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KANON 終わらない悪夢

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36美汐の初体験

 一弥と栞によって倉田本家は陥落した。
 当主のジジイは栞に肋骨をへし折られて暫く寝たきり老人にされ、議員の娘婿も投げ飛ばされて失神。
 一弥と母親は再会して、生前自分のいた部屋に戻ったが、奥さんや母親になって欲しいとまで言われた栞は、貧困の深刻さを教え、ブルジョアどもに蟹工船な生活や同年代の少女の「値段」を教えて恫喝。
 精神年齢が七歳程度の少年の心をズタズタにして完全勝利するという大人げない行動を取った。
 名雪は舞や祐一の妹や娘である重ね合わせの可能性を否定し、恋人でいたいと選んだ。
 選択できる未来はどれも過酷だったが、文化人類学的にもアジアに多い兄妹による国産み神話系統ではなく、キリスト教的なアダムの肋骨から産まれたイブが名雪、悪魔として扱われるリリスなどの役目が舞や別の娘に与えられた。
 何か最終兵器栞さんが「この星はもうだめです」とか言い出して、巨大化して暴れたりフェンリルでギターをベキベキ鳴らしてラグナロックで革命起こして、ギンヌンガガップに大政奉還させられるらしい。

 第三十六話
 倉田家。
「奥様、ちょっと宜しいですか?」
 爺やに呼ばれて、泣き寝入りした一弥を預ける母。息子が懸命に天使の人形と呼ばれる災厄に電話していた件だと思った。
「一弥様の電話先が判りました。天の岩戸と呼ばれる障壁の向こう、私どもが管理しております神社の中から内線を引いた物でした。PBXに登録されてメタル線が二本奥に入っております」
「神社の? さらに奥ですか?」
 ものみの丘を取り囲む、各家が管理する神社のさらに奥、人の入れない領域に潜む災厄の元凶。
 明治以降、廃仏毀釈や神代えで何を祀っていたかすら分からなくなった神社の中でも、丘に埋まっている物、もしくは丘の膨らみ全てに地層が乗った物の入り口を守っていた神社の奥に、人間臭い方法でアナログの有線電話が設置されていた。
「左様です、私どもの手が出せない神域ですが、出入りを監視する程度なら出来ます。その目的は先程簡単にお話しました通り、聖人のような人物は生き残り、一弥様がお嫌いな、悪人や綺麗事を言うだけの人物が生け贄とされるようです。例えば役人ですとか政治家、おっと失礼しました」
「構いません、事実ですから」
 政治家の金や権力への汚さは身を持って知っている母も、あの類の人物が一掃されるならと思いはしたが、それが北海道全域なのか、日本全土に及ぶのか考えただけで震えた。
「八人ほどの巫女を不老不死や精霊にして、一弥様と月宮あゆなる人物の復活、これにどれほどの代償が必要かは私には解りかねますが、各家、分家まで集めて話し合う必要があるかと思います。当主様からは隠居の言質を頂きましたので、奥様がご出席下さい」
 その話し合いが、討伐方法や攻め込む準備の話し合いではなく「命乞い」「誰を残して貰えるのか」といった懇願方法を決める会になるのは想像がついた。
「私より、一弥を当主にして、天使の人形と話し合わせたほうが良いと思いますよ、女の言うことなど誰も聞かないでしょう」
「は、しかし、会議に出られる者も当主も、生者しか認められておりません、生身の肉体のない一弥様は、あちら側の人物として扱われます」
「そうですね、それも仕来りですか? ではオブザーバとして参加が認められるか、神託を伝えるものとして参加を交渉して下さい」
「はい…… それと私見ですが、選ばれた巫女が数人出たと言うことは、天孫降臨や国産みの頃まで戻されるのでは無いかと思われます。月宮直系の神憑りの娘が、おかしな宗派を立ち上げておりますが、あながち間違いでは無いかと、金策してシェルターを作り、聖母と呼ばれる者を選んで相沢様と娶せようとしております。あれこそが次まで生き残れる少数の…」
「お止めなさい、それだけは解っていても言ってはならぬこと。ネゴシエイトの基本から始めましょう。相手の要求、必要な物、何であろうと揃えて見せて、生け贄の娘を捧げ、かしずかせて怒りを収めて来たのが各家の勤め、準備に掛かりましょう」
 切れていた連絡網が二十年ぶりに繋がり、不倶戴天の敵とも手を携えて話し合う時が来た。他家の古参の術者や古老と話ができる爺やが交渉を始め、下位組織の者が集まり、早速第一回会合が予定された。

