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KANON 終わらない悪夢

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07

 それから、部活がある名雪と北川を帰らせ、祐一は「栞のそばにいてやるから」と言って病院に残った。
「祐一?」
 帰り際、何か言いたげな名雪。
「心配すんなって、香里は俺が見ててやるから」
「うん」
 どちらかと言うと、名雪はそれを心配するような、複雑な表情を返した。

 1階で祐一が二人を見送っていた頃、検査の合間を見て、一人で病室に入る栞。
「お姉ちゃん、具合はどう?」
「そうね、左手だけは動くけど、他は力が抜けたみたい」
 両手を握ったり開いたりしてみるが、右手や足は思うように動かない。
「それは、祐一さんが触った手だからですよ」
 左手は心臓マッサージしている時、胸に触れないよう、土台にされた手。
「え?」
「心臓だってそうです、私が倒れた時は入院して何日も苦しかったのに、お姉ちゃんは座って話もできるでしょ」
 それは自分と条件が同じなのに、祐一が触れた部分は違う、と言う意味でもあった。
「じゃあ、あたしも一年持たないって事ね、貴方と同じなんでしょ」
 声が震えるのを押さえながら、具体的な年数まで出して、自分の寿命を聞き出そうとする。
「いいえ、お姉ちゃんは祐一さんが治してくれます。さっきも言ってたの、「キスで具合が良くなるなら、人口呼吸もしてもらえば良かったですね」って」
「やめてっ、気持ち悪い」
「前にも言ったでしょ? 私が治ったのは、祐一さんと愛し合ったからだって」
「そう、良かったわね、好きな相手がいて、あたしの周りにはそんな男いないわ」
 少し芝居がかった調子で、話をはぐらかそうとする香理だったが。
「まだそんな事言ってるの、お姉ちゃんが好きなのは」
「やめなさいっ!」
 その言葉の続きは聞きたくない、と言いたげに怒り出す。
「確かに貴方の恋人だし、名雪の従兄弟だから嫌いじゃない。だけど人間なんてすぐに死ぬのよ、それは貴方が一番よく知ってるはず。あたしももうすぐ死ぬわ、だから愛だとか恋なんて大嫌いなのよっ」
 自分を抱くように震えながらも、忌々しい体を呪う。
「女って、異性の匂いを嗅いで何秒かで、自分に無い免疫を持っているかどうか判断できるそうよ、だから私達が祐一さんに引かれたのは本能かも知れない」
「それはこれから産まれる子供の話でしょ? あたしの病気がどうにかなる訳じゃない、母さんだって分かってたくせに、こんな弱い子供ができるかも知れないって!」
 遺伝病は、両親とも素養があった場合、25パーセントの確立で遺伝するが、100パーセント近く伝わる悪質な物も存在する。
「でも祐一さんだけは違うの、さっきお母さんも手を握っただけで、症状が軽くなったのよ」
「なっ、本当なの?」
「ええ、後で聞いてみて、何秒か強く握っただけなのに、今日から薬を減らして様子を見るそうよ。それだけで治るんだから、お姉ちゃんも手を繋いで、体が動かない所を触ってもらって」
「嫌よ、あんないやらしい手付きで体中触られるなんて。その上あなたと比べられて、「あたしの方が胸が大きい」とか、「ウエストが締まってる」とか、「お尻も小さくて足が長い」なんて思われたら嫌だわ」
 さり気なく自慢し倒す香里、母親の回復が心の支えになったらしい。
「やっと、お姉ちゃんらしくなったわね」
 そう言いながらも、額に少し血管が浮いている栞。
「でもそれだけじゃ足りないの、完全に治るには私と同じで、祐一さんと愛し合うしかないのよ」
 そう言うと、また妙な目付きになる栞。親子ともども天使の人形に操られているとは言え、まるで祐一の信者のようだった。
「バカね、何を言い出すかと思ったら、あなたの恋人とそんな事できるわけないでしょっ」
 先程から盛んに「ソレ」を勧めているように思えたが、香里としても、まさか本気で口にするとは思っていなかった。
「私なんかを気にしてくれるの? そんなの後から考えましょう」
 以前、無視されていたのを思い出したのか、微妙な言い回しで答える栞。
「だ、だから、後何ヶ月なの? あなたの時は教えたでしょう、今度はあたしの番よ、教えてっ」
 栞の視線から逃げ、何とか話題を変えようとする香里。
「大丈夫、今日にでも祐一さんと愛し合って。看護婦さんにもお願いしておくわ、「好きな人と(最期の)望みを叶えられますように」って」
 自分の言いたい事を言い終えると、立ち上がって出て行く栞。
「待ちなさいっ、栞っ、栞っ!」

