崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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ほんへ
最終章へと向かうその前に…
姉と出禁と紫の未亡人
前書き
どうも、クソ作者です。
気が付けば9800文字行ってました。長いっす。
というわけで特に語ることもないのでワクワクの本編、いってみましょう!
「姫は!!!!!!!!嫌だァ!!!!!!!」
ホテルの部屋にて、おっきーは叫んでいた。
「頼むよこの通り。ほら、欲しいゲームあったろ?」
「やだ!!!姫は絶ッッッ対に!!嫌だ!!!!!」
叫んでいたというか、猛烈に拒否している。
理由はとっても単純だ。
「俺約束しちゃったんだからさ。ほら、ここは背水の陣作戦で当たって砕けろってことで。」
「何勝手に人の逃げ道ふさいじゃってるのぉ!?!?」
さっき弟くんと約束したアレ。
「明後日、必ずキュア☆おっきーは出ます」と言った約束だ。
「やだ!姫は絶対にやだ!!もうあんな思いしたくないもん!まーちゃんには分からないんだ!全身筋肉痛の辛さが!姫の痛みが!!」
「大体なんでサーヴァントが筋肉痛になんだよ。」
「姫もわかんない!!」
「一体なんでい。隣の部屋からも聞こえたヨ?」
と、出たくないというおっきーの叫びに隣から苦情が。
「あ!北斎先生!それに式部パイセンも!」
やってきたのは葛飾北斎に紫式部。そしてそのマスター達だ。
「式部パイセン聞いて!姫が水着になりたくないって言ってるのにまーちゃんがなれって言うの!ヒロインショーに出ろって言うの!!」
「は、はぁ…?」
擦り寄るなよ。
「式部パイセンなら分かるよね!!同じ文化系サーヴァントとして分かるよね!!最近水着実装されたから分かるよね!!」
「何が…でしょうか?」
「ほら!なるでしょ!?水着になった後、副作用のように全身筋肉痛になるでしょ!?ね?ね?ね?」
「…なりませんが。」
「ほーら言った!式部パイセンだって………
……え?」
なりませんがって仰ったぞ。
「え?嘘ですよね!?嘘ですよね式部パイセン!まーちゃんの肩持たなくて良いんですよ!?」
「以前水着になった事はありますが…通常に戻った後特にそれといったものは無く…私が、おかしいのでしょうか?」
「いや紫式部さん、アンタは正常だよ。」
おっきー曰くキャラ被りしている紫式部なら同じ筋肉痛の副作用に悩まされていると思い、味方を作りたかったのだろう。
だが返ってきた答えはNO。
紫式部は水着になっても何の影響も副作用もないのだと言う。
「だってよ。おっきー。」
「やだ!それでも姫は水着にならない!キュア☆おっきーは死んだの!!」
子供(主に大きなお友達の方)の夢をぶち壊すんじゃねーよ。
「水着になりたかない、ねぇ。確かにそりゃおれも思うところはあるナ。」
だが、こんなところでおっきーの味方をする思わぬ人物が。
それは
「え?なんで?水着のお栄ちゃんかわいかっ」
「お前は黙ってろマゾ犬。今度"あいつ"の事言ったら貞操帯かつ感度千倍メスイキ寸止め地獄の刑だぞ。」
「わ、わうぅ!」
北斎だ。
彼女の水着について舞が話そうとしたところ、慌てて口を閉じさせた。
どうやら北斎もまた、水着に何らかの嫌悪感があるらしい。
あと貞操帯かつ感度千倍メスイキ寸止め地獄の刑ってなんだよ。
「ともかくだ、なりたかねぇのに無理矢理強要するのは良くねぇ。おれは刑部姫殿の味方だナ。」
「やった!!どうだまーちゃん!これでもまだ水着になれって言うの!?北斎先生が黙ってないよ!!」
得意げになりやがって…!
