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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
最終章へと向かうその前に…
  約束と町興しと大事なランタン

 
前書き
どうも、クソ作者です。
読者の皆様、あけましておめでとうございます。
ちょうど一年前はハーメルンを退会したりその後なんやかんやあったりして本当にお騒がせしました。
それでは、挨拶もそこまでにして本編どうぞ
 

 
始まりは…ささいなものだったのかもしれない。

「こんなメスになったんじゃ…もうどこも相手してもらえねぇナ?いっそのこと開き直っておれの嫁になるかい?マソ犬♡」
「ぼくっ…なるよぉ♡ううん、ならせてくださいっ♡ごしゅじんさまの…おえいちゃんのおよめさんっ♡」

いつかの日、
自分の罵倒にマイはこう答えたのだった。

出任せかもしれないけど、それは妙に心に残った。
せっくす中のおふざけだと片付けたが、日に日にそれは心に濃く残り続ける。
おれ自身…それは本気なんじゃないかと思いだした。
馬鹿みたいかもしれないが…あれはマイの本当の気持ちなんじゃないかと。

だから、あの時告白した。

「くぅ…くぅん♡」

数日後。
お散歩ぷれいからのふたなり逆あなる前立腺ガン責め野外プレイの最中のことだ。
公園のべんちに座るおれに艶のある声で擦り寄るマゾ犬…じゃなかった。マイを見ておれは今しかねぇと決心した。

「相変わらず気持ちよさそうに喘ぐマゾ犬サ。でだ、そんなマゾ犬に今日大事な知らせがある。」
「わ、わうっ!?」

まさか飽きたから捨てられるんじゃないか。そう思ったのだろうかマイは驚いた顔をしていた。
そんなわけあるか。

「お手。マゾ犬…お手だ。」
「…?」

首を傾げながらもマイはご主人であるおれの言うことを素直に聞き、おれの前に右手を差し出した。
そうしておれは、彼の薬指にはめたのだ。

「…わ、わん。」
「人間の言葉で喋っていいぞ。」
「お栄ちゃん…これって…?」
「"ぷろぽおず"って言うんだろ?まぁ平たく言うとあれサ…おれの…嫁になっとくれ。」
「…!!」

さらにびっくりした表情をして、指輪を見て、おれの顔見て、また指輪を見る。

「ほんとに…いいの?」

両手で覆うように口を抑えたかと思えば今度は泣き出した。

「ああ。」
「僕がお嫁さんで…いいの?」
「本気も本気サ。おれはマイと夫婦(めおと)になりたい。絵を描くことしかできないおれだけど…いつも幸せにしてやれるかは保証できないけど…おれはマイと…ずっと一緒にいたい。」

「お栄ちゃん…!」

手をぎゅっと握られる。
崩壊世界、夕暮れが橙色に染め上げる壊れかけた遊具だらけの公園で、
おれはマイと結婚することを約束した。







「ってなことがあったわけサ。」
「何もかも狂ってやがる…!!」

感動風に仕上げてるけど何から何まで狂ってやがるからな。
てか疑問に持てよ。なんで男のお前がすんなり「お嫁さんになります」とか言ってんだよ。

「男女が逆転してるんですがそれは…。」
「だからさっき言ったろ?おれは嫁入りして二日半で追い出された事があるって。じゃあおれが夫になりゃいい。それに、マイをメスにしちまった責任もとる形で結婚するっていうことに落ち着いた。」

責任の取り方がわからねぇ!

「ともかくおめでたいことだろ。誠も一時期舞に夢中になってた時期があるって聞いたし、ここは素直に拍手でも送ってやったらどうだ?」
「お前それどこから聞いた?」
「barにいた海賊。」



それから

「ええ、大変お綺麗です。舞さん。」

昼食を摂ったあと、何故かカマホモ野郎の試着もといお披露目会へと連れていかれた。
紫式部と楊貴妃の二人に着付けしてもらい、和装の白無垢を身にまとったカマホモ野郎。

「どうかな?」
「ああ、昨日も見たが思わず見惚れちまいそうだ。」
「とっても綺麗。ジパングの着物だもの!舞さんに似合わないはずがないわ!」
「はい。眼福です。本来なら私とお揃いの肚兜を着せたかったのですがやはりここは人生の晴れ舞台。真っ白で純粋な気持ちで臨んでもらうようここは白無垢にいたしました。」
「お兄様の花嫁姿…ゴッホ、感激です。」

とまぁ、カマホモ野郎のお友達ことフォーリナー組は大絶賛。

「あの…。」
「はい?」

その着付けをした1人である紫式部に恐る恐る尋ねる。
多分この人はまだ、常識のある人だと信じて

「やっぱ疑問に思いません?男ですよ?男が花嫁って。」
「確かに、私も最初はそう思いました。」

ほらやっぱそう思うだろーよ。
…?
え?最初はそう思いましたっつった?

