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姦物語(ヤリモノガタリ)

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貝木のオッサンを助ける羽目になった

 
前書き
原作を読んでませんので、貝木さんの後日を知らず、設定違いはご容赦下さい。ここは一つパラレルワールドという事で。 

 
「邪魔よ、お兄ちゃんに憑いた妖怪」
「なんじゃと? 不死鳥の偽物が」
 事後のピロートークで幸せにならず、隣にいる女が邪魔でどんどん険悪になって行く二人。
「ふん下層階級のヒキニートバンパイア」
「よく言った、その口、二度と喋れんように塞いでやろう」
 火憐ちゃんは都合の悪い内容は脳が受け付けないようにされているようで、自分が一回死んでるとかは聞こえないようだ。
 バンパイアの下僕にされてしまって、なりそこないとかグールになろうとしたら、その部分や都合の悪い記憶は月火ちゃんが焼いてしまうらしい。
「主殿、ドーナットを買ってくるのじゃ、今なら100円セール中じゃ」
 僕の上で何度も腰を振って、2回も中出しさせたバンパイアは、甘い物成分が切れたようで、僕に「パン買ってこい」みたいなパシリに使おうとした。
 忍もヤり過ぎて腰が抜けたと言うより、月火ちゃんと決着を着けるのに僕を追い出そうとしているようだ。
「お兄ちゃん、私達の分も買ってきてよ」
 月火ちゃんも殺る気マンマン、今度こそ屋外で怪獣大決戦するつもりで、ファイヤースタータの妹と、真祖の姫のガチバトル、スペシャルビーフケーキの応酬とか、姉妹でマッスル・ドッキングした大技でも放って、マッスルリベンジャーとかで忍を葬り去るつもりのようだ。
 家とか近所は破壊しないで欲しい。
「忍ちゃ~ん、オジサンと一緒にドーナッツ買いに行こうか~?、でも開店10時ぐらいだった~、まだ開いてないや~~、どっか散歩してから開くの待とうか~~」
 まだコンビニ参入で、ドーナッツ戦争、コーヒー戦争が行われていない頃なので、開店時間まではドーナッツが入手できなかった。
 キレやすいBBAも、糖分が切れるとすぐにキレるらしい。口を開いて武器を出そうとしている。
 プラチナムカついている妹の方も、ムカ着火ファイヤーしてるのか、ヴァーリトゥードで殺人技オッケー、ベアナックルも関節破壊技もキン肉バスターも、いや月火バスターもオッケーらしい。
 火憐ちゃんは前衛の不死の戦士なのか、白髪頭の白塗りになって、死んでも不死鳥の力で復活するようだ。じゃあ僕はフランケンポジションで「フンガー!」とか「ふが」と言うロボになるんだろうか?
「勘弁してください」
 ここは素直に土下座して、デッカイ妹ぶっ殺されたり、量産型エヴァみたいに上半身吹き飛んだり、肩の隠し武器で頭割られて血まみれになる惨状を見せられたりしないよう素直に謝った。
「お兄ちゃんが謝ることないのに」
「そうじゃ、お主が謝る所ではない」
 月火ちゃんが忍の胸ぐら掴んで、いつも着ているワンピースが破れるんじゃないかってぐらい引っ張ったが、余裕の表情で笑う忍。
 嫌いな火炎攻撃系の敵でも、今までの戦闘の経験値が違うらしい。
 争った後に手に入る僕と言う景品が重要なのでは無く、女としてのプライド的に相手を許せなかったようだ。
 でも謝った。
「ごめんなさい」
「ム~~」
「手を上げよ、主殿」
 謝罪一辺倒の土下座外交でどうにか許してもらった僕。

