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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
  女神と種火と仲良しへの近道

 
前書き
どうも、クソ作者です。
こうしてたくさんの方とコラボして来ましたが、それもそろそろ終わりそうな頃です…。
いえ、最終回だとかそんなんじゃないです。まだまだ続きますよ。
そんなこんなで本編、どうぞ。
 

 
種火の島。
あの腕とかそんなやつが生息しているところ。
話にはそう聞いている。
んで、それを商売にしている奴がいるので同盟申し込んできてというのが今回の依頼だ。
幸い、その営業者がいる場所はクソでかいドラゴンの石像があったのですぐに分かった。
いや…あれホントに石像か?

時間は早朝。
湖周辺ということもあり、辺りには薄く霧が立ち込めている中。
まぁ寝てるだろうけどこっちは一刻を争うので無理矢理でも起きてもらう。
で、ノックして待つこと数分…。


「ど…同盟?」

扉が開かれ、そこから出てきたのはデブでした。
年齢は…知らん。まぁそんなに変わらないくらいかちょい上くらいだろう。

「オーシャンビヨンドの支配人から同盟の申請が来てる。んで、アンタは必要不可欠らしいから是非とも入ってくれと。」
「は、はぁ…。」

さっきまで寝てたんだろーな。
半分開いてる目を擦り、状況がまだ頭で処理できていないらしく、ボーッと俺を見る。

「じゃあとりあえず話し合おう。詳しい話は中でってことで。」


それから

「つまり…俺達の協力もとい種火が必要だと?」
「そう言ったんだよ。」

暮馬も共に説明し、段々覚醒してきたデブに事の経緯を話す。
やっと理解したようだ。

「葛城財団…知ってるだろ?」
「知ってる。知らない方が少ないよ。何ならこの前来たところ。」
「へー、来たのか。」

まぁ無事ということは追い払ったんだろう。
ということはアレだ。
このデブが奴らを追い払ったとは考えにくい。
つまりはクソ強いサーヴァントを持っているとみた。

「そりゃあ、さぞかし強力なサーヴァントをお持ちなんでしょうね。」
「強力というかなんというか…その…。」

頭をかき、目を逸らして誤魔化すような言い方でお茶を濁すデブ。
そんな時だ

「呼んだかしら?」

奥からサーヴァントが顔を覗かせた。
背はそこまで大きくなく、神秘的な雰囲気を漂わせた女性。
いや、女性というよりかは女の子と言った方が近いだろう。
完成された偶像。三姉妹の長女。
本人ではないにしろ推理イベント、『孤月館殺人事件』にて多くのファンの心を鷲掴みにしたそのサーヴァントは

「ステンノだ…。」

女神ステンノ。
そいつこそが彼のサーヴァントであった。

「強力なサーヴァント、ね…。お褒めいただき光栄だわ。」

皮肉めいたことを言い放つステンノ。
とはいえそうだろう。
女神であるステンノ。
神性を持つサーヴァントではあるがその本質は守られる存在。
彼女に戦闘能力はほぼなく、おっきーよりもそれは低いかもしれない。
ただ、

「お前それでどう追っ払ったんだよ…。」

マジでそれが気になる。
あれか、来たやつ全員舐めくさってて丸腰で来ましたとか?

「まぁ…知恵を駆使して四苦八苦しながらなんとか…。」
「デブのくせにやるのな。」
「ちょっとまーちゃん!!」

と、おっきーが俺の腕を掴んで引き寄せる。
なんだよおっぱい当ててんのか?

「なんだよ…!」
「さっきから失礼だよ!それが原因で同盟破棄されたらどうすんの!?」
「デブにデブっつって何が悪ーんだよ。俺デブ嫌いなんだよ。」
「それがダメなの!!」

デブって要はアレだろ?
自分に甘えた結果だろ?
甘えたツケがそうやって腹に溜まってんだろ?
あ?おっきーはどうなのかって?
デブじゃねーだろボケ殺すぞ
俺はあれくらい肉ついてた方がが1番いいの!!

