崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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ほんへ
最終章へと向かうその前に…
淫虐王S=レン/そして最終章へ…
前書き
どうも、クソ作者です。
ここで言うのもアレですがどなたかが葛城財団の酷い行い的なことを書いてましたね。
生み出した本人から言わせてもらうと、葛城財団はわざわざ子供を奴隷にしたり食料を取りに行かせたりしません。
なんなら殺します。代表は子供嫌いですしサーヴァントの方がずっと役に立ちますし。
と、今更クソ作者がハーメルンの作品にアレコレ言うのもお門違いなんですけどね。
でもほかの作者様の作品に自分のとこのキャラクター出てるっていうのは、キャラクターが誰であれなんかワクワクしますね。
それでは本編、どうぞ。
俺様はソロモン=レン。
元は葛城 恋という名前だったが、その名は捨てた。
この世に君臨すべき王たる存在だ。
俺が疑似サーヴァントに改造した正義があなたはまさにソロモン王だと言ったので、そう名乗ってやってる。
よく知らないが、ともかく俺様と同じようなすごい王なんだろう。
さて、俺様の目的はこの世界全てのマンコ共を手中におさめることだが、
「なんだこれは?」
「も、申し訳ありません!!」
最近、その蒐集が悪過ぎる。
捕獲に行った隊員共が何も捕まえてこないことも珍しくなくなり、やがて生還してくるものも1名や2名といったことも多くなった。
「捕まえたマンコは0、もう数少ない英霊兵も全滅、帰ってきたのはてめぇ含め3人。どういう事だ?」
「そ、その件については誠に…」
「謝罪は聞き飽きてんだよ!!俺様はどうしてそうなったか聞いてんだよ!?それともてめぇは謝る事しか出来ねぇガイジか!?あぁ!?」
机をバンと叩き、怒号を浴びせると生還した隊員はびくりと肩を震わせる。
この時ばかりは、少しだけ面白いから愉快になる。
やはり上からものを言って部下をビビらせるのは最高に気持ちがいい。
「おい、悪いのは俺か?」
「いえ…悪いのは…何も成果を成し遂げられなかった私達…です。」
「そうだよなぁ?悪いのはてめぇだ。俺を怒らせたのもてめぇだ。全部てめぇのせいだ。使えねぇゴミがよ。」
そういって俺様はパチンと指を鳴らす。
もういい、こいつらは使えねぇ。
使えねぇゴミは邪魔だ。掃除してもらおう。
「ひっ…!!」
生き残った隊員達の周りに、俺様の親衛隊もといマンコ共が現れる。
「後処理、頼んだぞ。」
「かしこまりました、恋様。」
「お待ちください!!恋様!!次こそは…次こそは…!!!」
席から立ち上がり、俺様は自室へと戻る。
次なんてねぇよ。1回失敗したらそこでもうアウトだ。
「いやだ…いやだァ!許さねぇ!許さねぇぞあのクソデブがぁあ!!恨んでやる!!あの世でずっと恨んでやる!!死ね!死ね!死にやがれキモデブクソ野郎があぁぁぁーッ!!!」
最後に本性を丸出しにし、ありったけの憎悪を吐き出して奴らは死んだ。
ほらな、結局はそうだ。
忠誠心が足りないんだよ。忠誠心が。
「お待ちしておりました。我が王。」
「おう。」
自室の前には正義が待っていた。
俺様が都合のいいように開発した、疑似サーヴァント。
そして俺にソロモン王を名乗らせた、非常に有能な部下だ。
「正義。」
「はっ。」
「お前…誰にも負けない自信はあるか?」
「負けない自信…ですか?」
接触禁止のマンコとの戦い以降、再調整を施した正義に俺はそう尋ねる。
「確かに以前、僕は悪魔に敗れました。しかし次こそは負けません。この身体、全てあなたの為に捧げます。」
「そうか、そいつは頼もしい。」
各宗教組織からやってきたが全く使えねぇ部下、幹部がいなくなった、もしくは俺様が腹いせに殺したから英霊兵や洗脳弾の作り方もわからない低学歴な職員共。
元は俺様のお下がりが欲しいからやって来たガイジ共だ。
そんな部下達を抱えた悩み多き俺様は、ある結論に辿り着いた。
「東京に行くぞ。」
「東京に…!しかし恋様!」
俺が直接行き、マンコ共をまとめてとっ捕まえてくる。
実にシンプルだ。
「出入り禁止だったか?それがどうした?俺は"王"なんだろ?」
「はい、確かにあなたはソロモン王ですが…」
「王がわざわざ人が決めたルールに従うか?ルールってのは偉いやつ、つまりは王が作るモンだ。だからこれから俺様は自由に東京に出入りしていい。」
東京に二度と足を踏み入れるな。
ヤクザやマフィアみたいな学なしの下級国民の奴らが決めたことにわざわざ王である俺様が従う道理などない。
「お前は置鮎と契約を結びサーヴァントとなれ。出発は昼だ。」
「仰せのままに。」
そう言い、俺様は自室にこもる。
これから戦いに赴くわけだからな。
セックスしてたっぷりと英気を養わなけりゃならない。
さぁ覚悟しろマスター共。
てめぇらが不当に連れているマンコ共、俺様がまとめてかっさらってやるからよ。
⚫
時刻は遡り、一日前。
「かんぱーい!!!!」
シルク・ドゥ・ルカンの医務室。
そこでは打ち上げが行われていた。
え、なんで医務室でやんのかって?