 一応お出かけすることになって外に出たが、門柱に影縫さんが立っていた。
「やってくれたなあ、お兄やん」
「あれ、もう死刑宣告ですか?」
「鬼のお兄ちゃん久しぶり~、ブイブイ」
 斧乃木ちゃんも来たから戦闘開始のようだったが、余接ちゃんは笑顔なので、即ぬっころされる心配は無いようだ。
 呼び方が「鬼畜なお兄やん」じゃないので、臥煙さん情報網では僕がバンパイアでフェニックスで、面白おかしい状況なのも即バレして知られているらしい。
 ヤダ、僕の恥ずかしい所、全部臥煙さんに見られちゃったヨ。(///)
 でも13歳の元妹も14歳の実妹も8歳のロリBBAもヤってしまったので、以前の僕より今日の僕の方が鬼畜だ。
「不死身の怪異、三人でも十分やのに、またひとり増やしやがったな? お前らの親もそうなんか? もう血吸うて飲ませて不死身か?」
 火憐ちゃんは今まで員数外で、月火ちゃんが滅び次第消えるので数えていなかったらしいが、僕がデッカイ方の血を吸って魂の通貨を取り引きしたので、ナチのバンパイアを紅葉おろしにしたり、片手無いのにデンドロビウム置いて飛んでったりする前に来たらしい。
 暦クンロボがフンガー!言うのも、不死の戦士がハーフバンパイアになったのも問題のようで、連絡受けてからここに来るまで両親が犠牲になっていないか、とても機嫌が悪そうな影縫さん。
「ああ、両親はまだ大丈夫です、一回殺されたりすると、月火ちゃんが復活させますから、殺さないで下さい」
 余接ちゃんはキメ顔でVサインしてブイブイしてるので、デッカイ人差し指で殺されなかったが、メッサ怒ってる影縫さんからこう言われた。
「ほんまやったら、お前ら全員ぼてくりこかすか、関西風にケツの穴から手突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたいとこなんやけど、実は貝木のボケが下手打ってなあ、蛇の嬢ちゃんどないかした後、金属バットでフルスイングされて耕されて、意識不明の重体なんや、まあ脳みそ壊れて意識戻ることなんかあれへんのやけどな、病院で臥煙さん待っとるさかい、お前らちょっと行って来いや」
「は、はい……」
 バーター取引で、貝木のオッサンを復活させる代償として、僕ら不死身の化け物たちは見逃してくれるようだ。
 月火ちゃんのお陰で、バンパイア成分燃やされて、頭の中だけ人間なのでポイント10倍なのかもしれない。
「斧乃木ちゃんみたいに、死体になってから復活はダメなんですか?」
「あれはぺナルティが多すぎんねん、早よ行かんかい」
「へい」
 しかしこの街は、金属バットでフルスイングできる連中が多いようだ。闇金のウシジマ君の他にもう一人いるそうだが忘れた。
 貝木のオッサンも、約束通りこの街には来ないで、遠く離れていてくれたら怪我しないで済んだものを、撫子ちゃんを「どないかする」のをガハラさん依頼で安く仕事受けて、臥煙さん方面からも頼まれたらしいので、今はベッドの上であの世行きか臓器提供するのを待っているようだ。
 学生たちの恨みや、ガハラさんの家庭を壊した罪を思うと非常にいい気味で、火憐ちゃんも本人見たらぶっ殺しそうだが、臥煙さん関連の依頼なので、断ったりすると「私はなんでも知っている」人なので、兄妹全員どうなるか分からない。影縫さんを使った脅迫だと思った方が良い。

「サイクリング、サイクリング楽しいな~」
 僕は著作権的に問題にならない即興の詩を歌いながら、前籠に忍を載せて走った。
 不死身のバンパイアになろうが、火の鳥の血を飲もうが、絶対音感ができたり、作曲能力ができたり、日本人だからブラックメン特有のラップのリズムを刻めたりしないのを、自分自身の能力不足で証明した。
「アタシは楽しくな~い」
「んん~? 暗い部屋で一日中、ベタベタヌルヌルしてた方が良かったか?」
「や、ヤダ(ポッ)」
 いや、そこはマジで赤くなられると困る。速度を上げて蹴り倒すとか、殺人技で倒す阿良々木不死身兄妹のツッコミどころなのに、ボケを殺されてしまった。
「汗でビチャビチャになったら、帰ってからお風呂場で一杯してくれるよ」
 そう聞くと火憐ちゃんは病院まで全力で自転車を走らせた。行き先は同じなのだから、先に到着しても仕方ないのに。