 秋子の家。
「皆さん、大勢ですから順番にお風呂に行って下さい。部屋割りも決めて下さいね」
 真琴部屋に美汐、旧あゆ部屋には月宮一行でも良かったが、佐祐理お姉さまと舞おねえさまの初夜なので遠慮する一同。
「アタシは記録もありますんで、ここで転がってます、多分寝ません」
「じゃあ、私もここで」
「私も交代で見張りします」
 流石に殺されそうになったり、死の淵まで行ったので眠れないのか、月宮の三人がリビングのソファーで寝るか、自分の変化を記録したり、交代で寝ずの番をするようになった。
 秋子もまさか、この家を爆破して自衛隊か傭兵でも突入して、自動小銃やロケットランチャーを使って自分たちを始末しようとするマヌケはいないと思ったが、一応用心はした。
「真琴は私の部屋で寝なさい、佐祐理さんと舞さんが真琴の部屋。月宮さん達が二階の奥の部屋、天野さんは祐一さんとの初夜ですから一緒に」
「エ?」
 思わぬ場所を寝床として誘導され驚く美汐。嫁入りはしたが、まさか本当に嫁になって夜伽を済ませて、穴という穴は縫われない替わりに一晩中ズボズボご使用になられ、高校ニ年の身で結婚したり開通させられたり受精させられたり妊娠させられるハメになるとは思わなかった。
「ソ、そ、それはまだアリなんですか? 相沢さんとイッショにネルなんて、ワ、わ、私は、そんな器用な真似はできません」
 再び頭の蒸気圧が上がり、加圧水型の発電装置が起動してタービンが回り出す。
「うふふ、恥ずかしがらないでいいんですよ、佐祐理が一緒に天国に連れて行ってあげます、先にお風呂より、ベトベトになった後からの方がいいですね?」
「は?」
 同意しないまま、魔物に支配されている時に術を掛けられ、佐祐理の妹にされてしまっていたが、何やら持っている鞄から100Vの電マとか色々と凶悪なアイテムがはみ出し、どんな天国にイかされるのか想像がついたが、片腕を舞、もう片方を佐祐理にガッシリと固められ、二階に連行されて行く。祐一は今回もカメラ係だった。
「え? 相沢さん、そのビデオは何ですか? カメラまで? 何をするんですか?」
 ナニをするのに決まっているが、未通女い美汐には理解できなかったのか、心の扉が開いていないので心の声も聞いていないのか、何かややこしい出来事が起こっているのにも気付かず、徹底的にエロい事をされてしまう美汐。
「あの? せめて体をキレイにさせてモラエマセンデショウカ? あの、脇とか、足とか、背中とか……」
 高校生らしいオシャレなど一切せず、香里とかと同じように一生恋愛する予定がなかったので、体毛がボーボーのままの美汐。
 脇毛も陰毛も生え始めで薄かったが、スネ毛とか腕毛とか、ババシャツ、全然可愛くないババアブラ、子供パンツなど、見られると困る物件が多数存在した。
「…気にしない、私もそのままだから」
 名雪も食べ終わってヤルことはヤってベッドに転がしているので、猛禽類の顔で次の柔そうな肉に喜ぶ舞。変なスイッチは数年前から佐祐理にガッチリとオンに切り替えられているので、すっかり同じ趣味に走ってしまっていた。
「え~、佐祐理もそのままでしたよ~、あはは~~」
 名雪の部屋では深刻な話をしていたはずが、まあ何か「だいじょうぶですよ」とか純血の妖狐の保証も出たので青春をエンジョイしている佐祐理。
 ジェンダーは逆なので「溜まりに溜まっていた男子高校生が、セックスの味を覚えてしまってサルのようにサカッている状態」と同じになって、地味で真面目そうで、古風で躾が行き届いていそうな純情な少女を、どこまでメチャメチャにしてグッチュグチュにして、これからセックスの虜にして妹として調教してやるか、腕の見せどころになって笑っていた。
「じゃあ、ちょっと騒がしくなるかも知れませんけど、決して覗かないように」
 自分達に割り当てられた部屋に着替えを持って行く月宮一行に声を掛け、舞と佐祐理に割り当てられたの部屋のドアが閉まった。
 何やら陰毛とか羽毛?でも抜かれて鶴の怨返し?の機織りに使われるらしい。
「あっ、何するんですかっ? やめて下さいっ、やっ、ああ~~~っ」
 夜の闇に美汐のエロい鳴き声が響いた。

 倉田家。
(ちわ~、三河屋で~す)
 こちらにも配達に来た天使の人形。既に一弥の侵入を許していたので、魔物への警戒は薄れていたが、ここまでの呪いの塊が入って来たので当主の具合も悪化し、剥製にされていた動物が復活して歩き出し、パプアニューギニアあたりで貰ってきた仮面が「キィアアアアアアッ!」とか叫び出して騒ぎになった。
「あれ? どうしたの天使くん、ここの人も食べに来たの?」
(いや、一弥からの鬼電でね、栞ちゃんが貧乏でお金を持ってなくて援交に誘われたって泣かれたから、お金の配達に来たんだ)
「え? そうなんだ、冗談なのに」
 冗談と言う時、やたら黒い表情だったので、プロレタリアート革命か市民革命でも起こして王族や貴族を断頭台に送ったのが分かった。
 カストルとポルックスのように育った兄弟がヤられたようなので「奴は四天王の中でも最弱の存在」と言いたかったが、あゆと真琴の方が弱かったので自重した。
(はいこれ、いじめっ子のパパが愛人に振り込むはずだったお金。まあ、ここにあるからレイプで訴えられたんだけどね)
 栞は(有)天使の人形、と言う屋号の通帳を渡され、金額を数えた。
「一、十、百、千、万、ええっ? ひゃくまんえんっ!」
(一千万だよ、慰謝料だと思って取っといて)
 栞のお金の桁数は上限六桁プラス一までしか存在しないので、一千万円は認識できなかった。
「こっこっこっ、こんな金額をどうして? どうやって?」
 札束で頬をぶん殴られ、鋼鉄の肉体も悲鳴を上げて膝から崩れた。
(明日には今日の男たちとか、年配のナイスミドルも喜んでくれたから、もう二、三百万ほど振り込んでくれるよ、それとこっちは小学校の頃の校長先生からだ)
「校長先生って「私の生徒にイジメなんてする悪い子はいない、君があの子たちに何かしたんだな? 何をしたか言ってみなさい」って言い切ったバカ?」
(そうそう、自分の生徒が「問題」を起こすのが受け入れられない低能だよ)
 次は(株)天使の先物という屋号の通帳を渡され、同じように金額を数えた。
「一、十、百、千、万、十万、さんびゃくごじゅうまんえんっ!」
(三千五百万だよ、あずき相場に嵌めてやってね、追証を請求して持ち家を二件売らせて、今住んでる家も差し押さえ、退職金も差し押さえてマイナス五千万近くで、丸裸以下にして放り出してやれるよ)
「こっこっこっ、こんな金額をどうして? どうやって?」
 札束で亀甲縛りに縛られ、百万円の束で猿ぐつわされて、札束の鞭でシバかれてビクンビクンしている栞。
(うちの活動資金だけどあげるよ、先物の方はお父さんにでも渡せばいい。舞の魔物が893を壊滅させてから、闇社会は乗っ取れたし、本当の悪人は始末したよ)
 いつの間にか元締めになって、貸しお絞りや足ふきマットを高額でレンタルしたり、トイレットペーパーなども高額販売して、みかじめ料を稼いでいた天使の人形、精神年齢十歳の割には結構できる男になっていた。
「へへ~、旦那様、何でもお申し付け下さいませ」
 すっかりしおらしくなって、手を付いて頭を下げる栞。天使の人形は教科書に載っている魯迅の小説を思い出し、気概天を突くかと思われた栞にも、小作人根性が染み付いているのを悟って悲しくなった。

