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KANON 終わらない悪夢

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10

 少し戻って電話を切った後の水瀬家
「お母さんっ」
「どうしたの? 言ってみなさい名雪」
 しばらくは、泣いてばかりいる名雪ちゃんで、秋子ちゃんも、困ってしまってワンワンワワンだったが、落ち着いた頃に質問すると、ポツリポツリと話し出した。
「香里さんが死んだら嫌だって言ってたわね、そんなに具合が悪いの?」
「うん、後、3ヶ月だって言ってた、ううっ」
「そう、それで祐一さんが付き添ってあげてるのね」
「うん、それで香里が、栞ちゃんが言ってたって」
 祐一に抱かれれば治る、とは言えなかった名雪。
「何を?」
「その、祐一といろいろしたら、栞ちゃんみたいに良くなるんだって」
「そう」
 名雪語の翻訳では、秋子以上の人はいないので、帰ってからの会話と電話の内容、今の説明だけで、大まかな内容は分かった。
「心配しないで、祐一さんには本当にそんな力があるのよ、特に美坂さんみたいな家系の人にはよく効くの」
「えっ?」
 子供の頃から聞かされてはいたが、まだ秋子の話の意味までは理解できない名雪。
「本当は名雪にもあるんだけど、まだ気が付かない?」
 自分にできるのは、人より少し早く走れるのと、立ったまま寝るのと、寝たまま登校できる事だけだった。
「わからないよ」
 知らず知らず、祐一達を何度か癒したが、意識はしてやった訳ではない。
「いい機会かも知れないわね、祐一さんが上手くいかなかったら、貴方が治してあげなさい」
 この場合、名雪ちゃんが「タチ」になって責めるのか、「ねこさ~ん」になるのか知らないが、貝合わせ?をするらしい。
「だから香里さんは大丈夫、問題は祐一さんを取られないようにするだけ」
 今までも母親の言葉には、間違いや嘘は無かったので、何故か香里は大丈夫なのだと思えた。
「でも香里、栞ちゃんと姉妹でいられなくても、うっ、私と友達でなくなっても祐一は諦めないって」
 絶交を宣言されたも同然の言葉を思い出し、また泣きが入る。
「昔からよく喧嘩はしてたでしょ? それに誰を好きになるか決めるのは祐一さんよ、そうね、今でもあなたの一番のライバルは栞さんかしら」
「うん」
 栞や香里よりは、馬力と耐久性以外、かなりグレードが低いとは公表しない秋子ちゃん、武士の情けらしい。
「私も祐一さんにはずっと家にいて欲しいから、頑張りなさい。まずは朝ちゃんと起きられるようにする事、よだれを垂らしてグーグー寝てる女の子は恋愛の対象外よ」
「ええっ、できないよ~」
 さっきまで大泣きしていた名雪は、最大の問題点と今後の課題を指摘され、心がかなり楽になっていた。
「さあ、もう寝なさい、顔を会わせ辛かったら、今度私と一緒にお見舞いに行きましょう」
「うん」
 以前にも、何度か秋子に仲直りさせて貰ったので、その日、名雪は何とか眠る事ができた。

