IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第583話】
用意されたカーテン・サークルにいち早く入るセシリア、衣装袋を広げ、中から巫女装束を取り出す。
(この衣装を着て、いつものわたくしとは違うとヒルトさんに印象着けませんと。 お互い、愛を営んだ関係とはいえ、他の方が狙っている以上、油断は出来ませんし)
事実、四月はほぼセシリアと一部以外はヒルトを眼中無しといった感じだが未来等の転入辺りから状況が変わってきた。
巫女装束を抱くセシリア、頭を振り、ブルマに手をかけた所でいきなりカーテンが持ち上げられた。
「ちょっとセシリアってば、先に行かないでよ。 ペア競技なんだから」
そう言って素早く中に入る鏡ナギに、ホッと安堵するセシリア。
ヒルトだけに見られるならいざ知らず、午後からIS委員会の人達も居るのだ、可能なら見られたくない。
「で、ではナギさん。 早速着替えを手伝ってくださいまし」
「はーい」
言うなり、直ぐ様ナギはセシリアの体操服を勢いよく捲りあげる。
カーテン内で周りから隠れてるとはいえ、豪華なレースがあしらわれたブラジャーに包まれた乳房が露になった。
「きゃああああっ!? ナギさん、おバカさんですの!? あ、ああ、あなたっ、おバカさんですのっ!?」
突然の事に思考が乱されたセシリア、流石にバカバカと連呼されるとナギもムッとしながら。
「急いだ方が良いじゃん。 セシリアの巫女装束って、着るの大変なんだよ? 向こうの更識さんなんて、ぶっちゃけすぽって着るだけですむじゃん」
ナギの言うことは事実だ、だけどやはり脱いで着替えるのはセシリアであって羞恥心は人一倍ある。
「で、ででですがそれとこれとは別問題――」
セシリアの言葉を遮り、ピシャリとナギは言った。
「他の皆に負けちゃうよ? 良いの?」
「……!? そ、そうですわ……」
ナギの言葉に、一瞬で冷静さを取り戻す辺りはやはり代表候補生だろう。
「ご、ごめ――」
「謝るのは後。 早く脱いで着替えないと!」
「は、はい!」
セシリアは反省した、せっかくスピード重視で選び、ナギ自身もサポートするために早く脱がせようとしたのに冷静さを欠き、バカ呼ばわりした自分の事を。
今度は何も言わず、ナギのサポートで下着姿に――一方のナギ。
(ここでちゃんとセシリアのサポートすれば、少しはヒルトくんときっかけを持つことが出来るかも)
――等と考えてるとはセシリアも露知らず、急いで巫女装束を着せられるのだった。
一方、鈴音の方はというと、既に下着姿になっていて準備万端だった。
後はドレスを着るだけ――だが人生一度も着たことがないドレス。
とはいえ、心強いルームメイトのティナが居るから鈴音は安心しきっていた――ティナ自身一人では着られないという事実を知らずに。
「ティナ、ドレスの着方わかる?」
「鈴、ドレスの着方ってわかる?」
「「え?」」
同時のタイミングで聞き、同時のタイミングで顔を見合わせる二人。
「いやいやいや、そりゃーないでしょ?」
頭を振り、ティナに聞き返す鈴音。
「え? 何で? ドレスって普通着せてもらうものじゃない。 私はそうだったし」
きょとんとし、傾げるティナに鈴音は――。
「はぁぁぁぁ!? ティナ、何よ全然ダメじゃない!」
その一言にカチンときたティナも負けじと言い返す。
「鈴こそ何よ! ドレスも一人で着れないわけ!? そういった機会、私よりあったでしょ!」
「あったわよ! でも、あたしが着てたのは『チャイナドレス』よ!!」
そう、チャイナドレスなら着れる鈴音も、こんなドレスは着たことない。
言い争いをやめ、とりあえずドレスを一旦ほどいてみた。
「まず、体を通して……ティナ、そっち持って」
「いいけど、絶対胸ぶかぶかよ?」
「し、仕方ないじゃん! セシリアとあたしじゃ、差があっても仕方ないじゃん!」
涙目になる鈴音、昔からのコンプレックスを刺激された鈴音だが、とりあえずそこは後で考えることにした。
その隣、箒&神楽組はチャイナドレスに苦労していた。
「む、胸が入らない……」
明らかにサイズが小さいため、自身の巨乳が収まらない。
更にミニスカートの部分も、サイズが合わないため完全に下着が露出してしまっている。
「こ、これでは半裸で走るのと同じではないか!」
箒は憤る、それを見た神楽は頷き。
「それはいけませんわね」
