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この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)

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37市民革命前夜


 新人サッキュバスちゃんとは、何の打算も無く、ただ愛してくれて抱き合って、子供までできるのが幸せで泣くカズマ。
 隣ではGATEに出て来るボーパルバニーのお姫様みたいな女が、呪いの籠った目で二人を見ていた。

 事後の処理も、サッキュバス達からは敬意を持って扱われ、あふれた精子は採取され瓶詰めされた。
「カズマさん、この子たちともしてあげてください、この日のため、カズマさんと結ばれるのを夢見て来た子です」
 もうサッキュバス達は解放されて自由になったはずなのだが、次々に送り込まれる志願者の若いサッキュバス達は、伝承に歌われたカズマと交尾して子供をもうけるのが名誉であり、多くの志願者の中から選抜された、美人で有能な女達であった。
 処女も捧げて精を受けて身籠り、あふれ出た精液は瓶詰めして、他の巣に運んで「解呪の霊薬」を希釈して全員に受け止めさせ、万年の呪いを解いてやり、できれば受精させて、カズマの子を産み育てるまでが使命である。
「え? うん……」
 それが愛なのか憧れだけなのかは分からなかったが、ダークエルフの姫のような打算と野望に満ち溢れ、復讐心の塊を持ちながら乙女を捧げて子を孕み、その子までも復讐の道具として育てようと思っている怖い女とは違ったので受け入れた。
 一万年に渡ってクズ遺伝子を削除し続けたインキュバスと、免疫以外は自分のクローン体を産み、良好な遺伝だけを残し続けたサッキュバスなら、カズマのダメ遺伝子でもそこそこの子が誕生する。

「うむ、サッキュバスは良くやっているな、その調子でカズマ様の子を増やすのだ」
「「はい、天使様」」
 族長補佐も新人サッキュバスも既に天使に懐柔され、サッキュバスが産んだ子で世界を満たし、新世界の母とするのを約束していた。
 女ごとに空手形を二重三重に乱発する酷い天使達であった。
「Y染色体アダムであるカズマ様がいれば、遺伝子の多様性などいらん、箱庭の中の生物は、お前たちの染色体から良い所を取り出して交換修復すれば良いだけのことだ。優秀な子などいらんぞ、健康で丈夫であれば、新しい発見などしないのが最高だ」
「「お任せください」」
 サッキュバスには理解不能な単語を話す天使だが、生まれてくる子はカズマみたいなどうしようもないニートで良く、サッキュバスのようなアホの子で十分と言った天使。
 ほんの少し人口が密集しただけで、鉄や青銅に金や銀を張り付けるのに酸で洗うのを覚え、酸と金銀銅が入ったままの壺に金属を入れると軽くメッキが出来たりする。
 酸が入った壺を鉄や銅の線で繋ぐと電気が流れて泡も出て、イオンや電位差で金属被膜が生成されたりすると「電池が発見された」「メッキ加工が開発された」として、魔法が関与していない、ほんの数ボルトの電気が流れただけでも警報が鳴って、下級天使が出動し工場の町ごと壊滅させる。
「サキュ子、天使はああ言っているが信用しない方が良いぞ、サッキュバスも不要になればすぐに消される、せめてお前だけでもカズマ様の子を残して生き残るのだ。頼んだぞ」
「え? どうしてですか?」
 優秀で猜疑心も強く、天使を疑ってしまう族長補佐は、自分も長生きできないのを悟っていた。
 それに比べ、能天気で相手の言葉を額面通り受け止めるアホの子は、逆に結構長生きできるのではないかと思えた。
「サッキュバスの巣に売り込みに来る商人たちも、数十人を一度に倒せる石弓(ボウガン)を持って来たが、それ以上を持ってくると言った者は連絡が取れなくなった。下級天使に消されたのだろう。男手が無いサッキュバスには新しい武器を作る者もいないが、消される者もいなかった訳だ」
 当然このような会話も、HAL9000先輩のように、赤い消火設備のようなランプから監視され、言った内容も仕草も唇の動きまで録画されてAIに報告された。
「そうなんですか?」
 硝石を火薬にして、ライフルや大砲の基礎を作ったりすると、見聞きした人物まで消滅。サッキュバスは完成品にしか興味が無く、新作の試作品をテストして指を吹き飛ばすリスクを冒す気は無かったので助かっていた。
 水車、風車までは許しても、もちろん蒸気機関の基礎でも作れば一族郎党遺伝的に死刑。
 もう星ごと滅ぶような悲劇も兵器も必要ないので、どんな原理で動いているか分からない「魔法」で戦争したり治療していれば良く、天才も秀才も勤勉な若者も必要ない。
 天候はコントロールされているので、大規模火山の噴火で夏が来ない年も無く、必要な分だけ作物を収穫し、後は食べて飲んで遊んでいれば済むので、快楽志向の物がいれば十分。
 新規開拓傾向の塊のような冒険者も不要、未登頂の山を登りたがる登山者や、新大陸を発見する航海術や「世界の果てを見たい」と思う冒険心など以ての外。
 生まれた土地で死に、街に働きに出る以上の移動も無く、馬車や竜以上の移動方法が開発されると下級天使が出動する。
 竜が引いて運ぶ籠に、乗り心地のために滑空しても安定する翼を着けるのまでは許されても、グライダーに動力を着けたりすると、見物した人物も城塞ごと問答無用で滅ぶ。
 人力で飛行するものが現れれば、どっかの重油と戦艦だけで戦争してる世界みたいに飛行機械を作成して飛ばすと人工衛星からレーザー攻撃されて落とされ、ガルビオンみたいなシグマバリヤーで地表を覆われて、オーガスな世界で飛行物体も150メートル以上飛べないよう管理されていた。

