IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第180話】
前書き
180話か
長いような短いような
――IS学園内カフェ――
場所は変わり、当初の目的地であったカフェに、俺とセシリアは居た。
「ん~! クリームソーダ最高だな! 俺、昔からこれ好きなんだよ」
「……そうですか」
「……セシリア、まだ怒ってるのか?」
「別に……怒っていませんわ」
そうは言うものの、明らかに不機嫌なセシリア。
原因は多分――。
――回想中――
『へぇ……チェルシーさんって一つ上なんですね?』
『えぇ。 有坂様はお嬢様から私の年齢などは伺わなかったのですか?』
『女性に年齢尋ねる事ってあまり無いですからね。 流石に初対面で聞く訳にはいかないですから』
『ふふっ、それもそうですね。 ……有坂様、私の事はどうぞ気軽にチェルシーとお呼びになってください。 口調も、お気を遣わずに使用人と思っていただいて結構ですので』
『……そう? 実は敬語って苦手なんだよ、俺。 ……でも、チェルシーの事は使用人と思うよりは友達として付き合いたいと思うさ、俺はな。 ……俺の事も、気軽にヒルトで構わないよ。 どうも有坂様って呼ばれるのはこそばゆい感覚に襲われてな』
『うふふ。 これは職業柄なので……ヒルト様と呼ばさせてもらいますね』
『まあ、職業柄なら仕方ないか。 まだ変な感じだけど……どうも様付けが慣れない』
『ふふっ。 直に慣れますよ、ヒルト様』
『……そうだな。 チェルシーはこの後直ぐに帰国するのか?』
『いえ、私共は暫く滞在した後に帰国。 帰国後はオルコット家の屋敷を、セシリアお嬢様がいつお帰りになっても良いように綺麗にしなければいけませんので……』
『そっかぁ……メイドって職業も大変なんだな。 暫く滞在するなら、この辺りを案内するよ? せっかく知り合えたんだから、日本の良いところいっぱい知ってほしいしな』
『ふふっ。 ありがとうございます、ヒルト様』
――回想終了――
……どうもセシリアには俺がチェルシーを口説いてる様に見えたらしく、今なお絶賛不機嫌そうにアイス・カフェラテをストローでかき回している。
からんからんと透き通った音が、一定間隔で鳴るのだが……。
「はぁ……」
そんな溜め息を吐くセシリアに、内心どうしようかと思うのだが……。
気分は浮気して彼女に謝る彼氏の気分……浮気したことないが。
……機嫌が直るかわからないが、セシリアが帰ってきたことには違いないので誘うことにする。
ストローに口を付け、カフェラテを飲むセシリアに――。
「なあ、セシリア」
「……何でしょうか」
やはり機嫌が悪いのか、若干ジト目で見つめてくるセシリアの前に、俺はチケットを出すと……。
「急なんだがな、明日ここに行かないか」
「……はい?」
そんな返事と共に、差し出したチケットをまじまじと見つめるセシリア。
「あ、あの……これは?」
「今月出来たばかりのウォーターワールドの前売り券だよ。 友達から五枚貰ってな。 二枚は鈴音に渡して一夏を誘えよって援護して、残り三枚だが後の一枚が美冬行くってので残り一枚が余った訳さ」
そう説明すると、不機嫌だったセシリアの表情が徐々に和らいでいき――。
「そ、その……わたくしでよろしいのかしら? ……未来さんやシャルロットさん、ラウラさんは――」
「あぁ、セシリアが帰国前の昨日訊いたんだが三人とも土曜日忙しいってさ。 セシリアが居たら先に訊いてたがイギリスだっただろ? いつ帰国するかわからなかったからな」
「そ、そうですか! うふふ、美冬さんが一緒ですが……美冬さんは妹ですし、大丈夫でしょう……えぇ、このチャンス、逃すわけにはいきませんもの……」
「……?」
何やら小さくガッツポーズしながら呟くセシリアなのだが、カフェで流れる穏やかなBGMの音楽にかき消されてよく聞こえなかった。