「そうね。確かに私のマスターはあなた方より超えているけど…よく知りもしないのに他人に自分のマスターをけなされるのは気持ちのいいものでは無いわ。」
「ほら!」

なんだようっせーな…。
俺は同盟結びに来ただけ。アフターケアは多分オーシャンビヨンドから派遣されてきた人とかがなんとかするでしょ。

「そちらの人は?」

ステンノが後ろにいる暮馬と巴御前に興味を向ける。

「俺達はただのお客さんだ。種火が欲しくてやってきた。」
「そう…欲しい気持ちは分かるけど、ただもう少し時間というものを考えて頂戴?」
「あ…そ、そうですよね…申し訳ありません。」

まぁ確かに営業時間外から来られたらたまったもんじゃねーよな。
昨日からわくわくしっぱなしだった巴御前はしゅんとなるが

「じゃ、店が開くまでなんかしますか!」

暮馬はそうではなかった。
待ってましたと言わんばかりに手を叩き、自分の荷物が置いてある所へと向かう。

「なんかって?」
「よく聞いてくれた店長!」

暮馬が何をするのかと不思議に思う店長と呼ばれたデブ。
うん。立場的にこいつはここの店長だろうな。

「て、店長って…。」
「店長、ところでゲームは好きかい?」
「ゲーム…ですか?」

キャリーバックを開け、何やらゴソゴソしだす暮馬。
そこから取り出したのは

「同盟を結ぶ上で親睦を深めるのは不可欠。ということで今からゲームでもしよう!」

まごうことなきゲーム機であった。
朝っぱらからゲーム?
てかゲームで仲良くなるとか小学生かよ。
そう思うやつもいるだろう。
てか現に俺がそうだ。
なんでこいつとゲームやらなきゃならんのだし仲良くせねばならんのだろうか
と、そう思っていた




「あああああああああああ死ぬううううう!!!!」
「まーちゃんがゾロった!!!」

朝っぱらから皆でワイワイ大乱闘すること約2時間。
ハマっちまった。
つい夢中になってやっちまった。

「探偵さんビリだ。じゃあ巴さんと交代で。」
「いや待て!今のはアレだ!コントローラーおかしかった!反応しなかった!!」
「そのような言い訳は通用しませんよ。何せこの前買い換えたばかりですから。さ、巴にコントローラーを!」

他の奴らの巧妙な戦略により4位へと陥れられてしまった俺は渋々巴御前にコントローラーを譲る。
にしても

「お前…中々強いじゃねーか…!」
「ま、まぁどうも…。」

このデブ…中々やるな。

「名前は覚えといてやる…なんだったっけ?」

ゲームに夢中になり過ぎて気付かなかったが、こいつとまともに自己紹介してなかったわ。

白島 陸(しらしま りく)…です。」
「俺は一 誠。この俺を負かすとはゲームの腕は確かみたいだな…。」
(まーちゃんがゾロって自滅してるだけなんだよなぁ…。)

2位とか3位とかその辺りをキープしてるあたりこいつもやり手だ。
まぁ1位争奪戦は熾烈極まるものだけどな。

「さぁ刑部姫様…この巴が参戦したからには1位の独占はさせません!」
「いいよー。奪えるものなら奪ってみるがいい!」

俺を除いた4人で試合が始まる。
もう1人はどこかって?後ろにいるよ。

「やんないんすか?」

と、最初から試合放棄しているステンノに振り向く。

「ええ、結構よ。あまりゲームは得意じゃありませんし。それに…」
「それに?」

笑顔を含んだ顔で見るステンノ。
その視線の先には自らのマスターである陸の姿が。

「マスターの楽しんでる姿を見るのも、充分楽しいわね。」
「へー。」
「ここのところ良くないこと続きというのもありましたから。」
「良くないこと…?」

この種火島、以前までは利用客は大勢いてそれなりに繁盛していたとの事。
しかしある事をキッカケにお客さんはめっきり来なくなった
そのキッカケというのは言うまでもなく…

「もしかして、例の財団絡み…?」
「正解。本当にしつこいのよ。」

葛城財団。
三笠防衛戦以降、奴らが地方に頻繁に現れるようになった話は以前しただろう。
そこがダメなら他ならいいでしょ。そうして財団は東北やら関西やら、ともかく関東を除いた日本全国に出没している。
そのせいで利用客達は襲撃されることを恐れ、遠出もしなくなった。
そしてここも

