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素直になるということ

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呼び出しコールが長い。
あれ、出れないのかな。

『はい』

「あっ!やっと出た!いま、大丈夫?」

『…寝てたんだぞ…起こしやがって…ちっ』

う…。
すごく機嫌悪い…。
電話の相手は成績上位の常連、成海雅人。前髪が長くて陰気な印象だが口が悪い。

「あのさ、今から時間ない?」

『は?何の用』

「れ、恋愛相談?」

『…あー、分かった…』

そんなあっさり!?
成海のことだから何かと難癖つけてくると思ったけど。

『どこ行けばいい』

場所を告げて電話を切る。
こんな話、どう相談したらいいんだ。
馬鹿だな…相談したいとか言っておきながら。
ボーッとしてたら誰か来た。

「ったく…こんなとこいやがった。…探させやがって…」

成海だ。
と隣に居るのは…本田和馬?

「もしかして本田?」

「ん?そう。えー、なになに?成海、会長だけじゃなく副会長とも仲良いの!?」

「言ってたかったっけ」

「言ってねぇよ!うわぁーっ、最近になってボロボロと成海の友好関係がいきなり発覚するんだもん、何かやだー」

「ちっ…めんどくせぇな。後で教えてやるから黙れ。…こいつは気にするな。行きたいって興味持って付いてきただけだから」

目の前で会話を聞いていたが、何となく察した。
なんでこの2人がとは思うけど。

「えっと…」

「恋愛相談なんだろ」

「う、うん…こ、告白されちゃった…」

「誰に」

「う、うーん…相沢…」

言ってから後悔した。
わざわざバラす必要なかった。

「相沢?…あー、風紀か」

「う、うん…」

「歯切れ悪いな…相沢に不都合があるって言いたいのか?」

「ふ、不都合って…そうじゃなくて、何で俺なのかなってさ…それに相沢ってネコだろ…」

「あー…お前、ネコだもんな。…俺、バリタチだから、そういうの分かんねぇけどさ…関係ねぇんじゃねぇの」

バリタチを強調された気がした…。
が。

「どういう…」

「お前はどう思ってんのか、しんねぇーけど…好きになったら…タチネコ関係なく盲目になっちまうんじゃねーの?…世の中そんなうまく出来てないだろ…そこら辺にいる奴らはたまたま役割が合っただけだろ…。何も知らずに好きになったら色んなもんにぶち当たるだろ…だから傷ついたりするんだろ…本当に好きなら全部壁ぶっ壊せんだろ…」

あ、いま、何か刺さった。
心臓をエグられた気がした。
バカだな。
気にしすぎてたのは俺だった。

「うっううっ…」


浸ってた頭に不似合いな声が割ってきた。

「な、成海ぃ…ひっく…感動したぁぁ」

「なっ!?ちょっ、バカかよ…あーもう!悪い、帰る」

泣きだした本田を連れて成海が去っていった。
開いた口が塞がらないとはこういうことか?
驚いたな。
本田って泣くのか。
でも、成海も意外だった。
あんなことが口から出てくるなんて。

「あー…でもすっきり!帰るか」

まずは相手を知ることだ。
付き合ってから知ることも出来るけど、俺は友達から知っていきたい。

 
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