 まだこの時点では、祐一も香里の手を握ったり、足をマッサージしていればいいと思っていたが、全ての検査が終わると、香里は別の階に移された。
「じゃあ祐一さん、お姉ちゃんをお願いします」
「ああ……」
「私達は一旦帰ります、必要な物が有りましたら後で持って来ますから」
 病院慣れしているのか、湯のみにティッシュ、ウエットティッシュ、洗面道具にタオルなど、必要な物は全て揃っていた。
(あれだけ取り乱しても、母親ってしっかりしてるんだな、いや、来るまではそんな重症なんて知らなかったんだろうな)
「娘をお願いします」
 病室の前で深々と頭を下げられ、お願いされてしまった祐一、大事な娘を二人共ヤられちゃう父親の心境は計りかねた。
「はい」
 そして普通なら居残る家族が帰り、祐一と香里だけが取り残された。

 二人だけになった夕暮れの病室、ここは本来2人部屋だったが、隣のベッドは空いていた。
「ねえ、相沢君」
「何だ?」
 手は繋いでいたが、沈黙に耐えかねたのか、ベッドに横になったまま話し出す香里。
「ここね、そのエレベーターに乗って、スイッチを押したら、誰にも会わないで下まで行けるの」
「へえ、便利だな」
「違うの、普通の患者がいる階で、夜中に泣き叫んで苦しむ患者がいたり、死体が乗ったベッドをゴロゴロ押して行く訳にいかないでしょ? だからどこの病院でも、こんな所があるんだって、栞と同じ部屋にいたおばさんが言ってた」
 ここは古参の入院患者から「安置所」とか「霊安室」と言われ、もう永くない患者が来る場所だった。
「やめろよ、病院の怪談じゃあるまいし」
「そのおばさんも、ここに来て帰って来なかった、それに2月、栞はここに入れられたのよ」
 その家族を同じ所に入れる病院に問題はあったが、栞は退院したので最悪の選択とまでは言えなかった。
「じゃあ、出られるんじゃないか、もうすぐ退院する患者もここなんだろ」
「いいえ、それにこの階だけ面会時間って無いの、家族は泊まれるし、警備の人もここだって言ったらすぐ通してくれるわ、急変したか死んだかなんて、わざわざ聞かないの」
「…………」
 全てを知っている香里には、掛けてやる言葉すら無かった。
「無理しないでいいのよ、ねえ、私は後何ヶ月、それとも何週間?」
 最初に想像していた1年から、検査の内容、病室の移動で自分の寿命が短いと悟った香里。そこで両親や栞まで隠した事を、唯一答えてくれそうな相手に聞いてみた。
「何だ? 妊娠でもしたのか」
 さすがに本当の事は言えず、取りあえず冗談で流そうとしたが。
「冗談言わないでっ! あたしは後どれだけ生きられるのっ!」
 そう言うと香里は、布団をかぶって、自由に動く左腕で両目を隠した。