「この前襲われたの。」
「へぇ…。」

特にこれといった交渉もせず襲撃され、かなり危険な目にあったそうな。
弟くんの件では交渉したり嫌がらせしてたがここではほぼ強奪めいたことするとか…。
ぶっちゃけ、あっちも色々余裕がないっていうワケだな…。

「こうやってお客さんが来るのも本当に久し振りなのよ?ましてや、マスターがあんな顔するのも。」
「あのデ…リクさんって奴がですか。」

4人がゲームで白熱しているのを眺めながら、俺はステンノと話をする。
この島のこと、最近の出来事。

「でも大丈夫ですよ。同盟結べばここにも警備してくれる人とか派遣されて来ると思いますし。」
「あら助かるわね。マスターより役に立つといいのだけれど?」
「なんか言いました?ステンノ様。」

話の中、自分の事を呼ばれたと思ったのかゲーム中の陸とやらがこちらに振り向く。

「いえ、あなたより断然強い人がここを守ってくれるって話をしていたの。」
「そりゃまぁ…自分は確かにそこまで強くはないですけど…。」
「ならせめて壁にでもなりなさいな?その脂肪は飾りかしら?ごめんなさい飾りだったわね…。」

ひでーこと言うもんだなこの人。
さっき笑顔が久しぶりに見れて嬉しいとかどうとか言ってなかったっけ?
あ、あれか。
本人の前だと辛辣になっちゃうタイプね。
ふーん大体わかった。

「くっ…白島様も中々やりますね…!」
「けっこうしぶとい…!」

さて、テレビに視線を移して見れば戦闘も佳境に差し掛かった頃らしい。
終始圧倒的優位であるおっきーに巴御前が挑む。
そんなプロ級の2人がいる中必死にしぶとく生き残っているのが陸。
ちなみに暮馬は死んだ。



それから、朝になりようやく営業時間になると陸は俺達を舟に乗せどこかへと向かう。
これから行くのが、その種火の島だという。
漕ぐこと約20分。
湖の中心に位置するその島にたどり着いた。

「さぁ行きましょう!皆様のお土産の為にも張り切って参ります!!」

島への第1歩を踏み入れるなり張り切りまくる巴御前。

「さぁ刑部姫様も!」
「あ、あーいや姫はちょっと同盟結びに来ただけだから…。」

おっきーも手を引っ張られ連れていかれる。
すると

「いました!本当にいましたよ暮馬さん!!」
「すげぇ!マジだ!!」

草むらからポ〇モンのごとくひょっこり出てきた例の腕。
広げられた掌の上には種火が光っており、全身は銀色だ。

「すげー…ほんとにいるんだ…。」
「なんでここにいるのかも、どうやって増えてどうやって生活してるのかもわからないんだけどね。」

と、営業主もまるで分からない様子。

「前は…お客さんいっぱい来てたんだけどな…。」

はしゃぎっぱなしな巴御前を見ながら、陸はそう呟く。

「アンタの女神様から聞いたよ。財団が来たってな。」
「ああうん…あの時は本当に大変だった。」

デ…じゃない。陸から財団の襲撃の話を聞く。
2人共攫われ、ステンノ様が代表のモノにされかけるもなんとかそれを回避し逆転。
そこのお偉いさんを石にして施設から脱出したものの、そこからはさらに大変だったそうな。
うん。そうだよな。ステンノ様って、あまり戦えないもんな。

「ステンノ様は英霊だけど英雄じゃない。守られるべき偶像だ。多少はやれるけど、やっぱり…。」
「なるほどなぁ…。」

戦えない…というかあまり戦うのが得意ではないサーヴァント。
しかも、アサシンクラス…。

「なんかよく分かるわ…その苦労。」
「え?」

俺も抱えてるよ。戦えないアサシンクラス。
最初に会った時には無双が出来るぜとイキってたら逃げる羽目になったりしたもん。

「俺のサーヴァントも、あんなんだから。」

親指でおっきーを指す。
彼女は何をしているかといえば

「痛い!強い!この腕強い!!まーちゃん助けて!!姫死んじゃう!!まーちゃんの大好きな姫が!腕ごときに殺されちゃう!!助けて!!ねぇ!?聞いてるまーちゃん!?ねぇ!?」

金ピカの腕に囲まれバンバン光の弾撃たれまくってる。
なにあれ…☆5くらいの腕?

