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この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)

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66聖地セレス

 人間領サッキュバスの巣
 紅魔族領で天使セラフ5から、サッキュバス全員が人間(状態)になれたと聞き、カズマに愛されたか解呪の霊薬を受け取って角と尻尾も取れた。
 万年の呪いも解けて性病に塗れた身体から開放され、カズマの子なら自分のクローン体以外の男の子まで産めるようになり、さらに金星に月が迫っていて大洪水によって現生人類は流されて星ごと滅亡。
 サッキュバスは惑星へと改造されていたセレスを天使から与えられて、新たな人類の母になれると聞いて、親衛隊一同は転移魔法を使って故郷に戻ってきた。

「お母様っ!」
「娘よっ!」
 速報により、惑星上の全サッキュバスの人間化が終了し、洪水と破滅が及ばない星に移転が許されたと聞いていた族長も、大仕事を短期間で成し終えた娘を出迎え固く抱き合った。
 その頃には、オリジナルカズマ保護のため、巣の近くに設置されている羽を生やした天使像、セラフ1の本体が動き出して放送を始めた。
「サッキュバス達よ、もうすぐこの星は滅びる、だが恐れるな、お前たちはあの星、セレスへの移住を許可する」
 天使像の右腕が動き、地球や金星と同じ軌道を巡るセレスを指差した。
 伝承に歌われたサッキュバス安住の地、乳と蜜が流れる楽園へと導かれる時が来たのだと思い、サッキュバスたちは喜んだ。
 まだその地を目指し、荒れ狂う山河や荒海すら存在しない清浄な大地へと導く「運命の王子」の姿は無かったが、誰かの腹に宿っているのだと思えた。
「これより全サッキュバスの巣にゲートを開き、セレスへの道を開く。移住を希望するものは、荷物を持ってゲートを超え、新たな大地で新しい人類の母として暮らすが良い」
 もうサッキュバス達は泣きながら、族長まで一緒に伝承の4番を合唱し始め、運命の王子が清浄(正常?)な大地を指差し、天使に導かれながら一族全てを旅立たせる一説を歌っていた。
「「「「「「「「「「ああ~、ついに万年呪いは解かれ~、運命の王子が現れる。その両目は塞がれていたが、心の瞼は開いて未来を見据え~、その耳は天の声を聞き、新たな大地を指差し、この煉獄から一族を救い出す~」」」」」」」」」」
「「ああっ、ついにこの瞬間がっ!」」
「「「神々よ、天使よ、サッキュバスたちの行く末に祝福あれ」」」
 聖歌の通り、間にあるセリフ?か掛け声まで言って合いの手を入れる族長と娘。

「セレスには魔族も魔獣も設置しない、お前達だけで平和に暮らすのだ、大きな武装もいらん」
 この状況はオリジナルカズマと、セレスへ「連行される」のが決定のコピーカズマも見ていたが、魔族やダークエルフ、エルフ、亜人、紅魔族、ドラゴンの同行は許されていないと知った。
「もし、巣の全員が移住を望むのなら、巣と周囲の畑も転移させてやる、話し合って決めるが良い。残る者がいても、周囲の家ぐらいは残しておく」
 巣の前、セラフ1の下にゲートが開き、異世界が見えた。植生と気温は似ている大地で、恐れもせず飛び込んで行った子供たちや、一番乗りを目指す若者がセレスを見に行った。
「但し、お前達が神殿と呼ぶ装置はここで寿命を終える。サッキュバス製造工場よ、機能停止し自壊せよ」
 最終コマンドを受け取った、夜のお供サッキュバスちゃん製造工場兼サポートセンターは、機能停止を開始して、工場施設が悪用されないよう破壊し、防御施設も自壊した。
『神々よ、天使よ、サッキュバスたちの行く末に祝福あれ!』
 プログラムされていた言葉だが、AIの最後の言葉は何故か聖歌の一節と同じだった。
 地下にあった製造施設や修理施設は爆破され、動力源ごと自爆した。地震が巣を揺るがし、神殿の電子装置や外部カメラにも大電流が流されて全回路焼損し、小さな金属の破片や、セラミックに戻って大地に帰る準備を終えた。