「はい弟くん、あーん。」
「大丈夫、自分で食べられるから。」
「ダメですよ!さっきもそう言ってスプーンを落としたじゃありませんか!!ほら!お姉ちゃんが食べさせてあげますからね!!はい!!どうぞ!!!」
「やめてみんな見てるから!!!」
マスクの副作用により、弟くんが動けなくなったからだ。
一応、前回よりかはいくらか動けるらしいが、最初は本当に指一本動かせないほどのレベルだったらしい。
で、副作用といえばおっきーなのだが
ショーが終わった直後のことだ。
「ほら、医務室まで連れてってやるから。」
「…。」
「おい、聞いてんのか?」
出入口にて立ったまま動かないおっきー。
自分の両手を見つめ、微動だにしない。
いくら返事しても反応がないのでさすがに心配になり、肩を叩くと
「あのねまーちゃん…。」
「どうしたよ。」
「痛くないの…。」
ガッと俺の肩を掴み、嬉しそうに言ったのだ。
「姫!全然痛くないの!!!」
と、場面を現在に戻そう。
「お前、ホントに何ともねーの?」
「うん。全然平気!」
そういい、隣でオムライスを頬張るおっきー。
「なんでだろうね。」
「俺もわかんねーよ。」
「まーちゃんの早漏が治ったからかな?」
「うるせぇ殺すぞ。」
じゃあ早漏がどんだけ足枷になってたんだよ。
「それともぉ…。」
「あ?」
「まーちゃんが素直に好きって伝えてくれたから、かな?」
「…。」
知るか。
「あーもーほら!2人きりだとすぐに甘えるのにみんなが見てるとそうやってツンツンな態度とるんだからー!」
「うっせーな黙って食えよ!」
「ほら見てよあの二人!」
おっきーが指さした先には勿論マリーがいる。
人目もはばからず、相変わらず2人は
「あの必殺技、よく思いついたな。」
「ええ、探偵さんが提案してくれたのよ。その為にはあなたが必要なんですって言ってくれて、思わず張り切っちゃった!」
「うん。マリーの頑張りは観客席で見て充分に伝わったよ。きっと他のお客さんもそう思ってるさ。」
「まぁあなたったら!はい、あーん♡」
イチャついていた。
恋人恒例のあーん♡をしてもらい、2人は2人で周囲に愛の固有結界を作り出している。
「見習えってのか?」
「どう?」
「やだよ。」
あれは2人にしか出来ねーやつだから。
さて、医務室は現在パーティー会場となっており、ショーに参加した人達が食事を楽しんでいる。
「にしても驚きましたなー。予定にないマスク・ド・ルカンが乱入した際には拙者もどうかと焦りましたぞ。ま、持ち前のアドリブ力で乗り切りましたけどねー!」
「私が途中退場というのは納得いかなかったな。」
悪役をつとめていただいた、黒髭やバーソロミューもだ。
ちなみにジルはジャンヌにショーでの行いを叱られ、目潰しをされた後病院送りにされた。
次からは私情を挟まないで自重しようね。
「話は変わるがどうだ黒髭。あれが私の話していたマキさんなのだがどうだ?あの前髪、その隙間から覗く金色の」
「ストップストップ。メカクレ談議はいいから。スキルの紳士的な愛では対象内ですが拙者自身男の娘にはまるで興味ナッシングなので。」
