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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第563話】

 次の競技の準備を終えたグラウンドは、さっきとは違ってIS運用前提の競技用へと変更されていた。

 実況席へと戻る――それが合図だったのか、或いはちょうど始まるタイミングだったのか黛先輩はマイク片手に席から立ち上がった。


「さーて、次なる種目はIS学園特別競技【玉打ち落とし】だ~!!」


 あからさまにテンションが上がっている黛先輩。


「玉……打ち落とし?」


 一夏がそう訊ねる、テンションの上がった黛先輩はマイク片手に説明し始めた。


「これはIS学園伝統ある競技! 各チーム代表は空から降ってくる玉を打ち落とす! それも競技が終わるまでよ! 得点は玉の大きさで変わるから、小さければ小さいほど得点が高い仕様なのよ!」


 なんというか、良く分からんが打ち落とせば良いらしい。


「ヒルトくんも参加したいかしら?」

「え?」


 いつの間にか椅子を隣り合わせにしていた楯無さん、無論彼女も体操着を着ていて窮屈そうに二つの乳房が強調するように主張していた。


「……いいです、参加は」

「うふふ。 じゃあお姉さん達と一緒に実況ね♪」


 ウインクする楯無さんを他所に、黛先輩は更に言葉を続けた。


「さあ、各組代表は準備に掛かって! 因みにだけど、専用機持ちと一般生徒とでは玉のレート計算は違うので各自相談してね~♪ あ、後ISスーツも禁止なので生徒皆はブルマ姿で悩殺しちゃえ♪」


 何の謳い文句だよと俺が思っていると気配なく一人現れ――。


「ほっほっほっ、わしを悩殺ですかの」


 そう言い、黛先輩のお尻を軽く撫でた校務員の――たまに学園の落ち葉で焼き芋を焼いてるお爺ちゃんだ。


「違うわ! このセクハラ爺!!」


 お尻を撫でられた黛先輩は、こめかみに怒りマークが浮かび上がり、容赦なくハイキックを繰り出した。

 ブルマ故の生足から繰り出されるハイキックは、ひらりとかわされ、ついでといわんばかりに太ももも撫でてその場を去っていった。

 後、親父も居るが親父は何か朝から学園の来客向けに忙しいとかでとりあえず午後までお預けらしい。


「くっ……いつも好き放題触ってくるんだから……! ……こほん! 気を取り直して――フィールド中央に皆、注目!」


 黛先輩が空を指差す、その先には何もなかったが光の粒子がそこに集まり、装置が構成されていく。


「この競技限定の全自動標的投擲機! 御値段は勿論高いから壊さないように!」


 黛先輩がそう忠告すると、今度は楯無さんが立ち上がった。


「さあ、各組準備は良いかしら!? ここからの実況は私、更識楯無がお送りするわよ!」


 受け取ったマイクを片手に、空いた片手で黛先輩とハイタッチしながら声高らかに宣言した。

 そして黛先輩は実況席近くのカメラをスタンバらせる。

 これもそうだが、今回は超小型ドローンによるリアルタイム中継されている。

 これは学園に来られなかった親御さん向けに中継されてる為、一般には中継されていない。

 準備が出来たのか、出来た組から代表者が現れる。


「一意専心。 常在戦場。 心静かに……いざ参る!!」


 箒組からは箒が――最新専用機だからだろう、そういったアドバンテージで選出されたのかもしれなかった。


「今のわたくしに敵などいませんわ……。 ブルー・ティアーズとわたくし、セシリア・オルコットが奏でる終わりなき円舞曲で魅了してあげますわ!」


 自信満々に姿を現すセシリア――明らかに俺とキスしてからかヤル気が違って見えた。


「フフン。 この競技に関してはあたしに分がありよ!」


 不適に笑みを浮かべる鈴音、八重歯がキラリと光っていた。


「おー? 専用機じゃないけど、頑張るぞー」


 シャル組からは宇崎玲が選出された、シャルは大事をとって辞退したのだろう。

 機体はラファール・リヴァイヴ、パッケージの使用は認められてないため、素のリヴァイヴだ。


「己の無力、思い知るがいい」


 威風堂々とラウラが前へと躍り出た、口上は何か偉そうだが。


「……やってみる。 私と、打鉄弐式で」


 簪組も簪がそのまま選出、レート計算が違うとはいえ、専用機故のアドバンテージも考えたのだろう。


「玉を打ち落とす……? とりあえず、お兄ちゃんに良いところ見せなきゃ」


 美冬組からはそのまま美冬が、大半が専用機持ちの選出が当たり前なのだろうか――と。


「……未来、私が出るの?」

「うん。 セラなら大丈夫!」

「わかった。 じゃあ代表は私で」


 そう告げ、前へ出た未来組代表はセラ・アーカニアン。

 機体はラファール・リヴァイヴを選んでいた。


「未来は出ないんだ……。 でもせっかくだから私は出るよ! 皆、良いかな?」

「勿論だよ、専用機持ちばかりなら此方もだし」


 美春組からは美春が選ばれた、ワクワクしてるのか待ちきれない様子だった。


「……転入したての私で良いのだろうか?」

「勿論! エメラルドさんの実力、皆も見たいし!」

「了解した。 では翠組からは私、E.Eと搭乗機『ウィオラーケウス・デンス』が出る!」


 颯爽とエレンが前へと現れた。

 大半が専用機の中、シャル組と未来組は専用機じゃなく、一般機での出場が注目されていた。


「さぁて! 出場選手が揃い踏みした所で――皆! ISをスタンバって!」


 専用機持ち皆、直ぐ様身に纏う。

 そして――一般機を操る玲とセラもラファール・リヴァイヴを身に纏うと空へと躍り出た。

 誰とも言わず、装置周囲を取り囲む様に立ち位置を決めるや、その場で軽く慣らし機動するために飛翔した。

 感覚が掴めた者から、再度同じ位置へと戻り、全員が戻ると楯無さんはマイク片手に――。


「それでは、ISによる玉打ち落とし……スタート!!」


 開始のブザーが鳴り響くと同時に、競技が始まるのだった。 
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