まるで虎の威を借る狐ってやつだ。
いや、この場合借りてんのは蛸の威か。
「ってか、水着にならなきゃいけない理由ってなんなの?」
と、この場を静観していた葵が口を開く。
なのでかいつまんで説明させていただいた。
「実はかくかくしかじかでな。」
「ああ、ヒロインショーの。」
それを話すと葵も納得。
そしてさらに
「いっそのこと出てみる?紫式部。」
「え、わ、私ですか…!?」
何を思ったのか紫式部にヒロインショーに出ることを提案し始めたのだ。
「いいじゃん。折角の水着だよ?観客の人達に見てもらいなよ。今日のアタシみたいに、さ。」
「え、あ、それは…。」
今日のこと根に持ってるぞこいつ。
「出たいやつが出て、出たくないやつは出なきゃいい。結局のところそれが一番だろ。」
「え、じゃあお栄ちゃんは」
「黙ってろって言ったのが聞こえなかったかマゾ犬。今夜はキツめのお仕置きが必要そうだナァ?」
「く、くぅん。」
おいおすわりしちゃったぞ。
「ショーは明後日なんでしょ?じゃあそれまでにちゃんと準備しておくから待っててね探偵さん。」
「おう。」
「それとあたしも、今夜は香子にキツいお仕置きしなきゃいけないから。」
紫式部の腰をぐいと引き寄せ、怪しい笑みをして去っていく葵。
きっとゴスロリの事やろなぁ…。
てか紫式部なら後にこうされること分かってたろ。
あ…(察し)もしかしてこうされるのが分かってたからしたのか…!?
去り際の紫式部、満更でもなさそうな表情してたし!
しかし
「おいマゾ犬。"あいつ"の話は二度とするなって言ったよナァ?ン?」
「わ、わぅ…。」
前髪を掴まれ強引に上を向かされている舞。
こっちは本気で嫌そうな顔…というよりかは怯えまくっていた。
そうして各々の部屋に帰っていく彼ら。
「どうするのまーちゃん?弟くんに謝っとくなら今のうちじゃな〜い?」
「なんでお前はそう煽るんだよ。」
くそっ、意気揚々とあんなこと言っといて…このままじゃ本当に弟くんに謝らなきゃいけないし、何よりも弟くんが恥をかく事になる。
そうするとどうなるか分かるか?
弟くんに恥をかかせた場合、お姉ちゃんが黙ってねぇぞ。
最悪リースXPのごはんだ…!それだけは免れねぇと…!
「あれあれ?どこ行くの〜?」
「ちょっと頭冷やしてくる。」
煽り、うつむき加減の俺の顔を覗き込むおっきー。
俺は頭を冷やすべく、部屋を出てロビーへと向かった。
ああ、悪かったよ。
水着になってくれだなんて、お前には酷だよな。
俺…すごく反省した
なーんちゃって♡(ゲス顔)
反省なんざしてませーん☆
俺がそんな大雑把な作戦でやってると思ったかよ。
俺には作戦がある。
それに既にハマっているともおっきーは知らずに…へへへ。
見てろよおっきー。
必ずお前は明後日、キュア☆おっきーになるんだからな!!
さてまずは下準備として…
「…あ、もしもしニノマエです。王妃様いらっしゃいます?」
必要な人物に電話をかけるとしよう。
⚫
翌朝。
俺達が泊まっているホテルでは朝食はビュッフェ形式がとられていた。
なので一同にテーブルに集まり、談笑しながら楽しくモーニングをいただく。
のだが
「あたしを殺せ…!!」
今日の葵ちゃんのお洋服は昨日と打って変わって白とピンクを基調としたファンシーなゴスロリ衣装。
斜めに被った小さなシルクハットがなんともキュートだゾ♡
「普段着はねーのかよ。」
「スーツケースが入れ替わってた…!中身…全部こんなんだった…!!」
隣にいる紫式部さんはニッコニコである。
「大変よくお似合いです。葵様。」
「今夜も覚悟しろよ…!」
まぁいいよ。
嫌々ながらもゴスロリを着る葵。
その後のお仕置きも快く受け入れる紫式部。
この2人は2人でうまくやれてるみたいだし。
問題はアブノーマルな方だ。
「マゾ犬、ほら。」
「わう!」
北斎がちぎったパンを投げると、北斎の椅子になっていた舞が器用に口でキャッチして嬉しそうに食べる。
唯一の救いは舞がまだ服を着ていること。
「昨日の調教のしょっくでナ。まだ自分を犬だと思い込んでる。」
「わんわん!」
「あー分かったから。ほら、待てだ。」
マジで昨日何があったんだよ…。
「話は聞いたぞ誠。ヒロインショーには武蔵も出よう。」
「なんだよいきなりだな。」
アブノーマルな光景に唖然としていると、急に大和がそんな話を切り出してきた。
「うん。出禁を解除してくれたお礼もありますし。ここは武蔵、ヒロインショーで大立ち回りを見せるとしましょう!」
「と、武蔵自身もそう言っている。」
「なるほど…そいつは助かるぜ。」
と、今日は半分ずつYESとNOが書かれた文字Tを着た大和は言ってくれた。
とすると今出てくれるのは紫式部に武蔵と、まだ心許ない。
だが翌日、本番にてゲストが二名も来てくれることが決まっているので実質四名だ。
「なぁにまーちゃん。まだ諦めてないのぉ?」
「ああ、諦めちゃいねーよ。俺は依頼を必ず成功させる男。そしてお客様のリクエストには必ずお答えしちゃう男でもあるんだぜ?」
しかしなんとしてでも成功させて見せよう。
そして見せてやろうじゃないか。
水着サーヴァント大集合の、水着ジェネレーションってやつをなぁ!!
