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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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最終章『ふたりで…』
  代・表・滅・殺(下)

 
前書き
さぁいくぞ!!殺戮だ!!!
溜まった鬱憤をここで晴らすぞ!!! 

 
「おう、迎えが来ちょる。」
「だな…やはりあの心臓は制御装置と見て正解だったみたいだ。」

葛城財団本部研究室のビルから子安、以蔵を含めた計三名が出てきた。
空に浮かぶ黄金の鹿号を見上げ、見えない壁は消えたと確信する彼ら。

「マスター。その様子だとうまくいったようだな。」
「お前もな。星2のくせして大活躍だったじゃないか。」

出迎えたのは正義攻略にて作戦の要となったアンデルセンとシェヘラザード。
ラフムはもうほとんど残っていないらしく、今はこうしてマスターの帰りを待っていたのだ。

「ところで、後ろの女は誰だ?」
「以蔵のマスターだ。ともかく早く船に乗せてちゃんとした服を着せてやってくれ。それと…」
「それと?」

一息置いて、子安は覚悟を決めたように言った。

「この島は跡形もなく消す。研究の資料も全てだ。院長先生と真壁支配人にそう連絡してくれ。」




「やれェ!マンコ共ォ!!」

代表の最低な掛け声と共に、俺達めがけ数十騎のサーヴァントが一斉に襲いかかる。
さぁやるしかねぇ。相手がサーヴァントだろうがここは何がなんでも生き残るぞ。

「なめんなよ…こっちはこっちでお前用の対策をガチガチに固めてきたんだからな!!!」

さて、俺が新しく取りだしたのはもう一丁の拳銃。
真っ黒なリボルバーのDTマグナムに対し、こちら真っ白でシュッとしたオートマチックの拳銃だ。
弾が入っていることを確認し、俺は迷うことなくトリガーを引く。

「…!」

放たれた弾丸は逸れることなくサーヴァントに命中。
しかし弾丸一発程度、サーヴァントにはなんてことないだろうとお思いだろうが実はそんなことは無い。

「か、からだが…わ、わたしは…れんさまとは…」
「まーちゃんそれって…!」
「子安さんと院長先生に作ってもらったのさ。その名も"アンチ洗脳弾"!」

一発撃ち終え、シューという蒸気の排気音と共に空薬莢が排出される。
そう、弾丸は子安さん作。葛城恋に書き換えられた霊基を強引に消し飛ばす礼装兵器。
そしてそれを撃ち出すための専用の銃は院長先生withバベッジ先生作。
銃内部で生み出され、高圧圧縮された蒸気の力を利用しサーヴァントでも避けづらいスピードで弾丸を射出する銃。
その名もエリミネイト(Eliminate) ディテクティブ(Detective)カノン。通称EDカノンだ。
DTマグナムとEDカノン。
字面は最悪だがともかくこの2丁さえあれば俺でもこの修羅場をくぐり抜けることができるって訳だ。

「すごいねまーちゃん!」
「褒めんのはいいけどお前もなんかしろ!!」

サーヴァント達を撃ち抜き、次々と無力化していくがそれでもまだ奴の持つサーヴァントは尽きない。
ったくどれだけ溜め込んでんだよこのデブ!

「だったらこれはどうだァ!!」

そういい、代表が放ったのは四騎のサーヴァント。
俺達を精神的に追い込むつもりか、その四騎は皆

「恋様の仰せのままに。こんな早漏っぽいやつ。姫がすぐにやっつけちゃうんだからね。」
「おっきー!?」

それぞれのサーヴァントだった。

「自分のサーバントと同じ顔してんだもんなァ!そりゃ戸惑うよなァ!?どうだ?攻撃で」
「出来るぞ。」

その瞬間、代表が放った四騎の内の一騎、以前は誰かのものであっただろう宮本武蔵が縦真っ二つに斬れた。

「…は?」
「同じ顔をしていようがその武蔵は他の武蔵だ。
それと俺の武蔵はもっと強い。少なくとも、俺に一撃でやられるような奴じゃないさ。」

代表の放った同じサーヴァントを用意して精神的動揺を誘う作戦、それは見事に失敗した。

「考え直すのなら今の内サ。弟なら麗しき恋様に」
「お栄ちゃんは!!そんなこと!!言わない!!」

解釈違いを起こしブチ切れる舞

「お前の粗末なモノに香子が堕ちるか!!死ねぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

とまぁ、葛城恋の作戦は見事失敗。
動揺を誘うどころか怒りと殺意を増幅させ、俺達の士気はさらに上がっていく。
あと

「オラァ!死ね死ね死ねェ!!」
「まーちゃんやめて!一思いに殺してあげて!!姫の心が痛い!!」

俺は俺で偽物のおっきーをいたぶる。
両足撃ち抜きそれから致命傷にならないところからじわじわと…。
だってムカつくんだもん。早漏っぽいマスター?うるせーよ死ねよ。
このおっきーだってきっと誰かのが大事にしてきたものだ。
それをあいつは私利私欲の為だけに奪って、こうやって使役してる。
それでムカついた。怒りのメーター振り切れたわ。