「大丈夫ならウォーターワールドのゲート前、時間は10時集合でどうだ?」
「えぇ、わたくしはそれで構いませんわよ」
すっかり機嫌が直ったのか、喜色に満ちた声で答え、表情も嬉しいのか笑顔のままだった。
「そうだ。 セシリア、日本の夏は暑いから縁の広い帽子を被るんだぞ?」
「えぇ、もちろんですわ。 ありがとうございます、ヒルトさん。 心配してくださるのが嬉しいですわ」
「……ま、まぁ熱中症になってもセシリアがつまらないだろ? それに、結構キツいからな、熱中症」
言って、俺はクリームソーダのクリーム部分をスプーンで掬って食べつつ、ソーダをストローで飲んでいく。
……何にしても、美冬とセシリアの水着には再度期待だな。
妹のに期待ってのもあれだが、美冬もスタイル良いから目の保養になるし。
セシリアは臨海学校で見たが、結構ボリュームのあるおっぱいで――。
等とやらしい事を考えていると、素直に俺の欲望の塊が反応し、バベルの塔を構築されようとしていたので慌てて思考を停止した。
「……? ヒルトさん? どうかなさいまして?」
「あ、いや、ウォーターワールド楽しみだなぁってな。 わはははっ」
「そうですわね♪ わたくしも楽しみです♪」
セシリアに悟られないように笑って誤魔化す。
……流石に外でやらしい事考えるのは不味いな、下手すれば去勢される。
……欲求不満なのかもしれない……ってまあ、思春期だから仕方ないが。
「あの、ヒルトさん。 この後何かご予定はありますか?」
「へ? とりあえず部屋に戻って明日の準備してからまた図書室に行ってシャルがここを卒業しても牢獄に入らなくてもすむ方法を探す予定だが……」
「そうですか……。 ……ヒルトさん、わたくしもお供してもよろしくて?」
「ん? もちろん構わないさ、セシリアも調べものか?」
「い、いぇ……。 せっかく会えたのですから今日一日は貴方の傍に居たいと……」
その言葉に、一気に血液が沸騰する思いだった。
何だかんだで、こういう風に言うセシリアが何と無く構ってほしい子犬の様な印象を受ける。
「んじゃ、今日は一緒に居るか? っても、変な意味ではないぞ?」
「わ、わかってますわよ。 ……で、ですが……ヒルトさんさえ良ければわたくしはいつでも……」
「…………」
言葉の意味がよく理解できないのは、今の俺は冷静じゃないからだろうか?
……何か、いつか手を出して肉体関係になりそうな……流石にそれは不味いが。
「な、何にしてもさ。 会計済ませて行こうぜ? ここの支払いは俺が済ませるから」
「い、いぇ。 わたくしが御支払いたしますので――」
「いいから、セシリアは日陰で待っててくれよ」
そう伝えると、セシリアも渋々納得し、カフェの外へと移動した。
流石にセシリアが金持ちだからといって、それに甘んじるのは絶対ダメだからな。
二人分の飲み物の会計を済ませると、日陰にいたセシリアの元へと走って向かう。
「お待たせ。 しかし暑いよな……」
「そ、そうですわね。 ……ヒルトさん、エスコートお願いします」
言ってからするりと腕をとるセシリアは、前のエスコートの時と同じく、密着するように寄り添ってきた。
……夏の暑さが吹っ飛ぶ様な腕に伝わるセシリアの乳房の感触に、またやらしい事を考えそうになるのだがそれを払拭するかのように頭を振る。
「じ、じゃあ行こうぜ?」
「ええ、お供いたしますわ」
なるべく歩幅を合わせる様に、俺とセシリアは図書室へと向かった。
幸いなのが、生徒の多数が帰省中ということで、今の俺とセシリアの状況を目撃した生徒がいなかったのが良かった。
後書き
ヒルトの思春期妄想がいつか爆発しそうな
流石にR-18にするのは……(-_- )
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