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Fate/imMoral foreignerS

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始まりから夏休みまで
  サーヴァントと新たな影の話

 
前書き
どうも、クソ作者です。
1つの事件が終わりましたがこの話では新たな脅威、そして次の展開を予想させそうな伏線をバラまいておきました。
 

 
「さて…どうするか。」

数日前、事件解決からそう時間が経っていないとき

狩井 暮馬は深夜の自宅の前で腕を組んで考えていた。

「マスター、一体どうされたのです?」
「いや…巴御前…キミのことなんだけどどうしよっかなって…。」

このまま家に帰り、巴御前の事をどう説明するか。
帰路に着く中ずっと考えていたがベストな答えはこうして家の前に来るまで何一つ浮かばなかった。

かくなる上は、

「隠密作戦…スニーキングミッションだな…。」
「隠密作戦…ですか?」

巴御前のことは家族に見つかれば困る。
なら、見つからなければいいんだ。
幸い時間は深夜、誰も起きているはずないだろうからこのままこっそり家に入り、誰にも見つからず巴御前を自室に入れる。
それからはどうしよう…?
押し入れで暮らしてもらう?
いやいや、巴御前に窮屈な思いはさせたくない。
ともかく

「つ、ついてきて。なるべく音は立てず。早くね。」
「は、はい。」

外で迷ってても何も進まないからやるしかない
誰にも見つかってはいけない。
そう言うとどこか楽しそうなワクワクした表情になる巴御前だけどこっちは緊張している。

「…。」

家の鍵を開け、ドアを開けると素早く靴を脱いで廊下を駆け抜けていく。
両親の部屋を通り過ぎ、階段を上る。
俺の部屋は2階だ。
階段をのぼり終え、あとは真っ直ぐ駆け抜けるだけ。
妹の部屋を通り過ぎようとしたその時だ

「!」
「あ、お兄おかえり。」

最悪のタイミングだった。
トイレに行こうとしたのか、喉が乾いたから冷蔵庫に飲み物を取りに行こうとしたのか、
ちょうど妹が部屋から出てきたのだ。
ったく…。
遅刻ばっかしてんだから夜更かしはやめろよとあれだけ言ったのに…。

「今日は泊まってくんじゃなか…」

妹の視線が、俺の後ろにいく。
目を丸くし、口をおさえ、妹は

「まっ、待て!!これにはワケが!!」
「お母さーーーん!!!お兄が!!お兄がすっげぇ美人な彼女連れてきたァ!!!!」

近所迷惑も考えず叫び、俺の制止もむなしく妹は階段を駆け下り両親の元へと向かっていった。

で、

「暮馬…この方はどうしたんだ?」
「い、いやあの…。」

丑三つ時も過ぎたであろうこの時間、
狩井家では家族会議が始まった。

「お兄マジでどうしたの?騙されてんじゃない?」
「マ、マスターを騙してなどおりませんよ!」

詐欺まがいなんじゃないと言う妹に巴御前は反論する。
そして"マスター"という聞きなれないワードに家族全員の視線がさらに俺に突き刺さる。

「もしかしてなんかのプレイ?いやマジで最低だわ…。」
「何あんた?マスターって。」
「お前こんな美人な人にそう呼ばせているのか…お父さんちょっと憧れ…げふんげふん、ちょっとお前の将来が心配だぞ。」
「…。」

まずい…まずすぎる。
どんどん追い込まれていく。
後ろでは失態を侵してしまったとあわあわする巴御前。
ここは正直に話すか?いや…。
最初に思いついた"アレ"を試すか…?
いやいや、あれはいくら何でも現実離れし過ぎてるし都合が良すぎるからやめたやつだ…。
でも…ええいダメ元だ!

「じ、実はさ!」




「へーそうだったのね。こんな息子だけどこれからよろしくね、巴ちゃん。」
「お前も男らしいところあるんだな。お父さん安心しちゃったぞ。」

さて、家族みんなが納得してるが俺が話したウソの言い訳とは

「巴さん、お嬢様だったんだね。漫画みたいじゃん。」

巴御前は遠くの人里離れた場所に屋敷をかまえた超えらい主人のお嬢様と言うこと。
しかし巴御前は閉塞的な生活に嫌気がさし、両親の反対を押し切り東京へやってきた。
右も左も分からず、ここまで来るのにも電車の乗り方が分からなくて四苦八苦しながらなんとか東京にやってきた。
しかし、問題はここからだった。
都会の厳しさを知らぬ彼女は荒波にもまれ、お金は騙し取られ、悪い人達にナンパされ、明日をも知れぬ身となり路頭に迷っていた。
お腹を空かせてとぼとぼと歩いていたところ、こうして偶然出会ったのが

「俺ってワケ。」
「その…マスター」
「今その呼び方はやめて…!俺の名前は暮馬。暮馬って呼んで」(小声)
「く…暮馬…さん。」

あ…好きなサーヴァントに名前呼んでもらうって耳が幸福…。
じゃねぇ!