 天野本家。
 爺やは天野家術者の知り合いの伝手を辿り、ビデオなどの証拠物件を持って非公式な会合に来た。まだ活動している倉田の分家も参加、他家の分家からも古老が集まった。
 こちらにいた月宮関係者は全滅に近かったが、老人の生き残りは会合に参加できた。
「以上が私が水瀬本家で見て来た現状です。純血の妖狐が秋子様、名雪様、沢渡真琴様、相沢祐一様の四柱。精霊化し不死の体を与えられたのが、美坂家の栞様、香里様、天野家の美汐様、我が家の佐祐理様で、川澄舞も同様と思われます。他には月宮真琴以下三名にも巫女としての資格が与えられた模様です。この皆様が岩戸の向こうの神域に篭もられ、ものみの丘が方舟となった時、この世に神罰が与えられ、終りが来るものと思われます」
 天使の人形と名乗る、相沢様の使い魔が災厄を起こし、月宮あゆと一弥を復活させようとしているのが伝えられ。一弥も魔物と化しているが、現状では天使の人形と連絡、交渉できるのは一弥か栞だけで、秋子ですら止められない状況が公表された。
「誰が月宮あゆを殺したか、下手人を差し出さねばなるまい」
「おりもせぬ下手人を探し出し、差し出せと言うか?」
「左様、そうせねばお怒りは収まらず、この世は終わる」
 それは誰なのか、森の管理者なのか、造園業者なのか市町村の責任者なのか、とりあえず全員を捕らえて首を差し出して、その場で処刑されても構わないので集められる手筈が整えられた。
「しかし、倉田から三人、月宮からは蘇る主神と巫女四人、上手くやったな、うちからは一人か」
「悪い冗談だ、それ以上言うな。それにあのおかしな教団を月宮に数えんでくれ」
「まあまあ、考えるにあれが一番正しいのかも知れませんな、巫女や人身御供をできるだけ差し出して、シェルターでも作って生き残れる人数を増やす、皆さんそうなされ」
 そこで会合に出ている一同も、爺やが水をガバガバと飲み、話し合いの始めから見ても、若返っているのに気付いた。
「おぬし、皺が減っておるぞ、皮のたるみも」
「ああ、一弥様に何か術を掛けられたようでしてな、血圧や腰を治してくださるそうですが「もう少し地獄を見てから死ね」とのお達しです」
 目の具合からは、傀儡になっていないのは見て取れたが、災厄の妖狐の側に筒抜けになるのは避けたい一同。
「倉田の、次の当主会合には出席を見合わせてくれんか、すまんの」
「いやいや、気になさらず、それと一弥様は当主様も母上様も倒すおつもりのようでしたが、私には逃げろと仰いました、私は一弥様への人質になれます、ご利用下さい」
「良い覚悟だ、わしらもかくありたいものだな」
「各家、相沢様や名雪様に「願いが届く者」を列記して頂きたい、次回までに資料を」
「天使の人形殿、一弥様には名雪様の仕置きが効きます、一緒に存在できないとまでお聞きましたが、夜中に授業や部活なる物があるようで、その場には月宮あゆ様も同席できるようです、どこまで有効か確かめますので、暫くお待ち下さい」
「うむ、名雪様の一存で止められるなら、それに越した事はない、頼んだぞ」
 学校に草入りしている者を含めて、名雪に差し出す男や「女」を選び、祐一に差し出せる女を増やそうとする古老達。秋子や真琴に差し出せる男も用意され、さらに混乱を極めそうな水瀬家。