 僕たちは病院に到着し、汗ばんで顔を赤らめている火憐ちゃんとも合流した。2回戦ぐらいでは体力的にも足りないらしい。
 もし貝木のオッサンの名前を覚えていて先に面会すると、死体に鞭打つ状況になったかも知れないが、火憐ちゃんはそこまで頭が良くなかったので、名前まで覚えていなかった。
「やあ暦くん、阿良々木シスターズ、よく来てくれたね」
 苦手な人物だったのか、迎えに来た臥煙さんを見た忍は影に隠れた。
「どうも~、暦で~す」
「火憐で~す」
「月火で~す」
「「「阿良々木兄妹で~す」」」
 朝まではコンビだったので、「プロペラ飛んだ~」とか「大口に吸い込まれる~」ぐらいの夫婦漫才しかできなかったが、トリオになって、もう一人不死者がいるので、チャンバラでもハリセンでも「ほねえちゃんはに言うてんの~。救急車~。ヘーホーヘーホー。ご機嫌よ~」までの営業ができるようになった。
「あははっ、や~ね~、お笑いの営業に来たんじゃないんだから」
 目が笑っていない。練習したのに受けなかった。
 病院の自動ドアをくぐって、歩いたりエレベータに乗っている間に臥煙さんと少し話せた。
「貝木さんの具合はどうなんですか?」
「ああ、再起不能よ、一発だけじゃなくって、バットで何回も耕されたから、もうダメなんだけど、脳幹が壊れてなかったみたいで、今のところ虫の息」
 危篤状態で余り永くないらしい。
「犯人は分かりましたか? うちにも容疑者が一人、二人、三人」
 火憐ちゃんニジュウマルのデンデン虫、いいトケイ持ってるし、追い切りでもトップだ。
 月火ちゃん複勝で買っておくかな? でも凶器使ってるのはおかしい、月火ちゃんなら燃やす。でも犯人じゃない振りをするのに、わざと凶器を使った可能性が高い。
 僕も容疑者だな、気絶したらポチっていた、な~んて事もあるから、気を失ったか寝ている間に撲殺したに違いない。
「う~ん、蛇関連で呪い返し受けた子だと思うけど、まあじき捕まるでしょう、私からチクるとお金取るから」
 怨恨の線で、僕達の容疑は晴れたようだが、あのオッサンが「下手打つ」のは意外だ。
「そ~ですか、僕らじゃなかったんですね、てっきり火憐ちゃんだとばっかり」
「なんでアタシなんだよ、兄ちゃん?」
「ホラ、あの時の、蜂の怪異で発熱させたオッサンだから、てっきり」
「殺ってないよっ」
 少女探偵団が足跡を追って、オッサンが撫子ちゃんを「どないかした後」で撲殺したんじゃないかと思ったが違うようだ。でも見た瞬間にあの世に送りそうだ。
「それで、治療のコースとしては色々ありまして、まず忍が噛む、2番め、僕が血を吸う、3番め、月火ちゃんが血を飲ませる、四番目、血を飲ませてから吸うのか、吸ってから飲ませるのがありますけど、どれにしましょう?」
 男、それもオッサンの血を吸うのは吐き気がするが、妹の命も掛かってるので仕方ない。
 反吐が出ても吸うけど、吐いたら顔に掛けてやる。
「そうねえ、バンパイアに噛まれると、治療不能なんだけど、フェニックスの血を飲んでも、治療法があるのよ」
「はあ」
 生きている間に月火ちゃんの血を飲ませて、死体か死にかけから回復して、干からびる前に薬でも飲ませると、普通の人間に戻れるらしい。
「でも、こっちのお姉ちゃんはもう手遅れだからね、一回死んじゃうと死体に戻るだけ」
「そうなんですか」
 脳みそが出て脳幹まで潰れて、呼吸も心拍も止まると、もう治しても手遅れらしい。
 一緒に行っていて、車に轢かれて殴られるのは僕がよかった。
 耳を塞がなくても、やっぱりこの手の都合が悪い会話は全部、火憐ちゃんには聞こえないようだ。
「貝木く~ん、阿良々木ファミリー来てくれたわよ~」
 集中治療室とか、普通面会謝絶じゃないんだろうか? 平気で入って話しかけてるけど、それだけで死にそうな感じで、物凄いチューブと点滴と酸素が繋がってる。
 火憐ちゃんも、ここまでの病人に追い打ちをかけるつもりは無いようだ。それに顔が別人だから同一人物とは思えない。
「こんな怖い顔してても、可愛い後輩だしねえ、入院費結構掛かるのよ、保険とか高額医療とか、後で返ってくるんだけど、勿体無いでしょ? だから妹ちゃん、少し血を飲ませてやってよ」
「はい」
 月火ちゃんが指に少し傷を付けて貝木のオッサンに飲ませてやる。
 服装とかもあるけど、臥煙さんはどう見ても高校生か大学生ぐらい、オッサンの先輩とはとても思えない。
「臥煙さんも不老不死なんですか、貝木さんの先輩とはとても思えません」
「や~ね~、おだてても何も出ないわよ」
「いやあ、飴玉ぐらい出るかと」
 本当に飴ちゃんを口に放り込まれて黙らされた。大阪のオバちゃんみたいだ。
 この件は秘密のナイショらしいので、激しく突っ込むのは止めよう。体の中に虫とか飼っていて、真っ二つになっても繋がったりすると怖い。
 そうこうしている内に貝木のオッサンの意識が回復したのか、目が開いた。まだ朦朧としているのか、体も動かないのか、目だけ動かして臥煙さんを見た。
「せ、ごふっ、ゴホッ、せんぱい……」
 この人のここまで情けない顔を見たのは始めてだ。ちょっとお姉さんで大学の先輩なので、頼り切っているのだろう。
「あ~、やっと起きた? お寝坊さん」
 感極まってキスするシーンかと思ったが、そうでも無いらしい。
「す、スイマセン、また迷惑かけてしまったみたいで」
 こんな腰が低い人だっただろうか? 偉そうに今回の教訓を言ってくれない。
「火憐ちゃん、一発殴っていいわよ」
「へ~い」
 そう言うと、腰が入って体重を込めた正拳突きを入れたデッカイ妹。
 ちょっとチューブとか点滴が外れて、脳波か心拍がフラットラインを描いて警報音が鳴って、ナースコールが自動的に行われた。
 折角復活したのに手加減なしのバンパイアパンチであの世に送られてしまったらしい。
「貝木さん、お加減どうですか?」
 心停止したので、隣のナースステーションから来た看護師さん。
 もうお見送りの時が来たと諦めて、医者の死亡時間宣告があれば、清祓して部屋を片付けて、霊安室行きの準備をしているようだが、オッサンは月火ちゃんの血を飲んでいたので、「ばっちりだぜ」みたいに目を開いた。
「きゃああっ!」
 病院の怪談が一つ増えた。