「と…ともかく!巴さんは見捨てられないからせめて俺の家に置いてやれないかなって!」
「…。」

俺の頼みに対して家族は

「いいわよそのくらい。家族が増えたみたいで嬉しいわよ。」
「お父さんも嬉しいぞ。」

うまく…いった?

「にしても暮馬がねぇ…こんな頼りない息子だけど、よろしくね巴ちゃん。」
「ああ、すごい美人さんじゃないか。」
「私お兄なんて一生彼女できないだろうなぁって思ってた。」

え、待って。なんか変な方向進んでない?

「私巴さんの事なんて呼んだらいい?義姉さん?」
「おいちょっと待てよ!巴さんはただ…!」
「ねぇ巴さん。お兄のどんなところがいいの?」
「聞けよ!!」

なんか話が逸れてしまったがとりあえず両親や妹には納得してもらい、家族の一員として過ごすことになった。
まるで…なんかの漫画みたいだな。





それから場面は変わり、
事件解決から2週間がたとうとしていた頃

「縁は…切らなかったのね。」

気がつけば僕はまた夢の中にいた。
そして目の前にいるのは勿論、アビゲイルだ。
以前場所は真っ黒な湖のある外だったが今回は室内だ。
所狭しと本棚が並んでいるからここは図書館だろう。

「申し訳ないけど…お栄ちゃんと縁は切れない。」
「そう…もう後戻り出来ないのよ?あなたはこれから大いなる運命に巻き込まれる。」
「大いなる…運命?」

アビゲイルがゆっくりと手を上げ、僕の右手を指さす。
ロボに噛み砕かれ、切断寸前までいった腕だ。

「そこ。」
「?」
「部分的に弱まった部分に、"彼"が入り込もうとしている。」
「彼?彼って?」
「黄衣の王…邪悪の皇太子、呼び方は様々だけれど…ともかくあなたは…舞さんは"彼"と関わってはいけないの。」

また"黄衣の王"というワードが出てくる。
だからそれは誰なんだ?正体は?目的は?あれこれ聞きたいことはたくさんある。

「だから北斎とは縁を切れって言ったの。"彼"はおそらく、北斎の力に引き寄せられてきたんだから。」
「分からないよ。彼とか黄衣の王とか。それにその言い方…まるでお栄ちゃんが悪いみたいじゃないか!」

アビゲイルの言い方に若干不快感を覚え、やや強めに言ってしまう。
相手は小さな女の子なのに。

「ねぇ舞さん、お願い。これが最後の警告よ。」
「言っておくけど…僕はお栄ちゃんと縁は切らないよ。」
「ええ、分かってる。それは言っても聞いてくれないことって理解したから。でも…」

アビゲイルは一息置いてから、言った。

「よく聞いて。"黄衣の王"の誘いは絶対に断ること。そしてこれから先…きっと"這いよる混沌"があなたの住む街にやってくる。怪しい人には気をつけて、絶対にかかわらないで。それだけは約束して頂戴。」
「…。」

分からないけれど、いつか来るんだろう。
黙って頷く。

「ところで…アビゲイル。」
「…何かしら」

用を済ませ、踵を返してどこかへ帰ろうとした彼女に僕は質問する。

「どうして僕を…助けるの?それともサーヴァントが召喚された理由と…何か関係があるの?」
「…。」

彼女は何も答えない。
口を開いたとしても…

「今のあなたにとっては…知る必要なんてないわ。いえ、知らない方がいいもの。」

そういい、空間に開いた"何か"を通り、アビゲイルは消えてしまった。

「知らない方が…いい?」

サーヴァントの召喚された理由、
黄衣の王…這いよる混沌
分からないことだらけだ、
ただ漠然に注意しろだなんて言われても、どうにもならない。
最初に言った、お栄ちゃんとは縁を切れとはどういう意味だったのか?
大いなる運命?それってなんだ?
僕はこれから…どうなる?

そう考えているのも束の間、辺りが白い光に包まれる。
そろそろ起きなきゃ。今日は病院に行く日だ。
腕の調子も少しずつ良くなってきたし、このままいけば次の診察でギプスも取れるって言ってた。

でも、
アビゲイルの言ってた、部分的に弱まってるところに"彼"が入り込もうとしているというのは何だったのだろう。
弱まった…怪我した右手。
バイ菌が何かのことだろうか?