「栞に、聞いたのか?」
「だめよ、あの子嘘つきだから」
「どうして?」
「あの子「お姉ちゃんは祐一さんが治してくれます」なんて言うのよ、自分が治ったからって、あたしに効くはず無いのに」
 とうとう香里のモノマネを聞いてしまった祐一、姉妹だけに結構似ていた。
「じゃあ、あの変な話も聞いたのか」
 そう言われると、ビクッと動いて、腕をずらして祐一の様子を伺う香里。
「あの子に頼まれたの?」
「まあな」
「襲うの?」
「バカ、襲わない」
「わかったわ、じゃあ、「してっ」」
 そう言うと布団を頭まで被って、中でゴソゴソし始める香里。
「してって? 何してるんだ?」
「見ないでっ、電気も消してっ、それに…… すぐ済ませて」
 声を震わせながらも、ベッドの中で下着を脱いでいるらしい。
「いくらなんでもここじゃ無理だろ」
 ムードもへったくれも無い香里の要求に、引いてしまう祐一。
「栞が看護婦に言って帰ったらしいわ、「(好きな人と)最後に望みを叶えさせてやって下さい」とか何とか、だからこの部屋はあたしだけで、検温にも来ないのよ」
「だからって、それは無いだろ」
「どうして? 「したら」治るんでしょ、後1ヶ月も生きられないなら、出来る事は何でもしてみるわ、痛いって言っても薬の副作用程じゃない、2,3日もしたら治るわ…… それとも、あたしじゃ嫌なの?」
 前半はいつもの調子でまくし立てるが、最後にはまた弱々しい声を出した。
「違うだろ、お前ら一体何を話してたんだ? 栞だって好きな相手と結ばれないと意味無いとか、言ってなかったのか?」
「言ってない、相沢君としたら治るって」
(お~~~~~い)
 栞がどんな説明をしたのか、後で尋問する必要があった。
「他には何を言ってた?」
「相沢君は好きかって聞くから、嫌いじゃないって」
 舞言葉と同じで「相当嫌いじゃない」かも知れない。
「それから?」
「じゃあ、「今日にでも愛し合って下さい」って」
「ほらみろ、(ポッ)が無いとだめなんだよっ、お前だって好きな奴がいるだろ、そいつの方がいいんじゃないか?」
 先程の栞の言葉を思い出すが、一応本人に確認して見る。
「誰が好きなんだ? 言って見ろよ、俺が連れて来てやるから」
「そんなの言える訳ないでしょっ、それにあなた以外だったら効果が無いって言ってたわよっ、この鈍感っ!」
 病人の割には元気に喚き散らしている香里だったが、鈍感と言った辺りに僅かな乙女心が感じられた。
「じゃあ、言ったら教えてやる」
「何を?」
「お前の…… 寿命……」
「……そう」
 平然と言ったように聞こえたが、その声もシーツも、震えているように思えた。