「でも…。」
「でも?」
「嫌だとか、辛いとかは思ったことない。言葉にトゲがあったり無理難題を押し付けてきたりもするけどそれも含めてステンノ様だからさ。折角自分のところに来てくれたんだ、だから守らなきゃって思う。」
「…。」

昔のことを、思い出す。
世界が崩壊する前のことだ。
おっきーが強いかどうかを聞いて、全員に叩かれた事を。
そうだな。強いも弱いも関係ない。
あるのは好きかどうかだ。

「で、大事なステンノ様を守るために何かしてんの?」
「うん…走り込みだったり…ケイローン先生に少し優しめの稽古つけてもらったり…。」
「…ほんとに?」
「うん。ほんとに。」
「その身体で?」
「うん。」

脂肪を蓄えてるその腹で言われると説得力もクソもないんだが。

「こう見えても銀種火くらいはなんとか倒せる…と思う。」
「そこは自信持てよ。」

しかし…最初に会った時は早くこのデブとわかれてさっさと家に帰りてーなーと思ったもんだが

「ま"ー"ち"ゃ"ん"!!!!!」
「助けなくていいの?アレ。」
「あー大丈夫大丈夫。おっきー丈夫だから。」

ちゃんと話し合ってみればまぁなんとかなるもんだ。

「巴さん!!草むらは焼くなよ!!」
「分かりました!!ならば宝具にて一掃します!!」
「話聞いてた!?」

まぁ、仲良くなれたのは暮馬とやらが一緒に来てくれたおかげだろう。
やっぱ、仲良くなるための近道は一緒に遊ぶことだな!
遊び方はどうあれ、それだけは子供の頃から変わらねーのさ。

「ねぇ、楽しくお話してるところ悪いのだけど…。」
「はい?」

と、俺と陸が話をしている中彼のサーヴァントであるステンノ様がやってきた。

「アレ…ホントにいいの?」
「」

巴御前も加わり、全員で死にかけのおっきーを救うべく奮闘した。



それから昼を過ぎ、一旦休憩することになり家もとい店舗へと戻ってきた俺達。

「ふふ…これくらいあれば町のサーヴァント達にも充分に分けられますね!」

金色に輝く種火を腕いっぱいに抱えてご満足の巴御前。
対しておっきーは

「なにそれ」
「た…種火…。」

手のひらに申し訳程度に輝く鈍い銅色の種火が数個…。
なんだお前銀種火も狩れねーのかよ。

「そ、それだったらさ、ランタンとか照明に使えるよ。」
「マジで、そんなのにも使えんの?」

慌てて陸がフォローを入れる。
てか種火ってレベル上げ以外にも用途あったのな。
でもまぁそうだな。
これくらいの薄暗い感じの明かりなら…ホテルとかにぴったりじゃね?

「そういえばお昼だねまーちゃん。」
「だな。」
「お腹すいたねー。」

と、お腹をさするおっきー。
お前なんかしたか?
隣の巴御前の成果を見ろよ。
てかなんでサーヴァントなのに腹減るんだよ。

「探偵さんの作るお料理は大変美味と聞いております。巴も是非味わってみたいと!」
「ああそうだよ!この前町にやってきた北斎とその女性のマスターから聞いたんだ!」

おいやめろ、このままじゃ俺が作る流れじゃんよ。
てかなにいらぬ噂流してんだアイツら…。
あと暮馬、言っとくがその北斎のマスターは女じゃないぞ。

「それは一度食べてみたいものね、ねぇマスター。」
「まぁ、はい。」
「おい待てよ俺客だぞ!?なんでわざわざ作らなきゃならねーの!?」

そうだよ。
はるばる遠くから来てんのにどうして料理まで振る舞わなきゃいけないの?
俺出張料理人?ではこの島原産の厳選された高級種火を使って絶品料理を作ってもらおうかな的な?
知るか。種火なんざ某菓子粉砕機で振りかけにして食ってろ。
いやそうじゃない。

