崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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最終章『ふたりで…』
正・義・攻・略
前書き
こんにちは、クソ作者です。
この話でついに正義くんの中にいるサーヴァントが判明します。
予想してた方もそうでなかった方も、「ああ、こいつだったのか!」と楽しんでいただければ幸いです。
あと書ききって見直してみて思ったんですが最終章なせいかまーちゃんがいつもより探偵してますね。
それでは本編、どうぞ!
「g@7ffffff!!!」
「b\r!b\r!」
正義の後ろにいた者達だけじゃない。
ビルの中で乱交パーティーをしていた奴らもラフムへと変貌を遂げ、窓から次々と溢れ出てくる。
「もしかして罠にはめられたか…!」
「そうだよ一誠くん。君ら悪魔と契約者はどのみち滅ぶ運命。それが早くなっただけのこと。さぁ、天使に蹂躙されその身を浄化されるがいい!!」
ラフム達は一斉に俺達に襲いかかる。
くそっ。最初に見えない壁を何とかしようとしたが予定変更だ!
「全員かまえろ!!ラフムだろーがなんだろーが返り討ちにしてやる!!」
ラフムの数は分からない。しかしいちばん厄介なのは神代正義だが…やれる!
「アンデルセン!シェヘラザードさん!作戦通りの"アレ"お願いします!!」
対正義用の特攻サーヴァントとして連れてきた2人に指示を出す。
そして
「紫式部は2人をサポートしろ!残りの奴らは全力でキャスター達を守れ!!」
「了解!」
各々が武器を出す。
大和や武蔵が刀を抜き、おっきーもまたできる限りの折り紙を展開させる。
それと
「紫式部。」
「はい。呪物拘束解除。解放します!」
葵が持っていたクソデカアタッシュケースを地面に置く。
紫式部の声と共に御札が焼き切れ、さらに各所に固定されていたボルトが炸裂し弾け飛ぶ。
最後に中央のロックが解除されると、アタッシュケースが開いて葵の手に吸い込まれるように巨大な何かが飛び出してきた。
それは紛うことなき
「チェーンソー…?」
三重のロックで厳重にしまわれていたのは巨大なチェーンソー。
刃の部分は血で赤黒く錆びており、スターターロープを引っ張ることなくエンジンがかかった。
「これぞ魔性絶対殺すチェーンソー…その名も『すみれちゃん』です!!」
ずっこけそうになった。
シリアスな場面なのにこけそうになった。
なんだすみれちゃんって、なんだ魔性絶対殺すチェーンソーって。
そんなん魔性以外でも死ぬし名前と見た目のギャップよ。
とまぁツッコミどころ満載の武器だがその威力は凄まじく。
「ぶった斬れろぉぉぉーッ!!!」
「3zt@t@t@t@t@t@t@g@7333!!!」
こちらに飛来したラフムを両断した。
「どう?血が吸えてイキイキしてんじゃないの?菫。」
返り血に染まり、次々とラフムを切り刻む葵。
そしてすみれちゃんと名付けられたチェーンソーに語りかける彼女はまさにホラーだ。
「それでは葵様、菫様。ご武運を。」
洋風のドレスから十二単へと再臨を済ませた紫式部。
筆を手に取り文字を綴り、彼女はマスターにあらゆるバフを盛っていく。
そして
「らふむ、じゃったか。確かに手強かった事は覚えちょるがのう!今のわしにかかれば雑魚同然じゃあ!! 」
純白のラフム達を斬る以蔵。
他の者達もキャスター達とそのマスターを守りながら襲来するラフムを狩っていく。
確かにラフムは手強かった。
だが以蔵の言う通り、背負うものを背負い、助けたいものを助けたいと想う彼らにとってそれは立ちはだかる壁でも障害でもないただの雑魚同然なのだ。
「シェヘラザード様、アンデルセン様。」
「ああ分かってる。ではそろそろ綴るとしよう。」
連れてきた2人に指示を出す。
羽根ペンを手に取り、アンデルセンは書いていく。
シェヘラザードは
「こ、これではどう足掻いても…!」
「死にません!ですがアンデルセン様の綴られた物語をあなたが語らなければ…ここで皆潰えてしまうのです!」
「わ、わかりました…!」
アンデルセンの書いた物語を語っていく。
「さぁ見せてやるとしよう。宝具の同時展開だ。」
「何を企んでいるかは知らないが…!キャスター程度…!」
何か嫌な予感がしたんだろう。
