崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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ほんへ
最終章へと向かうその前に…
王と完璧と悪魔の敗北
前書き
どうも、クソ作者です。
ドシリアスだけどどうか見ていってください。
それでは本編どうぞ。
「葛城…恋!!」
「なぜここに!?」
数多のサーヴァントを引き連れ行進する奴に、院長先生は信じられないような目で見ていた。
「どうしてだ…奴は!」
東京には二度と足を踏み入れるな。
葛城財団はそう忠告を受け、東京や横浜、及び関東エリアへの侵入を禁止された。
もし破った場合、それ相応の罰があるらしいのだが、
今この目の前に見えている光景は、何だ?
「頭が高いぞ悪魔!契約者共々!!我らが王ソロモン=レン様のお通りであるッ!!」
先陣を切り、やって来るサーヴァント達を蹴散らしながら高らかに叫ぶ彼はそう、神代正義。
いや待て、あいつなんて言った?
「ともかく止めるしかねーだろ…!」
「ああ、頼むぞ探偵さん。俺と子安さんは今出来ることをする!今頼りになるのはキミとその仲間達だ。」
そういい、2人は逃げ惑う人達を避難所へ誘導するべく走り去っていく。
さて…
「向こうから来てくれるなんてナ。あわよくばここで完全決着といきたいもんサ。」
代表と因縁のある北斎と舞はやる気満々、というか殺る気しかない。
「前々から気に入らないんだよね。特に女性をモノとしか見てないような横暴な態度がさ。」
「私も力の限り援護します。」
葵も指をパキパキ鳴らしており、紫式部もやる気だ。
「それじゃ成敗しに行きましょうか。」
「ああ。」
四人四騎、全員が目的を1つにする。
やるべき事はただ1つ、
葛城財団代表、葛城 恋をここで倒すことだ。
⚫
「なんなんだコイツ!?」
「俺知ってるぞ!あの葛城財団の代表だ!」
突然の襲撃に、俺達以外のサーヴァントやマスターがとっくに駆け付けていた。
しかし、
「じゃああいつはなんだ!?」
「俺も知らない!!あんなサーヴァント見たことないぞ!!」
状況は、決していいものとは言えない。
多くのマスターが駆け付け代表を止めようとサーヴァントを戦わせるが、その多くが代表にまで辿り着かない。
何故かと言えば
「朽ち果てろ!悪魔共!!」
擬似サーヴァント、神代正義の存在があるからだ。
戦いを挑んだサーヴァントは皆、彼に倒される。
「そして僕の糧となれッ!!」
正義が膝を着いたサーヴァントの心臓を貫く。
貫かれたのは生き残ることに定評のあるクーフーリンだが、さすがにここまでされてはこたえたらしい。
それだけじゃない。
「なんだあれ!!」
「サーヴァントが吸われていくぞ!!」
そう、
手刀で貫かれたクーフーリンは彼の手へと吸い込まれていく。
先程言った「僕の糧となれ」という台詞。
それは、そのままの意味であった。
「成程…ケルトの英霊クーフーリン。また1つ、悪魔の力と知識を手に入れたよ。」
そういい、どこからともなく赤い槍を出し、くるくると器用に回して見せた。
「さて、それじゃあ次はこっちの番だ!!」
目にも止まらぬ瞬間移動、というべきか。
まさに光速移動。人間とは思えない素早さでサーヴァントの懐に近付くと
「『刺し穿つ正義の槍』ッ!!」
サーヴァントを串刺しにし、一撃で葬る。
さらに、
「お、俺のサーヴァントが一撃で!?」
「契約者共…かつての僕であったならば、まだ救いはあると入信を勧めていただろう。」
1歩大きく踏み込み、正義は腰に力をためると
「だが!僕は変わった!!我が王の創造する世界に!貴様らの居場所など…ないッ!!」
真上に向け槍を投げる。
「降り注げッ!『突き穿つ正義の槍』ッ!」
投げ上げられた槍は当然下に落ちてくる。
しかしそれは、数百の槍の雨となって。
一本一本が即死効果を持つそれはサーヴァントだけでなく人間であるマスター達にも容赦なく降り注ぎ、死体の山を築いていった。