時を戻し、時刻は舞達が連続殺人事件を解決した直後。

「おーおー捕まった捕まった。ったくよ、俺がぶち殺してやろうと思ってたのによォ。」

廃ビル付近には何台ものパトカーが止められており、中からは警察に囲まれ手錠で拘束された男が出てくる。
桐生だ。
彼は通報を受け、件の殺人の疑いで搬送されることとなった。

そして、それをビルの上から見下ろす者が三人。

「森くんは相変わらず血の気が多いんだから。まぁ丸く納まったしいいんじゃない?」

イライラしていた男性を女性がなだめる。
男性は甲冑の様なものを身にまとい、手には槍を持っていることからただものでは無いことは明らかだ。
隣にいる女性もまた、明らかに現代の衣服ではないものを着ていた。例えるならば遥か昔…そう、弥生時代を彷彿とさせるような衣服だった。

「"ルーラー"、外で真名を呼ぶのはいけないとあれ程言ったではありませんか。」
「あ、ごめんごめん…えーと…"セイバー"さん?」

そこにやってきたのはもう1人の男。
西洋風の鎧にマント、見た目はまさに"騎士"というべきか。
そして"セイバー"と呼ばれ、また女性は"ルーラー"と呼ばれた。
そこからして彼らもまた、"サーヴァント"である。

「バーサーカーもです。その感情は今は収めてください。」
「けどよ、あの狼は俺が狙ってたんだぜ?なぁ、戦力的には俺達が勝ってんだ。今ここで"ライダー"も呼んで全員であの三騎をぶち殺しに行かねぇか?」
「…申し訳ありませんがバーサーカー。それは愚策ですよ。」

はぁ?とバーサーカーがキレかけルーラーと呼ばれた女性がまぁまぁと仲裁に入る。

「"会長"が仰ったように、これは聖杯戦争ではない。フォーリナー、キャスター、そしてアーチャーという三騎の貴重なサーヴァントは失わせる訳にはいきません。それに今、もし戦ったとして夜では私の実力は出し切れませんので。」
「ちっ、めんどくせーな。会長サマとやらがそう言うんなら仕方ねぇ。」

バーサーカーは舌打ちし、その場にどっかりと座り込んだ。

「アサシンはマスター共々人につくのが気に召さない、アルターエゴは敵の手に堕ち、アヴェンジャーはたった今使い潰され死んだ。だからこそ、あの三騎は貴重なのです。会長の仰った…"大いなる運命"に立ち向かうためのね。」

セイバー、バーサーカー、ルーラーと言った三騎のサーヴァントはそう言いながら街を見下ろす。

「いずれこの街は狂気に呑まれる。それに対抗するため…私達サーヴァントは召喚されたのですから。」

そう呟くセイバー。
だがこの街には既に…混沌は這い寄っているのは誰も気付かないのであった。




「あーあ。捕まっちゃったか…。」

どこかの寂れた教会。

そこであの男…桐生に力を授けた謎の神父は椅子に座り、穴の空いた天井から見える星空を眺めながら呟いた。

「もうちょっとうまくやると思ったんだけど…案外早かったな…まぁ小物は所詮小物か…。」

何か面白いものはないかなぁと神父はどこか遠くを見つめる。
その時だ。

「おや?これはこれは…?」

何かを、観測()た。

「へぇ…そう…彼のお兄さんか…面白いなぁ…ここはわたしがさらに手を加えれば…もっと面白くなるなぁ!!」

どこか分からない場所を見て嬉しそうに何かを言ったかと思えば、次には手を叩いて大笑いし始める。

「そうかそうか!いいねいいねぇ!それでこそ人間だ!私はそう言う醜い部分が大好きなんだ!」

笑い転げ、椅子から落ち、頭を抱えて笑う。

「ふははははは!無駄だよアビゲイル・ウィリアムズ!夢の世界から介入して阻止しようとしているが無駄なんだよ!」

これからやってくる未来に歓喜し、神父は楽しみで仕方が無くなる。

「だって"大いなる運命"の中心にいるのが…まさに『葛城 舞』なのだから!!」

町はずれにある寂れた教会。
そこでは一人の神父の高らかな笑い声が木霊していた。


 
 

 
後書き
ハーメルンの時のやつ読んでましたという人は気づいたかと思いますが、登場するサーヴァントを変えました。
前はルーラーはジャンヌ、そしてセイバーはアルトリア・オルタだったのですがシナリオの改変や修正などの諸事情により変更致しました。
そしてここからまたシリアスになりそうな雰囲気ではありますがお次はえっちな話になります。
知っている方はご存知かもしれません。はい、アレです。
いわゆるふたなり逆アナル回になります。
舞くんがメス堕ちするお話を楽しみに待っていてください!
それでは次回もお楽しみに!
 
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