「…………私が、好きに、なったのは」
 長い間を置いて、布団から頭を出し、泣き腫らした目を少しだけ出して、怯える表情で祐一を見つめる香里。
「鈍感で、ヘラヘラしてて、成績も悪くって、スポーツもできるわけじゃないし、それに女だったら誰にでも優しくて、見境が無くて」
 自分への悪口が、それ以上続くなら、帰ろうかと思った祐一。
「でもそいつは、友達の親戚で、妹の命の恩人だったの」
 そこまで言うと、真っ赤になって、また顔を隠してしまう香里。
(このっ、結構かわいいじゃないかっ)
 今の告白にはグッと来たが、何とか冷静さを保つ。
「うそつけ、調子いい事言うなよ」
「嘘じゃない、今まで愛だの恋だのなんて嫌いだった、栞の見てる恋愛ドラマなんて見たくもなかった。家族も子供もいらないって思ってた。すぐに死んで苦しむだけだから、ずっと一人でいて、一人で死ぬつもりだった」
 告白や手紙を断り続けた香里の男嫌いは知られていたので、校内では「香里と名雪はSMレズ」と言うのが定説になっていた。
「でも貴方だけは違った、誰も、あたしでも怖くて近付けなかった栞に優しくして、とうとう病気まで治した。普通ならあの薬臭い匂いと、真っ青な顔色を見ただけで誰でも逃げ出したのに、どうして?」
 ちょっと視線を上げ、以前の栞を思い出してみる。
「別に臭く無かったな、それに北国だから、元々色白なんだと思ってた」
「えっ?」
 その言葉に一瞬驚いたようだが、すぐに元の調子に戻る。世間には、病院の薬の匂いが好きな人間と、漂う死臭を察知するのか、忌み嫌う者がいた。
「ふっ、ふふっ、貴方らしいわね。あ~あ、単に鈍かっただけか、何だか損した気分」
「損なのかよっ」
 また少し目を出し、祐一を観察し始める香里。
「でも、結果オーライって感じかしら? また栞とも向き合わせて、家族に戻してくれた。また話せるようになって、二人で遊んだりもした、でもそれも終り」
「終わりじゃないだろ、これからだってずっと」
「違うの、姉妹でもまさか男の趣味まで同じなんてね…… 仲の良かった美坂姉妹も、今度こそ終わりって意味」
「……」
「最初は栞に貴方の事を教えたくて見てたはずだった、その日に何があったかも全部話してた」
 その頃から、授業すら暗記できる香里の記憶力は、祐一で一杯になった。
「でもノートにスケッチまでして見せたら、あの子が先に気付いたの「祐一さんの事が好きなんですね」って」
 さっき栞の機嫌が悪くなったのは、この時の気持ちを思い出したせいらしい。
「違うって言っても遅かった、あたしがこんなに鈍感だったなんて…… 人の事はすぐに分かっても、自分の気持ちはずっと押さえてたから、栞がいるから、自分だけ幸せになろうなんて考えもしなかった」
 その状況を思い出し、大切な妹との会話が再び途切れ、険悪なムードになった時と同じ、不快な表情になる。
「だから今度は、貴方を嫌いになろうとした。イヤな所を見付けて、下品で嫌らしくて乱暴な男だって思おうとしてた。でも意識したらするほど気になって、見ないようにしたら余計に見てしまってた……」
 香里は男に免疫が無かったので、「勘違い」と言う言葉を知らなかった。
「嫌な奴だって思えたはずだった、もうすぐ大嫌いになれたはずなのに、うっ、くっ」
 そこまで言い終わると、また布団の中で泣き始める香里。
「おい……」
 気丈な女の弱い姿を見せられ、心を鷲掴みにされた祐一。

 それから暫く、布団から出ていた頭を撫で、嗚咽の声が収まるのを待っていると、心の準備が出来たのか、香里が口を開いた。
「今度は貴方の番よ、教えて」
「栞の時には何て言ったんだ?」
「貴方は…… 次の誕生日まで生きられないって」
「そうか」
 深呼吸して息を整え、まるでこれから自分が宣告を受けるように緊張する。