「ふぅ…ちょっとやりすぎちゃったかな…?」
何者も立ちはだかるものがいなくなり、彼は一息ついて振り返った。
そこには、自分が何よりも尊敬し愛する我が王がいる。
「やり過ぎだ。ったく…殺すのは男のサーバントとマスターだけって言っただろ。」
「っ! 申し訳ありません!!女性の悪魔はあなたの力で浄化するべきでした…!この非礼!なんとお詫びすれば良いか…!」
片膝をつき、己の仕出かしたことを謝罪する正義。
しかし代表はそれを許した。
「別にいい。ただ条件として、あそこの奴らを蹴散らせ。」
「あそこの奴ら…?」
1つの条件を課して。
そして代表の指さした方に振り返る正義だが、
「成程…あいつらを蹴散らせばよろしいのですね。」
「ああ、マンコは殺すな。適度に痛めつけろ。マスターは…そうだな。あの女みてぇなクソガイジは瀕死にとどめろ。」
「かしこまりました…では!」
立ち上がり、やってくる"そいつら"に振り返る。
「何やらかしてんだよ。騎士王に負けておめおめ帰ってった負け組がよ。」
「負け組?ハハッ、その言葉、数分後のキミにキッチリお返しするよ。"一誠君"。」
因縁か、運命か、
俺とこいつは何度も衝突した。
前までは話した事も無い、ただ存在が目障りでムカついた陽キャ代表の一般人だったのに。
「あの時とは魔力も雰囲気もまるで違う。だが斬るぞ…!」
大和は刀を抜き、各々も戦闘態勢に入る。
「どけよ、俺達はその後ろにいるクソデブを死ぬ程度にぶん殴りに来たんだ。」
「いいやどかないね。理由がそうなら尚更だ。僕は王を守る盾。そう、我が王ソロモン=レン様を守るための剣であり盾である!!」
こいつ…マジでなんつった?
「先陣は私達が切る!行くわよ大和くん!」
「ああ!!」
刀を抜いた武蔵と大和の二人は、正義めがけ駆ける。
「いいだろう…!来いッ!哀れな悪魔と契約者共!!」
対する彼はどこからともなく武器を取りだし、迎え撃つ。
彼が持つ剣は確か…シグルドの持っていた"グラム"
何故あいつがそんなものを?と疑問に思うが今はどうでもいい。
「最初から全開だ!容赦なく叩き斬る!」
赤い稲妻が迸り、大和は高速移動する。
瞬時に正義の近くに現れた武蔵と大和。
左右それぞれから振られる刀に対し彼は
「無駄だ!!」
グラムで武蔵の二刀を受け止め、
「…!!」
大和の刀は、人差し指と中指で挟み込むようにして受け止めたのだ。
「ビクとも…しない…!?」
「所詮は人間。どれだけ強くなろうが…僕には到底及ばないッ!!」
バキリ、と
大和の紅い刀が折られた。
挟み込んだまま、手首をくいと回しただけで大和の刀は折られたのだ。
脆いわけじゃない。むしろその逆だ。
「何…!?」
「食らうがいいさ…!僕の正義の剣!!」
グラムで受け止めていた武蔵を弾き、そのまま一回転し二人を斬っていく。
大和、武蔵はとっさに防御するが
「こいつ…!!」
頑丈な鞘で防御したはずの大和は、その鞘ごと胴を切り裂かれ
「…!」
二刀で防いだ武蔵だが、その二本はグラムに容易く折られた。
「トドメだ!!『天輪する正義の剣』!!!」
右手にグラム、そして左手にはガウェインの剣であるガラティーンを手に取り繰り出される宝具。
あの強い二人が、いとも簡単に倒された。
「ぐ…ぅぅ!!」
吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる武蔵と大和。
「どういうことだよ…!!バグってんじゃねーの!?」
「バグってなどいませんよ。彼は正真正銘完璧なサーヴァント。そう、あなた方の持つ"産廃"には遠く及ばない程のね!!」
「…この声、まさか!!」
いつの間にか正義の隣にいた者、
それは三笠防衛戦にて指揮をとっていたあの男、置鮎だった。
だが待て、
確かあいつはランスロットのマスターのハズだが…
どこにもいない。
「これが…あいつを自害させてまで追い求めた『完璧』か…!!」
「ははっ、負け惜しみですか武蔵のマスター。」
何?自害?
