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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
最終章へと向かうその前に…
  キュア☆おっきーR/水着ジェネレーションFOREVER

 
前書き
⚫とある取材記録

ついこの前のことだ。
姫路町とかいう町をブラついていたらいきなりサーヴァントが目の前に立ち塞がってな。
そう、名前は宮本武蔵だ。あの二刀流で有名な侍。
あいつって女だったっけ?まぁそんなことはどうでもいい。
僕を見るなり「噂に聞いた鬼一法眼!宮本武蔵がここに決闘を申し込む!」といきなり言われたよ。
どういった噂かは知らないがテキトーに流しておこうかと思いきや彼女の目、本気だったよ。
どうやらそこまで僕と勝負がしたいみたいだった。
決闘?もちろん受けてあげたよ。
にしてもすごいものだ。
彼女、闘いが始まるなり真っ直ぐに僕の首を狙ってきたからね。
凄まじい気迫だったしさすがの僕も「あ、これ本気出さないとマズいやつだな」って思ったよ。
あの目は何か信念のある目だった。
何かを成し遂げようとしている、純粋で真っ直ぐな瞳だ。
その先に何があるのかは僕の知った話ではないが、ともかく武蔵は強かったよ。
まぁ、負けちゃったんだけどね。
すると武蔵、なんて言ったと思う?
両手を合わせてお願いしたんだ。
「一日…いや半日だけでもいいんです!勝者の特権としてあなたの持つ"打出の小槌"を貸して下さい!」だってさ。
思わず笑っちゃったよ。
いきなり決闘を申し込んで何事かと思えば、まさか打出の小槌を貸して欲しいだなんてね!
ああ、勿論貸したよ。その後ちゃんと返してくれたし。
ただその…なんだろう。
打出の小槌を貰った時の武蔵の目…怖かった。
まさか僕が恐ろしいと思うものがこの世界に存在するとは思わなかったよ。
悪いことに使わなければいいが…。

源 葵著
英霊取材『鬼一法眼』より抜粋。 

 
「ふむ…これは…あいつのパソコンだな。」

数日後のこと。
陸からもらった例のパソコンを三笠にいる子安さんに見せに行ったところ、どうやら心当たりのある人物だったらしい。

「あいつって誰すか?」
「聞いて得になるような奴でもないよ。ただ言えるとすれば、代表のセックスに混ざりたいとかほざいてたマニアックなクソ女だ。」
「えぇ…。」

自分よりかは美人だったよと追加する子安さん。
成程…見た目完璧だけど性癖アレみたいなね。
ってか代表…あのクソデブとセックスしたいなんてどういう事だよ。
強めの幻覚でも見てんのかそいつ…。
ちなみにその女、今では物言わぬ石になってるそうだ。つまりはあの丹下と同じ運命を辿った。

「どうせあいつの事だ。パスワードはmy load renでどうだ?…ほぅらビンゴだ。」

起動し、難問であったパスワードをサクッと解くと子安さんはデータフォルダやメールなどを覗いていく。

「ふぅん…うん。なるほど…。」

データにおさめられた資料、送ろうとしていたメール。
そして、彼女の本拠地であり以前陸とステンノが拉致された支部では何が行われていたのか、
そこには事細かに書かれていた。
しかし

「場所は…わからないな。」

肝心の本部の場所までは突き止められなかった。

「だが任せろ。何としてでも尻尾を掴んでやる。給料も未払いなんだ…クソ財団め。逃がすものかよ。」
「婚期は逃したがな。」
「アンタは黙って本でも書いてろ。」

と、子安さんを後ろから見ていたアンデルセンがそう小言を言うも、子安さんはいつもの調子で返す。
仲が悪いわけじゃない。これが2人のスキンシップだ。

「っと言うわけで探偵さん。ここは任せておけ。結果が出たら連絡するよ。」

そういい、子安さんは棒付き飴を咥えパソコンとにらめっこし始める。
「ククク…見てろよ私を見下しやがったクソ野郎共。お高く止まりやがって…今すぐ恐怖のどん底に引きずり下ろしてやるからな」と言いながら作業を再開。
どうやらここに俺の出る幕はなさそうなので言われた通りにすることにした。