 現在の美汐ちゃん。
「はぁ~~、うっ、ああ~~~っ」
 佐祐理の電動マッサージ器とクリキャップで攻められ、カエルがひっくり返ったような格好でビックンビックン痙攣しながら、アヘ顔で悶えている気の毒な美汐さん。
 ビデオにはAV撮影前のような自己紹介も撮られ(本日二回目)、裸にひん剥かれて靴下だけにされ、バスタオルの上に潮を吹きまくってビチャビチャにして、正気を失った辺りで恥ずかしい部分も全部撮影され、まんぐり返しの状態でも電マで責められて、自分の腹や胸、顔にまで潮を吹かされて、カメラのレンズもビチャビチャにして、一回気絶する辺りまで包み隠さず録画されてしまった。
 水瀬家全体に美汐のドーブツのような声が響き渡ったが、名雪はグーグーと睡眠中、他のメンバーは察して、入浴したり瞑想したりしていたが、一人だけ沢渡真琴が嫉妬して邪魔しようと階段を登って行ったが秋子に倒されて眠らされた。
「まあ、初めてなのにこんなに乱れるなんて悪い子ですね」
 自分でヤリまくっておいて、何故か他人事の佐祐理お姉さま。ご自慢の電マもヌレヌレで、感電しないか心配になって休憩させていたが、あの大人しい女の子がここまで乱れて失神するとは思っていなかったので、自分の仕事と道具には満足していた。
「…美汐、すごかった」
「さ、佐祐理さん、俺、もう……」
 朝からヤリまくって種切れのはずが、AVでも見たことがないぐらい、おとなしくて真面目な女の子が目の前でイキまくる所を生で見せられ、月宮一行に飲まされた秘薬の効果も残っているのか、またギンギンになってしまったオットセイくんを出して、我慢汁も出している祐一クン。
「お姉ちゃん、でしょ? 仕方ない子ね、さあ、美汐の処女を破いて上げなさい」
「ああ」
 またマンぐり返しの格好にされてカメラを向けられ、メスの匂いなどしそうになかった子のアソコから、いやらしい匂いがプンプンして、ヨダレを垂らしまくってビチャビチャになった場所を舐めてから、クパァして広げてやる祐一。
 クリキャップの中で大きくなったままの栗と栗鼠がビクビク震え、下のお口の中もパクパクと開閉して、酸素不足の魚みたいに喘いでいた。
「ああっ、天野、凄いよ、こんなになって」
 すぐにでもブチこんでヤリたかったが、目の前のカメラとお姉ちゃんが「破く所も撮影させなさい」と言っていたので、左右の人指し指を二本差し込んでやり、それだけで満タンになった美汐を開いてやった。
「うわあっ、あっ、痛いいっ」
 ほんのすこし正気になり、失神状態から意識を取り戻した美汐。
 視線の上には自分のアソコとお尻があって、今までの人生でここまで足を広げた記憶が無いぐらい足を広げさせられていて、相沢さんに秘所を広げられて、佐祐理おねえさまにはカメラで撮影されている。
 それにどうやら処女膜を破かれて「高校生の男の子が一番興味がある場所」を中まで観察され、物凄いものを見ている目付きで穴が空くほど見られているのも感じた。
「は、恥ずかしいっ、見ないで下さい」
 ここまで滅茶苦茶にされていても、まだ敬語で頼む美汐。手で隠そうとしたが、痙攣して力が抜けていて動かせず、仕方なく左手を引きずって横を向いて顔だけ隠した。
「天野って色白だから、乳首もお尻の穴までピンク色なんだな」
「やっ!」
 もう少しで縫われる所だった穴までじっくり観察され、目を閉じて涙を流すが、指で広げられたり弄くり回されて、羞恥に顔を染める。
「さあ、美汐のお腹に血で名前を書いてあげなさい」
 腹の上に大きく「相沢祐一」、太腿の内側に「倉田佐祐理」「川澄舞」と書かれ、何をしているのか気付かされた美汐。
「そ、それは血印?」
「そうです、今日から貴方は佐祐理たちの物、オ○○コ奴隷になるんです」
「あっ、そんなっ」
『…消えるな』
 美汐には無断で血印が書き込まれ、定着もされてしまった。
 精子の混じっていない綺麗な血だったので、祐一に全部ペロペロされてしまい、股間に垂れ流した精液も、お尻の穴や秘所の中に落ちた血まで全部ペロペロされて思いっきり吸い出されてしまった。
「もうお嫁に行けない」
「天野はもう俺の嫁なんだ、今日から相沢美汐だ」
 祐一に伸し掛かられ、これから何をされるか分かってしまった美汐。もう悲鳴も上げず、自分の命を盗み出してくれた怪盗に全てを捧げ、嫁になる覚悟をした。
「天野っ、入れるぞっ」
「はいっ…… ふわああっ」
 もうヌルヌルのグチュグチュだったので、奥の奥まですんなり受け入れてしまった美汐さん。
 体も小さくて奥行きも短かったのでオットセイくんが届き、これからポルチオ調教されることになった。
「ああっ、美汐っ、奥になんか当たってるっ」
「ひぐうっ」
 奥に当てっているのにさらに押しこまれ、子宮ごと腹の奥や別の内臓に突き上げられ、変な感触に悲鳴を上げる。
 さらにピストン運動を開始され、「あっ」とか「いっ」とか「うっ」と声が出て、他にも突き上げられる度に「はっ」「ひっ」「ふっ」と出てしまうが、先程は「おおおっ」とか「あひいいっ」とか「んほおおおRうぇりおgjskじゃsdっ!」とか言って、潮を吹きまくったような気がするので、それよりはマシだと思えた。
「いいっ、天野の中、気持ちいいぞっ、痛いか、まだ痛いか?」
「はい、少し、痛い、です」
(ああ、天野はヤンデレじゃなかった、良かった)
 そう思っているのは祐一だけの甘い考えで、美汐の手首にはいつもの傷がタップリあって、事実を知らされると簡単に壊れるので、普通の女の子との短い恋愛を楽しむ祐一クンだった。
「美汐、もう出すぞ、中に出すぞっ?」
「えっ? 避妊しないんですか? 私まだ二年生なんですよっ?」
「何だかもう、残り時間が少ないらしいんだ、孕めっ、俺の子を孕めっ」
「あっ、駄目ですっ、まだ、まだっ、ああああっ」
 ガッチリと肩や頭を抑え付けられ、逃げられない状態で子宮口に鈴口を押し当てられて、何かを流し込まれる感触に驚く美汐。
 さすがに精子量が少なくて妊娠しなかったが、前回の生理から数えてバッチリ危険日だったので妊娠を覚悟した。どの道これから数日同じことを繰り返していれば妊娠確実であった。
「は~、は~、酷いです、私、まだ十六歳なんですよ? まだ子供なのに子供を産むなんて」
「お前がママになるんだよ」
 レイプ中に相手が「ママ~~」とか言った時に言うセリフだが、頭を撫でながら優しく言われ、相沢さん改め祐一さんの背中に手を回して、新しい家族で夫の背中を抱きしめた。
(今日から相沢美汐なんだ……)
 本紙記者も思わず昇天、天野美汐嬢の壮絶潮吹きに大満足の巻であった。