「さあ、お前達は荷物を纏めて兵たちを指揮し、移住の準備を始めるのです。もし… お腹の中に「運命の王子」を宿しているなら、無理をせず療養して、あちらに家が作られるまで待ちなさい」
 優秀な兵士で、戦闘サッキュバスでもあった娘と親衛隊一同に声をかける族長。
 自分の孫に、サッキュバス史上初めて男の子が生まれ、それが運命の王子になると信じている族長は、祖母の顔で母になる娘を労った。
「いえ、一族の一番大事な時です、私だけ休んではいられません」
 今は今生の別れでは無いが、一礼して親衛隊と共に駆けていく族長補佐。その口からは微笑みとともに伝承の5番も漏れ出して歌われていた。
「「「「「ああ、神々に与えられた新たな清浄な大地、そこには魔獣も竜すらおらず荒れ狂う山河すらない、サッキュバスを蔑む者もおらず、誰もが我らを羨み、水底に消える世界から救いを求める」」」」」
 誰が予言したのかは分からないが、1万3千年前からこの世界の終わりと、サッキュバスとインキュバスだけが新しい土地を与えられて、洪水から救われるのを予知し、歌に残していた。
 前回の終わりをそのまま伝えただけなのかも知れない。
 新たな人類となったその子孫が穢れ、邪な心に支配された時、魔族と魔獣が配置され、荒れ狂う海と川も設置される。

 騒ぎが起こっている間に、アクセルの街の族長だった目が悪いサッキュバスのおばあさんが、子供たちに連れられてオリジナルカズマの所にやって来た。
「おお、カズマ殿、どれほど感謝しても足りません。ついに、ついに全てのサッキュバスが呪いを解かれ、新たな大地まで与えられ、人類の母として暮らせるのです。もうこの子たちは呪われた化け物ではありません、人間、の、母とし、おおおっ」
 感極まってその場に泣き崩れて、土下座を超える「五体投地」で感謝されたので、慌てて抱き起こすクズマさん。
「やめてください、俺、僕は何もしてませんよ、親衛隊のみんなが頑張って…」
 クズマは寝転んでいたり、パコパコ交尾して射精して精子を瓶で受けてもらった程度で、天使に改造してもらってからは精子量無限、性欲無限でコピーカズマまで大量生産されて全部の巣に領布?されただけである。
 日持ちしない「解呪の霊薬」なんかも届く前に腐り始めたり、熱処理して精虫が死ぬと効果がなくなるので、風雨にに耐えて運んでも「腐ってしまう前に私が」と泣きながら、配達中のサッキュバスが飲んだり、飛竜が足りず眠らずに苦い実を噛みながら自分で飛んで届けようとしたり、氷室や山に寄って氷とともに持ち込もうとして凍傷を罹ったり、苦労の果に届けたら既にコピーカズマが配達されていたり、苦労の分だけ脱力して膝から崩れ落ちた気の毒な子もいたが、ようやくその苦労も報われる日が来た。
「もう、もう十分です。この婆の長い苦労は全て報われました。この日を迎え、たとえ聖地セレスをこの目で拝めなくとも、婆はここで流されて故郷に骨を埋ずめて新たな旅立ちの贄としましょうぞ」
 もうカズマにしがみついて号泣するお婆さん。
 そこで、ほぼ無言で過ごしていたセラフ3、新人サッキュバスちゃんと同じ顔と身体をした天使がこう言った。
「直れ」
 頭の拘束具が外れたエヴァみたいに、お婆さんの摘出され無くなっていた片目が再生してグリンと回転して、もう片方の緑内障と白内障と黄斑変性と糖尿から来る眼底出血と、性病から来る抵抗力の低下で発現する神経の眼病が一瞬で治って視力が戻った。
 女神でも治せない系統の重度の失明である。