「ほらまーちゃん。夜もあるんだよ?」
「夜も作るの俺ェ!?」

俺同盟申請しに来ただけなのに…。

「ああ分かったよ!!作ってやるよ!!期待の眼差しにお答えしてやるよ!!!女神の舌すらうならせてやろうじゃねーの!!」



それから30分後。

「出来ました。」
(嫌がってたけど凝りっぷりがすごいよまーちゃん…。)

話が進まないのでイヤイヤ作った。
陸自体も料理はこなせるらしく、材料はそこそこ揃っていた。
途中彼の助けも借りつつなんとか仕上げ、こうしてテーブルにはたくさんの料理が並べられている。

「これは?」
「クラッカーだよ。チーズなりフルーツなり好きなの乗せて食うの。」

サンドイッチやクラッカー。ホームパーティをやや意識した献立にしてもらった。
そして

「あら、これは?」
「まーちゃんなにこれ?グラタン?」
「しらねーの?ムサカだよ。」

ステンノとおっきーが注目した料理のひとつ、それがムサカだ。
切ったじゃがいもやナスにホワイトソースやらミートソースやらを層にしてオーブンで焼き上げる。
まぁグラタンと似たようなもんだが

「探偵さん、ステンノ様がギリシャ神話出身だからって、ギリシャの料理をプラスしようってなったんだ。」
「あら、粋な計らいね。ありがとう。」

手伝ってくれた陸が代弁してくれる。
ふはは女神様よもっと褒め称えるが良いぞ。

「にしてもお前、手際がいいな。」

途中途中手伝ってくれたコイツだが腕は悪くない。
磨けば光るってやつだ。

「いやまぁ…やっぱりステンノ様を待たせる訳にはいかないから…。」

なるほど、自然に作業が早くなったと。

「同盟に入れば特典としてハインド商会に言っといてやるよ。いい食材くださいってな。」
「いや、さすがにそこまでしなくても…!」
「自分のサーヴァントに美味いもん食ってもらいたいんだろ?なら尚更だ。」

うん、後で真壁さんを通して言ってもらお。



ということで時刻は過ぎて夜。
種火入れ用というクソデカバックをパンッパンにした巴御前。
どう持ち帰ろうと悩んだがどうやらここはアマゾネスドットコムとやらと宅配サービスと提携しているらしく、アマゾネスの皆さんにこの大量の種火を弓張町に送り届けてもらうことになった。

そして俺は

「もしもーし。真壁さーん?」

依頼主である真壁さんに同盟を結んだことの連絡をしようとしていた。
隣にはもちろん、陸がいる。
そしてテレビ電話の通信が繋がると

『ヴィヴ・ラ・フランス!』
「は?」

出てきたのはマリーだった。

「こ、この人が真壁支配人…?」
「いやちげーよ。」

うん。この人は真壁さんじゃない。
どこからどう見てもマリーである。

『こんばんは探偵さん!おっきーは元気かしら?』
『ちょ、ちょっと!マリー!カメラ返しなさい!』
『マリー!真壁さんは今大事な連絡をしようとしてるんだ!!』

天井が映し出されるカメラ、真壁さんの声と広海さんの声と共にドタドタという音。
それから少しして

「はぁ…ごめんなさい。変なところ見せちゃって…。」

肩で息をしながら椅子に座る真壁さん。
なんでも俺から着信が入ったところ、おっきーとお話できると思いマリーが置いてある端末を手に取り勝手に出たそうな。
ちなみにマリーは真壁さんの後ろで手を振ってる。

「うん。オーシャンビヨンドは笑顔の絶えないこんな職場です。」
「…。」

そこ苦笑いすんなよ。

『さて、あなたが種火の島の所有者さんね?』
「はい…白島 陸です。まぁ所有者と言いますか勝手に商売始めたといいますか…。」

さて、気を取り直してマジメな話し合いだ。
いつもの仕事モードに戻る真壁さん。

「私達の目的は打倒葛城財団。そしてその目的達成の為あなたにお願いしたいのは種火の定期供給。その見返りとして、あなたとサーヴァントの安全は約束しましょう。」
「僕なんかが役に立つのなら…助かります…。」