「マキさんの良さが…分からないと!?」
バーソロミューはいつも通りだし、黒髭も黒髭で彼とそういった話し合いを交わしていた。
で、
「じゃんぬ殿。」
「あ、北斎さん!」
「これ。」
弟くんに無理矢理あーんさせようとしているジャンヌの元へ北斎がやってくる。
そして渡されたのは一冊のスケッチブックだった。
「これは…!」
「約束通りあれやこれや描いてみた。ぷれいの参考にしてくれてかまわねぇヨ?後こすぷれさせたけりゃマイのおさがりになるがいいかい?」
北斎からもらったスケッチブックをめくっていくジャンヌ。
目をガン開きにし、夢中で読んでいるが一体何が描いてあるのやら…。
「弟くんの…あんなとこやこんなとこ…そ、そんなとこまで…!?」
「何!?何描いてあるの!?」
「弟くん…妹くんになりませんか?」
「!?」
あ、やべーわ。
「大丈夫。怖くないよ。」
「ひっ…!?」
「最初は恥ずかしいけど、段々クセになってくるから。」
そういって怯える弟くんの肩を優しく握ったのは北斎のマスター、舞。
ちなみにだが水着に変えられた北斎は舞に対して怒り狂うかと思えばそうでもなかった。
セイバーとフォーリナーの北斎は別人格。だが記憶は共有されるらしく楽しかったとのこと。
だがその分恥ずかしくもあったという。
「お前さんも家に帰ったらたぁっぷりいじめてやるからナ、マゾ犬♡」
「え、あ…うん。」
ということで家に帰ればお仕置きが待っているのだった。
「そういえば…。」
皆それぞれがこの時間を楽しんでいるが、ある人物がいないことに気付く。
「大和。」
「どうした誠。うどんのおかわりはまだ間に合ってるぞ。」
「あいつらは?クソレズコンビ。」
「…言われてみれば…いないな。」
葵と紫式部の2人がいない。
ちなみに武蔵はなんか子ギルとお話してる。
お前ショタなら誰でもいいのか…なんて思ったが、相手が子ギルならなんの心配もないだろう。
⚫
シルク・ドゥ・ルカン、会場内。
既に時刻は夜であり、閉館したそこには客は1人もおらず、昼とはまた違った一面を見せていた。
静かな空間に二つの人影、プールに映る月を何も言うことなく眺める二人がいた。
「これからお楽しみってとこか?だとしたら悪いな。」
「あ、ああ、探偵さんか。」
二人とは打ち上げにいなかった葵と紫式部だった。
「どうしたんだよ。」
「いや、ただ夜風に当たりたかっただけ。」
「私も、その付き添いです。」
隣で寄り添い、何も言うことなく眺めていた二人、
あーやべ、なんか水さしたみたいじゃん。
「こうして眺めてるとさ、昔を思い出すって言うか…色々考えちゃうんだよね。」
「例えば?」
「うーん、そうだなぁ…。」
指折り数え、葵があっと声を上げる。
「ここで話しとくよ探偵さん。」
「?」
「あたしの両親がさ、人間同盟の支部長やってたってこと。」
「え」
表情はそのままに、葵はとんでもないことを話し始めた。
人間同盟。今現在僅かな支部が存在するのみだが…こいつは元々そこに…?