「ああ、またお手数をお掛けしました。今回の教訓は、除霊の相手を安心させるため、護身用のマスタードスプレーも持たずに行動して、仕事が終わったと油断した所、男子中学生の腕力を侮って凶器の攻撃を防げなかった所にあります」
 いつもの「今回の教訓」は、臥煙さんにダメ出しされて、正座でもさせられて言わされるのが恒例で、毎回仕事が終わった後にも癖になって自分でも回想して言うようだ。
「はい、よくできました、治りきったらこの薬を飲むのよ」
 貝木のオッサンは、リハビリでも済ませて、歩けるようになったら不死鳥の血を無効化するような薬を飲んで、人間に戻れるらしい。
「今度は、どうやって治して貰ったんですか?」
 毎回「下手打った」時は臥煙さんが助けて、それも治療法が複数存在するようだ。今回は月火ちゃんコースだった。
「そこの暦クンに、ネコミミモードのKISSで、下僕にしてもらったのよ」
「なっ?」
 この人のここまで情けない顔を見たのは始めてだ。眉毛を八の字にして、泣きそうと言うか泣いてる。
 きっと命落とす系統の仕事は、このオッサンに回して、死んだら復活させてやって恩を着せるような関係で、無限ループらしい。一応気の毒だ。
 臥煙さんの所でバイトすると、その役目は僕が請け負うことになるんだろう。
「貴方が新しいご主人様で?」
「あははっ、違う違う、冗談よ、そっちの小さい方の可愛い子、月火ちゃんが貝木くんのご主人様よ」
「ご、ご主人様……」
「こんなオジサンの下僕いらないから、早く薬飲んでね」
「はい」

 貝木のオッサンは一般病棟に移されてリハビリに入った。毎回瀕死の重傷から回復する常連なのか、医者には特に驚かれずに移動した。
「じゃあ、お駄賃にドーナッツぐらい、お姉さんが奢ってあげるよ」
 不死の霊薬なんだから、豪華なお昼でも良いぐらいだと思ったが、不死身の怪異として始末されるよりはマシなのだろう。
 でも何でドーナッツ屋に行くのまで知ってるんだろうか?
 
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