異世界から戦女神の神殺しがやって来たようですよ?
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異世界から呪われた姫将軍が死ぬ為にやって来たみたいですよ?
エクリア・フェミリンス
私はどうすればいいのだろう。戦争に敗れ国を追放された。しかも、ブレアードに掛けられた殺戮の呪いによって妹であるイリーナをこの手にかけてしまった。
「私には死ぬ事も許されない…………」
私が死んでしまえば最後に残った家族であるセリーヌにブレアードに掛けられた殺戮の呪いが移ってしまう。それだけは避けなくては行けない。私は…………いや、神を殺して手に入れた恐ろしい力なら、私は呪いごとこの罪深き身を殺してくれるかもしれない。なんとしても彼を探さなければいけない。
「ん…………何これ…………空から手紙?」
宛先を確認すると、エクリア・フェミリンス。私に空から手紙など有り得ないと思いつつも、手紙を開いて確認して見る。
『悩み多し異才を持つ者達に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの“箱庭”に来られたし』
読んだ瞬間、足元に穴が空いて私は落ちて行く。気づいた時には空の上だった。それも、上空四千メートルくらいの場所。周りを見ると私の他に三人も落ちていた。
「アレは…………」
下を見ると私を殺しに来た神殺し(原作セリカ)がこちらへと向かって飛んで来ていた。
「エクリアか…………まぁ、良い」
一瞬で近づいて来た神殺しは私の身体を片手で抱きしめる。
「なっ、何を…………」
「黙ってろ」
「なっ!?」
顔を真っ赤にして抗議しようとするが、直ぐに身体が加速して近くで落ちている女の子を私と同じようにもう一つの手で抱きしめた。
「あっ」
「猫は自分で掴め」
「うん…………」
茶色い髪の毛をした女の子も少し照れながら頷き、神殺しの首へと手を回して身体を固定し、落下中の猫へと手を伸ばす。
「んっ、と、届かない」
「私に任せてください」
この場は協力した方が良いと判断した私は猫を鞭で巻きつけてこちらへと引き寄せ、女の子へと渡しました。
「ありがとう」
「いえ」
「それじゃあ、そろそろ加速するぞ。しっかり捕まってろ」
「うん」
「ええ」
神殺しは更に加速を早めて残り二人の所へと向かう。
「そこの男。あいにくと両手は塞がってる。落ちて水に濡れたく無ければ足を掴んでそっちのお嬢さんを捕まえてくれ」
「空飛ぶとか楽しそうじゃねえか。オッケー、乗ってやるよ」
「ちょっ、どこ触ってるのっ!!」
「おいおい、暴れるなよ。こっちは助けてやってんだぜ」
男の子がもう一人の黒い髪の毛をした女の子を抱きかかえ、神殺しの足を掴む。
「減速する」
その言葉と同時に身体に感じていた落下する感触が消えて行く。
「へぇ~空飛ぶ靴か…………」
「ああ、ヘルメスの空飛ぶ靴だ」
一定以上近づいたら男の子は足から手を離して地上へと女の子を連れて降り立った。
「ありがと…………一応、お礼を言っておくわ。貴方も」
「気にするな。さて、二人共、ついたぞ」
「うん、ありがとう」
「ありがとうございます」
私達もお礼を言って、草が生い茂る地面へと降りる。
「此処………どこだろう?」
「さあな。まあ、世界の果てっぽいのが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか? どうなんだよ、色男さん?」
「世界の果ては実際に有るが、大亀の上では無いな。ここは手紙にも書いて有った通り箱庭だ。つまり、異世界という場所だな。簡単に説明するとなだ…………黒ウサギ、ナベリウス、こっちに来い」
神殺しの声に答えてウサミミが生えた人間の少女と三つの頭を持つ巨大な犬に乗った女の子がこちらに来た。そして、一人の女の子がウサ耳少女に近づいていく。
「えい」
「フギャ!」
そして、力いっばいウサ耳を引っ張った。痛そうだったな。
「や、やめて下さい! ちょ、ちょっと2人とも引っ張ろうとしないでください! そこの方、助けてください!」
しかも、もう一人の女の子と男の子も引っ張ろうと近づく。
「そこまでだ。そのウサ耳は俺のだ」
「へぇ~~」
「あら、残念」
「ちっ、違いますよっ! 黒ウサギのステキミミは黒ウサギの物でセリカ様の物じゃ有りませんっ!!」
「ああ、そうだったな。コミュニティの物だったな」
「そうそう、黒ウサギのステキミミはコミュニティの…………って、違いますっ!!」
いじられている青い髪をしたうさぎ。
「じゃあ、俺らが引きちぎっても問題ないよな」
「あっ、ありまくりです!!」
黒ウサギと自分を呼ぶ少女は神殺しの後ろへと震えながら逃げ込む。
「コミュニティに入れば触るくらいは構わんが、引き抜くのは駄目だ。優しく撫でてモフモフするのは構わん」
「成程。愛でればいいんだね。そっちの子も?」
「あら、気にしないようにしてたのに…………物怖じしない子ね」
少女はケルベロスへ近づいて行く。
「…………ケルちゃんは…………セリカと私に認められなきゃ…………駄目…………食べちゃう…………」
「残念」
「しかし、地獄の番犬にナベリウス…………ソロモン72柱とかいきなり大物が出てきてやがるが、そんなのがゴロゴロ存在するのか?」
「ああ、存在するぞ。まあ、それは置いといておく。先ずは黒ウサギ」
「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ?
言いますよ?
さあ、言います!
ようこそ“箱庭の世界”へ!
我々は皆様にギフトを与えられたものたちだが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召還いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「yes! 既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆様は皆、普通の人間ではございません!
その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。
『ギフトゲーム』はその“恩恵”を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」
ここにはそんな連中がゴロゴロいると言うの?
「まず初歩的な質問からしていい? 貴女の言う“我々”とは貴女を含めた誰かなの?」
黒い髪の女の子は質問するために挙手した。
「YES! 異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある“コミュニティ”に必ず属していただきます♪」
「嫌だね」
「属していただきます! 属さないと普段の生活すらままならなくなってしまいますよ? そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの“主催者”(ホスト)が提示した商品をゲットできると言うとってもシンプルな構造となっております」
女の子が控えめに挙手した。
「……“主催者”って誰?」
「ギフトゲームを主催し、管理する人ですね」
「誰でもなれるの?」
「商品を用意する事が出来れば。それこそ、修羅神仏から商店街のご主人まで主催者によってギフトゲームのレベルも変わりますよ」
「へえ、じゃあ試しにそのギフトゲームとやらをやらせてもらえるか?」
「構いません…………よね?」
神殺しの方へと黒ウサギが確認するように見る。
「そうだな。では、先ずはこう聞こうか。お前らが望むゲームは対等な物か? それとも面白くもないクリアー確実のような単なる遊戯か?」
「はっ、対等の物に決まってるだろ」
「そうね。舐められるのは嫌よ」
「うん。私も対等なので良い。貴女は?」
「私もそれで構わない」
「では、お前達が負けたらどんな命令でも二つの選択肢から一つを選んで実行する。俺が負けたら空飛ぶ靴と命令権をプレゼントしよう」
つまり、私が勝てば私は神殺しに殺して貰える。これはありがたい。
「いやいや、本気でギフトゲームをするのもどうかと黒ウサギは思うのですが…………先ずは自己紹介をしませんか? と、黒ウサギは言ってみるのですよ?」
「「「「「あ」」」」」
「…………忘れてた…………?」
それから、私達は自己紹介をし、ゲームの内容を確認する事にした。
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