『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
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プロローグ『この世界へやってきたこと』
「ねぇ、お栄ちゃん。」
「なんだいマイ。」
夕暮れの縁側にて、隣に座るお栄ちゃんに声をかける。
「もし、僕が死んだらどうなるんだろう。」
「どうって?」
「お栄ちゃんとか、それから先どうするんだろうって。」
互いを見ないまま、2人して夕日を眺めて話し合う。
「僕の命は永遠じゃない。それにこんな世界だ。いきなり誰かに刺されて死んじゃうかもしれない。」
「かもナ。」
「でもそうしたら、残されたお栄ちゃんはどうなるんだろうって気になったんだ。」
「どうするか、ってことか。」
そばに置いてあった大福を一口かじり、一拍置いてからお栄ちゃんは当たり前のように淡々と語る。
「死ぬサ。おれもマイと一緒にナ。他のやつと契約を結ぶなんて考えらんねぇ。」
「…そっか。」
「死ぬ時は一緒だ。おれはいつまでもマイと添い遂げる。ずっと、永遠にナ。」
それが、夫としてのつとめってモンだろ?と付け足してお栄ちゃんは笑ってくれた。
「…。」
右手の薬指にはめられた指輪を夕日にかざす。
そうだ。僕はお栄ちゃんの妻だ。
これからも、そしてずっと。
この命が尽きるまで。
「それまではずっと一緒に絵を描こう。今まで好きに生きて来れなかった分、うんと好きに生きてやろう。」
「うん。そうだね。」
「ロクデナシの兄貴ももうこの世とあの世からキレイサッパリ消えちまったんだしナ!」
…
そう、
あいつは消えた。
僕が完全に消した。
僕は…自由だ。
僕を縛るもの、僕を邪魔するものはもうどこにもいない。
いるのは、ずっと一緒にいてくれるサーヴァント
「ん、おれの顔になんかついてんのかい?」
葛飾北斎。
お栄ちゃんだ。
そして、
「よし、ご飯にしよっか。みんなー!!」
この世界に来て、友達も沢山増えた。
「ご飯なにがいいかな?」
「パンケーキ!ベーコンを乗せてグレービーソースもたっぷりかけたとびきりの!」
「アビー。それは昨日も食べたでしょ?」
「えー。」
アビーに、
「ゴッホちゃんは何がいいかな?」
「ゴ、ゴッホですか…!?い、いえ…ゴッホの意見など取り入れず…お兄様の思うがままに。ゴッホ…お兄様のお作りするものならなんでも大好きですから…えへへ。」
ゴッホちゃん。
「じゃあここはユゥユゥがお手伝いを!任せてください!!こう見えて割となんでもこなせるラスボス系後輩ヒロインですので!!」
「そっか。じゃあ野菜切ってもらおっかな。」
ユゥユゥに。
「いいんですかぁ?夫婦水入らずって感じなのに。あたし達邪魔じゃない?」
「そんなことないよモレーさん。ご飯はみんなで食べた方がおいしいよ。」
モレーさん。
他にも探偵さんや葵さん。竜胆さんにその人のサーヴァント達。
本当にたくさんの友達がいる。
「多少ヌメってしまいますが…問題ありませんよね?」
「あーもーテンション昂って霊基再臨とかおかしくない!?それはあたしがやるから!」
「えーと、おまけにライチいれちゃおっか♡」
「楊貴妃さん!お味噌汁にライチはダメだと思うの!!」
「あびいに貴妃様。ごっほ殿にもれえ殿と、ほんっと賑やかになったもんだナァ。」
「だね。」
「あとマイ、たまにはおれにも手伝わせとくれ。1人だけあぐらかいて飯待ってるのもよくないだろ。」
と、珍しいことを言うお栄ちゃん。
それに対して僕はいいよと答え、お栄ちゃんもよっこらしょと立ち上がる。
さて、みんなと一緒にご飯を作ろう。
後書き
どうも、クソ作者です。
ホンワカした感じで始まりましたがそんなきれいなものじゃないです。この小説はきたねーものです。
それでは始めましょう。
本編にて語られなかったもう1つの外伝。
インモラルで冒涜的で、美しいけどどこかおかしい。
そんな『青』の物語の話を。
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