IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第582話】
遂に始まったコスプレ生着替え走、着替えるのは代表だけだが二十人一斉に走るのは壮観だった。
「さぁ! 最初に飛び出したのは箒ちゃん&神楽ちゃんペア!」
トップに出た二人、楯無さんの実況も熱がこもる。
とはいえ、結局着替える服の内容で着替え時間が変わるからまだわからない。
そして、置かれた抽選箱に手を突っ込んだ箒は早速四つ折りにされた紙を引く。
「鈴の服だ! 内容は……チャイナドレス(ミニ)――って、おい! なんだこのミニというのは」
二番手にやって来た鈴音に聞く箒、抗議の視線を送るも鈴音は頭を傾げ――。
「ミニはミニスカのミニよ? 所謂チャイナミニってやつよ」
「当然のように言うな! こ、こ、こんなもの、み、見えるではないか!」
真っ赤に赤面する箒、鈴音は構って居られず適当に相槌を打ちながら紙を引いた。
「あたしは――セシリアが用意した服ね。 内容は……は? ドレスぅ?」
とりあえずセシリアの用意した袋から取り出すと、きらびやかなブルーのパーティードレスが姿を現した。
「あら、わたくしの衣装を引くだなんて幸運ですわね鈴さん」
「何でよ!? ドレスなんて走りにくさマックスじゃない! それに、サイズが……」
そう、明らかにサイズが合わない、セシリアのサイズだから鈴音用になっていないのだ。
「うふふ、それは仕方ありませんわよ。 わたくしと鈴さんではスタイルが違いますもの」
「ムキーッ! ちょっとばっかりスタイルが良いからって! あたしだってエレンぐらいに胸とお尻があったら!」
飛んだ飛び火のエレン、肩がこるだけで良いことがないこの乳房を譲れるのなら譲りたいとさえ思っていた。
それはともかく、次はセシリアが紙を引く。
「わたくしのは……あら? 箒さんですわね」
箒が用意した衣装袋を取り、中から取り出すと現れたのは赤と白の巫女服だった。
「あら? これは、日本のシスターの衣装ですわね」
「まあ、当たらずも遠からずといったところだ」
「そうですの。 ……出来れば、青が宜しかったのですけど、仕方ありませんわね」
残念がるセシリアに、箒は――。
「な、何を言う! 古来から伝わる伝統衣装だぞ!」
だが、そんな衣装をコスプレ衣装として用意した箒もどうかと思う。
言い争う面々を他所に、今度はシャルが紙を引いた。
「えーっと……ラウラのだ。 あ……これって」
紙袋から取り出したのは軍服だった、それもミニスカートタイプ。
俺も以前投影ディスプレイで見たことがあるが、明らかにドイツ軍広報向けに作られたとしか考えられない。
「ふふっ。 我が黒ウサギ隊【シュヴァルツェ・ハーゼ】の服だ。 嬉しいだろう、シャルロット?」
自信満々に答えるラウラだが、シャルは軍服のサイズが小さいことに気付いた。
「こ、これ……僕の胸、入らないかも……」
その言葉に、ラウラは自身の胸の小ささを言われた様に感じた。
それもそのはず、実はこの軍服はラウラの物だったりする。
ラウラはスカートを穿かない、だから特別にスラックスタイプを発注している。
故に余ったそれを今回用意したのだが――。
「シャルロット、お前はいい友だった。 ……だが流石に小さいと言われたら許さん」
「ええっ!?」
「許さんからな」
とは言うものの、本気では怒ってないラウラ、言われたのがショックなのは事実だが。
それはさておき、ラウラも紙を引く。
「姫騎士……? なんだそれは? 姫と騎士は別物だ」
甲冑を取り出したラウラ、あろうことかその甲冑はビキニアーマーと呼ばれる肌面積ばかりが目立つえっちぃコスプレ衣装だった。
取り出したラウラを見て、簪の眼鏡が怪しく光る。
「姫騎士、それは古来の戦女神と同じ存在。 現代であれば、織斑先生の様なブリュンヒルデを指す言葉」
「何!?」
疑うことを知らないラウラ、簪の説明を聞き入っていた。
「凛々しく、たおやか、絶対可憐で無敵の存在」
簪の言葉を聞き終えたラウラの瞳は輝きに満ちていた。
「そうか! それは私に相応しいな! よし、着るとしよう!」
ご満悦のラウラを他所に、簪はニヤリとほくそ笑む。
そして紙を引き、書いてある内容を見る。
「これ、シャルロットの?」
そう言って取り出したのは猫パジャマだ、のほほんさんがパジャマにしてるのに似てる、着ぐるみパジャマという奴だろう。
「うん! ねこさん着ぐるみパジャマだよ!」
ニコッと笑顔で告げるシャルに、簪は黒いオーラを纏っていた。
「……あざとい」
「え?」
「あざとい。 流石フランス、あざとい。 だって狙いすぎでしょう?」
「……??」
ぶつぶつ文句を言う簪に、シャルは頭を傾げ、疑問符を浮かべるだけだった。
「後は私たちだけか。 ……これだ!」
抽選箱に手を入れ、感覚で紙を引いた美冬。
「……海賊服?」
「あっ、美冬が引いたんだ!」
美冬が引いたのは美春(正確に言うと有坂真理亜)が用意したミニスカ海賊服だ、それも真っ赤な。
スカートはダブルフレア仕様、胸は大胆にも開くタイプで確かに可愛いのは可愛い。
「うーん、まあ当たりっぽい?」
「当たりだよ当たり! 私は何かな~何かな~♪」
美春も同様に抽選箱に手を入れた。
「何かな何かな~。 ……小悪魔衣装?」
これまたミニスカタイプで色は黒、所々に赤をあしらい、背中には翼、スカートには尻尾、ついでと謂わんばかりに二つの角があった。
「あっ、美春が私の引いたんだ?」
「未来が選んだの? ……わあっ! これ可愛いな!」
目をキラキラさせる美春、未来(実は有坂真理亜)が用意した衣装を気に入ってしまった。
美春、未来と衣装決めに悩み、二人とも会ったのは別々だがヒルトの母親、有坂真理亜に相談したのだった。
「とりあえず私のは――え? 浴衣?」
「う、私が選んだやつだな」
エレンが用意したのは縁日等で着る浴衣だ、思っていたよりも普通の衣装で安堵した。
「よかったぁ、ミニスカート系だったら恥ずかしかったから」
穿けない事はないものの、やはりミニスカートは未来にとっては恥ずかしいのだ。
「ラストは私か。 ……これは、セーターか?」
「うん、美冬が用意した奴だね!」
秋も深まる運動会に、まさかのセーターをチョイスした美冬。
ともあれ、変なのではないことにエレンは感謝した。
これで全員の衣装が決まった。
「さあ! 全員カーテンの中に入って! あっ、ちゃんと体操服は脱ぐこと、お姉さんとの約束!」
ノリノリで実況する楯無さん、はっきり言うと俺と一夏は実況いらない気がする。
まだコスプレ生着替え走は始まったばかりだ。
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