 本日の祐一クンの成果は、処女膜七枚と自称処女の経産婦一名の、合計八人と、前に自分でブチ破っていた栞さんと真琴さんになった。
 佐祐理までは妊娠の可能性があったが、それ以降は泡だけとか、秋子ちゃんの口に吸い出されたので空打ちが多かった。

 選択肢
1,祐一が本気で浮気したので、ムカついた舞ちゃんが穢れたバベルの塔でお仕置きしてやる。
2,佐祐理お姉ちゃんが一弥くん(祐一)のアナルバージンを、双頭ディルドーで卒業させてやる。
3,美汐のお婆ちゃんが突入「どれどれ、孫はしっかりやっておりますかな?」と聞いて、腰が抜けている無様な姿を見て交代、純血の妖狐を満足させて一月以内で昇天させたテクニックを披露してもらう。
4,嫉妬した真琴が突入「ゆういちはあたしのなんだからねっ」と言ったものの、佐祐理に抱き締められて撃沈、大輪のユリの花を咲かせる。
 舞ちゃんが早かったので選択「1」

「…祐一、私達の目の前なのに本気でした」
 美汐を抱きしめて、愛おしそうに頬ずりまでする夫?で実の弟を見てムカついた舞は、穢れたバベルの塔にローションを塗り、祐一クンのケツの*にも突き立ててローションを中に出した。
「エッ? ナニシテルノ? エッ?」
 突然の出来事に対応できなかった祐一クンは、舞お姉ちゃんに後ろから乗られて尻と骨盤を捕まれ、ア*ルに大きな栗と栗鼠を宛てがわれた。
「らっ、らめえええええっ!」
 哀れな祐一くんの悲鳴が上がったが、それも長くは続かなかった。
「アッ~~~~~~~~~~~~~!」
「あはは~~」
 祐一クンの処女?喪失の瞬間であった。双頭ディルドーを装着していた佐祐理お姉ちゃんにも笑われて、美汐ちゃん、祐一クン、舞ちゃんが連結され、美汐の中にも心の声が届き、半年後に自分たちの肉体は消えているかもしれないと伝えられた。
「え? そんなっ、こんな未来が?」
 自分の夫が後ろから異母姉に犯されている異常事態にも驚いたが、このままでは約束の日が来て人類は滅び、祐一の嫁に選ばれた九人は生き残って、純血の妖狐である四人と共に神域である、ものみの丘の天の岩戸の向こうに入って災厄を逃れるのだと知らされた。
(六十億分の九人? そんな……)
 天野の家や月宮の里からも嫁を出され、多少増えるにしても生き残れる数が少なすぎて震える美汐。
 隆山に降りたプレデターの宇宙船で、鬼の四姉妹と従兄弟の少年も生き残るはずだが、世界各地に方舟があっても、トバ火山以降のように千組のカップル程度しか生き残れない。
「あ、相沢さん、こんな緊急事態に、ナニを大きくしてるんですかっ?」
「…祐一っ、ここがいいのっ? これが気持ちいいのねっ? もっと? こう? コレが良いのねっ?」
「らめえっ、んほおおっ」
 興奮した姉に、まだ未発達で開発されていない前立腺を責め立てられ、達したばかりなのに美汐の中で大きくなってしまうオットセイくん。
 今までとは違った感触に来てしまい、これまでの危機で妖狐としての本能?で体が準備を始め、舞の栗と栗鼠を受け止めたらしい。
「…あああっ、祐一の中、熱くてギチギチに締まって気持ちいいっ、もう出すよっ、中に出すよっ、実の弟の中に一杯出すよっ?」
「だめえっ、中にだけは出さないでっ、赤ちゃんできちゃうっ」
「…ああっ、出るっ、もう出るっ、ああああっ!」
「らめえええっ!」
「あはは~~~っ」
 先程まで祐一クンの処女喪失をクスクス笑って見ていた佐祐理の目の前で舞にタップリ中田氏され、その悲鳴も聞かれて爆笑されてしまった。
 多分純血の妖狐にだけ存在する器官に舞の卵子を中出しされると、ヤヲイ穴かどこかで妊娠してしまうらしい。
「あっ、天野っ、俺も出るっ」
「え? はい」
 二度目の膣内射精だったので驚かず、祐一の背後の姉に驚きながらトコロテン状態で出される物を受け止める美汐ちゃん。
 変な初体験になってしまったが、祐一のメスの顔を見て、ドライオーガズムの顔も見れたので、また別の意味で有意義な体験であった。