 人間世界
 招集された残りのロリ女王様八人が、魔族領にいる二人とテレビ電話で会議して、王族や貴族を滅ぼすために活動を始めた。
「皆さんごきげんよう、この機械を見れば分かるように、カズマ様や私たちは天使の守護を受けています。この力を持って私達農民やプロレタリアートの人生を弄んで来た王政を倒し、カズマ様から教えて頂いた理想郷、民主主義、資本主義の世界を打ち立てる時が来ました」
「「「ええ、お姉さま」」」
 大商人や貴族のバックアップがあったので、民衆を扇動して動かすには十分な人員と資金力を持っているロリ女王様達。
 少女達の人生を弄んだり、科学も技術も文明も政治も発達させなかったのは天使達だったが、取り合えず王政を打破して、貧民にも愛や食べ物を与えてくれるカズマのような人物を王にしたいと思っていた少女達は、簡単に天使に付け込まれて洗脳され、本来持ちえない知識を刷り込まれた。
「貴方達の所にも大きな天使像が向かい、天使の皆様もそちらに行かれます。仲間である証拠に、私と同じ顔をした、こちらの方と、女神アクア様と同じ顔をした、この天使様が向かいます」
 黒髪のロリ女王様と同じ、細い体と足をした赤毛の天使と、銀のアクアとして出したボディーを流用し、天使の分隊として送り出し、半分の六体が人間界に送り込まれた。
 魔族領より広い世界である人間世界に、六体では不足するが、紅魔族にもめぐみんと同じ顔をした天使が趣き支配を始めて、ドラゴン領にもドラゴンの少女と同じ顔をした天使セラフ1がいた。
「ではお待ちしております」
 アクアと同じように、招集される時にゲートを越え、どこでもドア方式で移動させられたロリ女王様は、元の体を「げんしはかいじゅう」で粉砕されて、プリントアウトされる時にチート情報も加えられ、知識や知能、耐久力は上げた状態で出されたが、迫害された者だけが持つような美しい心など持ち合わせてはいなかった。
 人間は五歳までに十分なタンパク質を与えられて脳を形成しないと高い知能は確立されず、養分も少なければ野生動物のように周囲全部が食料を奪い合う敵対者と思うようになり、他人に対しての敬意や愛情を持てず、暴力と迫害や搾取だけの関係を形成するサディストとして作り上げられ、その後も食料が無ければ、バッタがイナゴに変わるように、仲間とも共食いして死ぬまで闘う鬼のような、蟲毒の壺の中の化け物になると言われる。
 貧しい農家の少女は、正常な知能や優しさも持ち合わせておらず、仲間を殺して破滅して集団自殺して個体数を減らすレミングのような衝動に満ち、イナゴのように茶色い悪魔の羽根を生やして飛び立ち、無数の世界を自滅させ食い荒らして滅ぼそうとしていた。
「天使様のお望みは、醜い人類と魔族を極力減らし、カズマ様のような優しい人物の子で世界を満たすことです。歯向かう者はあなた方の「椅子」であろうと容赦してはいけません、すべて粛清廃棄するのです」
「ええ、分かりました、うふふふふふ」
 いくつかの酵素のスイッチや脳の配線を変更され、現生人類や王族貴族の全てを粛清するのが目的だと書き換えられている女王様たち。椅子になっている貴族や商人も自由意思を失って絶対服従に書き換えられた。
 本来の人間とはスタンフォード監獄実験やアブグレイブ刑務所で立証されたように、与えられた役割を忠実にこなすペルソナを形成して、与えられた権限を越えてでも被害者をより苛烈に裁こうとする本質を持つ。
 アガペーを持つ人物は、余程苦労して他者の痛みを自分の痛みとして理解できるようになった人物か、悪事を行って利益を得る方法を考える回路や、利己的な遺伝子に反する生き方を選ぶよう創生されたマゾヒストで、欠陥がある障碍者である。
 ホロコースト中も「ユダヤ人を救って逃がす」などと考えた人間は、余程恵まれた環境で育ったか、ヨーロッパ在住者ではない人物か、欠損を持つ障害者である。
 マザーテレサのような聖人も、病人や貧しい人物をイエスキリストと同一視して救ったものの、政治や独裁で迫害された人物を認識できなかっり、まじないや「宗教」を信じて薬品による治療や鎮痛を無視した、ある種の認知障害を持った人物だと判定されている。
 愛などと呼ばれる嘘は、すべてを持ち合わせて産まれ、人生でただの一日も食事を欠かさず摂り続けた恵まれた者だけが持つ幻想であり「これからも同じような世界が続きますように」と考えた事しか無い人物の妄想や願望で、ドブや便器の中で生まれ「こんな世界、今すぐに滅びてしまえ」と思い続けて生かされて、泥の中を這いずっている者の思考では無い。
 古代ローマ時代の売春宿の下水には、資産価値が無い男児の嬰児の遺体の骨で敷き詰められている。