というものの、本来の目的は三笠にパソコンを届けに来たわけではない。

「あ、終わった?」

甲板に出ると待っていたおっきーが振り返ってお出迎えする。

「結果が出るまで待てってさ。」

本来の目的とはそう、いつかやろうと企画していた

「じゃあやるか。クワトロデート。」

彼女の他に待っていた人達。
カマホモ野郎と北斎。葵と紫式部。そして大和と武蔵。
そう、四組の同時デート。
すなわちクワトロデートを実行することだ。





「はーいとうちゃーく!」

それから横須賀にいた俺達は数分程で東京へと移動。
これもカマホモ野郎のなんかスゲー能力のおかげだ。
ほら、絵に描いたモノを実体化させるとかそういうの。
それでヒポグリフを何匹か描いたんだよ。

でだ、

「お前それはなんだよ。」
「あ、これ?」

いつもなら着物を着ているカマホモ野郎、舞だが今回はセーラー服…というか水兵の服を着ていた。

「舞マリーンズ。」
「なんだそれは。」
「ネモマリーンズの服が可愛かったから僕流にアレンジして作ってみたんだ。それにお栄ちゃんも着たことあるみたいだし!」
「おれそいつ着たのかい?」

と、ニッコニコの舞。
北斎も着た事あるってのは…まぁあれは着たというか皮を纏ったというか。
それと

「お前はお前でなんだそれは。」
「右に同じTシャツだ。」

大和も大和でおかしい。
革ジャンを羽織り、その下の黒いTシャツには右方向の矢印と『右に同じ』の文字が。

「隣町の暮馬という男から貰ってな。それと親しみやすくなるTシャツも」
「もういい、もういい。」

他にもカバンから『親しみやすさ』と書かれたTシャツやら『2枚目気取りの3枚目』やら変な文字Tが出てくるもんだからやめさせた。
今日から変なTシャツヤローって呼ぶぞコラ。
あ、もしかして今の武蔵の格好も文字T(駆け付け三杯のやつ)だから合わせたのか?いや、違うわな。

さて、マスターの余所行き服お披露目ショーはまだ続く。

「お前はどうした?」
「違う、コレはあたしの意思じゃない。」

黒と青を貴重にしたふりっふりのゴスロリ衣装を着せられた葵が睨みながら抗議する。

「葵様、普段は男のような格好をなさるので…こういった時だけはうんとおめかしして差し上げようかと…。」
「後で覚えてろよ絶対…!」

なるほど、自分のドレスと合わせたんだなと思ったが今の紫式部の格好はフツーの私服っぽいやつ。英霊紀行のアレだよ、アレ。

「大変よくお似合いです。葵様。」
「うるさい!こんなの図書館以外じゃ絶対に着たくなかったのにさァ!!」

図書館ならいいのか…。

「ねぇまーちゃん。」
「あ?」

と、そんな彼らの着飾った姿を見ていたら肩をトントンと叩かれる。
振り返ればおっきーがそこにいたわけだが

「なんかないの?」
「なんかってなんだよ。」
「コレ。」

と、自分の服装を見せつけるおっきー。
デートだからと張り切ってきたんだろうな。女子高生をイメージしたような服を着ており、何か褒めるところはないのかと問い詰めてきた。
要はこいつもまた英霊紀行のアレだ。

「ねーよ。」
「ない!?こんなに頑張ったのに!?」

いいと思うよ制服。
かわいいし。普段のひきこもりからは考えられねーよ。
メガネも普段と違うね。いくつ持ってんのお前。
マリーと広海さんと会った時のあの服も良かったけどそれもそれでいいわ。俺は可愛いと思う。
嗚呼…高校の修学旅行…お前と一緒に姫路城見に行きたいだけの人生だったわ
って、心の中に思いとどめとくだけで絶対に口に出して言わねーけど。

