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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第188話】

 
前書き
うーん

迷走した気がしなくもない(-_-;)

美冬視点 

 
――ウォーターワールドゲート付近――


 次の日、天気は快晴。

 雲一つない真っ青な青空と共に、太陽から降り注ぐ紫外線と夏特有の熱気と熱波――。

 湿気は感じない為、不愉快な感じはないんだけど……この暑さは流石に慣れないと改めて思った。

 そして――こんな暑さの中、私は今なお並んでいるお兄ちゃんの身を案じていた。


「お兄ちゃん……大丈夫かなぁ? 熱中症にならないか心配だよ……」

「そ、そうだね。 ……ここから見る限りじゃ、凄く暑さに参ってるって感じが……」


 私がそう言うと、隣のシャルも同調し、同じように心配そうな表情を浮かべ、お兄ちゃんを見ていた。

 服装は、彼女らしく制服と同じぐらいの丈の短い黒いミニスカート、上はお兄ちゃんの好きな色の黒と赤のプリントTシャツを着ていた。

 私のシャルのイメージだと、黒というより淡い優しい色の服だと思ったのだけど――お兄ちゃんに合わせたのかな?

 ――黒は夏の日差しを直接浴びるから私は避けているけど、お兄ちゃんはそんな事はお構い無しに夏場でも真っ黒なTシャツ――それも今、どくろがプリントされているTシャツを着ていた。

