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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第550話】

 
前書き
ちょい原作進みますん 

 
 あれから2日、更識楯無の受けた傷も完治し、軽く身体の柔軟をしていた。

 最先端の再生治療のお陰で腹部の銃創は完全に消え去り、瑞々しい柔肌がちらちらと柔軟の度に覗き見える。

 だが、室内に居るのは楯無一人の為、その柔肌を拝めるものは居なかった。


「ん……しょ。 やっぱり身体が鈍っちゃってるわね」


 念入りに柔軟をする楯無――そう呟くも、心の中ではヒルトが来るのを今か今かと待ち遠しく思っていた。

 柔軟も終わり、ふと時計を見る――そろそろ来るはず、だけどもし来なかったら……そんな考えが一瞬過り、胸が締め付けられる思いだった。


「……完全に私ってばヒルトくんにメロメロ状態ね。 ……早く来ないかな、ヒルトくん」


 呟き、窓から空を眺める――と、後ろのスライドドアが開く音が聞こえてきた。

 ヒルトくんが来た――そう思って振り向いた先に居たのは織斑千冬だった。


「どうした、がっかりしたような表情を浮かべて」

「あ、ぃ、ぃぇ。 ……こほん」

「……まあいい、怪我の調子はどうだ?」

「あ、はい。 傷は既に完治しました。 ……ですが、一度私のミステリアス・レイディのオーバーホールをと考えています」


 事実、先の無人機襲撃時に受けたダメージが蓄積されたままだった。

 手遅れになるまえに一度ロシアへ――だけどそうなったらヒルトくんに会えなくなる。

 複雑な表情を浮かべた更識楯無に、織斑千冬は何かを察したのか僅かに笑みを浮かべた。


「……ヒルトに会えなくなるのが嫌なのか?」

「……!?」

「図星だな。 ……フッ」


 狼狽する楯無に、腕組みしてそれを楽しげに見つめる千冬――と、またもスライドドアが開いた。


「ちわー、楯無さん」

「……!? ひ、ヒルトくん!?」


 狼狽している所に現れたヒルトに、完全にテンパる楯無。


「あれ、織斑先生?」

「おぅ。 教員として生徒の様子を見に来るのは当たり前の事だろ、有坂」

「あぁ……」

「とはいえ事後処理が多くて今になってしまったがな」


 申し訳なさそうな表情を浮かべた千冬に、ヒルトは珍しく思うも首を振った。


「いえ、織斑先生は忙しい身ですからね」

「すまないな。 ……では私は失礼しよう。 仕事もまだ残っているし、楯無にとっては私は邪魔者だろう」


 その言葉に、楯無はハッとなり、全力で頭を振るも、千冬は僅かに笑みを溢して去っていった。

 残された二人――不意にヒルトを意識し始める楯無。

 ど、どうしよう……ヒルト君と二人っきり……。

 ヒルトはそんな楯無を見ながら首を傾げる。


「大丈夫ですか、楯な――いや、刀奈さん?」

「……!?!?!?」


 不意をつくヒルトの呼び方――自身の真名である【刀奈】。

 突然の事に驚き、心臓が早鐘を打ち、内心嬉しさに舞い上がる刀奈。

 ど、どうしよう……ヒルト君に刀奈って呼ばれるのがこんなに嬉しい何て……。

 だがそれと共にヒルトに自身が『さん』付けで呼ばれる寂しさも感じてしまった。

 表情に陰りが落ちる――そんな変化をヒルトが逃すはずもなく……。


「……どうしました? 刀奈呼び……不味かったですか?」

「う、ううん。 い、いきなりでビックリしただけよヒルト君。 ……でも……」


 刀奈は手を後ろに組み、自身の表情を見られないように僅かに伏せながら軽く右足をプラプラさせた。

 言うべきか言わざるべきか……でも……。

 複雑な乙女心、だがやはり彼女は気持ちが勝り、ヒルトに告げた。


「……さん、いらないから」

「え?」

「……ふ、二人っきりの時は、お姉さんと一緒に居るときは! 呼び捨てで良いわよッ!!」


 感情を露にした刀奈、言ってから後悔の念が押し寄せる。

 だが、ヒルトは僅かに頬を描きながら応えた。


「あ……。 わかったよ、刀奈」

「……!? ……ぅん♪」


 ヒルトの言葉が、自身の名前――刀奈を今までの様に『さん』付けじゃなくなるだけで表情が弛む。

 だが生徒会長として、そんな表情を見られる訳にはいかない――クルリとその場でターンをし、ヒルトから背を向けた刀奈。

 それはそれでヒルト君の顔が見られない――だけど生徒会長としての威厳も――。

 二十日鼠の様に思考がぐるぐる回る刀奈――ふと一瞬、昨日見たドラマのシチュエーションが過った。

 後ろを振り向いた彼女に、後ろから抱き締められるという――。

 触れるだけとはいえ、口付けを交わした仲だし、もしかしたら――。

 そう思う刀奈だが、流石のヒルトもそこまではしなかった。


「刀奈、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫よ。 ……後ろから抱き締めてくれても良いのに……ヒルト君のバカ……」


