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素直になるということ

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まだヌキあいっこなんて恥ずかしくて出来なくて、先に相沢をトイレにいかせて、次に俺が使ってヌいた。
その後は無言で弁当を食べて教室に戻ったのだ。

――放課後。
生徒会室に入って机の書類を整理する。

「会長、これにサインをお願いします」

「ん、わかった」

書類を返される。

「あのな、玉木くん、何か変やで?」

「変?」

「うん。上の空多いで?もしかして。恋人出来たとか?」

嘘、自覚なかった。
会長は見てないようで意外と他人を見てる。

「え、まさか、図星?ほんまなん?そっかぁ…良かったなぁ?俺の恋愛相談乗ってくれたりしたし、お礼に俺も応援したろって思っててん」

「そんな…何もしてないですよ」

「どんな人なん?」

そこはやっぱり口ごもる。

「か、可愛い人です」

「…可愛い…。恋人って男やんな…?…玉木くんより可愛いん?」

あ、ほら、やっぱり、そういうこと言われる。
相沢を想う気持ちは本物だし、嘘じゃないって分かってるんだけど…そういう風に言われると自分が変だと言われてるみたいでなんか、ダメだ。

「玉木くん?」

会長が困ってるのに。
何か言わないと。
何か、俺、泣きそう…。

ガチャ

「失礼します。会長、提出の書類を…玉木くん?」

ハッとして顔を上げたら相沢がいて。

「…会長、玉木くんと何話してたんですか?」

「え?あぁ、恋人出来たみたいやから、どんな人なん?って聞いたら可愛い人や言うから自分より可愛いん?って聞いたんやけど…」

「そうですか…。会長、そういうのは追求しないものですよ。一度しか言いませんから聞いてて下さい。玉木くんの恋人は僕です。可愛い人を好きになったらいけませか?ネコ同士でも好きになっちゃったらどうしようもないんです。あまり、玉木くんをからかわないでください。…玉木くん、生徒会は終わりそうですか?風紀の仕事は終わりました」

「さっき終わったよ…!」

「じゃあ、帰りましょう。…会長もさようなら」

…相沢、すごい。
俺、あんなこと会長に言えなかった。

「相沢、ありがとう…かっこよかったよ」

「…玉木くんはビビりすぎですよ?人を好きになるのは変なことじゃないですよ」

スルリと手を繋いでくる。
相沢って…時々すごく攻めてくるな。
可愛くて、かっこいい。
そんなのずるいよ。

「会長、びっくりしたみたいな変な顔してましたね」

「相沢があんなこと言っちゃうんだもん…びっくりするよ。俺も、恥ずかしかった…」

「ちゃんと言わなきゃって思ったんです…」

「うん、ありがとう」

手を繋いだ手が相沢の体温で温かい。
ずっと、離したくないな。
そう思ったら自然に強く握ってしまう。
そうしたら相沢も握り返してくれた。



 
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