 ……確か、あれって成樹君が今年のお兄ちゃんに誕生日にプレゼントしたやつだ。

 そう考えている私に、ラウラがお兄ちゃんを見たあとに私に視線を移すと――。


「……すまない美冬。 ……やっぱり嫁の代わりに私が――」

「ダメだよラウラ? そんな事しても、お兄ちゃんは喜ばないよ? ……だから、待とう? それにまだセシリアと鈴が来てないし」


 そう言うと、困ったように眉を下げるラウラ。

 それと同時に、シャルにしてもらったアップテールがゆらりと揺らぎ、太陽の光を反射するかのようにキラキラと光った。

 ……こんなときに思うのも変だけど、お兄ちゃん同様のプラチナカラーが羨ましいと思った。


「ぅ……む」


 渋々納得すると、ラウラは腕を組んでその場に立ち、並んだ行列の先のお兄ちゃんを見つめていた。

 ……ラウラの服装がIS学園の制服の為、私たち三人は嫌でも注目を浴びていた。

 ……主に、ナンパしてこようとする男の人達のグループに。

 ……事実、既にもう四組程に声をかけられていたのだけど、その度にラウラの有無を言わせない冷徹な瞳で男の人達の方が臆して諦めていくって形。

 暴力奮って追い払う訳にもいかないから、少し助かっちゃうのは内緒。


「あ。 皆、ごめーん」

「ん? 鈴だ♪ やっほー♪」

「ふふっ、後はセシリアだけだね?」

「その様だな。 ……行列も動いた様だ。 ヒルトももう少しでチケットを買えるだろう」


 鈴が私達を見つけると、駆け足ぎみでやって来た。

 織斑君が居ないから、少しテンション低いかなって思っちゃったけど……無用な心配だった。

 シャルとラウラも、鈴が来たことに表情を緩め、並んだ行列に動きがあったのもあるのか少しは気持ちが軽くなったように見えた。



「……うわ、凄い行列……。 これ皆当日券待ち?」

「そうだね。 ……お兄ちゃんも、もう少しで買えるって位置かな? 電話で聞いたけど……始発で来たはいいけど、既に凄い行列が出来てたって言ってたからね」


 その言葉を聞いた鈴は、呆れた表情で呟きつつも、すぐに表情をかえ――。


「……ったく、自分が用意した前売り券も渡すなんて……。 ま、アイツらしいって言えばそうだけどね? あんたたち、ちゃんと感謝しなさいよ?」


 ニシシっと八重歯を見せながらシャルとラウラに対して笑う鈴を見て、何だかんだであまり口には出さないけど、二人を心配してるのが私にはわかった。

 ――もしかすると、私がそう思いたいだけなのかもしれないけどね。

 そんな鈴に反応したシャルとラウラは――。


「うん、それは勿論だよ。 僕もラウラも……ヒルトにはいつも世話になってるし、迷惑もかけちゃってるから」

「……嫁に何か恩返しとは思っても、何をすれば良いのかが――」

「ん~、お兄ちゃん的には二人が元気ならそれでいいと思うよ? 下手に物とかで返しちゃうと、お兄ちゃん気を使っちゃうし」


 髪をかきあげ、そう伝えると納得したように二人が頷く――と。


「ねえ、ずっとゲート前に君たち居るけどさ。 友達待ってるの?」

「そんな友達は放っておいてさ、お兄さん達と遊ばない?」

「「「「…………」」」」


 今日五組目のナンパ男達。

 見た目が凄く悪そうで、鼻にピアス、耳にもこれでもかというぐらいにピアスを着け、髪は前に染めてから時間が立つのかプリンみたいになっていた。


「……なんだ貴様ら、悪いが貴様ら等相手にしてる暇はない、痛い目を見る前に消えろ」

 ラウラのそんな言葉を、聞き、互いに目を合わせるナンパ男達。

 さっきまで来た人達は、これで臆して居なくなったんだけど……。

 ……どうも、諦めが悪そうに思えた。


「……あたし達は友達を待ってるの。 だからあんた達に着いていくつもりもないんだから余所を当たってよ」


 こういうタイプが嫌いなのか、鈴は食ってかかる様に言うが――。


「へぇ? ……まあ良いじゃん。 女の子同士で遊ぶよりさ、俺達と遊ぶ方が――」

「しつこいなぁ……。 悪いけど、私たちは貴方達を相手にする気はないの。 あんまりしつこいと痴漢されたって叫ぶよ?」


 流石に私がそう言うと、慌てたのか積極的に誘っていた二人の後ろに居た男二人が、もう私達を諦めようって言っているのだけど――。


「馬鹿! これだけ可愛い子が勢揃いしてるのに諦めるやつがあるか!!」


 此方にも聞こえるぐらいの怒鳴り声。

 それに気付いて愛想笑いをするけど、私としては早く諦めてほしいとしか思えなかった。

 ……それに、お兄ちゃんがこの事態に既に気付いてるのが……。


「……この人達、ちょっとしつこいよね? ……実力行使……する?」

「ダメだよシャル。 幾ら女尊男卑でも、力で捩じ伏せちゃうのだけは避けたいから……。 ……やっぱり、痴漢って叫んだ方が早いかなぁ」


 そうシャルに聞こえる様に呟くと、それを見た男達が――。


「なに? 内緒話? 内緒話ならあっちのお兄さん達の車の中でしても良いんだよ? ついでに山奥まで皆でドライブとか――」


 山奥までドライブ――その言葉を聞いた時点で、下心しか無いと判断した私は――。


「結構です。 ドライブならそちらで勝手に行ってください。 そして、二度と私達の前に帰って来ないでください」


 普段の私なら言わないような黒い言葉。

 大体、出会ってすぐにそんな関係になれるはずないし、なりたくもない。

 そんな考えを余所に、ラウラも――。


「わかっただろ。 私達は貴様等を相手にするのも時間の無駄なのだ。 ……戦場なら、既に貴様等の命は無いものと思え」

「な……に?」


 ラウラの言葉に反応した鼻ピアスした男は、ラウラに詰め寄ろうとするその時――。


「およしなさいな。 わたくしの友人に手をあげるのならば、貴殿方の人生、取り返しのつかないことになりましてよ?」

「あ……セシリア!」


 深い縁の白の帽子を被り、いつもの制服の印象と変わらない出で立ちのセシリアが眉を吊り上げて立っていた。


「……貴殿方も、もう諦めなさいな。 これ以上問題が大きくなりますと、貴殿方の人生……困ることになりましてよ?」


 気品ある佇まいからくる言葉と威圧感に圧倒されている四人組。

 ……正直、問題が大きくなると私達代表候補生の方が色々と不味いのだけど――ここで誰かが(主に私かも)不安な表情を見せると付け入る隙を与えるかもしれない。


「……それに、いい男というのは引き際を見極めるものでしてよ? ……わたくしの見立違いかしら? 貴殿方なら引き際も既に心得ているとわたくしは思いますが……?」

「う……、た、確かにそろそろ諦めようと思っていた所だ。 ……今日は諦めて帰るか」

「だ、だからさっきから諦めようって言ってたじゃ――」

「うるせぇっ!」


 そんな怒鳴り声をあげ、ネックブリーカーをかけながら四人組は駐車場へと立ち去っていった。

 ……でも、何で急に諦めたのだろうか?