「後、ゴホッ、ゴフッ、……後、3ヶ月らしい」
 人は言いたくない事を言う時、喉が拒否するらしく、咳き込みそうになったが、ようやくそれだけ言い切った。
「そう……」
 永遠にも思える時間が流れた。なぜ自分がこの役なのか、なぜ香里が死ななければならないのか、そればかり考えていた。
「ねえ、もうすぐ死ぬって言われた人間の顔、見た事ある?」
「いいや」
「こんな顔よっ!」
 布団をどけて体を起こし、涙に濡れた顔を見せる香里。そこにいつもの気の強い女の姿は無く、弱々しい生き物が死の恐怖に怯えていた。
(香里って、こんなに小さかったか?)
 長身で立派な体をしていたはずの香里は、心と一緒に体まで小さく見えた。
「あたしっ、あの子を見なかったんじゃないっ、怖くて見れなかった! あの時の目が怖かった、あの時の表情が怖くて、もう二度と見れなかった!」
 以前の表情かと思ったが、怖いとは思えなかった。しかし香里だけは、あのあどけない顔が恐怖に歪む、恐ろしい瞬間を見てしまったらしい。
「いいや、お前は死なない、絶対に死なせないっ」
 震える体を抱き寄せ、また頭を撫でてやる。
「怖くないの? グスッ、私の顔、気持ち悪くないの?」
 もう一度観察してみても、そこにはいつもより可愛くなった香里がいた。
「ああ、学校で栞以外の女と話してた時の方が、よっぽど怖かったぞ」
「ふっ、うふっ」
 冗談だと思ったのか、涙ぐんだまま少し笑う香里。
(本気なんだけどな?)
「うっ、死にたくないっ、まだ死にたくないっ、ヒック、少し前までは何も無かったのに、グスッ、今は貴方がいるからっ!」
 全てが終るまで涙をこらえていた栞と違い、感情を一気に爆発させる香里。
(姉妹でも、こんな所は逆なんだな)
 そんな事を考えながら、濡れる瞼に唇を付け、涙を舌で拭い取った祐一。
「だめっ、うつったらどうするのっ」
 香里の病気は伝染病や感染症では無かったが、普通の感覚なら病人への接触は極力避けるはずだった。
「いいさ、それに」
「?」
 鼻の先と先を合わせ、眼と眼を合わせるようにして、穏やかな表情で語りかける。
「お前とだったら、地獄に落ちてもいい」
 その時は同情や哀れみではなく、本気でそう思えた。
「……バカ」
 泥臭くても、心のこもった殺し文句で魂を奪われ、視線を逸らせ、焦点の定まらない目で遥か彼方を見ている香里。

 そこで、お互いの目を見た時、何かが壊れる感じがした。妹の恋人、彼女の姉で、いとこの親友など、世間体や常識など、二人を止めるブレーキは吹き飛んでいた。
((あっ、もう、だめ(だな)))
 今までの震えが収まり、急に力が抜けた二人。そして、折れるほど強く抱き締め、どちらとも無く口を寄せ、まだ栞ともした事が無いような、唾液の交換が始まった。
「うっ、はふっ」
 頭を押さえられ、唾液を吸われ続ける祐一。動物は命の危険を感じたとき、子孫を残そうとすると言われるが、二人の行為もまるで本能の命令のようだった。
「うっ、むうっ」
 メスの方は、目の前のオスなら自分に無い免疫で子孫が生き残り、もう一匹のオスは自分の免疫を、体液からメスに伝えようとしていた。
「「ハアッ、ハアッ」」
 やがて苦しくなったのか、祐一を解放してベッドに座り直す。
「どうだ? ちょっとは元気が出たか?」
「ええ、でもファーストキスにしては凄かったわね」
「初めてだったのか?」
「言ったでしょ、恋愛なんて大嫌いだって」
 今にも消え入りそうな弱々しい声から、元の口調に戻り、縋るような目付きから、挑むような表情に戻っていた。
「やっと元に戻ったって感じだな」
 贅沢を言えば、もう少し可愛いままでいて欲しかった祐一。
「何よ、もう戻れないわよ」
 また抱き付いて、唇を重ねる香里。
(そうだな)
 祐一も心の中で、もう以前の二人には戻れないのを感じていた。

「わっ、わっ、二人とも何してるのっ、ここ病院だよっ」
(さあ、「栞さんと同じ事」じゃないかな?)
「だっ、だめだよっ、そんな…」
(君がしたかったかい?)
「うっ、うぐぅっ」
 最終的には、あゆと結ばれるはずだが、天使の人形の中の何かがこうさせていた、それは、さらなる地獄へ叩き落す前の準備なのか、今の香里は少しだけ幸せだった。
 
 

 
後書き
昔の掲示板投稿で文字制限があり、15キロバイトぐらいで「文字が多すぎます」と拒否された時代の話なので、極力文字を減らすよう、感情表現を(笑)(泣)で済ませていたのを多少手直ししていましたが、直っていないところもあります、ご容赦ください。 
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