⚫
お昼。
各自自由時間となり各々は好きな過ごし方をする。
その中のうちの一人、葛城舞改め葛飾舞は
「はぁ…。」
1人で街をとぼとぼと歩いていた。
正気に戻った頃は昼前であり、実は前々から東京で買いたかった限定モノのモンブランを急いで買いに行ったところ、案の定売り切れだったのだ。
「ついてないなぁ。」
ちなみに今日の服はスリットが割とすごい紺色のチャイナドレス。
友人のユゥユゥから絶対に似合うと思うよ!と言ってもらった最高級のお召し物である。
しかし今、そんないいものを着ていてもテンションは上がらなかった。
「そこのカマホモ野郎。何かお困りだね?」
「え…?」
聞き慣れた声に思わず振り向く。
というより、そんな悪意に満ちた呼び方をするのは彼しかいない。
「探偵さん、大和さん、それに葵ちゃんも?」
後ろにはその三名のマスターが立っていた。
「悲しい顔をしてるな。何かあったのか?」
「ううん、なんでもない。ちょっと良くない事があっただけだよ。」
しょんぼりとする舞。
ちなみにそれぞれのサーヴァントはゲームしてたり絵を描いてたり文をしたためていたり修行と偽り内緒でアダルトなショップに行ったりしている。
「そっか、実はあたし達これからお茶するんだよね。」
「お茶?」
「そ、マスター同士で親睦深めあおっかなーって。ケーキでも食べながらさ。」
そういい、白い箱を見せつけてくる葵。
「…!」
しかし舞はその箱に、見覚えがあった。
「お?どうした?急に目の色変えたぞ?」
「まるでほねっこを目の前にした犬みたいだな。」
その箱は、東京のケーキ屋の箱。
ブランド中のブランドで、いつか食べに行きたいと思っていたお店。
そして…。
「そういえば舞、モンブラン大好きなんだってね。」
葵が箱を開け、その中身を彼に見せつけた。
その中身には
「は…あ、ああぁ…!」
「"たまたま"寄ったお店に"たまたま"あったんだよねぇ。この数量限定のモンブラン。」
まさに彼の食べたかったものがそこにあった。
「ふっふっふ…ご馳走を目の前に『待て』をされ続けてもう辛抱たまらん犬のようになってるな?」
「何でもかんでも犬に例えようとすんじゃねーよ。」
舌を出し、本能で動き出す舞。
しかしその箱は閉じられ。
「え…。」
「ごめーん。今の舞には上げられないかなー?」
「なんで!?どうして葵ちゃん!?僕それ食べたいのに!買ってきてくれたんじゃないの!?」
「ああ、確かに買ってきたよ。お前のためにな。」
「じゃあなんで…!」
そういう舞の目の前に、まーちゃんが人差し指を向ける。
「条件がある。たった一つだ。その条件さえ飲めばお前はこのモンブランを食べられる。」
「一つ?一つだけ?やりますやります!ぼくなんでもいうことききます♡♡」
「あのさ、特にエロい事じゃねーのに目ん中ハートにして発情すんのやめてくんね?」
彼の提案した条件。それを言った際舞は迷いはしたが、その条件を飲み込んだ。
その条件は、ご主人様を裏切ることになるかもしれないが仕方の無い事だったのだ。
「おいひい…おいひいよぉ♡♡♡」