「お前まさか…」
「あたしは教徒じゃないよ。世界崩壊以降、偶然両親と会ってさ。そしたら支部長任されるくらいの偉い人になってた。」
「とすると、紫式部は…」
世界が崩壊し、葵はモンスターに襲われてたところを紫式部に助けられたという。
ということは、
「うん。紫式部とあたしの令呪を見るなり父さんはぶちギレて、母さんは泣き出してさ。悪魔と契約するなんてどうかしてるって。」
「あーやっぱりかー。」
やはり娘とて、悪魔と契約した事には相当キレたらしい。
「その後もしつこかった。図書館に押しかけて外で叫び回ったり、あたしの同性愛も心の病気だとか悪魔の仕業とか言いがかり付けてさ。香子を…紫式部を悪者みたいに扱って。」
「そりゃまぁ、つれーよな。」
やや距離を離したところに座り、彼女の話を聞いてやる。
うん、分かるよ。あいつらに四六時中周りで悪魔がどーたらこーたら拡声器で叫ばれる気持ちは痛いほど分かるよ。
「んで、どうしたんだよ。」
「縁を切ったよ。あたしの紫式部を徹底的に悪だと決めつけ、あたしの夢を踏みにじって、あたしの意見は聞かないで自分の意見を通そうとする。あっちも悪魔の手に堕ちた娘なんて娘じゃないってさ。丁度良かったよ。」
「…。」
両親が人間同盟の支部長だった。
俺はもう両親は音信不通というか死んでるっぽいし、そういったことに関してはよく分からない。
「あたしは許せないよ。サーヴァントがいたからこうしてここまで復旧できたワケだし、サーヴァントだってそれぞれがマスターと一緒に一生懸命生きてる。」
「その生き様はとても美しい。悪魔になんて見えない。葵様はいつもそう仰っております。」
彼女は、サーヴァントの生き様を本にまとめたいと言っていた。
全国各地を周り、彼らの第二の人生を知ってみたい。
まぁその最中で、俺はこの2人に会った。
「探偵さんはさ、葛城財団はどう思う?」
「クソみてーな組織。目的知ったらもっとクソ組織だった。」
そのサーヴァントを集める葛城財団。
そして三笠防衛戦時、代表が直接やって来て目的も聞いた。
自分だけが気持ちよくなりたい。他人がサーヴァントを連れているのが許せない。それだけだ。
「あたしはそれが許せない。葛城財団の目的も、存在も。奴らがいる限り、サーヴァントは際限なく捕えられるだろうしこの平和で楽しい日々もいつまで続くか分かんない。」
「だから、倒そうとしてんだろ。」
現に水面下では葛城財団への対抗策を練っており、全国各地で実行に移している。
その影響か財団の襲撃もなんなく返り討ちにしていることが割とあるらしく、連れ去られたサーヴァントというのも前と比べて激減した。
「やるだけやったみたいだしな。院長先生の話によればあと一歩ってとこらしい。」
「へぇ。」
まぁその一歩が中々踏み出せないんだよな。
あれだよあれ。奴らの本部の場所な。
「じゃ、代表を捕まえたらまずはあの不細工な面に…いや、あのお粗末なモンを玉ごと蹴り潰してやろうかな!ははっ!」
嬉しそうに金玉潰しのこと話さないでくんない?
タマヒュンしちゃうじゃない…。
「男なんて下半身でしか考えてない最低な奴だからさ、ここはガツンとね。」
「え…。」
「けどあんた達は別。こうして色んな取材を通して、男でも良い奴っているんだなって思えた。」
彼女が図書館を建てるまでの愛だ何があったかは知らない。
だが、余程男の欲望の汚さというものを体感したのだろう。
「アンタや舞、大和。それにほかの色んなマスター。みんないい人ばっかりだった。」
「いい人というかなんというか…あれだな。」
「?」
「多分そいつら、みんな自分のサーヴァントが大好きなだけじゃね?」
優しいというかなんと言うか、彼らはそうだ。
「サーヴァントがいるから頑張れるし、人に優しく出来んのさ。俺が依頼で会ってきたマスター達も、皆そうだったしな。」
「そっか…。」
「そりゃマスターでなくても優しい男はいるぜ?極稀だけど。」
事務所を設けてくれたオーナーさんとかね。
「さ、戻ろうぜ。早くしないと飯なくなるぞ。」
「チョコミント饅頭は?ダークラウンズから取り寄せたやつ。」
「多分…あったかな?」
楽しそうな葵を見て紫式部はただ微笑む。
そう、彼女もまた、自分のサーヴァントが大好きであり、
サーヴァントもまた、マスターが大好きなんだ。
⚫
「さーてこれからどうすっかな…。」
イルカショーは大成功。
しかしクワトロデートをここで終わりにするのもなんか勿体無い気もする。
