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この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)

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62星を継ぐ者

「あの? 私達との約束は…」
 先程はサッキュバス全員が人間状態になり、特権命令でディスペルもされず、オスの精液を啜って生きる性病に塗れた魔物からも開放されたと聞いた。
 女だけでクローン体を生み続けて遺伝的なエラーを排除して、狂ったオスを去勢したり命まで奪ったり、インキュバスと共同でクズ遺伝を消して産児制限したりする化け物の役目から開放されたと聞いて喜んでいた一同は、金星ごと水洗便所の様に流されると聞き驚いた。
 以前の約束では人類の次世代の母にしてやると言われていたのに、星ごと絶滅させられるとそれも果たせない。
「うむ、サッキュバスたちにはあの星、セレスをやろう。移住して今まで通り子を産み、今後は惑星セレスで人類の母として暮らすがいい」
「ああっ」
 サッキュバスには空手形を出さず、何故か約束を守って「惑星セレス」を差し出した天使。
 屋内で指さされたのと、朝だったのでセレスは見えなかったが、周囲のアステロイドから地球サイズにまで隕石を落とされて拡張され、木星辺りから持ってきた水をぶっ掛けて冷やし、地球が回っている軌道近くに持ってこられて、キッカリ24時間で自転している水の星セレス。
 現在居住者不在と言うことは、前の入居者は全員死んでいる事故物件である。

「セレスにもサッキュバスは配置したが、一神教の教信者が絶滅させてしまった。魔族も天敵も殺し尽くしたので、宇宙に出る資格は無いとして絶滅させた」
 日本語が読めるカズマの息子達が旅をして、サッキュバスちゃん製造工場でも見つけて稼働させると、そこが巣になってループする。
 サッキュバス、インキュバスによる産児制限や遺伝改良は、旧人類が作成したので太陽系居住可能惑星共通になり、毎回遺伝だけでも保存されるか、移住させられて継続的にエラー排除と天才排除が続く。
 現生サッキュバスは今後人間化して男の子も産めるが、当面女の子は自分のクローン体を産む。
 何世代か掛けてカズマの子の遺伝的エラーの要素を排除して、削れて無くなって行くy染色体を修復し、近親交配を防ぐためにも遺伝子交換でy染色体にサッキュバスが保有するDNAを載せて入れ替え、遺伝の多様性を復元する。
「お前達は男の子も産むが、数世代は自分のクローン体も産む、遺伝の多様性のためなので我慢して欲しい」
「え? はい」
 サッキュバスにはDNAの話題は理解できなかったが、天使の指示なので理解に務めた。
 すでに人類からは数十万年に一度起こる終局噴火、地球では七万年前のトバ火山の噴火による抹殺、神罰にも近い絶滅で、千組以下のカップルに減少させられ、遺伝のボトルネックが発生して多様性は失われ、犬や猫、他の動物のような、大きさの違いも形状の違いも何もかも失われている。
 トバ火山があるインドネシア周辺では、高温の火砕流が音速で伝搬し、噴石、ガスが中を通過して穴だらけの軽石、火山灰で埋まって一度すべて死滅して、人類も動植物も絶滅し、七万年掛けて鳥が種を糞にして運んだり、人が移住して再生した。
 現在九億人以上いるインド人などは、遺伝的には同じ人と言っても過言ではない。

「今回、カズマ様の子が住むセレスには、ダークエルフも魔族も、魔獣も妖魔も配置しない予定だ。大型の肉食獣やオオカミは配置するが、天敵に食われ、魔族に殺され続ける生活はさせないつもりだ。余り武装せず安楽に暮らせ」
「はい……」
 一日に何度も衝撃を受け、サッキュバスの脳は煙でも吹きそうだったが、これらの言葉は石版に書き写され「十戒」として残された。叩き割られた後に聖櫃(アーク)に入れられたりするアレである。
「差別などもするな、肌の色、髪の色、背の高さ、脂肪の多さ、そんな物は遺伝の誤差でしか無い」
「はい」
 肌の色なども、アフリカ生まれの最初の人類であるミトコンドリア・イブ、黒人のネグロイドが標準の仕様で、コーカソイド、モンゴロイドはただの色違いで、アルピノのネアンデルタール人の末裔か、手足が短く極寒の地でも凍死しないデニソワ人の末裔である程度の違いでしかない。
 戦争が上手で、その関連知識や補給も上手で商売も上手く行っているのは、気候が悪くて飢饉が何度も起こり、戦争しまくってコンバットプルーフされているだけで、元々のアフリカは気候も良く穏やかな楽園だったが、大地溝帯から追い出され失楽園を出アフリカしたものが欧米人やアジア人である。
 オランウータンやゴリラでも98~99パーセントは人類と同じDNAなので、髪と肌の色違いは傾向や性格の違いぐらいの誤差しか無い。
 人類は出アフリカから、インドネシアやオーストラリアにいるアボリジニまで、東に移住する事はできたが、アルプスを超えて北に移住することはできず、アルピノであるネアンデルタール人がアルプス超えをして北に住むまで、太陽光が弱い北方ではビタミンDを合成できず、クル病など骨が曲がってしまう奇形が生まれ、長く北方進出は不可能だった。