 病院に戻る
 あれからアイスクリームなどを仕入れ、病院に戻ろうとした祐一だったが、コンビニの前に公衆電話を見付けた。
(秋子さんにだけは謝っておこうか)
 香里は心配だったが、ほんの一言でも謝ろうと思う祐一。まだ自分が帰る場所があるのか、確かめるためにも。
 プルルルッ、プッ
 まるで栞の時のように1コールもしないで繋がる電話、今度は名雪が待っていたのではないかと、恐ろしくなる。
『もしもし、水瀬です』
「あっ、秋子さんですか、さっきはすみませんでした。香里の奴が名雪と喧嘩して、名雪、大丈夫ですか?」
『ええ、さっき寝かせました、名雪なら大丈夫ですよ』
「そうですか、良かった」
 自分には帰る場所があると安心した、その時。
『でも、今度のお相手は香理さんですか?』
 ザクッ! ブシューーッ!
 急所を突かれ、大半のヒットポイントを失う祐一。
『冗談です、名雪にも聞きましたから、今日は香理さんに付き添ってあげて下さい』
「は、はい」
 秋子ちゃんは、「まあ、大きなおでん種」以外、冗談など言わなかったので、半分は本気に違いない。 祐一は、自分の帰る場所は、もう無いのかも知れないと思い、見えない傷口から血を流し続けた。
『栞さんみたいに、「色々してあげると治る」と思いますから、今夜はお願いします』
「は?」
 まるで栞のようなセリフを言う秋子、そこでさっきの電話の内容を思い出す。
「それも名雪が言ってたんですか?」
『ええ、それもありますけど、私達にはそんな力があるんです、祐一さんで治らなかったら、名雪を行かせますから』
「えっ?」
『香里さんをお願いしますね、もしもの事があったら、名雪が悲しみますから』
「はい」
 祐一も、秋子の言葉なので、何の裏付けが無くても信用できた。
『じゃあ、そろそろ香里さんの所へ帰ってあげないと、追いかけてきますよ』
 ビクウッ!
 まるで自分の今の状況も知られていて、後ろに香里が立っているような感じがして振り返って見る。
(まだ来てないな)
『明日にでも一度帰って来て下さい、学校の方には休むって言っておきますから』
「は、ハイ、そレじャア」
 明日の予定まで読まれ、自分の一挙一動まで知られているような気がして、声が裏返る祐一。
『うふふっ』
 そこで受話器を降ろす時、秋子ちゃんの笑い声が聞こえたような気がした、まるで今夜、祐一が眠る暇など無いのを知っているような声が。
(やっぱり秋子さんだな、何でも知ってるって言うか、知られてるって言うか、でも、俺達にそんな力があるって何だ?)
 今までの説明では、栞や香里が体感した力の意味までは分からなかった。
(それに、俺で治らなかったら、名雪を行かせるって)
 そこでお約束の良からぬ考えをしてしまう祐一だった。

 祐一妄想中…
「香里、来ちゃった」
「なっ、どうして? 貴方とは絶交したでしょ」
 しかし、あそこまで言っても、まだ親友が自分を心配してくれていると思い、目頭が熱くなってくる香里。
「今日は診察に来たんだよ、祐一の「お注射」だけじゃ足りないみたいだから」
「えっ?」
 そう言いながら早速リボンを解き、上着とブラウスを脱ぎ始める名雪。
「ちょっと、何してるのよっ」
 それは、「ナースエンジェル なゆきSOS」か、「マジカルナース名雪ちゃん マジカルて」の、愛のお手当てだった。
「だいじょうぶだよっ、わたしが治してあげるから」
「嘘よっ、持って後3ヶ月なのよっ、それをどうやってっ」
「だめだよっ、思い出さないでっ」
 香里が壊れるのを恐れた名雪は、泣いている香里をギュッと抱き締め、胸の中に顔を埋めさせた。
(何かどこかで見た展開だな)
 祐一は、天丼(繰り返しボケ)を覚えた。
「名雪?」
「ほら、こうしてると落ち着くでしょ、心臓の音が「とくん、とくん」って聞こえるでしょ」
「ええ」
「わたしも悲しい時、お母さんにこうして貰ったんだよ、きっと香里もだいじょうぶだから元気出して」
 ほえほえパワーで癒して行く名雪、やっぱり顔が「ムーミン」か、「たれパンダ」だけに、癒し系らしい。
「だいじょうぶ?」
「うん、ふぁいとっ、だよ」
 祐一が落ち込んだ時、2回とも癒した名雪にも、心のケアには実績があった。
「名雪…」 
 しかし病気の記憶が曖昧になった今、健康な女子高校の反応と言えば?
「名雪っ!」
 そのまま背中に手を回し、たわわに実ったブツにむしゃぶり付く香里。
(むうっ、けしからん)
 多少無理のある展開でも、強引に妄想を続ける祐一。
「あっ、だめだよっ、祐一に怒られちゃう」
 名雪的には、祐一に怒られなければ構わないらしい。
「あたしが好きになったら、貴方も死ぬから? そうなのね」
「えっ?」
 まだ混乱しているのか、泣きながら離れようとする香里。
「違う、違うよっ、わたしなら大丈夫だよ」
 そう言って、もう一度香里を引き寄せ、胸の中に戻して抱き締めた。
「わたし、体だけは丈夫だから、ねっ」
「ほんとっ? ほんとなのねっ」
「うん、しょーめいしてあげるよ」
 祐一、北川、と言った邪魔者が消え、ついに自分の元に戻って来た香里を抱き締める名雪。もしかすると、黒魔術とかホワイトマジックとか、牛の刻参りなどを駆使して、男を排除したのかも知れない。
「名雪っ、名雪っ!」
「香里っ」
(くううっ、けしからん、実にけしからん)