「貴様の武蔵に完全敗北し、最早ランスロットも産廃だと言うことは分かった。つまり、サーヴァントに"完璧"などいない。東北での戦いから嫌という程痛感されられたよ。」
じゃあなんだ…?
話を聞くからにして、武蔵に負けたランスロットは自害させた。
あんなに大事にしていたのに…いや違う。
「完璧なサーヴァントなどいない?なら作ればいい!!そうして生まれたのが彼だ!!」
あいつが好きなのはランスロットではない。
文字通り、完璧なサーヴァントだ。
「根っからのクズじゃねーかよ…!!」
「何度でも言えばいい、産廃代表のサーヴァントをお持ちの探偵に何を言われても、私の心には何にも響きませんからねぇ…。」
「っ…!!」
気付けば身体が動いていた。
おっきーも折り紙を取りだし、俺たちの援護に移る。
「もしやあなた方、相当頭が悪いようで。」
「ああ!!そうかもなッ!!」
正義にまず襲いかかったのは葵。
紫式部にありったけのバフを盛ってもらい、空中からのかかと落としを奴の脳天めがけ振り下ろした。
「ふっ、」
受け止められるカカト、
しかし葵はバック宙し、距離をとって着地すると今度は回し蹴りをおみまいする。
速さも、威力も、盛られたバフによって限界まで強化された一撃だ。
だが正義もそれを蹴りで相殺。
「引きナ!葵殿!!」
「!!」
その言葉を受け、葵様は再び距離をとる。
やって来たのは北斎と舞。
北斎は筆を振るい、舞はカリゴランテの剣を手に接近する。
「…!!」
「それは…!」
正義はまさかの両手に持った剣を破棄。
手放された二刀は地面に落ちる前に光の粒子となって消え、また新たな剣を生み出す。
それこそ
「知っているよ。英霊アストルフォの剣だろう?」
「お前が…どうしてそれを!!」
舞の持つ武器、カリゴランテの剣であった。
「コイツ!!」
「遅い。」
別方向からやってきた北斎の筆をもう片方の手で受け止め、カリゴランテの剣で舞と鍔迫り合いの状態になる正義。
しかしその顔に疲れや焦りなどそういったものはなく、まさに余裕そのものであった。
「我が王の血の繋がった弟でありながら、それに背く反逆者。君は、自分が何をしでかしているか分かっているのか?」
「知らない…!あいつは…どこの世界にも存在しちゃいけない人間だ!!だから殺しに来た!!」
「我が王の理想を理解出来ないとは…悲しいね。」
舞がいったん距離を取り、カリゴランテの剣を鞭のようにしならせる。
「ちょっとしたネタバラシだ。僕は恋様より与えられた力にて、サーヴァントの力を吸収し自分の力にすることが出来る。」
「それでお前は、誰かのアストルフォを…!!」
「そう、こんなふうにね。」
正義が北斎の大筆を握っていた手にさらに力を込める。
するとどうだろう、大筆は吸い込まれ、さらに
「な、なんだこれ…霊基が…!!」
「お栄ちゃん!!!」
そのまま、北斎の腕も吸い込まれていく。
舞は慌て、カリゴランテの剣で攻撃しようとするも
「無駄だよ。君程度、僕には及ばない。」
先手を打たれ、先に正義のカリゴランテの剣が舞に巻きついた。
「さて、このくらいでいいだろう。」
そうすると正義は北斎の吸収を途中でやめ、そのまま放り投げる。
外見上は無傷だが…
「力が…入らねぇ…!」
「危険です…現在の北斎様の霊基は…現界しているのでやっとの状態です!!」
「なんだって!?」
紫式部の解析により分かったがどうやら中身はボロボロのようだ。
「さて、我が王からは君は瀕死にとどめろと言われている。死なない程度に…遠慮なくやらせてもらうよ!!」
絡めとった舞をそのまま投げ捨て、動けない北斎にぶつける。
そしてまた正義の手には、別の武器
