IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第568話】
前書き
IS騎馬戦?
ハチマキ奪取戦?
「それではIS騎馬戦、開始!!」
楯無さんの号令と共に鳴り響くブザー音――それと同時に一斉に動き出す無数のIS達。
「右翼展開! 左翼は私のフォローに回れ、中央突破する!!」
ラウラの掛け声に合わせてISが展開、一機に指示ないが、状況に合わせて動かすのだろう。
先陣を切ったラウラ組――それを狙うのはシャルだった。
「させないよ、ラウラ! 皆! 包囲陣で行くよ!!」
「了解!!」
他の組との接触にまだ余裕があると感じたシャルは、真っ先にラウラの排除に掛かった。
「ふっ。 やられに来たか!」
「簡単にはやられないよ!」
トップスピードに乗った二機が正面から相打つ。
空中旋回を続け、お互いのハチマキを狙う格闘戦、オレンジと黒の閃光の攻防の中――。
「ボーデヴィッヒさん! もらったぁぁあッ!」
「そっちばかりに気を取られてたら、隙が出来るよデュノアさん!!」
包囲陣を敷いたシャル組の三機、右翼左翼展開していたラウラ組の二機が互いの大将に襲い掛かる。
「そう簡単に!」
「取らせないよ!」
激しい攻防が解かれ、クイックブーストを駆使してハチマキを奪おうとする手から逃れるシャルとラウラ。
一方此方でも既に戦いが始まっていた。
「悪いけど、そのハチマキはあたしの物よセシリア!」
「おあいにく様! そう簡単には譲ることは出来ませんわ!!」
ハチマキを奪おうと互いに譲らず、鈴音がハチマキに手を伸ばせばセシリアはそれをかわし、逆にセシリアが伸ばせばそれを弾く鈴音。
これをトップスピードに乗った状態で行ってるのだから、IS騎馬戦を観戦してる人からすれば追うので必死だ。
「ッ! 接近戦ではあたしの方が有利なのに!」
「フフッ! これもヒルトさんとの特訓の賜物ですわよ!」
「なっ!? じ、自分ばっかズルい! ヒルト! あたしの特訓にも付き合いなさいよバカァッ!!」
交差する二機のやり取りにとばっちりを受ける俺だが、そんなことを気にしてる余裕はなく俺は楯無さんの合図を待つため定位置へと移動した。
セシリアと鈴音の攻防が続く中、箒組と簪組が対峙していた。
「私の前に立ち塞がるのは簪組か!」
「箒……。 ……負けない! 皆!」
「分かってるよ!!」
箒組が動く前に先手をうった簪組――大将である箒集中攻撃を行うが元々剣道で鍛えていた動体視力で何とかハチマキを狙う魔の手から逃れる。
「此方も負けてはいられない! お願いだ皆、私に力を貸してくれ!!」
「任せて! 挟み込むよ、皆!」
箒を狙う量産機に狙いを着けた箒組の子達、四機互いに入り乱れる空中戦は迫力満点だった。
だがここで戦況は動く。
「じゃあ、一旦私達は休戦って事で良いかな?」
「うん。 ……それにこれだけ数が居るなら個々で戦うよりは徒党で戦う方が良いし」
「ふふっ! 美春、ワクワクしてきた!」
「了承した。 一時休戦で現行の数が半数下回る迄は我々は同士だ」
未来を筆頭に、美冬、美春、エレン――合計十六機の連合が結成された。
数の上では向こうが多いものの、個々に応対しているため優位性は未来達にあった。
全体の戦場が真ん中へと自然に集まり始める。
未だにハチマキは一つも取られてなく、生徒達の連係の賜物だろう。
「皆! 行くよーッ!!」
「おーッ!!」
一斉に聞こえる掛け声に、各代表はハイパーセンサーで確認すると未来、美冬、美春、エレン連合が真っ直ぐに入り乱れた戦場に介入した。
「しまった!? 各々で対応してた私達とは違い――」
「同盟を結んだって事!?」
ラウラ、シャルの二人は直ぐ様ハチマキの奪い合いを止めるも、連合全機まさかの瞬時加速での肉薄に、対応しきれなかった面々はなすすべなくハチマキを奪われてしまう。
「ごめんね? ……でも、同盟結んじゃダメってルールなかったから!」
一機、二機とハチマキを奪っていく連合に、間合いを図ろうとするシャルとラウラの二人に迫るのは未来だった。
更にエレン、美冬、美春は其処から一同散会し、残った専用機組の数を強襲して減らそうとしていた。
「ま、不味いですわ! 出鼻を挫かれました……!」
「くっ……!?」
争いをやめるセシリア、鈴音だがエレン組は容赦なく確実に一機ずつ包囲し、ハチマキを奪っていった。
箒組との簪組も同様に美冬&美春組の強襲を受ける。
黒い二機は互いにカバーし合い、ハチマキを奪おうとする子らを振り切り、一路大将首に――。
「ッ……!」
「まずい……!!」
突然の事態に、箒も簪も逃げの一手しか打てなかった。
大将首を逃した美冬達は、直ぐ様狙いを変え、各個撃破しハチマキを稼いでいく。
「もーらいっ!」
「と、とられちゃった……」
「こ、来ないでよ美春ちゃんーっ!」
「ヘヘーッ、それは無理だよ。 ハチマキほしいもんっ♪」
四十機居たISの内十三機は未来連合の手でハチマキを奪われ、戦線離脱するしかなかった。
だが未来連合もハチマキを奪われた機体も居たのは事実。
「エレン、此方の被害は?」
「三機だ。 美春組が二機と私の組から一機」
「やっぱ無傷は無理だったか……」
「とはいえ、電撃的な強襲からあれだけの数を減らしたのだ。 悪くはない」
エレンはそう告げるも、困ったように眉根を下げる未来。
半数は減らせなかったものの、他の組に大打撃を与えたのも事実。
頭数減らせばそれだけ攻めも守りも疎かになるのだから。
まだ半数を切っていない為、未来達の同盟関係は有効だ――だがここで更に状況を変化させる一石を投じた。
一つの石を水面へと投げれば、其処を中心として波紋は広がる。
「さて、IS騎馬戦も盛り上がってきた所でここからお姉さんのサプライズ投入です!」
楯無さんのアナウンスが木霊し、一瞬戦場の動きが止まる――そして。
「……俺の出番って奴だな」
ハチマキを巻き、イザナギを纏った俺は大空を支配しようと空中へと躍り出るのだった。
後書き
そして次はヒルト投入
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