シルク・ドゥ・ルカンを出てさぁどうしようかなと思った時だ、
「あぶね!!」
俺の真ん前をタクシーがとんでもねースピードで横切る。
あぶねーな…下手したら死んでたぞ。
そう思っていると、タクシーが止まり
「あ、やっぱりいたね。」
中から院長先生が出てきたのだ。
「院長先生!?」
「昨日テレビに出てたからな。シルク・ドゥ・ルカンにいるかと思ったが正解だった。」
「え、テレビ…中継してたんすか?」
テレビ中継?マジで?俺聞いてないんだけど…。
と、何か気配を感じて振り返るとニッコニコのこどもスポンサーが。
「いい宣伝になったかと思いますよ。勿論、仮面探偵ジョーカーも全国規模で知られたでしょうね。」
やめろよそれ…。
あくまであれはテンションが高かったからやったんだぞ。
みんなに見られてるってんならやらねーよ。
「で、一体どうしたんですか院長先生。」
「いや、朗報が入ったからね。慌てて駆けつけてきたんだよ。」
「朗報って…まさか!」
ついに居場所が突き止められたのか、
そう期待をこめたがどうやら違うらしく
「いいや違う。少なくとも探偵さんの考えていることじゃない。」
「あ、子安さんも。」
タクシーの反対側のドアが開かれ、中から子安さんが降りてきた。
「先日連絡を貰ったのさ。私なら分かるかもしれませんってな。なんなら最初からアンタに尋ねりゃ良かったよ。」
「アンタらって…。」
振り向けば、後ろには紫式部と葵。
「だろ?紫式部。」
「はい。私なら…彼らの居場所を突き止められるかもしれません。」
⚫
「いちいちこっちに来てもらうのは面倒だからな。折角だし私達から来たってわけだ。」
シルク・ドゥ・ルカンの一室を借り、子安さんはノートパソコンを紫式部に見せる。
しかし紫式部は平安時代のサーヴァント。
パソコンという現代の文明利器からは程遠い存在だとも思うが…。
「で、どうするんだ?」
「はい。"メール"というものを使い、彼らの居場所を暴きます。」
「メールだと…?」
ノートパソコンの中には送られるべきだったであろう大量の未送信メールが残されていた。
紫式部はこれを使い、場所を割り出すというのだが
「ここにある"アドレス"なるものは財団本部のパソコンのものではないでしょうか?」
「多分…そうだろうな。だがメールアドレスを知ったとて場所は割り出せんだろ。」
確かにそうだ。
メールアドレスは住所じゃない。
それに気分次第で変えられるもの。
アドレスから住所を割り出すなんて聞いたことがない。
だが紫式部は子安さんの意見に対して、
「いえ、出来ます。」
首を横に振った。
「どうするんだ?」
「簡単なことです。メールという電子に私の魔力を添付、それをそのまま送信します。」
「はは、そうか…単純だな。」
紫式部の言ったことに子安さんは乾いた笑いを返し、目元をでで覆う。
「なーんでそんな簡単なことを思いつかなかったんだろうなぁ。こいつは一本取られたよ。」
「式部パイセン、それってどういうこと?」
話が追いつかず理解できないおっきーが説明を求めると、紫式部はパソコンを指でなぞり、何か陰陽術的なまじないをかけながら解説し始めた。
「言わばパソコンにまじないをかけます。私の魔力はそう、いってしまえば発信機…GPSの役割を果たすのです。」
「!!」
やっとわかりましたという顔のおっきー。
そうだ。
紫式部の魔力をメールに載せ、そのまま送信。
GPSとなった彼女の魔力を探知機で辿れば、そのメールが届いた場所が財団の本部がある場所になる。
とってもシンプルかつ、魔力の扱いに長けたキャスタークラスならではのやり方だった。
「それでは刑部姫様、メールの送信をして頂けないでしょうか?」
「え?姫?」
「すみません。どうにもそういったものは不慣れでして…。」
パソコンにまじないはかかった。
後はおっきーがパソコンを操作し、どれでもいいのでメールを送信するだけ。
「じゃ、じゃあやるよ…?」
「それでは探知の方、お願いします。」
紫式部がそう言い、子安さんと院長先生は頷く。
「院長先生。」
「ああ、こんなこともあろうかと持ってきて正解だったな。
バベッジ先生に作ってもらった最新式の魔力探知機だ。地球の裏側にいても突き止められるぞ。」
そういって院長先生がワクワクしながらカバンから取り出したのは大きめな機械。
それをまた別のノートパソコンに繋ぎ、場所を割り出させる。