「俺の子は去年餓死したっ! 役人どもが作物を全部持って行ったせいだっ! 麦の出来が悪くても「隠している」だのなんだの抜かして、うちの畑ではこれだけできるのが普通だと言って持って行きやがったからだっ!」
 街頭や集会所には本当に被害に遭った青年が立ち、疫病や不作、病死や餓死した子供の被害を訴えて仲間を増殖させていった。
「うちの子もそうだっ! 流行り病にかかったのに粥も食わしてやれずに弱り切って死んだんだっ!」
、反政府活動をして獄中に繋がれていた人物も天使が取り出して開放され、街中で演説させてアジテーションさせ、王政によって子供が飢え死んだり災害や疫病で子供を失ったような人物が集められ、市民の暴動に繋がって行った。
 多数の人間がイナゴやレミングのように頭のスイッチをオンに切り替えられたので、少数の兵士が来た所で解散させられず、薄給で雇われているだけの兵士に数十倍の住民の中で決死の活動をするような理由も意味も無く、逆に下級兵士の家族も同じ目に合っていたので、上官や役人を殺して反逆して住民の仲間に入れば英雄として扱われ、主導権も握れるので、部隊ごと反逆する兵士も現れた。
「アクセルの街に預言者が現れたそうだ。女神を連れてこの世界に下生して、サッキュバス全員の呪いを解いてから魔族領に天使を呼び出して、次から次に住民を「解放」してるらしい」
 噂を流す人物も、カズマの行動を神格化して叫び、その「解放」が絶滅だとは教えられずに、貧しい住民を解放して王や貴族を粛清していると伝えられた。
 明治の革命前夜のように、ラッ破、スッ破と呼ばれる忍者もどきが街に放たれ「牛が産んだ子と一緒に天の御札が表れてカズマ様は天子だと出た、天の御使いを王に」と神託が下されたと言いふらし、町中で奇声を上げて踊りだし「ええじゃないか」運動を起こし、諸星大二郎翻訳による「ドンマイダンス」が広まっていった。