「だから発情すんな。フツーに食えフツーに。」
そう、仕方がなかったんだ。
心の中で何度も自分に言い聞かせ、彼はモンブランの美味しさに舌をうならせるのであった。
⚫
翌日。
「ついに来たぞこの日が。」
時刻は7時半。
シルク・ドゥ・ルカンの準備室に集結したマスターとサーヴァント達。
「ここまで連れてきても姫は出ないからね。」
「俺もサ。何故か皆がなるみたいになってるがその流れにゃ乗らねぇヨ?」
「ああ、別にかまわねっすよ。」
俺達4人4騎に
「あの…探偵さん。」
「なんだよ。」
「刑部姫はああ言ってるけど…ホントに出るんだよね?もう充分に宣伝はしちゃったんだけど…。」
「安心しろよ。弟くんは胸をドンと張ってオーナーらしくしてればいいのさ。」
「ホントに…?」
不安げな弟くん。
大まかな脚本を聞いてウッキウキのお姉ちゃん。
そして…。
「さて、そろそろゲストが来るだろう。」
「ゲストって?」
「ああ、こちらの方。」
そうすると準備室のドアが開かれ、誰かがやってくる。
満面の笑みは周りの人間すら幸せにしそうな程。
漂う気品はまさに華やかな彼女は
「ヴィヴ・ラ・フランス!皆さんこんにちは!」
「え!?」
「我らが王妃様、マリーアントワネットにございます。」
キュア☆おっきーと共演できると連絡したら我慢できずに駆け付けたマリーアントワネット王妃でした。
「マリー王妃、広海さん、ようこそおいで下さいました。」
と、俺はマリーに礼をし、広海さんと握手を交わす。
「電話に出るなりマリーがはしゃぎ始めて何事かと思ったらこういう事だったんだな。」
「ええ、それと勿論今回は王妃様にも水着になって頂きたく。」
久しぶりの再会に喜ぶマリー。
広海さんも何かと大変らしいが、マリーが喜ぶならとの事でこの件は快諾してくれたのだ。
「おっきーこんにちは!今日は私とジャンヌ、三人で頑張りましょう!」
「いや…姫出ないから…。」
「どうして?とても楽しいのに…。」
作戦その1。
プレッシャーかけさせる作戦。
大物たるマリーアントワネットが出るというプレッシャー。
さらに彼女から出ないのかと直接誘われるプレッシャー。
その2つがおっきーに襲い掛かり、水着にならなくを得なくする作戦だ。
「あ!武蔵さん!あれから進展はあったのかしら!」
「大丈夫。この通りだ。」
「まぁ!」
以前恋バナをした仲として、マリーは武蔵にも挨拶する。
すると大和は肩を組んで引き寄せ、もう既にこういう間柄だということを伝えた。
顔真っ赤だぞ、武蔵。
「ヨシ!これでゲストは揃った。」
「え、でも…。」
役者は揃った。
そう言ったが弟くんが何か言いたそうだ。
「ゲストは二名って…。」
「ああそれはな…あと一人だが本人の予定もあってぶっつけ本番で来るんだよ。だから後は悪役の人達の到着を待ち、これから予定通りヒロインショーを始める。」
終始不安げな表情の弟くん。
大丈夫だって安心しろよ。キュア☆おっきーは必ず出るしヒロインショーは必ず上手くいく。
「任せとけ。俺と弟くんの仲だし、受けた依頼は必ず成功させる。俺は探偵にしてエンターテイナーだぜ?」
