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素直になるということ

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「――玉木くん!起きてください!」

「っ、んぅ?」

「寝すぎです。もう朝です。昨日、夜ご飯も食べずに朝までずっと寝ちゃって大変だったんですよ?」

「え、うそ…ごめんね」

「いえ…」

「相沢、その玉木くんって言うのやめない?」

「陸って呼んでよ」

「り…陸?」

「うん…はは…テレる…いいね」

「よ、呼ばせたのに何言ってるんですかっ」

「ふふっ…ごめんね、良介?」

「えっ」

「うん、嫌じゃないよね?」

「は、恥ずかしい…」

呼ばれ慣れてないんだね。
俺もだけど。
そんな顔しちゃって。
本当に可愛い。

「…寝すぎで身体痛い。朝風呂付き合ってくれる?」

「はい」


※ ※ ※



「あ、もうこんな時間」

朝風呂を済ませ、部屋でのんびり過ごして時計を見て気づく。

「学校行こうか」

「そうですね」

「相沢」

腕を引いてキスをする。

「んっ!?」

「いってきますのキス…なんてね」

「いきなりそんなの…ずるいです」

「えー?じゃ、相沢もキスして?」

「してほしいの間違いじゃないんですか」

胸元を掴み引き寄せられキスしてくれる。

「…相沢って、かっこいいよね」

「…そうですか?」

「うん。ドキドキしちゃう」

仕草とか、行動とか…かっこいいところを見ちゃうと抱いてほしいとか思っちゃうんだよな。

「…明日、デートしませんか?」

「デート!?したい!」

「プランは考えておきます。行きたいところありますか?」

「んー…甘いものが食べれるところに行きたいかな?」

「わかりました」

デート…。
デートか。
よく考えたらデートって初めてだ。
まともな付き合いが出来なくてセフレしかいなかった。

「二人で外に出るの二度目だね。すごく楽しみだよ」

「そういえばそんなことが…あの時の玉木くん、可愛かったですよ?」

「あ、それ掘り返す!?恥ずかしいってば…」

笑う相沢はなんか眩しい。
触れていたい。
愛おしいって感覚初めて知った。

「生徒会寄ってから行くからあとでね」

手を振ってわかれる。
生徒会の扉を開ける。

「会長」

「あ…玉木くん、あのな」

「いえ、会長。大丈夫です。会長に謝ってもらう必要はないです。自分の不注意です」

「でも、ごめんな…無神経やったわ…」

「…会長。…では、仕事してください」

書類を机にドサッと置く。

「うわっ…なになに!?」

「イジイジしてないで仕事してください!!会長の仕事はまだまだあるんです!ほらこれも!」

「わぁー、めっちゃありがたいわぁ…」

「会長に、合わせる顔がないと、思ってました…」

「え…」

「でも、会長は会長ですよ。裏があるはずないんです。あなたはそういう人間ですよ。罪悪感で悩む人です。気にしてません。だから仕事してくださいよ」

「玉木くん…」

「ところで、会長。多岐くんとはどうですか?」

「え…ええよ…?」

「それはなにより」

「えぇ…どうしたん?」

「いいえ。恋人っていいものですね」

「う、うん?」

「それだけです」

会長が見る、多岐くんへの視線。
羨ましかった。
あんな恋がしたいって。
やっと、俺も愛されることが出来たんだ。
嬉しくないわけないよ。
なに言われてもめげないくらいには。



 
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