 その後「実の弟との近親相姦?」に興奮した舞にもう一回ヤラれてしまい、さらに佐祐理お姉ちゃんにも双頭ディルドーでヤラれて、「一弥っ、ここが良いのねっ? ここっ? こうっ、こうなのね?」「カヒューン、止めだけは刺さないで」と何度も何度もメスイキさせられ、即落ちさせられてしまった祐一クン。
 その間、空撃ちしないよう美汐さんも下で付き合わされ、お胤は空なのに四、五回中田氏されてしまった。
「一弥、明日からはコレを着けなさい」
 佐祐理から渡されたのは「エネマグラ」だった。それはおしりの*に入れて前立腺を刺激し、男の身でありながら女性と同じドライオーガズムを体感できるよう肉体改造する器具であり、続いてア*ル拡張器具でホグしていけば、佐祐理お姉ちゃんが双頭ディルドーかペニスバンドを付けてバックから祐一を攻め立て、尻肉をパンパン言わせながら姉弟逆転の激しいプレイを可能にする第一歩であった。
「えっ?」
 ネットやドライオーガズムと言う言葉が普及していない時代、取説と使用法を見てドン引きする祐一だったが、やはり姉が「ねこさ~ん」ではなくタチの人で、女の子を多数はべらせて楽しむ、お嬢様系ビッチなのに気付いた。
「ネエサン、コレ何?」
「うふっ、一弥の男の子の穴を鍛える道具ですよ、慣れたらコレも使いなさい」
 さらに剥き出しの15連アナルビーズも渡された。佐祐理お姉ちゃん愛用の品で、舞お姉ちゃんにもご使用になった業物らしく、ちょっとクンクンペロペロしてみたくなったが、綺麗に洗われていて匂いはせず、二人のお姉ちゃんは「拡張済み」なのか不要になった細身の品を貸与された。
(ボク、これからお姉ちゃん達にヤラれちゃうんだ……)
 今後のお姉ちゃんとの激しいプレイに心をときめかせ、おしりが疼いてしまう祐一クンだったが、そのホルモン分泌の副作用は「太いの頂戴」「もっとあったかいのが欲しい」で「ガチホモ」になって「ハッテン場」デビュー、さらにどこかの掲示板に書き込みをしている最中に誤爆して「その野太いチ*ポを俺にブチ込んで下さい」「すみません、誤爆しました」などと書いてしまう男になるのが問題だった。
 もしくは「もっと綺麗になりたい」「可愛くなりたい」で「女装」「男の娘化」して、北川くんに色目を使うような男子?になる可能性があるので、お姉さん方には管理を徹底して頂きたいものである。

 秋子や真琴二人、数人が入浴を済ませ、足腰が立たない祐一美汐組は後になり、佐祐理、舞組も入浴した。
 そこで、予知能力など無くても、この家で聞こえる心の声を統合すると、世間がかなり危険な状態に陥っているのに気付く者も出て来た。
(あれ? もしかして人類って滅ぼされんの? 逆に生き残れるのってアタシらだけ?)
 里のババアとか、教団に預けている病気の妹とか、全部消されてしまいそうで怖くなる座古。
 特に舞から聞こえる話の内容が嫌すぎて、佐祐理も秋子も全く否定していない。
「イザナギとかイザナミって何だよ? こんなご時世に聞くセリフじゃないだろ? リリスとか何もんだよっ?」
「お母様も言ってたわ「選ばれた巫女と聖母が方舟に乗り、次の世の母となる」って」
 教団は信用していなくても、教主の予言は本当に当たってしまうので更に怖くなるが、妖狐の使い魔風情がそこまでできるとは考えられなかった。
「妖狐が災厄を持ってくるんじゃないのよ、いつも人間が何か悪さをして、天罰が振りかかるのよ、貴方ならよく知ってるでしょ」
「ああ……」
 伝承でも、いつもどこかのマヌケが何か仕出かして、災厄が「宜しくニキー、ドサーー」と降りてくるのが普通である。
 今回は何をしたのか、何かをさせられるのか考えてみた。
(あゆって奴を助けようとしたのに、妹と一緒で病院たらい回しで、金にならなくなったら世話する奴もいないのに「退院しろ」って言われたんだろうな。クソ役人も「あれもできません、これもできません、そんなことできるはずがありません」って言いやがって、自分の仕事なのにほっぽり出して門前払いとかやりやがったんだろうな、まああいつらは一回死んどけ)
 命のローソクのような物の残りが存在しない、あの場で死んでいたはずの人物を無理に生かしていた代償。
 他人の命を削って下からローソクを継ぎ足すような反則技の代償として、命を奪われる存在は、生きていても仕方がない腐った人物が選ばれた。
(あれ? 何でアタシ、こんなこと知ってるんだ?)
 天使の人形側の思考を知り、災厄のシステムも利用して口減らしが行われ、低能やクズの削除もされる計画の一部を見せられ、情報源が分からず混乱する。
(まさか、アタシの中の?)
(そうだ、せっかく祐一と一つになって暮らしていたのに、お前が邪魔をした。まあ佐祐理の言葉だから聞いてやるが、お前にはこれから碌でもない物を沢山見せてやる)
 舞の使い魔に体の中から話しかけられゾッとしたが、早くも樹の精霊の効果で自分が何かのネットワークに接続され、粘菌、根の周りを構成する菌類、樹木、草、色々な物の記憶や、聞こえた音や思考を耳にしているのにも気付き、記録するためメモに飛びついた。
「アタシはもう、何かに繋がれてるみたいだ、自分が知っているはずのない事まで聞こえてる」
「え?」
 汚物を下水に流すような大規模な水害は「二度としない」と聖書にも書かれたので実行されなかったが、疫病、火山噴火、地震、隕石の落下、大津波を起こせる島や山の崩壊、様々なイベントが予定されていて、何かの選択肢を誤るとそこに辿り着き、重ね合わせの予測や予定が交差した時に観測され実現するのも知った。
「お嬢だって風の精霊が入ってるんだから、なんか分からない所につながってるはずだ。ヤバイ、まずい、これは聞いちゃいけない話だ、すまん、暫く話しかけないでくれるか?」
 真っ青な顔をして頭を抱え、ふらつきながら着替えを持って移動する親友を見て、声をかける一同。
「危ないのは貴方の方よ、一体何言ってるの?」
「体の中で何か起こっているようだ、自由にさせてやろう」
 体が燃え盛り、消化できない炎で焼かれている少女は、相手も似たような状態なのだと察して邪魔しないようにした。
「暫く一人にしてくれ、風呂にでも行ってから二階にいる、寝る時は交代しよう」
 使い魔に体を改造され、早くもおかしくなった少女が一人退出した。

