が繋がっていない義妹とか、男の直球ど真ん中のはずなんだが、実の妹と一緒で義妹でも妹は生意気過ぎてムカついて、一緒の巣で生活してる家族に欲情できる男はイないと言うか、所謂ひとつの「大リーグボール2号は水に弱かとですたい!」でセコムしてますか?な訳で、あれ?
「しよ?」
 ガハラさんとか羽川になら言って欲しい言葉ナンバーワンの「しよ?」とか「阿良々木くん、私、今年の夏の思い出欲しいんだ」だが、血が繋がっていない実の妹に言われると非常に困るわけで、「お~い山田君、木久蔵さんの全部持ってって」な状態だ。
(さ、女に恥をかかせる物ではないぞ、行ってやれ、据え膳食わぬは何とやらじゃ、主殿よ、クックックッ)
 ロリBBAのクソヴァンパイアが、また何か言ってプラチナむかついた僕は、家族を破壊したがっている奴に、僕達兄妹の絆を見せ付けてやることにした。
「わかったよ、僕の大切な妹」
 ベッドに入った僕は、まだ怖がって震えている妹を抱いて、優しく全身を撫でて落ち着かせてやり、キスもしないで可愛がった。
(な、何をしておるのだ? 妹であろう? 月火は妹なのであろう?)
 何か忍が予想した脚本から外れて違う方向に行ったようで少し慌てているが、その様子も楽しませて貰おう。月火ちゃんは僕の大切な妹なのだから、プラチナむかついている時以外は可愛がって優しくする。
 ロリBBAは予定と違ったのか、裸の月火ちゃんを抱っこしてナデナデしているのが気に入らないようで、ついに影から出て実力行使しようとした。
「こりゃ月火、それはワシの主で下僕なのじゃ、手を出すな」
「あ、出た、お兄ちゃんに憑いてる化け物」
 朝の食卓では自分の従姉妹で魔法少女、「暦お兄ちゃんのお嫁さんになる~」で納得していたようだが、月火ちゃんには魔法?が効かなかったのか、怪異と認定された忍。
「化け物とはなんじゃ、お前もそうであろうが? この家に入り込んだ怪異が」
 忍の挑発的な言い方にプラチナムカついた月火ちゃんは、紅三四郎方式で浴衣を着て帯を締めて、何か車田調に絵が変わって極太の眉になり、男前な表情でこう言った。
「ふっ、夜の闇を這いずる吸血鬼風情が、この天上の鳥、鳳凰の羽ばたきを恐れぬのならかかって来い!」
 月火ちゃんは鳳凰座の聖衣とかは復活させて纏わなかったが、小宇宙(コスモ)を燃焼させて背景と目の中が燃え上がった。
「鳳翼天翔!!」
 まず幻魔拳じゃなくて、燃焼技のフィニッシュブローを出した月火ちゃん。それは是非屋外でやって欲しい。
 特大サイズのフォントで見開きの四隅に文字が出て、岡田芽武ぐらいの武技言語を詠唱した妹。
 屋内用なのか、まだ力が弱いのか、アニメ版みたいな巨大な火の鳥じゃなくて、孔雀サイズぐらいの鳳凰がクエックエーとか鳴きながら部屋を飛び回って、忍に火炎攻撃を始めた。
「ザシャア!」
 効果音を口で言った忍は、スウェイバックでかわして火炎を掌底一本で受けて、余裕の表情をしたが、お約束どおり聖衣のヘッドパーツを飛ばされ頬に切り傷が付いて「ゲエッまさか?」とヤラれるザコのセリフも言った。
 やはり齢400年にして人生の楽しみ方を習得したらしい。
「一気に決めてやるぜ、鳳凰幻魔拳!」
 マーマのロザリオで守られていなかった忍は、沈没船が海底に沈んで、マーマも崩れてしまう幻を見て倒されて影に帰った。
 
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