と、彼は心の中で密かに思うのだった…。】

(泰山解説祭(式部パイセンのやつ)で丸見えなんだよなぁ…。)

「ったく…どいつもこいつも余所行き服でキメて来やがって…。
こういう時こそ普段通りの格好だろーがよ。」
「それまーちゃんが言う?」
「どういうことだよ。」

ネクタイを締め直し、オールバックの髪をかきあげて帽子をかぶる普段通りの俺はなんてこと気にせずスタスタと歩く。

「何その白いスーツ!?髪型もきめちゃってさ!まーちゃんが一番気合い入ってるでしょ!?」
「私服だよ私服。」
「姫初めて見たよ!?」

うっせーよお前の目は節穴か。

「それじゃ、まずどこ行く?」

うるさいおっきーと肩を組み武蔵がこの後どうするかを尋ねる。

「行きたいとことかは?」
「まずは腹ごしらえかしら?」

即答だな!
あ、お前の隣のマスターもTシャツ広げて『右に同じだ』ってアピールしてるよ。



デートをするならば、どこで食事をとるだろうか?
高級フレンチだとか、オシャレな喫茶店だとか、普段行かないようなところに行ったりするのがお約束だろう。
だが、

「じゃあ俺はすだちうどんにしよう。」
「僕かぼちゃの天ぷら付けてください!」

俺達が行ったのはうどん屋だ。
なんかどこにでもありそうなチェーン店の何の変哲もないただのうどん屋だ。

「どうすっかな…。」
「まーちゃん何でカレーうどんなんて頼んだの!?今何着てるか分かってる!?」

しかし今純白のスーツを着ているのにも関わらずついうっかりカレーうどんを頼むという大失敗をしてしまった。

「スキあり!海老天もーらい!」
「ああ武蔵ちゃんとらないでぇ!!」
「常在戦場。隙を見せる刑部姫が悪いのです!」

そう言い、おっきーから取り上げた海老天をパクつく武蔵。
それを見かねた大和はやれやれという感じで

「武蔵が悪いな。ほら。」
「え、いいの…?」

自分のうどんに乗っかった海老天を譲ったのだった。

「…葵様。」
「…。」

そして別のペアではしたくもない格好をさせられ、ご機嫌斜めで頬杖をついている葵を慰める紫式部が

「分かる?道行く人達から視線が突き刺さんの。辛いの。」

だろうな。
1人だけゴスロリだもん。
100人いたら半数は振り向くわ。

「それは…本当に申し訳なく…私もつい張り切ってしまい…。」
「…してよ。」
「…はい?」
「キスしてよ。いつも仕事終わりにするみたいなヤツ。じゃないと機嫌直してやんない。」

なんだこのレズは。
ここうどん屋だぞ。百合の花を咲き乱らせるんじゃねーよ。




それからレジャー施設を訪れたりなどまぁデートとしてはベターなところを8人というそこそこの人数で訪れたりする。

「っらぁ!!」

最初にやってきたのはまさかのバッティングセンター。
よしここはいいとこ見せてやるぜと意気込んだが

「シャオラァ!!」
「まーちゃん空振り!全部空振りだよ!!」

バットが球に当たってくんねぇ!!
舞もまるでダメ。大和はいいとこ言ってたが弾速が速くなるとやはり空振りが多くなる。
そんな中

「よし…っ!」
「へぇ…中々やるわね葵ちゃん。何か部活してた?」
「ソフトボールを…助っ人で!!あとちゃんはいらない!」

未だに球を打ち続けるのは葵と武蔵の二人。
2人とも一切空振りすることなくヒットさせまくっているわけだ。
そういや聞いたことある。
あの葵、化け物じみた運動神経のおかげで学生時代は色んな部活に助っ人として呼ばれたとかなんとか。
まぁ本人は帰宅部で帰ってさっさと本を読みたかったらしいけど。

