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Fate/imMoral foreignerS

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始まりから夏休みまで
  自分の名前を明かす話

 
前書き
こんにちは、クソ作者です。
今回は日常系、街を巡りながら主人公の葛城くんがからかわれる話となります。
そしてついに、明らかとなる主人公の名前…!
それでは本編どうぞ。 

 
翌日。
今日は土曜日なので学校は休み。
というわけで僕は街へと繰り出した。

「へぇ…こいつぁ賑やかだ。」

忙しなく歩いていく人達を珍しそうに眺め、北斎ちゃんは僕の隣を歩いている。
ちなみに北斎ちゃんだが今は僕の服を着せている。
というか、こうやって街に来たのは彼女の服を買うためである。
常日頃から着物を着ていたらそれはもう人の目を引くからだ。

「ナァ、ますたあ殿。これからどこ行くんだい?」
「服屋だよ。北斎ちゃんの服を買いに行くんだ。」

そういい、僕は服屋を目指す。
とはいっても僕はファッションだとか流行りものとかには疎い。
そんなもの、僕には似合わないといつも無難なデザインの服をテキトーに買って済ませてるからだ。
実際、今北斎ちゃんに着せているのも黒のパーカーに黒の半ズボンと地味なものだ。
で、どの女の子の服とかはどれがいいとかわからないのでここは北斎ちゃんに任せることにする。

「北斎ちゃんはさ、どこが」

そう聞こうとした時、腕をぐいと引っ張られた。

「北斎ちゃん?もしかしてとと様のことかい?」

耳元でそう囁く。
そういうわけじゃない。第一ととさまはいるの?

「縛ってたんすにとじこめてある。呼んでくるかい?」

なんてひどいことを…
ってそれより

「よ、呼んだのは…そ、その…北斎ちゃん」
「確かにおれァ葛飾北斎サ。でもますたあ殿には名前で読んで欲しいって言ったんだけどナァ?」
「…。」

昨晩のことを思い出す。
僕は彼女を、北斎ちゃんをなんと呼んだか…。
女の子を名前で呼ぶのは、なんだかとても恥ずかしくて照れくさい。
でもこのままだと話も進まないし、勇気を出すしかないんだろう。

「お…い…ゃん」
「んー?聞こえねぇヨ?」
「…お栄ちゃん!!」

自分でも驚くほど大きな声で呼んでしまう。
はっとなって顔を上げてみれば、周りからは変な目で見られていた。

「なんだい?ますたあ殿。」
「ふ、服…どういうのが、いいかなって…。」
「んー。ますたあ殿はおれにどんなの着てもらいたいんだい?」
「え…?」

予想外の質問だった。

「可愛いのか、それとも綺麗なお召し物か、はたまた露出の多いものか。」
「お、お栄ちゃんに一番似合うやつ!!!」

さっきからこの人はこうだ。
僕をからかって、その反応を楽しんでるんだ。
だってずっとニヤニヤしながら僕の事見てるし。

「と、とりあえずあそこの服屋行こっか?ね!」

これ以上ここで立ち往生しててもまたからかわれるだけなので、急いで服屋へと向かっていく。
その時だ。

「キミ、さっき聞いたけどおえいちゃんっていうの?」
「へーかわいいねー?歳いくつ?」

そんな僕らの行く手を阻むように、チャラい格好をした男2人が現れた。
間違いない、ナンパだ。

「おれになんか用かい?妖怪みてぇな見た目してるだけに。」
「ははっ!面白いねキミ!俺達妖怪?初めて言われたわー。」

と、手を叩きながらゲラゲラ笑うチャラ男2人。
耳や口、鼻といった各部位にはえげつないピアス。
タンクトップから見える首から手にかけての刺青。
確かに江戸時代の人から見れば、それはそれはとても恐ろしい妖怪に見えるだろう。

「でさでさ、俺達と遊ばない?」

ほら、やっぱりナンパだ。
とはいってもこれが初めてじゃない。
実は家を出てから電車に乗り、こうして街に着くまでけっこうお栄ちゃんはナンパされた。
すごくかわいいのは分かる。うん。