 それから正門に戻っても、面会時間は終わっていたので、通用門は閉じられていた。
(面会時間、20時までって書いてあるじゃないか)
 このまま追い返されるのではないかと、不安になる祐一。
(香里の家から電話してもらうか? でも番号知らないしな)
 そこで、まずは矢印に沿って夜間出入り口に向かって見た。
「すいません」
「はい」
 警備員に声をかけ、面会の許可を貰おうとするが。
「あの、7階の美坂」
「どうぞ」
「えっ?」
 やはり、香里が言った通り、階数を言っただけですぐに通された。ただ、相手が目を逸らして唇を噛んでいたように見えたのは、気にしすぎかも知れない。

 ロビーに戻る
「お帰りなさい、あった?」
「ああ、甘栗味だ」
 それを見た香里は、何か凄いプレゼントでも貰ったような顔をしていた。
「こ、これが……」
 手を震わせながら、「天津甘栗味ソフトクリーム」を受け取る香里。
(今時、小学生でもそこまで喜ばないぞ)
 早速ふたを開け、ひと舐めして見る。
「ああっ、こんなの初めて(は~と)」
 さっき色々サービスしても、ここまでは喜ばなかったので、祐一は自分が100円アイスにも劣るのだと、自信を無くしていた。
「は~~~っ」
 香里のとろけるような甘い声を聞きながら、祐一も涙の味がする弁当を食べた。
「でも、大回りしてきたのね」
 半分ほど食べて、口の中に広がる甘栗の味を堪能してから、ようやく口を開いた香里。
「当たり前だ、閉まってたからな」
 入れなかったのと、自分が100円アイス以下だったのと、どちらが嫌だったのか、ちょっと不機嫌に答える祐一。
「すぐに通してくれたでしょ?」
「ああ」
「そこだけ内側から開くのよ、呼んだのに聞こえなかった?」
「どれだ?」
「ほら、あの端のドア」
 ガチャ
「ほら、ここに立ったら鍵が開くの」
「へえ」
「ねえ…… さっきの、誰?」
 また低い声を出して、機嫌が悪くなって行く香里。
「誰って?」
「今、外で話してたでしょ、あの女、誰なのっ?」
 舞と話していた所も見られちゃっていた。 もう胸倉を捕まれて、物凄い表情で睨まれる祐一。
「え? ああ、あれは舞だ」
「舞って?」
「ほら留年した二人、佐祐理さんの「ボーイフレンド」の方だ」
「プッ」
 舞を完全に男扱いしたので、やっと笑い出す香里。
「でも、抱き合ってキスしてたっ」
「どこがだ? 後ろから捕まえられて「女の匂いがする」って、からかわれただけだ」
「ほら、そうやってむきになる所が怪しい」
 ソファーの上に戻り、膝を抱えてすねてしまう香里。
(こいつ、物凄い焼きもち焼きだ)
 明日からは、例えオバサンの看護婦とでも、目を合わさないようにしようと決心する祐一。
「あいつは佐祐理さんだけだからな、もちろん佐祐理さんの方も」
「って、女子高じゃないのよ」
「そうだな、でも名雪には内緒にしといてくれ、憧れの川澄先輩とお話してた、なんて知れたら」