「もしかして、さっきあんなキスしたから漲ってるって、ワケ!」
「そう、かもね!!」

豪快にホームラン級のヒットを決める両者。
いつの間にかどちらが多く打てるかの戦いになっており、気が付けば早期リタイア組の俺達も夢中になって見ていた。

「武蔵ちゃんもしてみれば?滅茶苦茶打てるかも、よっ!」
「えっ…!?」

激しく動揺する武蔵。
そしてぼすっ、と網に当たるボール。
外した。精神的動揺で揺さぶられ、見事にボールをスルーした。
ちなみにうどん屋でやった葵と紫式部のキスだが、それはそれはもうすごかったよ。レズってすごいね。
いやー見てる俺もドキドキしちゃったよ。

とまぁ、他にもバスケだったりテニスだったりボーリングだったりとみんなで楽しくワイワイやったが、基本的には葵無双ではあった。
何あいつ…場合によっちゃサーヴァントよりやべーんだけど。

「強い…強過ぎる…!何者なの葵ちゃん…!」
「まぁ運動神経は良かったとだけ。あとちゃんはいらない。」

さらにはクッソハードなエクストリームスポーツをこなすなどまさに化け物。
俺やおっきーは不参加。大和は頑張るものの結局最後は武蔵VS葵の決戦となるのがお約束であった。

「葵ちゃんすごいね。」
「ええ、葵様はすごいので。」

と、自慢げに胸を張る式部さん。

「…まーちゃん。」
「なんだよ。」
「…いいとこないね。」
「…。」

と、自信なさげに呟くおっきー。




「ふー。遊んだ遊んだー!」

デートを満喫しまくり、日も暮れかけた頃。
気ままに東京をブラつきつつ、今夜はどこに泊まろうかなぁと考えていた時だ。

「お。」

見かけたのはあのイルカショーの会場、シルク・ドゥ・ルカン。
懐かしいなぁ…あの時のことがだいぶ昔のように感じられるぜ…。

「そういやあたし達…ここら辺で会ったんだっけ。」
「確か…そうらしいな。」

大和、舞は不在だったが確かにここで俺達は会っている。
ドンパチしてた武蔵。追手から逃げていた北斎。取材をしていた紫式部と葵。
そしてデー…慰安旅行してた俺とおっきー。
これもまた、昔のように感じられる。

「あの時会わなきゃ、おれァマイと会えなかったわけだしナ。」
「うん。だから探偵さんにはすごく感謝してる。」

礼ならいらねーよ。
ただどうしてもしたいのなら気持ちじゃなくモノで示して欲しいなー。
金とか金とか金とか。

「んじゃせっかくだし、"寄ってみるか"。」

話を戻そう。
このシルク・ドゥ・ルカンだがデートスポットとしてはよく名前が挙げられるほど有名な場所だ。
折角今デートしてんだ。今回は客として行こう。

「大丈夫なの?」
「時間的に…多分最後の公演だろうな。まぁ間に合ってよかった。」

会場前のスケジュール表を確認してみれば今日最後のショーが間もなく開始されるとの事。
多少混んでるがなに、依頼解決の事もあるし俺の顔見れば係員さんも弟くんに伝えていくらか優遇してくれるだろう。