「遊ばねぇ。」

そしてお栄ちゃんはキッパリと断った。

「え?なんでなんで?俺めっちゃいいとこ知ってるよ?」
「見た目が気持ち悪ぃ。」
「えーまじ?うっわ超傷つくんですケド…。」

と、わざとらしいオーバーなリアクションで落ち込むチャラ男。
しかし彼らもあきらめない。余程お栄ちゃんが気に入ったんだろう。

「でもさ、騙されたと思って付き合おーよ。」
「いやだ。」
「やべーから。まじやべーからほんと」
「主語がねぇからやだ。」
「そこのつまんねー奴とは比べ物になんねーよ?」
「…あ?」

お栄ちゃんの、態度が変わった。
ドスの効いた声で、チャラ男達に聞き返す。

「今、なんて言った?」
「だ、だからそこの隣にいるつまんねーや」
「ふんっ!!」

つまんねー奴とは、僕のことだろう。
僕がそう言われたことを理解するとお栄ちゃんは、男の股間を蹴り上げた。

「ぐっほぉ!!」
「ますたあ殿がつまんねぇ男だァ?」
「わ、悪かった!!悪かったって!!」

股間を抑えながら踞る男、
そいつとお栄ちゃんを交互に見ながら慌てる仲間。

「今なら玉潰しだけで勘弁してやる。おれの気が変わらねぇ内にとっとと消えナ!!」
「は、はいぃ!!」

と、仲間は男の肩を組み、慌てるように逃げていった。

「ったく、根性のねぇ…。」

ポケットに手を突っ込み、情けなく逃げていく2人を見ながらお栄ちゃんはそう吐き捨てた、

「んじゃ行こうかますたあ殿。綺麗な服を探しに行こう。」



それから服屋にて

「お客様、どういったものをお探しでしょうか?」
「あ、いやその…えーと…。」

はっきり言って入るお店を間違えた。
僕とお栄ちゃんが入ったのは店員さんが話しかけてくるタイプの服屋さん。
当然、人と話すことが苦手な陰キャの僕は話しかけられればテンパるわけである。

「おれに似合うモン、見繕ってくれヨ。」
「かしこまりました。ではこちらはいかがでしょうか?」

お栄ちゃんがなんとか対応してくれた、
するとお栄ちゃんは何枚かの服を持って店員さんと共に試着室へ…。
待って、ひとりにしないで…!

「お客様、何かお探しですか?」
「あ、いえ…その…。」

こうなるから。


それから数十分後…。

「遅いなぁ。」

女の子の着替えというのはよくわからないけど、多分すごく時間がかかるものなんだろう。
でも、長くない?

とりあえず僕は話しかけられないよう、店員さんのいないところへ行ったりしてなんとか難を逃れている。
そして逃げ続けている時、ちょうど角を曲がった時だ。

「あいた!」

向こうから走ってきた人とぶつかってしまった。

「いったぁ…。」

思わず尻もちをつく僕、
するとすぐに手を差し伸べられ

「大丈夫?ごめんね?」

顔を上げれば女性がいた、
そうか、この人がぶつかって来たのか。

「ご、ごめんなさい。」
「なんで謝るのさ、謝るのはぶつかっちゃったボクの方だよ。」

と、この辺りでは珍しいピンク色の髪をした女性は僕の手を取り、楽々と引っ張って起こす。
見た目の割にはすごい力だった。

「…。」
「…え、なんですか?」

僕を起こすと、女性は何やら僕をじーっと見つめる。
にしてもこの子…どこかで見たことあるような…。

「あ、あの…あなた…」
「あ、ごめんねボーッとしてて。一瞬キミが男か女か分かんなくってさ!」
「あ、男…です。よく間違えられます…。」

後ろでまとめられたピンクの髪、覗く八重歯。
どこかであった訳じゃない。
ただ僕は…この子を何かで見たことがある気がする…。

「うーんそっか。じゃあキミとボクは仲間だ!」
「な、仲間…どうして?」
「ボクも男なんだけどよく間違えられるんだよね!」

え…?
男?
どこからどう見ても…女の子なのに…?