 聞こえないように呟く刀奈――だが、ヒルトの耳にその言葉が届いていた。

 内心それを聞かされドキドキするヒルト――だが。


「……ぁ……」

「……こ、これで良いですか……?」


 後ろから首筋に腕を回して抱き締めるヒルト、横目でチラッと見る刀奈――互いの顔の近さとヒルトに後ろから抱き締められてる今の状況にまるで借りてきた猫の様に大人しくなった。

 ……キス、出来ちゃう距離……。

 意識する、彼との距離を、その近さを、男として、異性――ううん、恋愛対象として。

 ――違う、『恋愛対象』じゃなく、私自身が彼に恋している。

 だけど、距離が近くなればなるだけ、彼との距離を離さなければならない……そんな事実が刀奈の胸を締め付けた。


「……今日の刀奈、何だか表情暗く見えるけど……」

「そ、そう……かしら? あはは」

「……見えますよ」


 そう言ってヒルトは刀奈を振り向かせた、互いの呼吸が唇に触れるぐらいの距離に刀奈は赤くなる。

 だけど彼の真っ赤な瞳に吸い込まれそうになる――彼の瞳にはそんな魔力が備わってる。

 気付くと刀奈はその瞼を閉じていた、ヒルト自身キスするとは思っていなかったのだが――艶のある唇に誘われる様に刀奈と口付けを交わす。

 以前の様な触れるだけの口付けではなく、まるで時が止まったのかと錯覚するぐらい長く、口付けを交わした。

 柔らかな唇の感触に、ヒルト自身ドキドキする中、刀奈も心臓の鼓動が刻むビートの速さに、このまま死んじゃうかもと脳裏に過ると、名残惜しくも彼女から唇を離した――だが、やっぱりまだキスしたくなり、直ぐに口付けを交わす。

 何度も角度を変え、人に見られるかもしれない場所なのに、二人はまるで求めるようにキスを続けた。


「……ん。 刀奈……」

「ぁ……。 ご、ごめんね、ヒルト君。 ……は、離して良いわよ」

「あ、はい……」


 ヒルトが離れる――今まで感じていた彼の温もりが感じられないのは寂しい。

 だが唇に今も残るその感触に、無意識に唇を指でなぞる刀奈――その姿が妙に色っぽく映った。

 互いに沈黙が続き、静寂だけが支配する空間――それに耐えきれなくなった刀奈は。


「あ、ああそうそう。 ヒルト君、やっとお姉さん全快したわよ。 傷も無くなったし、ほら」


 そう言って制服をブラウスごとたくしあげる刀奈、括れのある腹部に銃創は無く、綺麗な肌が姿を現した。

 とはいえ生体癒着フィルム及びナノマシン治療の痕跡が微かに見えるのだが――遠目からは傷は塞がっているも同然だった。


「……傷が無いのはわかりましたから、あまり女の子が腹部を露出するのは良くないですよ」


 心配して告げるヒルトだが、刀奈からすれば女の子扱いされたのが嬉しかったのか僅かに表情がにやける。


「わ、わかったわよ。 ……もぅ」


 キスの余韻は何処へやら、いつもの雰囲気に戻った二人は暫く談笑を続けたのであった。 
 

 
後書き
これ書いてる現在、呟きにも書いてるけど今の職を辞めるかどうか悩み中

仲のいい人はめちゃくちゃ居るが、このままキツい部署に残ると確実に腕が動かなくなる的な事を整形外科の先生に言われた

多分それは最悪のケースなのかもしれないが……一度派遣の担当者に診断書渡して一旦は離れられたけど直ぐに元の場所に、しかも新人二人は各日なのに対して俺は毎日という有り様

正直仲のいい人には身体を壊すまでする必要はないと言われてるが……どうしたらいいのやら

確実に失業保険が降りる一年は居るつもりだったからな

後書きに個人的な事書いてすみません


今回の話はまあ楯無――刀奈とのイチャイチャでしたな( ´艸`)

これを書くたびに、ヒルトの女誑し度がうなぎ登りしていく( ´―`) 
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