 祐一の部屋。
 お姉さまと相沢さんとも結ばれてしまった美汐は、まだ脱力したままでピロートークをしていた。
「相沢さん、いえ、祐一さん、これで私達は夫婦なんですよね? でも、私って何番目の夫人なんですか?」
「エ?」
 痛いところを突かれ、返答に窮するが、一応何番目か数えてみる。
(えっと、第一夫人は秋子さんで? 次は佐祐理さん? 舞は姉だから外して、初恋の真琴? 栞、妖狐の真琴、香里、名雪はどの辺りだ?)
「もういいです、月宮の三人は「純血の妖狐のお胤だけ頂戴」って人ですね? 私もその枠ですか?」
 何か体も繋がったせいか、心の声も通ったようで、色々とダダ漏れの祐一クンの声。
 目の前のクォーターの少女は、結構怖い目付きで睨み付けてきた。
「いや違うぞ、天野は良く出来た子だし、嘘も付かないし性格も良い、あの真琴のアホの面倒でも見れるし、香里とか栞とか月宮真琴とか嘘しか言わないような奴よりは上だ」
「へえ、そうなんですか」
 どこかの栞さんぐらい機嫌が悪い美汐さんは、ゴージャスさゆりんの固有結界から出ると、さっきのようなラブラブな雰囲気が消えた。
「川澄さんって、祐一さんのお姉さんだったんですね、その人とも愛し合って、さっきも姉弟で有り得ない事してましたよね? 祐一さんはあれが普通なんですか?」
「うぐう」
「うぐうじゃありませんっ、これからどうするんですかっ? 奥さん十人以上のハーレムですかっ? どこの王様ですっ」
 まためっさ怒られた。
「えっと? 何だかイザナギがどうこうしてイザナミが名雪で? リリスが舞だそうなんだ。それから? 秋子さんと名雪が重なってて、あれ? 今は舞が仮のイザナミで……」
「もういいです、分かってないなら説明されても分かりません。後で川澄さんにでも聞きます」
「はい……」
 詳細も説明できず、普通に愛しあったのでもなく、姉やお姉さまにガチ掘りされて「んほおおおっ!」とか言って即落ちしたような男を信用できず、一生の伴侶とも認められない美汐は、祐一に見切りをつけて身支度を始め、お姉さま方の乳欲中に乱入して話を聞こうとした。
(バスタオルは……)
 自分の下に置いてあったバスタオルは、自分が「んほおおっ」とか言って二枚もビチャビチャにしてしまったので使えず、佐祐理が置いて行った浴衣やハンドタオルを持って、足の間にまだ何か挟まっている感触を堪えながらヒョコヒョコ歩いて行った。

 風呂場。
「ああっ、舞と繋がってるっ、いいっ」
「…佐祐理、これがいいのっ? こうっ?」
 ドアを開けようかと思ったが、石鹸でも使ってスムースインしちゃってるらしく、入っても会話は不可能らしいので諦めて出た。
(ここはもうレズビアンの館ですね)
 自分もその一員なのだが、お姉さま方のプレイには入れず、リビングに戻ろうとした。