探知機起動したらシューシューうるせーけど。
「それじゃ、送信!」
ッターン!とエンターキーを弾き、メールが送信される。
子安さんの操作するパソコンを見てみれば立体的な日本地図が映されており、東京がズームアップされる。
「これが今、送信されたメールの魔力だ。」
表示された赤い丸印は東京を離れ、やがて海に出る。
やがて、
「嘘だろ…?」
「こんな…近くに…!?」
そう時間も経たずに赤い印は海で停滞した。
ということはつまり、
「この距離は…。」
「ああ、計算してみれば東京から船で十分とかからん。」
彼らの本部は、思ったよりもずっと近くにあった。
しかし、
「でもどういうことだ?そこに島なんて存在しないぞ?」
院長先生が端末で調べて日本地図と照合してみるが、そこには島はない。
話を聞くに財団本部は人工島であるという情報はあるが、それらしき影を見たという目撃情報もない。
そもそも、
「こんな近くにあれば、海辺で誰かが気付いてもおかしくな いはずだ…!」
そこに本部が本当にあるとするならば、砂浜や海岸から見えるであろう距離なのだ。
だが、ない。
しかし子安さんは
「いいや、あるさ。」
「え?」
「あいつらはそこにいる。"見えない壁"でこちらからは一切視認できないようにしてる。」
「見えない壁…?」
それとはなんなのか、
子安さんに改めて聞こうとしたその時だ。
「!?」
「なんだ!?」
突然の地響き、そして続けざまに聞こえる謎の爆発音。
「おいおいおい!なんだよ!?」
「良くないことが起きてるのは確かだが…ともかく外に出よう!」
院長先生の指示に従い、俺達は急いでシルク・ドゥ・ルカンを出ていったわけだが
「なんだよ…これ…!!」
目の前に広がっていたのは、まるで世界崩壊直後のような風景であった。
そして、
「誠!あれを見ろ!!」
「あれって…嘘だろ!?」
見えたのは、大量の女性サーヴァント。
何騎ものサーヴァントが辺りを蹂躙し。
何騎ものサーヴァントが街を火の海に変えていく。
そしてそのサーヴァント達を率いてやってきたのが
「約束はどうした!?あいつらもう東京には入ってこれねーんじゃねーのかよ!!」
信じられない事に、
そこにいたのは葛城財団代表、
葛城 恋だったのだ。
後書き
⚫おまけ
パーティーが終わった直後のこと。
「はい。」
「え、なんすかこれ。」
「あなたが企画者だと聞いてますので、渡しておきますね。」
なんか子ギルに渡された。
ある1枚の紙だがそれを見てみると…
「え…請求書?」
「はい。セットの修理代、それにジルさんが暴れたせいで会場にもだいぶガタが来てまして。というわけで企画者の探偵さんに代金もとい弁償をして頂こうかと。」
「いや、待て、待って、待ってください。」
請求書に印刷された値段。
細かくは言えないが、きっとフツーのサラリーマンが一生かかっても払えない額だと思う。
「なんです?」
「ショーは大成功したじゃないですか!?そしたらそこんとこはチャラにしたりとかは」
「それはそれ、これはこれ。お客様が喜んだのはいいですけどあれこれ勝手にやられては、やはりスポンサーとしては困りますからね。キッチリ払ってもらいます。」
「待って!お願いします!!俺弟くんと友達なんです!仲良しなんです!!弟くんに免じて許して貰えませんか!?」
「…でも、これ僕とあなたの問題ですよね?あ、それじゃあ弟くんの治療費も加算しておきますね。友達ですからそれくらいなんてことありませんよね?」
友達だから、
その条件を逆手に取られ、さらに請求額が増えた俺は
「うわああああああああ!!!!!ふざけるな!!ふざけるな!!バカヤローッ!!!!」
師匠が乗った旅客機を撃墜した正義の味方のごとく、慟哭した。
夢から遠ざかるのは非常に心苦しいがこの後キッチリ払った。
はい、
ここからはシリアスです。
マフィアや掃除屋といった裏世界の住人達との約束を破り、自ら進行してきた葛城 恋。
暗い展開や胸糞展開が続きますが、どうか最後までお読み頂きたいです。
ですが覚えておいて欲しいことがあります。
クソ作者は、悪者はキチンとそれ相応の報いを受けるべきだと考えております。
葛城 恋は必ず最後に、自分のやらかしたツケを払わされる事になる。
それだけは覚えておいてくださいね。
それでは次回もお楽しみに。
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