「洪水や津波も可能な限り防ごう、氷河期も温暖すぎる時期も減らそう、温かい箱庭で穏やかに暮らすと良い」
「はい」
 太陽の活動期、休眠期による温度変化も、箱庭の中は公転軌道修正により管理されるので、人類水棲進化論的な遺伝、糖尿病の病原でもある、温暖な水没した世界で一日中海に潜って貝と海藻を拾って食べ、現在は山である標高100メートル付近に貝塚を積み上げるような遺伝も排除される。
 それは肉食動物に追われて海に逃げた所から始まったのかもしれないが、陸上で失われてしまった果実や樹木の代わりに、海の中には貝もあり海藻もあり、小魚を捕まえられたかも知れない。
 霊長類の中で人類だけが体毛を持たず、頭髪だけで体温を保つ毛を失ったのは、海に潜って貝を掴み取り、陸上に上がっても素早く身体を乾かして体温の消失を防いだからと言われるが、その途中に火を起こす技術を手に入れ、毛皮や繊維で体を覆い、体温を保つ方法も身につけたと言われる。
 体毛を失って以降、塩分が薄い海水を飲んでも腎不全で死なず、真水が少なくても生きて行けるようになり貝毒にも強いが、水冷の体で熱さには弱く、陸上生活すると汗だくで一日10リッター近く水が必要な遺伝が取り除かれる。
 この病は藤原一族や藤原道真も患っていた「飲水」と呼ばれる病気で、食事中でも食後でも水を飲みまくり、炭水化物を分解するような酵素を持たず、常に水分を必要として身体から尿と一緒に塩分が排出されるので、薄い海水のような生理食塩水でもガバガバ飲んでいないと、常に低ナトリウム血症を起こし、感情的失禁を起こす。
 自分で狩りができず病状を発症しない子供の頃はまだ良いが、海で生活しないと常に怒ったり泣いたり感情がコントロールできないメンヘラになる。
 これは北の大地で氷雪に耐え、一日5000カロリー以上摂取していないと凍死するデニソワ人やシベリヤ居住人からの遺伝でも有り、血液まで凍結しないよう不凍液としてのグリコーゲン数値が異常に高く、マイナス50度でも凍死しないが、もうそこまでの極地での生活は強制されない。
 セレスの極地には反射板で日光が当てられ、八千メートル級の山々もなく、マイナス20度以下の場所はない。

「お前達にもマーメイディアンと呼ばれる、人魚のような遺伝は残してある、だがそれは我々天使すら消えて無くなり、温度管理も出来なくなった時のために取っておけ、陸から食料が取れなくなって、海の幸に頼らざるを得なくなるまで残しておくのだ。肥満は恥ではない」
「はい…」
 この場にいる人物、カズマを含めて誰にも理解できない言葉だったが、伝承には残された。
 星が海に覆われて丘の面積は少なくなり、塩水を含んだ雨が振り、塩害で穀物も育たず、気圧も植生も違い、海の幸に頼るしかない時代。
 その頃には多分、犬や猫のようにアザラシやラッコなどの海洋生物が人間に飼われ、今は伝書鳩から放逐されても人間の友として簡単に懐くハトのように、扁桃体に刻まれた天敵に人間が含まれておらず、親として、友として育ててくれる相手だと刻まれた海洋生物が多く存在したと思われる。
 イルカなどは人間の友達と言われるが、何も教育されていない野生のイルカが、沖に流された子供を背負って海岸まで運び、人間に引き渡してご褒美を強請ったり、人間の船に近寄って芸をするのは、遥か昔に馬のように飼われ、海での交通機関の一つとして人間に育てられ、背中を洗ってもらったり、エサや河豚(ドラッグ)を貰い、子供の頃から一緒に海の中で遊んで育ち、個体名が付いて戸籍で血統管理され、友として過ごし、その誕生や死に涙してきた人類の大切な伴侶だったのかも知れない。

「お前達は特に遺伝的に修正され、壊れていたり、怒り狂って暴れる遺伝を減らしてある。カズマ様のアガペーを受け取り、古代の旧人類のように、殺し合って殺し合って数を減らすような生活をするな」
「はい」
 過去の地球でも、温暖すぎる時期と氷河期の時期があり、現在は太陽も空気を読んで、長い休眠期の始まりの特徴、「太陽黒点がゼロ」「11年周期でN極とS極が入れ替わるのが停止し、赤道周りがS極、北極南極に位置する場所がN極」という変則的な状態にある。
 これは太陽が休眠期に入る前の特長で、これから起こるのは地球温暖化などでは無く、氷河期である。
 旧暦ではあるが、12月の中頃に江戸で深々と雪が振り、赤穂浪士が雪を踏みしめて討ち入りするのは、江戸が小氷期であったためである。