「この筆は…我が王ソロモン=レンの勇姿を描く至上の一筆!!くらうがいい!!」
北斎の大筆が握られていた。
「『正義三十六景』!!神奈川沖浪裏すさびィッ!!」
振るわれた大筆からは大波が。
それは本来の宝具の持ち主である北斎、そして舞を飲み込んだ。
「お前ッ!!」
しかしここでは終わらない。
動かなくなった北斎を片手に抱え、舞は波を飛び越え正義に牙を剥く。
「ふっ、君も君だよ。いつまで三流英霊の武器を使うつもりだい?」
「ッ!!」
舞の雰囲気が、変わる。
「馬鹿にしたな…!彼を、アストルフォを馬鹿にしたな!!!」
「やめろ!!舞!!」
葵の制止も振り切り、彼は剣を振るう。
しかし、その剣は届くこと無く
「消えるがいいさ、『終局的正義』ォッ!!」
モリアーティの武器、あらゆる銃器を複合した棺桶から放たれた光に、舞は飲まれてしまった。
「か…はっ…!」
そのまま地面に落ち、起き上がろうとするも力なく倒れる舞。
そして
「おうおう、いいザマだなクソガイジ、ゲロマンコ。」
彼の兄はその2人に歩み寄る。
「恋様、お下がりを!」
「大丈夫。安心しろ。俺はただ兄として弟に教育してやるだけだ。」
「…はっ。」
そう言われわ正義は大人しく引き下がる。
残る相手はそう、
「もうやるしかねーぞおっきー!全力で葵を援護しろ!! 」
「おっけー!!」
俺とおっきー。葵と紫式部だ。
「この野郎ッ!!」
「…。」
葵の目では捉えきれないスピードから繰り出されるパンチ。
しかし彼はそれを見ることなく受け止め、
「ふふ、どうしてだろうって顔だね。」
「…!!」
「その顔には二つの意味があるね?分かっているよ。簡単にパンチを受け止められたこと、それとさっきからキミの悪魔は僕にまじないをかけ続けている。なのに効いてない。その2つだろ?」
そう、
葵に協力するように紫式部もまた、正義にデバフをかけまくっていた。
だが効いていない。まるで効いている素振りがない。
それどころか、
「悪いね。女性を殴るのは忍びないけど、そもそもキミは、契約者だから、さッ!!」
「ごっ…!?」
正義の動きはより素早く、攻撃も鋭くなっていた。
「かはっ!?」
「葵様!! 」
ボディブローは見事鳩尾にめり込み、葵は強引に体内の空気を吐き出された。
「僕は主人公だ。呪いなんて効かない。それとキミにかけられた魔術、全部僕がもらったから、ね!」
打ち上げられた葵はそのまま回し蹴りをくらい、吹き飛ばされる。
建物の壁に激突し、彼女は力なく地面に落ちた。
「…!!」
「キャスタークラスだったね?だったら狩るのは簡単だ。」
正義は次に葵のサーヴァント、紫式部にターゲットを変更。
紫式部が何かをする前に、瞬間移動に近い速さで急接近すると
「あっ、ぐ…!!」
「平安の文豪を気取るなよ。下品な体の悪魔め。」
顔面をアイアンクローで鷲掴み、
そのまま爆破させた。
「嘘でしょ!?式部パイセン!!」
「呆気ないね。さて、次はキミの番だ。」
顔面を爆破され、力なく倒れる紫式部。
そして爆風から飛び出した正義は、最後の標的である俺達に襲いかかる。
「おっきー!」
「分かった!!」
銃をかまえ、そしておっきーはやってくる正義めがけ蝙蝠をとばす。
しかしここで、不可解なことが起きる。
「眉間に食らわして、目ェ覚まさせてやるよ!!」
我ながら思うが俺の射撃は正確だ。
だが
眉間めがけ放たれた弾丸は、正義を"逸れて"後ろへと飛んで行った。
「!?」
気のせいかと思い、続けて三四発撃ち込んでみるがやはりどれもが逸れていく。
そういやさっきクーフーリンを吸収してたよな…?
まさか矢よけの加護か!?