「触ってみる?ほら!」
「え…。」

そういって手を引っ張られ、股間に無理矢理触らせる。
傍から見ればこの人、変質者だ、

「ほ、ほんと…だ…。」
「キミも…男の子だね!」
「っ!!」

お返しだと言わんばかりに彼も僕の股間を触る。
なんだこれ
なんだこれ…?

「これでおあいこ!」

触らせたのはそっちなのに…。

「じゃあマスターが呼んでるからそろそろ行かなくちゃ!またね!」
「え…。」

といい、どこかへと走り去る女みたいな男の子。
え、待って。
今あの子…マスターって…。

「なーにぼーっとしてんだい?」
「わっ!?」

と、入れ替わりに後ろからお栄ちゃんがやってきた。
振り向くと着替えを終えた彼女の晴れやかな姿。

「着替え…終わったんだ。」
「もちろん。どうだい?ますたあ殿から見てこの服は似合ってるかい?」

くるりと一回転し、僕にその服を見せつけるお栄ちゃん。
偶然にも英霊旅装のそれに似ており、既視感と妙な新鮮さを併せ持ったファッションだった。

「うん…すごく似合ってる…と思う。」
「なんだいその曖昧な返事は?さてはアレだな?昨日のことが忘れられねぇってワケだ?」

ずいと肩を引き寄せられ、耳に息を吹きかけられる。

「え、ちょ…お栄ちゃん!」
「ボーッとしてたのも…昨日の余韻に浸ってたのかい?」
「ち、違…」
「気持ちよさそうによがってたもんナァ?ケツの穴いじられて、女の子みてぇにあんあん喘いで…。」

耳元で甘く囁かれ、僕は嫌でも昨日のことを思い出させられる。

「可愛かったヨ?お栄ちゃん、もっとお尻いじめてよぉ♡とか、だめだめだめぇ♡ぼくおかしくなっちゃうぅ♡とか、ああ…また見たくなってきた。」

わざとらしく真似て、僕の羞恥心を煽る。
恥ずかしい…あの時の僕は…なんだかおかしかったんだ。
そう、昨晩の僕は僕じゃない!お尻で気持ちよくなるなんてありえないじゃないか!

「と、とりあえず早く買って次行くよ!!」
「なんでい、冷てぇナ。」

下半身に熱がたまる感覚を覚え、僕は慌ててレジへと歩いていく。
ちなみに服はすごく高かった。
お栄ちゃん、たくさん買ってた、



それから

「ぼ、僕の…名前?」

喫茶店へと場所を移し、昼食をとっていたときのことだ。

「そう、ますたあ殿の名前が知りてぇ。」

お栄ちゃんがいきなりそんなことを切り出してきた。

「し、知ったって…いいことないよ。」
「いいじゃないか減るもんでもあるまいし。それにますたあ殿って呼ぶと周りが変な目で見てくるからヨ。」

確かに、こういった街中でますたあ殿と呼ばれるのはちょっとあれか…。
でも…。

「葛城…。」
「それは苗字だろ。」
「…。」

名前は…出来れば教えたくない。
大嫌いな親から貰ったもので、大嫌いな名前。
これが原因でいじめられたこともあるし、僕のコンプレックスを助長させる最低な名前だ。
その名前が

「…舞。」
「え?」
「舞!葛城舞!舞い踊るの舞だよ!」

葛城舞。
やけくそ気味に答えたその女の子らしい名前は、より僕を男らしさから遠ざける。

「ぷ…くくっ…。」

ほら笑ってる。

「ま、舞だって?ますます女の子じゃないか…!」

まだお腹の中にいる頃、検査もして次に生まれる子は女の子ですよと医者に断言までされた。
というわけで両親は名前を考え、舞妓のように美しく、また舞い踊るように華麗に綺麗に生きて欲しいとの意味を込めて"舞"と命名したのだ。
がしかし、そんな期待を裏切って生まれたのがこの僕だ。
そしてあろうことか両親は、僕にそのまま舞という名前を名付けたのだ。
もう少し考えてくれても良かったのに。