 そこまで言って、二人が絶交しているのを思い出す。
「何よ、名雪が好きなのって、貴方じゃない」
 今日はよくよく、誰が自分を好きなのか、別の女から指摘される日だった。
「あの川澄って人もそうよ、「あたしは祐一の恋人の姉です」って言ったら、嫌な顔して横向いちゃったじゃないっ」
 自分に責任の無い所で、どんどん香里の機嫌が悪くなって行く。
「そう言えば名雪が小学校の頃も、こっちに遊びに来ても、すぐどこかの知らない女の子と友達になって、毎日置いて行かれたって言ってた」
「そうだったかな? 覚えてないぞ、近所の男の子の間違いじゃないか?」
 丘や森を探検したり、危ない場所に行くなら、女の子の名雪は足手まといになる、7年前の記憶は無いので慌てる祐一。
「そう、貴方ってやっぱりそう言う男なのよ、前の女なんか簡単に忘れられるんでしょ」
 再び胸倉を掴まれ、凄い目付きで睨まれる祐一。
「明日には「栞って誰?」って言うつもり? 名雪とはどうだったの? まさか栞と二股かけてたんじゃないでしょうねっ!」
 藪を突付いて蛇を出す、香里は短く切った髪を蛇のようにくねらせ、祐一は石になりそうになった。
(私は貝になりたい……)
 何故か古いドラマの題名を思い出し、がっちりと口を塞いで、何も言わない貝になりたいと願う祐一だった。
「どうなのっ!」
「ほらっ、アイスクリーム溶けるぞ」
「あっ!」
 垂れて落ちそうなアイスが視界に入り、今の香里の最優先事項を指摘すると、ようやく窮地を逃れる事ができた。
「なあ、2月に栞と会えなくなってから、俺、何日も休んでただろ?」
「さあ、私も休んでたから」
 二人とも似たような状態だったらしい。
「何日か何も食べないで部屋に篭ってたら、鍵を掛け忘れた時に名雪が入って来たんだ」
「そこで無理矢理襲ったのね」
「そうっ、嫌がるあいつを押し倒して、折って畳んで裏返して、って違うだろっ」
 祐一はノリツッコミを覚えた。
「あの時は、もう栞にはずっと会えないと思ってた。 俺が好きになった子は、みんな死ぬんだって思ってた」
「…………」
 恋人と姉妹で少し違ったが、2月頃は香里も似たような事を考えていた。
「でも名雪は俺を抱き締めて「だいじょうぶだよ」って、「ふぁいとっ、だよ」って言ってくれたんだ」
「そう……」
「思わずしがみ付いちまったけど、あれは気の迷いだった。あいつは許してくれないかも知れないけど、普通、従妹同士はだめだよな」
 法律上の問題より、世間の常識は許さないはずだった。
「じゃあ、あたしも気の迷いなんでしょっ、明日にはお別れ? 帰る時「もう終わりにしよう」って言うつもりなのっ?」
 また声を荒げて掴み掛かるが、祐一は穏やかな表情で香里を受け止めた。
「今日の俺はまともだ、お前の方が気の迷いなんじゃないか?」
「違うわよっ」
 自分の叫び声も軽く受け流し、落ち着いた目で見つめられ赤くなる香里。