 やがてその運動はアクセルの街にも及び、リッチーのウィズの目にも留まった。
「「「「「ドンマイ、ドンマイ」」」」」
(おかしい、アクア様が地上に来てから何かがおかしい、魔族との戦争どころじゃない何かが起こってる)
 冒険者の街ですら終末思想が支配して、昼間から酒を飲んで踊る男女がいた。農民まで田畑を捨てて、お伊勢参りならぬエリス様参りをして、アクシズ教徒は温泉町を目指した。
 サッキュバス達はカズマと天使の下僕なので、昼間の街中に現れて酒を振舞ってドンマイダンスを煽っていた。
 その中の数人は工作員で、ウィズが問い詰めても魔法で聞き出しても「雇われてやっている」以上の話は聞き出せなかった。
 アクアの家を訪ねても留守だったが、天使の気配がして、その薄汚い思考や、ジャイアントトードの小便よりも汚く臭い匂いが漂っていたので最悪の事態を予測した。
(天使が来てるっ! それも魔法が通じる下級天使じゃなくて、もっと上の化け物たちが)
 何度か下級天使と対戦し、城塞の救助要請から神罰の執行、街の破滅までの失敗クエストを何度も見せられて来たウィズは、悪魔の匂いに反応するアクアとは逆に天使の臭い匂いには敏感で、思い人の死にも繋がった過去の思い出を甦えらせた。
「fkdぎうぇいお;jcvg;だあhがあggtdf巨頭ヲ」
「え? 何を言ってるの?」
 街に戻ったウィズは、アクセルの冒険者仲間の会話が聞き取れなくなり、一瞬自分に異常が起こったのかと思ったが、過去の文献で一つだけ思い当たる節があって気分が悪くなった。
(バベルの塔……)
 人間の言語中枢を集団で書き換え、会話を不能にする塔の存在。それが起動したようでウィズとアクセルの住民との会話は不可能になった。
 住民同士の会話は続いていて混乱は起きていない様なので、最悪の結果「リッチの自分だけが書き換えできずに取り残された」と思い至り、言葉が通じない街を去ってアクアやカズマを追う決心をした。
 多分、予想するまでもなく、言語以外の色々な思考が書き換えられてしまい、好戦的にされたか排他的にされて、言葉の通じない者や信仰の違う者など受け入れない狂信者に変えられている。
 今まで魔族まで同じ言語で会話し、この移動速度が遅い世界で方言やスラング、表現の違いすら存在しない状況は異常だと思えたが、塔によって管理されて常に標準化され、全人類と魔族の対話が可能だったのが「もう対話など不要」と考える存在によって切り離され、本来の地域ごとの言葉に戻され、下手をすると街ごと、城塞ごとで言語が違い「話し合いによる解決」の機会が永遠に失われたのも感じて恐怖した。
(原因はアクア様とカズマさん)
 何も知らずに裁判所で解散していれば、この結論には至らなかったが、売春宿街でのサッキュバスまで含めた戦闘、サッキュバスの巣での戦いに関わって、あの二人が大きく関わっているのは間違いないのを理解させられた。
 もし可能なら、あの二人を亡き者にしてでも、天使を諦めさせて作業も中断させ追い返せば、自分のノーライフでノープランな命がどうなっても構わないと思い、現金を集めて旅支度を済ませたウィズは、魔族の街を目指して転移した。

 
 

 
後書き
お話内の時間を進めようとすると、また「セリフが少ない病」を発病しました。
KANONの時は時間通り進めようとしていると全く話内の時間が進まず、実験的なSSだったナデシコSSで時間を進めるとセリフ全くなしの話が出来上がって読者激減。
技術が足りず、丁度よい中間が書けないようです。 
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