 そこで来客があったらしく、玄関の方で何か話す人物がいたので見てみると、祖母と家の者が立っていた。
「孫がお世話になったようですので、嫁入り道具でもありませぬが、美汐の身の回りの物をお持ちしました。お納め下さい」
「お婆ちゃん?」
 どうやら近くで「美汐がヤリ終わる」のを待っていたようで、自宅から制服や鞄、筆記用具、着替えや体操服まで持ち込まれた。
(もう帰れないんだ……)
 嫁入りしたのを母も認めたらしく、本当に必要な物まで持たせたようで、カラーボックスに愛読書や、思い出の少年との記念品まで見えた。
「おお、美汐か、もう使い魔は抜けたそうだの、大丈夫なのか?」
「ええ、何でも使い魔じゃなくて精霊になってたらしくて、私は強化されて不老不死になったそうなの」
「なんと、そのような話、伝承にも無いぞ?」
「皆さんの話だと、巫女に選ばれたとか、岩戸に入って方舟に乗るとか? 詳しくは聞いてないんだけど大変なことになってるみたい」
 その話を聞いても驚かず、事前に会合の結果も、魔物の移動を記録したビデオも見ていると思われるお婆さん。
「もう知ってるのね?」
「ああ、倉田の爺さんが教えてくれた、あやつも若返っておったわ」
 深刻な話で会話が途切れたので、茶でも出そうとポットや急須に手をかけて準備すると、祐一も降りて来て挨拶をした。
「婿殿、美汐はお勤めを果たせましたかな、色恋など何も知らぬ子で、さぞ面倒をお掛けしたでしょう」
「いえ、お孫さんはしっかりした人ですので何も……」
 佐祐理お姉さまと舞お姉様に滅茶苦茶にされてしまったのは言えず、口籠ると、お婆さんは言ってはならないような大問題を口にした。
『さて美汐、お前には伝えねばならんことがある、七年前、お前が死に別れたと思っておる妖狐の子、あれは相沢様の使い魔だったのじゃ』
「へ?」
 一瞬理解できなかったのか、美汐も疑問符を浮かべていたが、次第に雰囲気が怪しくなって来て、その首がギギギギギと音を立てて祐一の方向を向いた時には、光彩に光がないレイプ目だった目に怪しい光が宿り、佐祐理ぐらい病んだ目に変貌していた。
『婿殿を見て気付かなんだか? 声も、匂いも? そうか、あの頃は心の声は聞こえんかったの、見かけは少々違うが、この子は7年前、お前と一緒になった妖狐の子じゃ』
 その時、美汐が取った行動とは?
 ガシャーンッ!
 まず、手に持っていたお盆と湯飲みを力無く落とす。
「ゆうくん……」
「は?」
 その瞳には、次第に大粒の涙が盛り上がって来て、視線は祐一にロックオンしたまま、信じられないと言いたげに口を押さえ、首を左右に振る。
「ゆ~~~く~~~~~んっ!!」
 祐一にはその動きが分解写真のように見えていたが、普通人なら、ほぼ瞬間移動にしか見えないスピードでダッシュして来た美汐は、足元も見ないで、熱いお茶や陶器の破片も気にせず、一直線に祐一の胸に飛び込んだ。
「会いたかったっ、ずっと会いたかったのっ! うわあああ~~~っ!!」
 その勢いで後ろに押し倒されたが、後頭部は美汐の両腕に守られ、魔物の腕力でガッチリと抑えられ、逃げることも動くことも出来ない状態で拘束された。
 もちろんその間、祖母、秋子、真琴、などのギャラリーは、完全にアウトオブ眼中で泣き叫ぶ。
(ゆう君って何だ? もしかして俺の事か?)
「何してんのよ美汐っ、祐一はアタシのなんだからねっ、ちょっとぉ」
「うあああっ! あああ~~~~~っ!!」
 同じ7年でも、捨てられたと思って恨んで過ごした7年と、生木を裂くように引き裂かれ、相手が死んだと思い、どんどん思い出が純化されて来た7年では、天と地ほどの開きがあった。
「良かった、良かったのう美汐」
 年を取って涙もろくなっただけでなく、可愛い孫が喜ぶ姿を見て貰い泣きするお婆さん。
 今までこの話を公表するのは禁止されていたが、美汐が祐一の意思で嫁入りして、夜伽を済ませた時点で解禁となった。
「ゆうくんっ、ゆうく~~ん!」

 それからしばらく、話もできなかった美汐だが、お婆さんからも祐一が消えないと言い聞かされると、次第に落ち着きを取り戻した。
「ほんとっ? もうどこにも、グスッ、行ったりしない? うっ、私の前から、消えたりしない?」
「ああ、学校とかは行くけど、消えたりなんかしない、安心しろよ」
「嫌っ、ずっとここにいてっ」 
「無茶言うなよ、おい、そんなにくっついたら、胸が」
「ゆうくんは嫌? 昔はずっとこうだったじゃない、それに私の事はまた「みーちゃん」って呼んで」
 ずっと敬語でガチガチの喋り方をしていた美汐は、いきなりタメ口、それも「ゆうくん、みーちゃん」の間柄になってしまった。
「…………」
「でも、帰って来てくれたんだ、うれしいっ、夢みたいっ」
 以前の焦点の定まらない死んだような目ではなく、今度は逆に祐一以外は背景も真琴も、何も見えていない眼で見据える美汐。
 目の下に力が入った病んだ目は、目の下にクマと言うより、悪役線でも入っているように見えた。
(結局、天野もヤンデレだったんだ……)
 手首の傷や、今の凄まじい目付きから見ても、ヤンデレと表現する以外に無い美汐の表情。それは佐祐理が記録したバッケンレコードを更新し、最長不倒距離に到達した

 あゆちゃんのゆめのなか。
(おめでとう、美汐ちゃん)
 天使の人形の一部である、美汐の祐一も再会を喜び、祝福していた。
(でも再会しないほうが幸せだったかもしれないね)
 これから起こる悲惨な出来事を想像し、何の希望も支えも幸せもなく、そのまま消えて行ったほうが楽なのを思い、気の毒になる。
(でも、嫌になったら死ねるよ、大地と一体になって消えればいい、不滅じゃないからね)
 人間の弱い心を持ったまま、永遠に生きるのを強制せず、耐えられなくなった時には死ねる美汐。佐祐理や舞にはそれが与えられなかったらしい。
 
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