「その攻撃も、無駄だ!!」
そうしている間に、正義におっきーの折り紙蝙蝠が襲い掛かる。
だがそれは、正義が手のひらを突き出すとその場で静止した。
そして
「行け!!」
180度方向を変え、なんと折り紙蝙蝠は俺達に襲いかかってきたのだ。
「う、うわああああ!?」
「どういうことだよ!!なんとかならねーのか!!」
折り紙蝙蝠は俺とおっきーを覆い尽くし、絶え間なく攻撃を与えてくる。
銃を乱射しようが的は小さく、このままではやられてしまう。
おっきーを抱き寄せてかばうような形にし、何か打開策を考えようとしたが
「なっ…!?」
いつの間にか正義に接近を許し、奴はすぐそこにまで来ていた。
「何度も入信を勧めたのに…残念だよ。一誠君。」
掌底。
脇腹に思い切りそれをくらい、吐血する。
おっきーを攻撃しようとしたものだが、とっさに自分の身体を前に出し、それを受けた。
「が…こはっ!?」
メリメリという明らかにやばげな音。
そのまま俺は大きく吹き飛び、無様に転がり落ちた。
「…ってぇ…なんだこれ…!」
そして掌底を受けた脇腹が異常なまでに痛む。
服の上からは血が滲んでおり、ズキズキという痛みが気絶を許さない。
やべーわこれ…多分アバラ逝ったわ。
でもそんなことはどうでもいい。
抱き寄せていたおっきーを手放してしまった。
おっきーはどこだ?どこにいる?
そう思い、痛む脇腹に顔をしかめながら辺りを見回した時だ、
「…!? おっきー!!」
おっきーは、そこにいた
「思えば、最初に僕のクラスメイトを殺したのはこいつだったね、一誠君。」
細い首を正義に握られた状態で、そこにいた。
「はな…して…!!」
「嫌だよ。キミには死んでいったクラスメイト達の痛みを知ってもらわなきゃならない」
足をバタバタさせるも、それは無駄に終わる。
首を掴むその手に力がこもり、おっきーの気道が狭まる。
ダメだ…このままではおっきーが…!!
「そこで見ているといいよ一誠君。この崩壊世界がこうして、我が王により素晴らしき世界に変えられていくのをね、」
「やめろ…やめろ!!」
銃はない、
掌底で吹き飛ばされた時にどこかへ飛んで行った。
頼りになるのは…誰もいない。
大和も武蔵も血を流し、倒れたまま微動だにしない。
「はははははは!!!どうしたどうした宮本武蔵ィ!どうやら最強は貴様などではなく!セイヴァー神代正義で決まりのようだナァー!?ほら悔しいか?悔しいか武蔵マスター?」
頭を置鮎に蹴飛ばされても、大和は呻くだけで抵抗する力など残されていなかった。
そして舞は
「オラッ!オラッ!長男にたてつきやがって!!死ね!死ねやクソガイジ!!」
兄である恋に髪を引っ張られ、その顔を何度もアスファルトに打ち付けられていた。
鼻血は垂れ、顔は傷だらけで見ていられなかった。
「やめろ…!おれはどうなってもいい…!だからマイは…マイだけは!!」
「やーだよゲロマンコ♡こいつが終わったら次はてめぇだ。クソガイジを縛り付けて、こいつの目の前でたっぷりブチ犯してやる。まずは忠誠の証として、俺のウンコでも食ってもらおうかな?」
霊基のほとんどを吸収され、最早人間に毛が生えた程度の強さしか持たない北斎はただやめろと言うことしかできなかった。
「アンタ…最低だ。」
「あ?」
しかしそんな中、かろうじて立ち上がったのは葵。
フラフラと頼りなく立ち、覚束無い足取りで恋に向け歩く。
「なんだよマンコ、俺様に犯されてぇのか?」
「そうやって…女を…女性をなんだと思」
彼女の言葉は、途中で遮られた。
「な…」
背後には恋の下僕であるサーヴァント。
そのサーヴァント達は皆、手に持つ武器で葵の背中を貫いたからだ。
「ぶっはははは!!ハリネズミマンコの完成だ!!俺様にたてつくからそうなるんだよ!マンコはマンコらしく股開いて犯されるの待ってりゃいいのによ!!」
倒れる葵。
しかしまだ力尽きてはいない。
その手で這い、恨みの籠った目で恋を睨む。
「そんな下品な言葉でしか女性を言い表せないなんて…アンタ…最ッ低だな…!!!」
そういい、彼女は意識を手放した。
サーヴァントは皆力尽き、俺達マスターも倒れた。