正義はラフムに任せることをやめ、こちらに向けまっすぐやってきた。
「させるかぁ!!!!」
「いや…誰にも邪魔されん。俺の書いた物語は問題なくはじまる!『あなたの為の物語』」
「『千夜一夜物語』…!」
2つの宝具が展開され、それはやがてこの島全体を覆い尽くす
。
ここは今から、童話作家が書き、読み手が語る1つの物語となる。
「なっ…!」
正義の一撃は大和によってなんの問題もなく受け止められていた。
つまりは、阻止の失敗。
「せっかくの物語だ。黙って聞いてろ。」
「そんなもの…ごときでぇえええ!!!」
正義が両手に武器を持ち、大和に襲いかかる。
プロトアーサーのエクスカリバーとシグルドのグラム。
その2つはどれも強力な剣ではあるが
「…!」
大和はその剣の猛攻を受けきり、そしてさばき切った。
最初に戦った時のことを思い出して欲しい。
大和と武蔵の刀は、正義の一撃で簡単に折れてしまったことを。
しかし今の連撃を受けても、刀はビクともしない。
なんかエインヘリヤルとかいう組織に打ち直してもらったとかいってはいたが、それが折れない理由ではない。
答えは、別にある。
「勝てるわけがないだろう?脇役風情のお前が…"俺達主人公"に。」
「な…なんだとォ!!??」
正義は跳んで距離を取り、新たな武器を取り出す。
ナポレオンの使っていたあの大砲だ。
「『凱旋を高らかに告げる正義』ッ!!!!」
放たれる虹の光。
このままでは大和だけではなく、俺達やさらにアンデルセンとシェヘラザードものまれるだろう。
しかし大和はそこから回避するどころか、武器を構えることも無かった。
だがそれは、打つ手がないからじゃない。
「武蔵!斬れ!!」
大和の前に躍り出る武蔵。
光線から真正面に挑みかかり、その一振で渾身の宝具を
「笑止!!」
真っ二つに叩き斬った。
「な、なぜだ!?どうして僕の攻撃が!!」
「さっき大和が言ったろボケ。脇役風情のテメーが、俺達主人公に敵うわけねーっての。」
「…!! ふざけるなぁ!!! 」
主人公。
そのワードに対し彼はキレる。
「君たちが…お前たちが主人公!?笑わせるな!!僕こそが主人公!!君たちは悪だ!!そんなもので僕が」
「いや、残念だがここではこいつらが間違いなく主人公だ。」
「…!?」
ほら、童話作家からのお墨付きだぞ。
「宝具、『あなたの為の物語』でこいつらの物語を俺が書き直した。」
アンデルセンの持つ宝具、『あなたの為の物語』とは、対象の人物を主役として物語を書いていき、"究極の姿"へと変化させる宝具。
しかし、発動にはものすごく時間がかかったりする非常に扱いづらい宝具の上、対象とできる人物は1人のみだが、
「非常に気分がいい!普段は進まない筆がスラスラと進む!いいぞ!これは実にいい!!出血大サービスだ。ここにいる四人とその四騎、全員分まとめて書き上げてやる!」
アンデルセンはそれを、今8人分書いている。
その対象が俺達だ。
「つまりキミ達が主人公だと…!?」
「そう、その上にな」
説明すると、
ここは人工島。孤島でありいわば日本というところから切り離されたある意味1つの狭い世界。
ここを固有結界で覆ってしまえば、そこはもう物語の世界となる。
俺達を主人公せしめる者として、作者だけでなく語ってくれる者が必要だ。
だからこそ
「この人は、その物語を語ってくれる。」
『千夜一夜物語』。
シェヘラザードさんの持つ宝具。
彼女が語る物語の固有結界であり、圧倒的な存在感、現実感で語られることにより世界にそう信じ込ませ、具現化させるもの。
アンデルセンが書いた物語をシェヘラザードさんが補強する。
よってこの世界はこれから
「俺達が主人公の、物語をな。」
神代正義ではなく、俺達が主役となる。
「君達が主人公だと…物語を上書きしたというのか!!そんなの無茶苦茶だ!!」
「大奥を宇宙にしたりその逆をやってのけた奴もいるんだぜ?主人公を書き換えることくらいなんてことねーだろ。」
さて、ここで問題だがかなり無理して8人分の物語を突貫で書くアンデルセン。
そして島全体を覆い尽くすほどの強力な固有結界を展開したシェヘラザードさん。
当然、魔力の消費はバカにはならない。
だが2人は顔色ひとつ変えることなく、逆にアンデルセンは奇妙な笑みを浮かべながら物語をを書き続けている。
これは何故か?