「しかし愛の形は人それぞれ、私と葵様が性別を超え愛し合うように、この世界では愛の形は様々なのです。既存の物に囚われてはいけない。舞さんと北斎さんの二人を見て香子、そう痛感させられました…。」

手遅れだったわ。

「探偵さんもどう?似合う?」
「…。」

似合うわけねーだろ頭イカれてんじゃねーのか人間のフリした犬もどきの変態ドMカマホモ野郎。
なんて言ってやりたいが…いえない。
だって

「…。」
「…。」
「…。」

ご友人方がめっっちゃ睨んでくるんだもん。
ねぇなにあれ?そっくりさんだって言ってたけどあれ絶対紛うことなき"本物"だよね?
足元から触手出てるし、チロチロ青い炎出てるし、ゴッホカッター回転し始めてるし。

「探偵殿?」
「あ、あーうん。似合ってると思う。」
「だよね!そう言われると嬉しいな!」

上機嫌なカマホモ野郎。
だってそう言ってなけりゃ俺今頃SAN値ゴリゴリ削られてたもん。
てかマジでなんだあいつ。
なんでこんなやべークラスことフォーリナーと知り合いなの?





それから日が暮れるまでいろーんなお披露目会に付き合わされ、結局夜になり俺はホテルもとい自宅へと帰る。
その時のことだ。

「渡したいもの?」

ここに泊まることになった陸が俺の部屋にやってきた。
なんか渡したいものがあるとか何とか言ってるが…

「これ。」
「なにこれ…?」

陸からもらったのはランタンだった。
スイッチを入れると中から淡い光が漏れ周囲を薄く照らす。

「これって…?」
「あの時採った種火だよ。こうやって加工すれば灯りにもなる。」
「へー。」

おっきーが死ぬ気で取ってきたらしい銅の種火。
陸はそれをそのまま使うのではなく、ランタンとして渡してきたのだ。
まぁ…銀とか金とかよりも眩しさ控えめだし、こういうのには銅の方がいいんだろうな。
一応貰っとくとしよう。

「それと…」
「まだあんの?」

次に陸が渡してきたのは

「ノーパソ?」

何の変哲もない、ただなんかハイスペックで高そうな薄いノートパソコンであった。

「何これ?実は種火で動きます的な?」
「あーいや、そうじゃなくて…コレ、葛城財団のモノなんだ。」
「え?」

陸いわく、
ステンノ様とそろって支部に連れ去られた際、華麗に大逆転して逃げる際にステンノ様が持っていたものとか何とか。
ちなみにその支部は今ではもぬけの殻の廃墟となっており、財団に関する手がかりは掴めなかった。
つまりこれが

「そうか…機密情報がこれでもかと詰まってるだろうし…何か場所を掴めるカギになるかもな!」
「ああ、ただ問題があって…。」

一度デスクに起き、起動する陸。

「パスワードか…。」
「これだけは分からなくてさ。宝の持ち腐れになっちゃうのもアレだし、折角だからこれは探偵さんに渡しておこうかと。」
「って言われても…俺も分かんねーよ。」

ヒントからパスワードを割り出すとかそんなんできねーもん、俺。
けど、

「分かんねーけど…"分かる人"は知ってる。」
「分かる…人?」

持ち主は誰だか知らねーが、俺には葛城財団の事をよーく知ってる知り合いがいる。
そうと決まれば、その人がいる場所に行くしかねぇ。

「横須賀にな、いるんだよ。元財団職員のお偉いさんがな。」

そう、横須賀に。

打倒葛城財団の同盟を組み、皆は葛城財団を倒すため東奔西走しているが実は未だに本部の場所は掴めていない。
奴らはどこから来て、何処へと帰っていくのか。
それが謎のままなのだ。
勿論、追跡して突き止めようともしたとか。
だが途中で見失い、気配もなくなってしまう。
追跡不可能となりいつも諦めているのだった。
そして元財団職員本人こと子安さんに聞けばいいのでは?という話だが、
彼女も知らない。
分かったのは、財団本部は人工の島で出来ているということだけ。
逃げる時も必死で、分からなかったのだという。
けど、陸がくれたこれがあれば…!

「こいつはすげーよ。もしかしたらお前のおかげで財団ぶっ潰せるかもしれねーんだからよ!」
「え、そんなに?さすがにそれは大袈裟じゃ…。」

ともかくだ。
これを横須賀にいる子安さんに見てもらわないといけない。
そしてその前に

「結婚式だ…!!」

この街の住人なら強制参加。
なんならそこに居合わせた人も問答無用で強制参加の結婚式に行かなければならない。



次の日。
街は相変わらず騒がしい。
まるで祭りかなんかやるみたいな雰囲気だ。

「賑やかだねー。」
「な。」

そんな喧騒をホテルの最上階から見下ろしながら優雅に朝食を頂く俺達。
そんな今日のモーニングはパンケーキです。
いや、カマホモ野郎が朝早く押しかけて来やがってアビーの為に作って欲しいだなんだと喚くもんだからな。
仕方なく作ってやったよ。