「ほら、もう1本も溶けそうだ」
 2本目のソフトクリームを渡し、キャップを外してやる。
「「あっ」」
 もう溶けていた部分が祐一の手に落ち、ベトベトになった。
「あ~あ、そのまま持っててよ」
 そう言って溶けたソフトクリームの横を舐め取り、それが終わると指をしゃぶり始める。
 ピチャッ、ジュルッ、ブチュッ、チュッ
(狙ってる、こいつ絶対狙ってる)
 明らかに、「そう言う表情」をして、いやらしく舌を出し、「祐一の目を見ながら」別の目的のために手、指、ソフトクリームを舐める香里。
 ズチュウッ、ブチュ、ブチューーーーッ
(何でソフトクリーム食べるのに、小刻みに首振ったり、全部咥えたまま吸うんだっ)
 手を持ち上げられて、さっき上から見せられた行為を、真正面から見せ付けられる。
 ……チュポンッ
 そこにはさっきと同じ、口の周りを白い物でベトベトにして、いやらしい表情で、ねっとりと唇を舐める香里がいた。
「あ~~、おいしかった、フーーッ」
 そう言いながら、今度はバニラの香りがする息を吹き掛けて来る。
(はおうっ!)
 祐一の中の審判団は、全員、技術点、芸術点とも6.0を提示していた。
(ブラボー! グーードッ! ハラショー!)
 ハフッ、ハフッ、ハフッ、ハフッ
 さらに透明のキャップを持ち上げて中を舐め、今度は目を閉じたまま、舌の動きと口の中、ちょっと苦しそうなエロエロな表情を真正面から見せられる。
 カンカンカンカンカーーン!
 祐一の中で3カウントされ、栞のフォール負けと、祐一の無条件降伏が受諾された。
(参りました)
「さっ、続きは部屋で」
「ああ」
 早くも別の場所をビンビンに回復させながら、病室に戻る二人。
「やっぱり車椅子だったら上に座れなかったわね」
 注射針?をズボンの上からポンポンと叩き、自分の指定席の固さを確かめる。
「オイッ」
「繋がったままなら大丈夫だった?」
 リミッターとブレーキが壊れた元優等生は、フルスピードでエロ娘への道を突っ走っていた。

 エレベーター内…
「ねえ、コーンは食べられないの、食べて」
「お、おう」
 エロエロな妄想をして、間接キスする祐一だったが。
「(ボソッ)間接フェ*」
「ブフォオオオッ!」
 香里のセリフで吹き出してしまう。
「うふふっ」
「おっ、お前なあっ」
 舞に会ったり、秋子ちゃんと電話したり、ソフトクリームエロエロ食いで忘れていたが、香里のお口は自分の息子さんとお友達だった。

 色々と済ませて、やっと病室に戻った二人。
「ふう、やっと一心地ついたな」
 弁当を食べたり、飲み物も飲んで、やっとヒットポイントが回復し始めた祐一。
「じゃあ、はじめましょうか」
「えっ?」
「来て」
「いや、まだ痛いだろ?」
「するのっ」
「でも」
「じゃあ、バナナサンデーお替り」
「は?」
「もう、とぼけてもだめよ、おっきいバナナに~、クリームがたっぷり乗ったのが食べたいな~~」
 壊れちゃった香里に押し倒され、チャックを下ろされる。
「はううっ!」
「いただきま~~す」
 パクッ!チューーーーッ!
 急速充電完了
「今度はこっちの口で」
「おおうっ」
 かなり回復したのか、祐一に圧し掛かり、ズボンも引っぺがして、ムリヤリ犯す香里ちゃん。
「いやっ、まだ死にたくないっ、本当に3ヶ月しか無いなら、貴方とずっとこうしていたいっ」
 また鬱状態に入り、祐一の「上」で、悲しそうに、でも恐ろしく元気に腰を動かしている香里。
(このまま続いたら、俺は3日で死ぬ)

「オラオラッ、誰が寝ていいって言ったの? まだまだこれからよっ!」
 ビシッ、ビシッ!
「ひいいいっ!」
 もちろん、馬乗りになって叩いて(どこを?)いるのは香里の方で、泣いているのは祐一なのは間違いない。
「大好きぃっ(何が?)、もう離さないでぇっ(は~と)」
 すっかり壊れちゃった香里ちゃん、それからもドリンク剤で養分を補給しながら、祐一は朝までレ*プされ続けた。
(ま、魔物はこいつだっ)
 祐一君は心の声で舞ちゃんを呼んだが、その悲痛な叫びは届かなかったらしい。


「うぐぅっ、祐一くんが危ないよっ」
(まだ大丈夫、彼にも女の怖さを教えてあげないとね)
(コイツニハ、カテルキガシナイ)
 魔物にさえ恐れられてしまう香里ちゃん。
「うぐぅ」
 初めから、あゆの味方とは思えない行動ばかりする天使の人形、どうやら製造元が祐一だけあって、潜在意識下では、祐一が楽しめるような展開を用意する構造になっているらしい。
 
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