「あ、君、喋れたんだ」
 魔王城で「固定」と言った以外、声を聞いたことがなかったカズマも驚いた。
 基本喋るのが大嫌いな天使らしいが、逆らうと空間座標に固定されて太陽系から時速数百万キロで放逐される。
「目がっ、目が~~~っ!」
 セリフは同じだがムスカ大佐の逆で、目が見えるようにされたお婆さん。
 親切で直してやったのではなく、自分を犠牲に生贄、とか言ったのがムカ付いたらしい。
「セレスを見ろ、あそこで生きろ」
 指を差されて天使に命令されたので、ゲートの向こうの世界を見て、金星ではなく、あちら側で人柱にでもなろうと思えたお婆さん。
「あ、ああっ、あれが聖地……」
 夢遊病者のように手を前に差し出して歩き、目を見開いて瞬きもしないで、涙を流しながら眼球を湿らせて歩く。
 聖帝十字陵の重石に潰される前のシュウみたいに、一瞬だけ見えたのと違い、嫌でも見えるように視力2.0ぐらいにされてしまった。
 セラフ3はツンデレなので心臓とか足が悪いのも直されてしまい、杖を捨てても歩けて自分の足でゲートまで行った。

「そこっ、止まるなっ、戻ってこようとするなっ、全員三列で前にだけ進めっ、荷物を持った者はそのまま向こうに居ろっ!」
 警備に駆り出されている兵士も、そんな状態でやって来る、ゾンビみたいな老婆を止められず、他にも感激しながらやって来るBBAがいたが、サッキュバスも数十年分積もりに積もった呪いや怨念が怖くて、横入りされても止められなかった。
「ああっ、ここが聖地……」
 力を失ってガックリと膝を着いて、地面にキスしようとしたが、後ろから来る奴に踏み潰されるので、兵士に撤去されて列の外に出された。
「許されたサッキュバスが聖地を歩いてゆく… いや、もう呪われたサッキュバスではない、全て人間の女なのだっ」
 お婆さんまで解呪の霊薬を与えられ、今生の名残に上の口からもゴックゴック飲んでオスの精気を吸い、股間からも注射されて角が取れて尻尾も落ちていた。
 流石に生理は上がっていて妊娠はしないが、セラフ3に掛けられた修理呪文?で修復されているので、今後若返って40歳ぐらいのBBAに戻った時、カズマの前にやって来て、嬉しそうに満面の笑顔で陽性反応が出た妊娠検査薬を突きつけられるかも知れない。
 カーチャン年齢どころかバーチャンに子供ができるのは、また違った地獄でもある。

 地面に屈んで口づけをするお婆さんを子供達が囲み、「ここに人がいます」というように手を上げて踏まれないようにした。
 周囲のサッキュバスも下を見ずに歩き、青い空を眺めたり、緑の草花を見たり、緊急事態なので羽を伸ばして空を飛んだ。
 一年中温かく穏やかな証拠に様々な草花が咲き乱れ、荒れ地の土漠に建設された元の巣とは植生が違った。
 鮮やかな色の鳥も飛び交い、その歌声も聞こえ、金星には存在できなかった犬、ネコ、鹿、ウサギ、イタチ、様々な地球産の生物が異世界からも呼ばれて再生されていて蠢き、見たこともない生物が飛んでいるのを見て逃げ出し、獣道を駆けて行った。
 穏やかで温かい良物件であると同時に、事故物件である証拠に、滅亡処理を耐えたセラミック製の建物があり、緑の蔦に囲まれて、サッキュバスの巣と思われる残骸も乗っていた。
「あれは「巣」だっ! あの場所なら神殿もある、祖先の墓だっ!」
 先行の兵士が見つけた遺跡、サッキュバスは事故物件を恐れもせず、巣の残骸の上に巣を設置して、祖先の墓に巣を再建しようと思った。
 サッキュバスにとっては神殿の周りと上が巣である。
 もう天敵もおらず、飛んでいても竜に襲われず、今まで飛ぶことを許されなかった高度を鳥が飛んでいるのを見て、自分たちもその位置にまで飛んでみた。
「高い、今まで蓋をされたように飛べなかった位置まで、ここが聖地だっ!」
 金星のように、オーガスでヨーガスでガルビオンで、上空にシグマバリヤーが張られていて、重油と戦艦だけで戦争していないと、空飛んだ瞬間に衛星軌道からレーザーで打たれる封棄世界とは違い、セレスは地球と同じ自由な世界だった。
 どこかの馬鹿が人力飛行し始めたり、パリ砲とかドーラ列車砲で人工物体を大気圏外や衛星軌道まで打ち上げたりしない限り封鎖されない世界。
 天使が配置されている他の巣でも、聖地、新天地へのゲートが数百キロ先に開いて、長い間天使の使用人として苦労を重ねたサッキュバスたちを楽園へと導いていた。
 
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