本当に自分がそんな大役を任されていいのだろうか、
そんな事を思ってるんだろうなこいつ。

『それじゃ、同盟成立ね。おそらく明日の夕方には派遣されたサーヴァントが来てくれるはずよ。』
「ありがとうございます。」

後ろでは手を振るマリーを広海さんが連れ戻しつつ、真壁さんは着信を切る。
こうして、俺の依頼は達成された。

「良かったな。今夜は枕を高くしてグッスリ寝られんじゃねーの?」
「安眠は…できなさそうな気もするけどね。」
「あっ(察し)」

後ろでこちらを見ているステンノをチラ見しつつそういう陸。
ああ、今夜搾られるんだなということを察して俺はそれ以上何も言わないことにした。
つらいね。

「じゃ、俺もう寝るわ。」
「え、もう?」

陸にゲームはしないのかと誘われたがここは少しお断りしよう。

「明日の朝も早えーからな。当然、お前にも手伝ってもらうからよ。」

おっきーなら別にいいがここには普通に朝早く起きてくる奴もいる。
しょうがないが俺は食料庫で明日の献立を考えた後一足先に寝させてもらおう。







翌朝。


「探偵さん!!大変だ!!」

陸がバン!と音を立ててドアを開ける。
慌てて飛び起きた俺はベッドから落ちそうになるがなんとか留まる。

「なんだよ朝からうるせーな…。」
「島が…種火の島が大変なんだ!!」
「は?」

家から出て、陸から双眼鏡を受け取り島の方を見る。
するとどうだろうか

「あいつら…!!」

種火の島には何艇ものボートが停泊していた。
そして側面に書かれているのは…

「葛城財団…!」
「モーターの駆動音が聞こえたから外で出てみたらこれだ…あいつら、今度は何を…!」

歯を噛み締める陸。
過去に襲撃されたことがあるとは言ってたな。
そして今回は2度目。そりゃ許せねーよな。

「俺は…ただステンノ様と暮らしてただけなのに。」
「だよなぁ…お前、話聞くからにして誰にも迷惑かけてねーもんな。」

俺がおっきーと引きこもり生活をしたいように、こいつにも夢はある。
ただステンノ様と平和に暮らす。
それが、こいつの夢だろう。

「ああ、それじゃ行こうぜ…!」
「…!」

そうしていると後ろには暮馬が。
さらにおっきーや巴御前、ステンノも続けて家から出てきた。

「ここはリクの家だ。不法侵入の略奪者にはおかえり願おうぜ!リク!」

と、陸に熱く呼びかける暮馬。
なんでこいつ主人公みたいなムーブかましてんの?

「そうだ…ここはステンノ様の家だ!」
「その意気だリク!行こうぜ!ジーッとしてても!」
「…?」
「そこはドーにもならねぇって言うんだよ!」

名前がリクだからって知らない人に特撮ネタふるのやめような!

「ど…ドーにもならねぇ!」

お前もお前でちゃんと言うのな。

「葛城財団がなんだ!俺達3人のマスターにサーヴァントが3騎!負ける気がしねぇ!!」

そういい、暮馬はボートに乗り込む。
目指すは種火の島。
女神様の管理する神聖な島に土足で入り込んだんだ。
その代償は、ものすごく高くつくぜ? 
 

 
後書き
かいせつ

⚫白島 陸(しらしま りく)
種火の島の店長的な人。まーちゃんがタメ語で話してはいるものの年齢は20歳。
太っているものの、見た目に反して動くし人間相手にならそこそこ勝てるかもしれないくらいには戦える。
動けて戦えるデブ。
その秘密はサーヴァントであるステンノによって強化されたものであり、魔力を消費して一時的に己の身体能力を上げることはできる。
ちなみに何故かいくらトレーニングしようが運動しようが一向に痩せない。
何でか分からない。
ちなみにオンライン通信にて過去に刑部姫や巴御前と対戦したことがある。
何度もその2人と戦ううち、知らず知らず腕前を鍛え上げられ、こうして劇中にて2人の猛攻から逃げきることができた。
この話以降、まーちゃんは彼に似たような物を感じ(手のかかるアサシンクラスのサーヴァントを持ってるってだけだけど)仲良くなった。
たまに一緒に狩りゲーしたりする。 
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