「しかし北斎様…何故舞様からあのような魔力が…!」
「なぁに、マイはちょいとワケありでナ。」
襲来するラフムからキャスター達を守りながら北斎は答えた。
「そうだろマイ。」
「うん。ゴッホちゃんに治してもらったからね。今の僕は…だいぶ"あっち寄り"になってる。」
アンデルセンとシェヘラザード。
二騎のサーヴァントは舞と仮契約を結び、何故かそいつから出てくる莫大な魔力を送られ続けている。
さらにどこから出てるのかは知らないが尽きることはなく、そして舞自身もどこか疲れているような素振りも見せず北斎と一緒に戦っている。
「"彼"から魔力を強引にぶんどってそれを2人に送ってる。直接彼の魔力に触れちゃうと気が狂っちゃうだろうから、僕が間に入って無害な魔力に中和してるんだ。」
舞の言う"彼"とはなんなのか分からないがともかくそいつから無限に近い魔力をもらっている…というか吸収している模様。
そして今の彼はろ過器としての役割を担ってるらしいが…なんだよ直接触れると狂う魔力って…。
「悪魔のまやかし程度で…どうにかなると思っているのか!!」
「ああ思ってるよ。二次創作のクソ野郎め。」
「…!」
さて、宝具の解説や舞のトリック解説もここまでにしておこう。
いよいよ探偵名物の推理お披露目タイムだ。
「怪しいとは思ったのさ、強運、強さ、そして世界がお前に賛同する。まるで主人公みてーだってな。」
「当たり前だ!僕はこの世界の…!」
「うるせーよ。せっかく名探偵が喋ってんだぞ。口出しすんな。」
さぁ周りのみんなが守ってくれている間に俺は主人公らしく、犯人の正体を暴いてやるとしよう。
「真名看破ってやつだ。お前の中にいるサーヴァント、言い当ててやるよ!」
ビシっと人差し指を突き付け、探偵モノの主人公らしく俺は犯人を追求する。
偉人でもない、伝説上の人物でもない、ましてや神や悪魔などといった神霊の類でもない!
物語に介入してくる、自分の良い様に都合を曲げる、どこの物語にでも現れてくる二次創作の主人公!
その名も
「主人公気取りもここまでだぜ!!
『メアリー・スー』!!」
「…!!!」
ピシリと、何かヒビの入ったような音が聞こえた。
やがてヒビはどんどん広がり、何かだったものは粉々に砕け散って簡単に崩れ去る。
そう、神代正義を主人公せしめていたモノが、今ここで解明された。
「メアリー・スー…?本当なのか誠!!」
「ああ、あいつの反応からして、どうやら俺の推理は間違ってなかったみてーだぜ…!」
動かなくなる正義。
やがて手に持っていた武器を落とし、震える手を見つめる
「どうやったのかは知らないがお前は擬似サーヴァントとしてメアリー・スーを中に入れた。だからだ。お前が周りからやたらと祝福され、神代正義万歳だのと感謝されるのは。違うか?」
「…。」
彼は何も答えない
「戦いに負けないのもお前が物語の主人公だから。主人公が負けて死ぬ物語なんてBADENDじゃない限り有り得ないしな。」
武蔵や大和の刀が簡単に折れたのも、攻撃が効かず、逆にあちらの攻撃が通るのも主人公だったから。
そして主人公に敵対するものは"悪"。必ず滅びる立場の者だ。
"悪"と見なされた俺達は、だからあの時負けた。
「けど1つの教えといてやるよ。てめーみてぇな素人が書いた二次創作の物語程度な、本家には足元にも及ばねーんだよ。」
だから俺達は、その物語を上書きすることにした。
書き換え、今度は俺達が主人公となる。
そして今やここは固有結界の中。
俺達が主人公の物語という固有結界の中だ!