つまり、万策尽きた。
勝ち目など、勝率など、もう小数点以下もない。
「おい、正義。マンコは殺すなよって言っただろ。」
「!!申し訳ありません!!ついカッとなってしまい…!」
正義は恋にそう言われ、首を絞めていたおっきーを離す。
首を抑え、苦しそうに咳き込む彼女。
だめだ…近くに行けない。
息をする度に、折れたであろうアバラが痛む。
「さーて。そいつらは後回し。まずは蹂躙を始めるぞ。」
「はっ。」
そうして正義と恋はどこかへと去っていく。
それはまさに、一方的であった。
建物という建物は破壊し、さらに逃げ遅れた人間達は容赦なく殺される。
避難所に逃げていた人達も、無慈悲に恋の操るサーヴァントの宝具に巻き込まれた
シルク・ドゥ・ルカンも例外ではない。
「ここにはジャンヌがいたよな?俺様のスポンサーの申し出を断ったやつ。」
「ええ、ならばきっちりと罰を与えましょう!」
やめろ、
やめろ、
やめてくれとそう願っても、彼らの侵攻は止まらない。
蹂躙し、虐殺し、東京は崩壊する。
まさに今の東京は、
世界崩壊直後に逆戻りしたようだった。
「さーて、どうするかなと…お?」
辺りを蹂躙し尽くした末、恋はあるものを見つけた。
「おい正義。これ持ってろ。」
「はっ。」
見つけ出したのは力尽きたカメラマンが持つ中継用のカメラだった。
恐らく事件をかぎつけ緊急速報として中継しようとしたが、巻き込まれ死んだのだろう。
そしてそのカメラは、まだ生きている。
つまりは、放送先に繋がっていた。
「おい聞いてるか?全国のマスター共。」
正義がカメラを持ち、恋はカメラに向け話を始める。
「俺様は葛城財団代表にしてこの世界の王、淫虐王ソロモン=レン。今日はお前達に提案をしに来た。」
「本当はここにいるマンコ共をすぐに犯してやりたいが、チャンスをやる。3日後、俺様はまたここに来る。それまでの間にテメェらは東京に全てのマンコを集結させろ。」
全国中継によってあらゆる場所、あらゆる映像媒体で彼が映され、そして提案という名の要求が話される。
「いいか?刃向かおうなんて気は起こすなよ?全てのマンコは俺様のもの。もし俺様の提案がのめないのであれば、日本全国がこの東京みてぇになる。分かったか?」
手を広げ、自分の後ろに広がる惨状を映す恋。
今の彼はまさに、王になった気分だろう。
これを見せればもう立ち向かうものなどいない。従うしかないと見せつけているのだから。
「いいか?俺様の提案はこうだ!テメェらマスター共は男のサーヴァントは自害させ、女のサーヴァントもといマンコは東京に全員集めろ、俺様は優しいからな3日待ってやる。それまでにキチンと言われた通りに準備しておけよ、ぶっふふふ、はは、はははははははは!!!!!!!」
最後に高笑いし、提案という名の一方的な要求の中継は切られる。
カメラを持っていた正義は満面の笑みであり、恋もまた醜い顔を歪ませ笑っていた。
「あーあ、実に簡単だったな。」
「ええ、我々の勝利です。ここから新しい時代が始まるのですね!」
眼前に広がる景色を見て、恋は思う。
「なんだ、使えねぇ部下に頼らず最初からこうすりゃ良かったんだな。」
数多のサーヴァントを従え、自らを王と名乗る恋。
そして意味のわからない力で全てを捩じ伏せ、彼の従順な駒として動く正義。
俺達は、彼らに負けた。
戦いにも、勝負にも負けた。
完全なる敗北。
そうして俺は、かろうじて掴んでいた意識を手放した。
後書き
ものすごく不穏な終わり方ですが、大丈夫。まだ死んでないです。
シルク・ドゥ・ルカンはぶっ壊されましたが弟くんとジャンヌは無事です。
避難の誘導に向かった院長先生と子安さんは無事ではありますが、怪我はしています。
生存者は絶望的。ここから一体どう逆転すんだよと思われますが大丈夫です。安心してください。
クソ作者は、ヤバそうなとこまで追い込むことはしますがバットエンドにするなんてそんなことはしません。
大丈夫。きっとまーちゃん達は恋を倒しますし、ハッピーエンドにしますよ。
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