と、そう思った時だ。
ピー!という甲高いホイッスルの音が響き、どこからともなく彼女が現れる。

「そこのあなた!ちょっと待ってください!!」
「え、私?」
「何か危険な気配がしたかと思えばやはり…!今入ろうとしましたね!?"出禁の武蔵さん"!」

先程も言ったように武蔵はここで軍神、長尾景虎と暴れ厳重注意を受け、シルク・ドゥ・ルカンを出禁になったのだ。
入ってないのにね。

「い、いや、大丈夫大丈夫。今回私戦わないから…!」
「大丈夫?あなたのような危険人物を会場内に入れて、弟くんに何かあったらどうするんですか!?」

その厳重注意をした人物とはそう、
下手すればイルカショーのイルカより注目され、ここのオーナーの姉を名乗るやべーサーヴァント。

「あ、お久しぶりですキュア☆おっきー!もしかしてまたショーに出てくれる気になってくれたんですか!!」
「やだ!!!!!姫絶対やだ!!!」

純白清楚お姉ちゃん水着、ジャンヌ・ダルク(鮫)である。
ところでだ、

「あのーお姉さん。」
「どうしたんです探偵さん。」
「その出禁の武蔵の件なんですがその…。」

いつかの鍋パの際、武蔵はイルカショーには行けないという話は聞いていた。
まぁその日のため弟くんに連絡し、何とか出来ないかともちかけたのだが、

「ああ、その件は弟くんからもちろん聞いてますよ。でもここはお姉ちゃんの判断で出禁は解除しないことになりました。」
「マジですか。」
「はい、マジです。しかし探偵さんからの頼みだったので弟くんも中々引き下がりませんでしたね。なのでビーム撃ってちょっと意地悪したら可愛い声で鳴いてお姉ちゃんの言うことなら聞くよと言ってくれました。」
「えぇ…。」

武力で黙らせたようなモンじゃねーか。

「ちょっと意地悪って…何したんだろう。」
「ん?おれもマイにしてやろうかい?"ちょっと意地悪"ってやつを♡」

そこ、おっ始めんな。

「他の人はともかく、出禁の武蔵さんは入れられません!お引き取り下さい!!」
「いやそこをなんとか!」
「弟くんの友達のお願いでもそれだけは聞けません!いきなり弟くんが斬り掛かられたらどう責任取るんですか!?」

いやアンタは武蔵をなんだと思ってるんだ。

「頼む、俺からもだ。」

そういい、俺の隣で頭を下げたのは大和。

「折角のデートなんだ。2人でイイ雰囲気になってもっと距離を縮めたいんだ。武蔵は絶対に暴れない。それはマスターの俺が約束する。」
「大和くん…!」

さらに恥を捨て土下座まで決め込もうとする始末。
こいつ時としてとんでもねー事やらかすんだよな。

「ど、土下座しても許しませんよ!」

ここまでしても一切譲らないジャンヌ。
だが、ここでついに救世主が現れる。

「探偵さん…?」

帰ってこないジャンヌを不審に思ったんだろう。
会場の出入口からやってきたのはこのシルク・ドゥ・ルカンのオーナー、そしてお姉ちゃんの弟、弟くんだ。

「お、久し振り弟くん。」
「弟くんじゃないってば。で、どうしたの?」

いつもの受け答えをし、ここで起きてる事態をかるーく彼に説明した。
すると、

「うん。いいよ。」
「いいんだ。」

アッサリ了承してくれた。

「弟くん!?正気ですか!?」
「だって、本人はもう二度としないって言ってるしマスターだって頭を下げてる。それで帰しちゃうのも可哀想だと思って。」

ありがとう弟くん…。

「恩に着る、弟くん。」
「顔を上げて武蔵マスターさん。あと僕は弟くんじゃないって。」

そう言われ、大和はすっと立ち上がった。
しかし弟くんが許してもお姉ちゃんはやはり許さない。

「ぐぬぬ…お姉ちゃんの言うことを聞かないんですね!悪い弟くんはこうですよ!!」

そういって取り出したのは棒状の何か。
あ、アレ録音機じゃん。
それを見るなり顔色を変える弟くん。

「いや!待って!それだけは!」
「言う事聞かないなら弟くんの可愛い声をみんなにお聞かせしちゃいます!いいですね!!」
「待って!」

録音機を奪おうとする弟くん。
しかしお姉ちゃんはそれをかわし、再生ボタンを押そうとしている。
やめろよ可哀想だろ。
こんなところで流したら弟くん外歩けなくなるぞ。