てか、成功させなきゃお姉ちゃんが黙ってないっての。
⚫
お昼くらい。
会場が開く前から観客の大行列。
宣伝効果はかなりあったらしい。
「どうするよ。おそらく大半がお前目当てだぜ?」
「そ、そうじゃないかもしれないじゃん!」
おっきーは確かに揺らぎ始めている。
このままうまくいけば出てくれること間違いなしだが…
「ほら、始まったぞ。」
俺達は裏方にて待機。
ショーの様子はカメラで確認しながら出るタイミングを図る。
事前の確認はバッチシOK。
何度も細かく確認し、全員スタンバイ完了だ。
さぁ、
「!!」
会場内に銃声が鳴り響く。
人間同盟や葛城財団の襲撃ではない。
悪役の銃によるものだ。
「懲りずにまた来ましたね!海賊さん達。今日は仲良くお2人で!」
「俺達は仲良しなんかじゃねぇ!もうお客さん方にはお馴染みだが敢えて名乗らせてもらうぜぇ!俺様は暗黒カリブ海賊団団長!ブラックバード様だァ!」
「そして私は極悪紳士海賊メカクレスキー。ジャンヌ、今度こそメカクレになってもらおうか!」
現れたのはこのショーにて悪役をつとめる二名。
ブラックバード様。サーヴァントの黒髭がここで悪役をする際名乗る名前であり、本人の言った通りここではお馴染みのキャラクター。
悪さをしに現れ、毎度毎度ジャンヌにボコボコにされるのがお約束のキャラクターだ。
そしてもう一人は黒髭が忙しい際、代わりに悪役をつとめる極悪紳士海賊メカクレスキー。
言わなくても分かるかもしれないが、バーソロミューだ。
今回は2人とも手が空いているということで来てもらった。
そして後ろには全身黒タイツにカットラス(おもちゃ)を持った雑魚敵達。
ヒロインショーの舞台には充分だ。
「くっ…なんて数の敵…!」
『おーっとどうするジャンヌ!!敵が徒党を組んで現れたぞ!!さすがに無敵のお姉ちゃんも数の暴力にはかなわずか!?どうするジャンヌ!』
そしていつのまにか作られていた実況席に座っているのはジャガーマンさんとシロウさん。
あ、シロウって天草ね。
『この状況!どう見ますシロウさん!』
『はい、解説の天草四郎です。そうですね。やはり今回ばかりは分が悪過ぎます。このままではイルカさんは売りさばかれジャンヌはメカクレになること間違いなしでしょう。』
『な、なんだってー!!!』
と、お手本のようなリアクションをするジャガーマンさん。
しかし負けることは無い。
これは健全なヒロインショー。
正義のヒロインが負けるのはえっちな作品だけなのでジャンヌはまず負けない。
それに
「じゃあ行ってもらおうか!トップバッター!」
「ああ!」
大和の肩をトンと叩き、彼は聖晶片を握り締め力強く頷いた。
「行くぞ武蔵!」
「ええ、見せてあげましょう!出禁を解除された水着剣豪の力を!」
聖晶片を砕き、武蔵は眩いに光に包まれながら表舞台へと飛び込んでいく。
ジャンヌ、そしてダブル海賊団の間に割って入るように現れた一筋の光。
それは…
「なんだあれ…見たことないぞ!?」
「まさかの新キャラか!?」
観客からの驚きの声。
いいねいいね、そのリアクションが見たかった!