「何がパンケーキ食べたいだよ…いい迷惑だよマジで。」
「でも断らなかったね。」
「後で文句言われてもやだからな。」

と、グレービーソースをたっぷりかけたパンケーキを一口大に切り、おっきーは口の中に放り込む。

「んー、おいひぃ…♡」
「何食っても美味しいって言うなお前…。」
「うん。でもね、別に何でもかんでもおいしいって言うわけじゃないよ?こー見えて姫、グルメだからね!」

そんな設定初めて知ったわ。

「何でも美味しいんじゃなくて、まーちゃんが作ったものだから美味しいんだよ。」
「…。」
「あ、照れてる?」
「照れてねーよボケ。さっさと食え。」

まぁおいしいって言われてまた作りたくなるなって思うのは事実だ。
あんないい顔して美味しい美味しい言ってくれんだぞ?嬉しくて仕方なくなっちゃうだろ!
本人には絶対言わないけど。

「あれ?まーちゃんそれなに?」
「あ?」

パンケーキを食べていたおっきーがあるものに気付く。
棚に置かれているフィギュアやら帽子やらタイプライターと一緒にそこにあるもの、
それは

「ランタン。」
「ランタン?」
「お土産として陸がくれた。どっかの誰かさんがロクに種火とれねーからな。」
「ど、銅くらいはとってきたもん!!」
「しかも一個じゃねーか!!それをロクにとれねーって言うんだよ!!」

さっさと食べ終え、逃げるようにしてその場を去る。

「いいよ!次は巴ちゃんみたいに金のやつ抱えきれないくらい取ってくるもんね!!」
「あーはいはい。」

ちなみにだが、このランタンがおっきーがとってきた種火で出来てるということは一切言ってない。
だって恥ずかしいじゃん。
お前がとってきたやつだから、大切に飾ってあるって言えるわけねーじゃん。



それから

「町興し?」
「そ。実は観光も視野に入れようかなーなんて思っててさ。」

相談がある。
皿洗いの最中オーナーさんにそう言われ、話を聞いてみればこの町をより良いものにしたいとの事だ。
その為に、町興しをするとのこと。

「なんでそんなめんどくせーものを…。」
「折角だからね。他の町だって色んな特徴があったりするんだ。だったらここもそういうの見つけてみようって。」

特徴がないのが特徴ってのは…だめですかね?

「そこを探偵さんの手腕でこう…なんとかできない?」
「いや、俺探偵なんで。町興しなんてわかんないんで。」

やだよそんなめんどくさいの。
ただでさえ明日めんどくせーイベント控えてんだぞ。
休ませろ、俺ここんとこ働き詰めなんだぞ。

「頼むよ!マキさんも喜ぶよ!」
「あ、俺そいつもう嫌いなんで。」

数ヶ月前なら、それで引き受けてたかもな。

「人が来れば、依頼も増えるよ?」
「今一番欲しいのは金じゃなく休暇なんで。」
「うーん…困ったなぁ。」

頭を抱えるオーナーさん。
いいぞ、そのまま他所の人に頼んでくれ。

「わかった。やろう。」
「…え?」

そんな中、第三者の声が響いた。
そこに現れたのは誰かと思えば

「大和じゃん…。」

竜胆大和。
そしてそのサーヴァントの武蔵だ。

「あなたは…?」
「しばらくここに住ませてもらってる身だ。困ってるなら何でもしよう。誠もな。」

おい巻き込むな。

「やってくれるんですか?」
「ああ、できない問題じゃない。幸いこの町には誇れるものがたくさんある。そこを俺達がピックアップし、後は誠が上手い具合にやってくれるだろう。」

俺を組み込むな俺を。
てか後半だいぶおおざっぱだな。上手い具合ってなんだよ具体的に言ってくれよ。

「おい待て」
「そうと決まれば行こう。誠、着いてきてくれ。」

ふざけんなおいバカやめろ。
着いてきてくれって言いながら引っ張るな。

「それじゃあ探偵さーん。よろしくねー!報酬は弾むから頼むよー!」
「言ってない!俺引き受けるって言ってない!離せバカ!俺は嫌だ!」

こうして結婚式に参加すると同時に、町興しをしなければならないという大変めんどくせー仕事をすることになった。

ああ…マジで休みをくれ。
 
 

 
後書き
かいせつ

⚫ランタン
陸に銅の種火で作ってもらったアンティークなデザインのランタン
淡い光がどことなくおしゃれ。
まーちゃんはいつもこれを大事にしている

⚫陸から貰ったパソコン。
葛城財団が持っていたノートパソコン。
財団支部に連行された際、ステンノ様が持ってきたものでありその正体はそこの支部長が持っていたものである。
つまり、重要な機密が入っていることはほぼ確実。

⚫男がお嫁さんはやはりおかしいのでは?
舞くんは男じゃなくてメスだから。
それに舞くんの将来の夢も『お栄ちゃんのお嫁さん、もしくはペット』だから。 
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