「ここでメアリー・スーは意味を成さない。今じゃ理不尽な程クソ強い能力持ってるテメェこそが…物語の"悪"そのものなんだよ!!」
「く…うぅ…!うぅぅぅ!!!」
歯ぎしりをし、震える両手を握りしめ、全力で悔しさを体現する正義。
「その程度で!!!僕はァ!!」
「魔力、弱まっています!今ならば彼に勝てることも可能です!!」
紫式部はそう分析してくれた。
「推理モノにおいて見抜かれた犯人が辿るのは"滅び"。今主人公であるあなたが彼を犯人と見立て、そして追求したことでその法則に則り弱体化しています!!」
「すごい!!まーちゃんホントに名探偵じゃん!!」
「だろ?もっと褒めていーんだぜ?」
まぁ、主役なんてキャラじゃねーけどな俺。
性格からして小物の悪役程度だろーが今だけは
「さぁやるぞ。俺達四人四騎、全員が主人公だ!!」
主人公としてやらせてもらおう。
そして、
「そこでふんぞり返って見てるだろうからな!!言っておくぜ!!」
正義ではなくその上、本部のビル最上階を指さす。
そう、おそらくあいつが…代表が鎮座しているであろう場所だ。
「てめぇはここで死ぬ!!葛城財団も今日ここで終わる!!待ってろ!!俺達主人公が!必ずテメェをぶっ殺しに行くからな!!せめてきったねぇ身体洗って震えて待ってろ!!」
後書き
かいせつ
⚫魔性絶対殺すチェーンソー『すみれちゃん』
葵が持つ身の丈ほどもある巨大なチェーンソー。
何かの意思が宿ってるらしく夜な夜なエンジンがついて動く。
とても強大な呪いがかけられているらしく普段は専用のアタッシュケースに厳重に封印されていた。
しかし時々外に出してやらないとアタッシュケースの中で暴れ始めるのでたまには外の空気を吸わせてあげる。
葵はこれを片手で軽々と扱い、その刃に触れたものは例え魔性でなくとも付与された強力な呪いで苦しみ、たちまち死に至る。最早魔性絶対殺すどころではない。
ちなみにすみれちゃんという名前は以前の持ち主にちなんでつけられたとか。
何はともあれその名前とは裏腹にとんでもない威力を持つチェーンソーである。
⚫メアリー・スーって?
聞いたことある人は聞いたことあるかもしれませんが、一応説明を。
メアリー・スーとは…
なんか難しいし長いから気になった人は自分で調べよう。
まとめて言うならば二次創作の主人公に対する皮肉めいたものです。
原作にやたら強いチート級のオリキャラ介入させたり、無双させたり、まぁハーメルンやなろうにそこそこいるそういうものの呼び方と思っていただければいいてす。
⚫正義の持つメアリー・スーの概念
どうやったかは不明だが彼は自分を依代としてメアリー・スーを体内に入れ、擬似サーヴァントとなった。
その瞬間から彼はこの世界の主人公となり、世界は彼を中心に動かざるを得なくなる。
これに名前をつけるならばそう、『主人公補正』と言おうか。
⚫スキル的なもの
彼の能力をスキルとし、解説していく
⚫主人公補正
どんなことをしようが主人公だからという理由で片付けられる型破りなスキル。
主人公だから負けることは無いし、主人公だから窮地に陥ることも無い。
そのためこのスキルにより彼のステータスは全てEXとなっている。
主人公だから周りの皆は彼に賛同し、そして讃え始める。
サーヴァントを吸収するのも原理は全く不明だが主人公だからという理由で全て説明がつく。というかつけられてしまう。
何をしようが反対されないしどれだけ不可能なことをしようがそれができてしまう。
なぜなら主人公だからだ。
⚫アルトリアオルタと戦った時は負けてたけど?
あれはまだ未調整であるがゆえ、といいますか正義自身もまだ完全に擬似サーヴァントとしての身体に慣れておらず、たかが悪魔程度にと心のどこかで慢心しているところがありました。
まぁぶっちゃけ、主人公補正を吹き飛ばすくらいアルトリアオルタがクソ強すぎたんです。
それでは次回もおたのしみに!
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