「舞…まい…マイねぇ…良い名前サ。」

確認するよう何度も僕の名前を呟く。
それに良い名前だなんて恥ずかしいからやめて欲しい。

「というわけで改めてよろしくナ!マイ!」
「は、はい…。」

友達も僕のことを気遣ってくれて、名前で呼んだりはしない。
しかしこのお栄ちゃんはなんてことないかのように、僕を名前で呼んだ。

「なーに俯いてんだい?」
「だ、だって…この名前すごく恥ずかしくて…。」
「なぁ、マイ…。」

何を言うんだろうと思い顔を上げると、そこには

「うわぁ!!なにしてるの!?」

パーカーの前をはだけさせ、胸を見せるお栄ちゃんが。

「おっぱいちゃれんじ、流行ってるんだろ?」
「知らないよそんなの!気づかれる前にしまってってば!!」
「おおその慌てっぷり…見てて思わず笑顔になる。」

僕をからかって彼女はにんまりと笑う。

「次はマイがちんちんでも出してみるかい?」
「だ…出さないよ!!そんなの変態だよ!」
「じゃあ名前で呼ばれるのとこの場でちんちん出すの、どっちが恥ずかしい?」

そんなこと言われたら、圧倒的に後者の方が恥ずかしいに決まってる。
だから

「な、名前で呼ばれる方が…マシです。」
「じゃあ決まりだ!マイ!今日からますたあ殿じゃなくマイって呼ばせてもらう。それでいいよナ?」

名前で呼ばせることを強引に選ばせ、こうして僕は恥ずかしい名前でお栄ちゃんに呼ばれることとなった。

「なぁマイ、次はどこにいく?」
「ど、どこって…その…。」
「まぁいい、実は行ってみたいところがあってナ!ちょいと付き合っとくれ!」
「え、ちょ!ど、どこ行くのさ!ねえ!!」

と、お栄ちゃんに引っ張られ喫茶店を後にする。
支払いはもちろんちゃんと済ませたから安心して欲しい。

「…。」

そんな僕らの一部始終を、隅っこのテーブルからずっと見ている人がいた。

「あいつ…やっぱ葛城だよな…。」

スマホの録画モードを解除し、素早く懐にしまう。

「こ、これを見せれば…俺もやっと…!」

録画したデータを確認し、その男は歪んだ笑みを浮かべる。

「パシリ人生も終わって…やっと普通の学生生活が送れる…!」

震える手。
そして彼は明後日に控える登校日を、心待ちにするのであった 
 

 
後書き
登場人物紹介
⚫葛城 舞(かつらぎ まい)
この物語の主人公。
名前、見た目のせいで女の子と間違われるのがコンプレックスの16歳。
今はアパートにて一人暮らしをしているが以前は普通に家族と暮らしていたもよう。
だが相当厳しい家庭だったらしく、勉強の出来ない彼は兄と違ってかなり冷遇されていた様子。
そうやって厳しい家庭で育てられたせいか、性癖はかなり歪んでる。
メスイキに興味津々だし、いじめられたい願望だってある。
スマホであれこれ調べ回ったが、今までやる勇気がなく躊躇していたがお栄ちゃんのおかげで無事メスイキデビュー。
彼女と出会って2日で童貞と処女を失うこととなった。
性格は大人しい。悪くいえば暗い。
好きな物は野菜全般と秘密だがもうひとつある
嫌いなものは肉類、そしてよく自分と比べられた兄。
彼の過去がどういったものなのかは、物語が進んでいく中で明かしていく予定。

⚫葛飾北斎(かつしか ほくさい)
の娘、葛飾応為。お栄ちゃん。
ずっと前からマスターに会いたいと願っていたらしく、ついにその夢が叶った。
しかし何故ゲームの世界から現実世界に来れたのかは一切不明。
こちらに来る前、何かしらの手段をもってマスターのことをよく知るべく、彼のスマホの履歴などを見た。
そのせいか彼女自身も性癖が歪み、マスターの歪んだ欲望を満たすべくドSでドスケベなサーヴァントへと変貌してしまった。
頭の中はマスターの事ばかり、
お尻をいじめたい、今度乳首を開発してやろう、女装させて街中を練り歩かせたい、犬みたいに扱ってやろうなど、見事に歪んでいる。



 
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