「お前は…誰だ!?名を名乗りやがれ!」
「名前?ハッ!悪党に名乗る名前など持ち合わせていませんが…ここは名乗らせていただきましょう!」
リボルバーと刀を合体させたようなロマン武器を海賊達に突きつけ、彼女は堂々と名乗りを上げた。
「我が名は水着剣豪宮本武蔵!この世に蔓延る悪党を根絶やしにすべくやってきた風来坊!さぁ!刀の錆になりたいやつからかかってきなさい!!」
「水着剣豪だとォ…!!」
水着剣豪。
そのワードにブラックバード様は一筋の汗を流した。
「知っているのか!?ブラックバード!」
「ああ、聞いたことがあるぜ。ウエスタンスタイルで星条旗ビキニを着こなす無双の二刀流女剣士…宮本武蔵!どうしてこいつがここに…!!」
戸惑うブラックバード様、クラシック銃をかまえるメカクレスキー。
そしてわざとらしく戸惑っているジャンヌに武蔵は振り向くと
「安心してキュア☆ドルフィン。私はあなたの味方ですから。」
「出禁の武蔵さん…!」
「え、それやめて。」
『突然現れた謎のヒーロー出禁の武蔵!助っ人としては申し分ない!さぁジャンヌ!彼女と共に悪を討て!!』
「やめて。」
しかし現実は非常かな。
この後、水着剣豪宮本武蔵の通称は"出禁の武蔵"と広まってしまったのである。
「ええい!たかが2人に増えただけじゃねぇか!野郎共!やっちまえ!!」
お決まりのセリフを吐き、ブラックバード様は雑魚敵に指示を下す。
カットラスをかまえ、数十もの雑魚敵は彼女らに襲いかかるが。
「なんの!たかが有象無象!この武蔵にはカトンボと変わりなし!!」
いともたやすく斬り捨てていく武蔵。
あ、大丈夫。ちゃんと手加減してるしマジで斬ってはないからね。
「すごいぞ出禁の武蔵!!」
「やべぇ!新キャラじゃん!あれ俺の推しにするわ!!」
「お姉チャンバラかな?」
観客からは概ね好評。
そしてジャンヌも負けてはいない。
「くっ…中々やるが…君には姉弟揃ってメカクレになってもらうぞ!!」
「弟くんを巻き込まないでください!!」
雑魚的と共にやってきた敵幹部、メカクレスキーと戦っている。
彼は紳士であり、先に雑魚にやらせて自分は後から戦うという戦い方はしない。
正々堂々と戦うのが彼のセオリーなのだ。
たまにいるよね。妙に優しい悪役。
「くっ…このままじゃやべぇな…!」
雑魚敵は簡単にやられ、劣勢に追い込まれるブラックバード様。
しかし彼はいい事を思いついたのか、悪役特有の悪そうな笑顔を浮かべ、
「ふふ…大人しくした方がいいんじゃねぇのかい?お二人さんよォ?」
「な、何ですって?」
フックを舐めながらゲスい顔で話し出すブラックバード様。
「ほら、あれを見な。」
「な…!!」
ブラックバード様の指さした先、
観客席のところにはなんと雑魚敵に羽交い締めにされたお客さんが…!!
「ブラックバード!卑怯だぞ貴様!」
「そうです!卑怯過ぎます!!」
「悪党め…それでも人間か!!」
「へへへ…なんとでも言いやがれ。俺様は卑怯とらっきょが大好物なんでなァ…ってかキュア☆ドルフィンや武蔵はともかくなんでお前まで拙者のこと非難すんの?おかしくない?」
メカクレスキーも一緒になってブラックバード様を非難するのはさておき、彼女らは人質をとられてしまい身動きがとれなくなってしまった。
「さーて、というわけで俺達の言うこと聞いてもらおうか。」
「ああ、そうだね。ではまずは前髪を伸ばしてもらうとしよう。」
こいつほんとメカクレの事しか言わねーな。
「このままでは…!」
さて、ここではあることに注目して欲しい。
観客席にて雑魚敵に抑え込まれている観客。
実は彼女、タダの観客ではない。
こちらの仕掛け人だ。
「あの…そろそろよろしいでしょうか?」
黒と紫を基調としたドレスを身にまとった"観客"はなるべく優しく抑えてくれてる悪役に確認をとる。
そして悪役が頷くと、
「えい!」
そのまま観客は背負い投げをし撃退したのだ。
「な、なんだってェ!?」
「私をただの一般人だと見くびりましたね。海賊ブラックバード。」
コツ、コツと靴の音を響かせその観客は舞台へと降りてくる。
ふわりと飛んでイルカさんたちのプールを軽く飛び越えると、観客もとい、そのサーヴァントは優雅に降り立った。
「お、お前!!何者だ!」
「何者?必要とあらばお教えしましょう。」
観客席がざわつく。
なんだよ、また新キャラか?
一日に2人とも出すとか大出血サービスだろとか賑わいまくってる。
「ある時は図書館の司書。ある時は昭和風アイドル、そしてまたある時は女子高生風コスプレイヤー。しかしてその実態は…!」
それに合わせ、裏方でスタンバイしていた葵が聖晶片を砕いた。
「はっ!」
紫色の眩い光に包まれながらそのサーヴァント、紫式部は華麗に変身を遂げる。
裸になったりするけどそこら辺は不自然な謎の光でカバーしてるからお子様にも安心だ。
「魅惑のブラック・ウィドウ、紫の妖しき未亡人!キューティーパープル、ここに見参!です!」
「な、なにィ!?」
ここで現れたのは3人目のヒロイン、
紫の妖しき未亡人キューティーパープル。
てかお子様向けのヒーローなのに未亡人とはこれいかに…。
性癖歪んじゃうよ…。
ちなみにセリフは本人がノリノリで考えてくれたよ!