多少強引だが、神楽はチャイナドレスを引き上げた。
「いたっ、痛い! か、神楽! 苦しい!」
「今暫くの御辛抱を。 ……せーの!」
何とか胸だけでも閉じ込めようと後ろからチャイナドレスを一気に引き上げると同時に、嫌な音が聞こえてきた。
暫く沈黙が続く二人を他所に、未来&セラ組。
浴衣の着方は未来がわかっていたため、セラに的確に指示し、ちゃんと着れたのだが新たな問題が浮上した。
「未来、日本の浴衣ってそんなにミニになってたの?」
そう、丈が短い浴衣ミニだった。
浴衣=長いのイメージしかなかった未来、まさか膝上のミニとは思っておらず、着てから気付いたのだった。
しかも丈の短さ故に下着が見えるかもしれないという――着るには着れたが、カーテン・サークルから出るのを躊躇してしまった。
その隣の美冬、理央に海賊服を着せて貰っていた。
「な、なぁ、これって結構派手じゃねぇか?」
「そ、そうだね。 まさかヘソ出しだとは美冬も思わなかったなぁ」
海賊服を着た美冬、上着は胸元は大きく開き、谷間を強調するような作りに。
スカートもダブルフレアだが、丈の短さが美冬には少し恥ずかしかった。
カーテン内で軽く動くも、サイズはピッタリだったため、ハプニングは起きなさそうだった。
後は海賊ハットと小物である鸚鵡、模造刀である片刃のサーベルを差せば完璧なのだが。
「ニアッテルゼ、ニアッテルゼ!」
何故か生きてる鸚鵡が衣装袋に入れられていた。
「こ、こいつも込みで、コスプレって事なんだろうな……」
「た、多分」
美冬、理央共々に顔を見合わせるのが精一杯だった。
更にその隣、エレン&ソフィー組。
セーターという事もあり、特にソフィーの補佐なく着れたが。
「わぁっ! エレンさんっ、すっごく素敵です!」
絶賛するソフィーとは対称的なのはエレン。
今着てるセーターは昨今有名になりつつあった胸開きセーターという奴だ。
美冬の海賊服ほど大胆には開いてはないが、セーター故に体のラインが浮き出て、更に丈がまた短い。
トランジェスター体型の彼女の身体のラインのせいでエロくなくてもエロく見えてしまう。
「きっとヒルトさんも素敵だって言いますよ!」
「そ、そうだろうか……?」
「勿論ですよ!」
手を合わせ、花開く様な笑顔でこたえたソフィー。
『エレン、そのセーター凄く似合ってるな』
『エリー、可愛いセーターだ。 可愛い君にとても似合っているぜ?』
『愛しのE.E、そんなセーター着て俺を誘惑する気かい? 困った子猫ちゃんだな、おい』
妄想力爆発、キスされて更に可笑しくなってしまったエレン。
そんな想像してるとは露知らず、ソフィーはニコニコしていた。
そして――。
「美春ちゃん、角は着けた?」
「うん! これで私は立派な小悪魔だよ!」
小悪魔衣装に着替えた美春、エミリアのサポートもあっていち早く着替えた。
「エミリア、手伝ってくれてありがとう!」
「ううん、これもヒルトくんとデートするためだもん」
「あっ、そっか。 私が優勝したらデートだっけ? ……うん、それは美春が困るからダメ!」
「えぇっ!?」
ヒルトが断った訳ではないが、エミリアはショックを受けてしまった。
多分着ている小悪魔衣装による相乗効果かもしれない……。
「うぅ……良いじゃん良いじゃん。 素敵な彼氏見つけて、デートしても良いじゃん……」
しくしくと涙を流すエミリア・スカーレット、流石の美春もこれは可哀想かなと思い。
「う~、わかった! デート許す!」
「ほ、ほんとっ!? えへへっ、やったー!」
許され、カーテン内で跳び跳ねるエミリア――その手の中に、目薬が握られてる事実は誰も知らなかった。
そして……暫く沈黙していた箒&神楽組。
「神楽、何故黙っている」
神楽には言えなかった、チャイナドレスが破け、ブラ紐が見えている事を。
「篠ノ之さん、もうこのまま走りましょう」
「な、なに!?」
「勝てば官軍、です」
強引な神楽に戸惑う箒、一瞬の隙をつかれ、カーテン・サークルを追い出されてしまった。
「お、おい神楽! これでは、その、下着が丸見えではないか!」
「隠しながら走ってくださいませ」
あぁ無情、カーテン・サークルに戻りたくても着替えを終えた美冬がトップで飛び出してしまった。
「ええい、もう!」
憤る箒、羞恥心で真っ赤になるがそれでも走り出すのだった。
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