「皆様、大丈夫でしたか? ……すみません、少し道を間違えてしまって……」

「うむ、私達は大丈夫だ。 ……セシリア、助かったぞ」


 最初にそう言ったのはラウラだった。

 ……助かったのは、詰め寄ろうとしたナンパ男その1かもしれないのは内緒。


「……助かったよ、セシリア。 僕達困っちゃってて――」

「うふふ、間に合ってよかったですわ」


 シャルのお礼に、笑顔で応えたセシリア。


「なんにしてもさ、まさかナンパされるとは思わなかったわよ。 ……け、経験がない訳じゃないわよ? あんなしつこいのが初めてって意味で――」

「そうですわね。 ……ですから、怒らせるよりはああいう言い方をすると案外納得するのではと思いまして――昔、わたくしのお母様が言ってましたもの。 男の方は単純と――ね」


 鈴に対して、ウインクするセシリアのその仕草は、不覚にも私もトクンッと心臓が跳ね上がった。


「……そうなんだ。 でも、助けてくれたのはセシリアだから。 ……もう少し遅かったら、多分お兄ちゃん、並んだ苦労を捨てて介入してた頃だもん」


 そう言ってお兄ちゃんを見ると、やっと前売り券を買ったのか駆け足気味でやって来た。


「わ、悪い皆! 待たせた上にあんな輩のナンパ――」

「もぅ! お兄ちゃんが飛び出してこないかの方が心配だったんだよ、私は? 彼処で飛び出したら……並んだ苦労が水の泡だし、お兄ちゃん無しで遊ばないといけなかったんだからね!?」

「うぉっ……悪い。 ――セシリア、ありがとな? 大丈夫か……?」


 そう言ったお兄ちゃんは、セシリアを見るとその頭を帽子越しに撫でた。


「うふふ、わたくしはセシリア・オルコットですわよ? オルコット家当主なのですから――」

「そうか。 ……だからって、無理するな。 怖いときは俺に言え……」


 お兄ちゃんが返事をすると直ぐに耳打ちをし、何かをセシリアに言ったのだけど私の耳には届かなかった。

 ただ……お兄ちゃんがセシリアの事を本気で心配してるのがよくわかる。

 ……お兄ちゃんの表情が、昔私を心配した時と同じ表情をしていたからだ。

 ……ちょっと、複雑な気持ちになったのは何でだろう。

 時折、ちくんと心臓に痛みが走る様なこの感じ……。

 考えても答えが出ない、まるで底無し沼にはまった様な感じだ――。

 そんな考えを無理矢理払拭する様に頭を振ると、私はお兄ちゃんの腕に抱きつく。

 驚いた表情のお兄ちゃんを見上げながら私は――。


「お兄ちゃん、皆も。 さっきの事は忘れて今日は楽しもう? せっかくのウォーターワールドだもんね♪」

「そうね。 今日ぐらいは羽目を外して遊んでもいいかもね!」

「……ですわね。 ですが鈴さん? 羽目を外しすぎないように――」

「わ、わかってるわよ!」


 慌てた様に言う鈴に対して、クスクスと笑うセシリア。


「そうだね? ヒルト、さっきはご苦労様。 これ飲む?」

「む? ……シャルロット、用意が良すぎる気がするが?」

「き、気のせいだよ。 はい、ヒルト」

「ん。 悪いなシャル。 ……流石に暑かった、黒は熱を吸収し過ぎだな」


 シャルから受け取ったスポーツドリンクを、一気に飲み干すお兄ちゃん。

 余程喉が乾いていたのかも――。


「せ、せっかくだヒルト。 私のもやろう……」

「あぁ、悪いなラウラ――てか、これってラウラの飲みかけか?」

「ぅ……む。 ……嫌でなければ……飲むがいい」



 ふぃっと顔を逸らすラウラは、同性の私から見ても可愛い態度をとっていた。

 言葉は少し素直じゃないけど、雰囲気はお兄ちゃんに飲んでほしい――そんなオーラ(?)を出していた。


「……じゃあ遠慮なくもらうぞ? まあ全部汗にかわりそうだがな、これが」


 そう言ってラウラから受け取った飲料水を飲むと、全部は飲まずにそれをラウラに返した。

 ……たまにわざとやってるんじゃ無いのかと疑ってしまう。

 ……もしくは、余裕が出来たからかな?


「……美冬、難しい顔してどうした?」

「ん? ……何でもないよ、お兄ちゃん♪ ほら、いこっ?」

「お、おい引っ張るなよ。 ……皆、ウォーターワールドにいくぞ~」


 無理矢理腕を引っ張り、私はお兄ちゃん達に入場を促した。

 ……せっかくだもん、今日は楽しまないとね♪ 
 

 
後書き
多分というか駄文(-_-;)

女尊男卑なのにあんなのが居るのか?

というツッコミ(゚o゜)\(-_-)はどしどし批判を下さいませ

多分書いてる時に迷走したんだ、俺は( ´―`) 
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