『突然現れた謎のヒロインキューティーパープル!自ら未亡人だと明かしたヒロインは彼女が初めてだがなんだか子連れのお父様方には好評っぽいぞ!シルク・ドゥ・ルカン!ここに来て新たなファン層獲得だ!!!』
ジャガーマンさんの言う通り、彼女のどこか寂しげな雰囲気と美貌にやられ、お父様方は目が釘付けになっていた。
黒でシックな水着、露出は極力おさえているようだが逆にそれがリビドーを掻き立て背徳的な気分にさせる。
おそらく、家族連れの観客が増えることだろう。
「ハッ!拙者未亡人はアウトオブ眼中ですしー!キューティーパープルとやら!とっととおかえり願おうか!」
なんだとコノヤロー!
未亡人の良さが分からねぇのかブラックバード!
とかなんか観客からの避難の声聞こえてますが…。
「…。」
「どうするよ?式部さん出たけど。」
さて場所は変わり舞台裏。
そこではカメラで一部始終を見ている残りのメンバーが。
「ど、どうしたって姫の意思は変わらないからね。」
「ふーん、そう。」
断固として出ないおっきー。
「帰るぞ。マイ。おれが出る幕はねぇヨ。」
「うん…でも。」
帰ろうとする北斎。
だが舞はそんな北斎を引き止めている。
「どうしたマイ。なんか昨日からおかしかないか?」
「ううん…あの…もうちょっとだけ、見てかない?」
「ったく、しょうがねぇナ。」
舞の行動に違和感を覚えつつも北斎は腕を組んで椅子に座る。
そうだよ。
北斎にもこのショーに出てもらうんだからな。
忘れちゃいねぇよなカマホモ野郎…。
昨日の約束を、な。
後書き
かいせつ
⚫極悪紳士海賊メカクレスキー
暗黒カリブ海賊団団長、ブラックバード(黒髭)のお友達。
世界中の少年少女をメカクレにするという野望を秘め、世界征服を企んでいる。
シルク・ドゥ・ルカンにて、黒髭がショーに出られない時は代わりに彼が出る。
ちなみに正体はバーソロミュー。
ってもう分かりきってるよね。
⚫雑魚敵の人達
いわゆるショッカー的ポジションの人。
元はシルク・ドゥ・ルカンの係員だが大半は元人間同盟の人達で占められている。
実は彼ら、教祖様がおかしくなり、目が覚めて集団で一気に人間同盟をやめてきたのだ。
間違っていたのは自分達だと悟り、贖罪として何かできることは無いかとさ迷っていたらシルク・ドゥ・ルカンに拾われた。
今ではこうして係員、悪党役として日々懸命に働いている。
ちなみに教祖様がおかしくなったのは葛城財団と関わりを持ち始めてからだという。
⚫出禁の武蔵
ジャンヌのピンチに現れた伝説の風来坊。
本来は水着剣豪宮本武蔵という名前なのだがある事件のせいで出禁の武蔵と呼ばれ、それが観客などのファン達にも浸透していった。
スタイリッシュなアクションと華麗なガンブレイドさばきで見た者を魅了させるぞ
うどんを食べるとパワーアップする。
⚫キューティーパープル
妖艶な雰囲気、そして蜘蛛モチーフの彼女はお前それ悪役ポジションだろ?と疑いたくなるがれっきとしたジャンヌの味方。
パープルフラッシュという変身能力を備えており図書館の司書、昭和風アイドル、女子高生風コスプレイヤーと3パターンが存在する。
変身時は裸になるけどそこは謎の光で規制。
お子様も安心だ。
そしてシルク・ドゥ・ルカンには新たなファン層が誕生したのであった。
次回にも煌めくガラスのプリンセスやら謎のソードファイターセイバー、さらに鮫の仮面戦士も参戦するぞ!
お楽しみに!
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