「今回の洪水を見たなら、その伝承も残せ、お前達が狂って殺し合いを始めた時、洪水が全てを洗い流す。火の山が噴火してお前達を焼いて、作物も何も育たない冬の世界にする」
 かつて、氷河期の時代には赤道直下が人類文明の発祥の地であり、海水面が温暖期の逆で現在より100メートルも低く、東南アジアの島々は連結されていて、ズンダランドと呼ばれる広大な平野があった。
 モヘンジョダロだとかアンコールワットは、山の上の辺境の都市か、全てが海に沈んだ後に再建された城塞である。
 洪水伝説に歌われたムー大陸とは、ズンダランドの名称であり、アトランティスとは、地中海やアフリカ北部が水没した時の伝説である。
 ペルシャ湾は当時全て陸地で地続きであり、アフリカ東部の人類発祥の地と同じく学名で「エデンの園」とも呼ばれる。
 ズンダランドは「アジアの人類の命のポンプ」だったと言われ、氷河期に多くの命を生み出して温暖期に他の地域に送り出し、水没した地域から命を拾ってきた人類は、居住可能になった北方の中国、日本に漂着し、半分以上沈んでしまった南洋の島々にも流れ着き、黒人の遺伝を色濃く残したアボリジニと同じ遺伝を持ち続けて、ポリネシアンとして今も生きている。
 多くの説は、人類が双胴のボートや天測で海を渡ったと言われるが、かつて陸地に上陸しないでも何日も何週間も生きていける、水棲人類が存在したのかも知れない。
 それらはすでに海面下100メートルの下で、多くの人命とともに眠っている。
 現生人類は、知恵の実を盗んで食べ、そのエデンの園を追われた罪人でもある。

「私達は、人類を愛していないから滅ぼすのでは無い、今後百年で人類は医療技術を手に入れて100億人を超え、他人の体臭や糞便の臭気に耐えられなくなり殺し合う」
 流されて遠くイースター島にも到達した人類は、奇妙な宗教を発達させ、石を切り出して木材を使って運び、木も草も枯れて使い果たし、食料が尽きて滅びた。
 神像や護符として建設されたモアイは、海から忍び寄る魔獣、海水、高潮、津波を防ぐために、日常生活に必要な穀物よりも優先されて建設されていたのかも知れない。
 南米に残っている洪水伝説は更に過酷で、千メートル以上の高地に住んでいる者以外は全て海に拐われて消えた。
 アステカの祭壇などで、心臓を神に捧げ続け、捕虜や奴隷だけでなく、勇者や英雄、長老の心臓まで捧げられ、太陽が生命力を失って、海水が山の頂上にまで忍び寄ってこないように千年の祈りが続いたが、伝承を忘れた人物は平野に降り、白い悪魔に征服されて、大半の人物は天然痘と黒死病に連れ去られた。
 今後の研究で、南極で終局噴火が起こって千メートル級の津波が起こったか、海面に隕石が激突し、南米をすべて洗い流した津波の痕跡が見つかるかも知れない。
 黒海と呼ばれる海も、かつては淡水湖で、氷河期の終わりにボスポラス海峡が決壊してすべて海に沈んだ。これも「洪水は正午に起こった」と呼ばれる洪水伝説である。
 現在でも、もし大西洋の島が山体崩壊しながら噴火すると、時速700キロを超える速度で数十メートルの高さの津波が南北アメリカ東海岸を洗い流す。

「大した差もない能力を競い合い、敵を蔑み、醜く罵り合い、生まれながら持っていた遺伝をまるで神に与えられた特権のように誇り、負けたものは数を減らすために自殺する。子供の頃から学校の机に縛り付けられ、意味もない数字の羅列や文法を覚え込まされるために、泣きながら下らない記憶装置としての訓練をさせられ、その競争に勝ち抜いた数少ない天才が全てを支配して、残りは奴隷同然に扱われ、ただ食べて生きるだけに過酷な労働で死んでいく。私達も神々もその世界を見たくはない。その呪いが蓄積した終局に用意された兵器は、人間だけでなく惑星も壊す、太陽が失われたときには全てが終わる。お前達もそれだけは実行してくれるな」
「はい……」
 人類は毎回「民主主義」「フリーダム」と言う宗教に感染して滅ぶ。
 カズマが少女たちに言って聞かせた理想郷こそが、この世界を終わらせた。
 
 

 
後書き
ストーリー回で文字ばっかりで頭痛いですが、次回ぐらいはエロ話も復活させます。 
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