「いわゆる言質ってヤツだナ。おれもよくやる。」
「うん。いっぱい撮られた。嫌だったけど気持ちよかった。」

お前らアブノーマルコンビは黙ってろ。

「にしても埒があかねぇ。どれ、ここは一つおれに任せナ。」

しかしここでアブノーマルコンビの片割れが動き出す。
にんまりと笑いジャンヌの肩をとんとんと叩いた。

「…?なんです?」
「ちょいと耳貸しとくんな。」

何やら耳打ちする北斎。
一体何をすると言うのか…

「…。」
「…えっ、」
「…。」
「そんな…弟くんで…!?」
「…。」
「あんなことそんなことも…!?」

「ねぇ何話してんの怖いんだけど!!!!」

弟くんをチラチラ見ながら話す二人。
まぁ弟くんからしてみれば怖いことこの上ないよね。

「ええ、仕方がありません。今回は特別といたしましょう。"出禁の武蔵さん"」
「なんとかなった…!?」

北斎の謎の内緒話を終え、ジャンヌは何故か武蔵が会場内に入ることを許してくれた。
その後、舞が北斎に何の話したのと聞いてみたが彼女はただ、人差し指を口に当て「内緒だヨ。こいつァ極秘の仕事だからナ。」とだけ言っていた。





「すごかったねイルカショー!今度ゴッホちゃんも連れて見に行きたいなー!」

それから、
イルカショーを見て、近くのホテルに泊まった俺達四人と四騎。
子安さんからはまだ連絡は来ないし、もうちょっとデートを満喫するのもいいだろう。
でだ、

「相談?」
「そう…ちょっとした要望なんだけどさ。」

弟くんに相談があるとロビーに呼び出された俺。
そして渡されたのはいくつもの手紙だった。

「なんだよこれ。」
「ともかく読んでみて。」

内容はまぁシルク・ドゥ・ルカンのファンレターだ。
ショー楽しかったですとか、ジャンヌが可愛かったですとかそういった物だが弟くんが俺に渡してきたファンレターの内容は

『キュア☆おっきーは復活しないんですか?ずっと待ってます。』
『5歳になる息子が病気なんです!キュア☆おっきーを見ないと死ぬ病で今月以内に見ないと息子は…もう…!』
『ジャンヌもいいがキュア☆おっきーがまた見たい。あのややだらしねぇ腹が魅力的なんじゃ。』
『あなたをなんか色んな罪で訴えます!理由は勿論、お分かりですね?あなたがキュア☆おっきーを登場させ私の性癖を歪めておきながら、中々再登場させないからです!!覚悟の準備を』

全てがキュア☆おっきーに関する手紙であった。

「まだまだあるんだけどこんな感じで…リクエストが絶えないんだよね。」

弟くんいわく、これはほんの一部でありまだまだあるのだと言う。
そして彼はそんな熱心なお客さんのリクエストに応えるべく、俺に相談を持ちかけてきたわけだが…。

「でもさ…あいつもう二度と出ねーって。」

水着になるにあたっておっきーは全身が筋肉痛になるという莫大なデメリットがある。
本人はそれを嫌がり、水着にはなりたくないのでもう二度とショーには出るもんかと決めているのだ。

「なんとかならないかな…?」
「ダメもとでやってみるけどさ…まぁ期待はするな。」

難しいだろうな。
どれくらい難しいかと言えば、魚が二足歩行始めるくらいには難しい。
まぁつまり、不可能ってことだ。

「いいや待てよ…?」

いや、思いついた。
これは案外不可能じゃないかもだ。

「分かった、約束しよう。客のリクエストには答えて見せよう。そして宣伝してくれ弟くん。明後日のショーでキュア☆おっきーは"必ず出ます"ってな。」

 
 

 
後書き
ほとんど四人四騎で楽しくデートするお話でした。タイトル詐欺もいいとこです。
気になる方もいると思いますが、この4人のマスター、運動神経がいい順に並べますと

1葵ちゃん
2舞くん
3大和くん
4まーちゃん

となります
ちなみにもし四人のマスターが戦えば

1大和くん
2葵ちゃん
3舞くん
4まーちゃん

となります。
ちなみに能力無しのステゴロの場合、葵ちゃんがブッチギリ1位となります。
すごいね。

いつか四人のプロフィールをまとめたものを作ろうと思いますのでしばらく待っててください。
え、何のために作るのかって?
コラボ用だよ!! 
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