さて、俺達マスターはこうして多数のサーヴァント相手にうまく立ち回ってはいるが、
俺達のサーヴァントだってまけちゃいない。

「まーちゃん後ろ!!」
「了解!」

おっきーからの支持を受け、振り向かずノールックで背後から忍び寄るサーヴァントを撃ち抜く。

「これさえ乗り切れば後はもうひきこもるだけだもんね!今日は出血大サービスで働いちゃうぞ!!」

舞う折り紙。
折鶴や蝙蝠はサーヴァント達を切り裂き妨害し、蛇によって縛り動きを制限する。
そうして充分に動けなくなったサーヴァントを片っ端から乱れ打つ俺。
うんうん。見事なるコンビネーション。ベストマッチ。
やはりサーヴァントとマスターってのはこういうもんだろ。
ただ俺の周りにいる前に出過ぎるマスター(舞、葵、大和)がおかしいだけだし。

さて、サポートとあらばこの人も負けてはいない、

「汚染された霊基…どうか苦しまず一息に。」

巻物を広げる紫式部。
再び第三再臨へと姿を変え、地面からふわりと浮いた彼女は筆を手に取り何かを記す。
空中に書かれた梵字らしきものは質量を持って真っ直ぐ飛び、敵へと命中する。
するとどうだろうか。
苦しみ出すサーヴァント達。
たかが一発受けただけでここまで苦しむのには勿論理由があるのだ。

「霊基書換…それにより改造されたサーヴァントは、皆魔性のモノと断定されることは三笠より実証済みです。」

妖怪みてーな奴に犯されたからなのか、霊基書換によってあいつのものになったサーヴァントは驚くことに魔性特攻が入る。
魔性絶対殺すウーマン紫式部にとってそれは絶好の相手というわけだ。

「それでは皆様、畳み掛けましょう。」

文を綴り、俺達にもまた魔性特攻を付与していく。
さすがはキャスタークラス。サポートにおいて右に出る者はいない。
サポートにおいては、だが。

「…。」

気配遮断により背後から忍び寄るアサシンのサーヴァント。
懐に入り込まれてしまえばどうすることも出来ない。
そう、思われたが…

「かかりましたね。」

後は紫式部のうなじにナイフを突き立てるだけ。
しかしそうしようとした瞬間、そのままの姿勢で身体が少しも動かなくなったのだ。

「懐に入り込めばどうにかなる。そう、お思いだったでしょう?」

ゆっくりと振り向く紫式部。1歩も動けず、恐怖を感じ始めるアサシンのサーヴァント。
足元には陰陽師定番の五芒星の印が浮かび上がっており、それが敵の動きを封じていた。
いわば、トラップだ。

「あなたに恨みはありません。寧ろ同情の念を抱いております。ですからどうか…。」

筆の先が敵の額をトン、と付く。
すると爪先から塵となり徐々に消えていくサーヴァント。

「苦しみもなく、今は亡き主の元へと還りなさい。」
「…!」

紫式部に接近戦を挑んだサーヴァントは消滅した。
いや、彼女の言う通り還ったという表現が正しいんだろう。
そして紫式部のサポートにより全員が魔性特攻がついたことにより、

「当たって砕けろなんて思ったけど、実際どうってことないわね!!」
「ああ、なんならさっきのバケモンの方がよっぽど手強いってもんサ。」

猛威を振るうこちらの前衛サーヴァント。
武蔵が斬ればそれらは一瞬で全滅し、北斎が筆を振るえばたちまち波に飲まれる。

「…ッ! なんで…なんでだよぉ…っ!!」

向こうが徐々に劣勢になりつつあることは、馬鹿でも分かるみたいだ。

「俺様は葛城恋だぞ!!成績優秀のエリートで!こうして企業のトップに登り詰めたエリート中のエリートだ!!そんな俺様がてめぇらみてぇな低学歴低収入の能無しガイジ共に…まけるはずがねぇんだよォ!!」

奴がそう叫びながら握った右手を掲げる。
来る…! 奴の333画の令呪が!

「令呪を100画以て命ずる!!マンコ共ォ!!こいつらを軽く蹴散らすくらいパワーアップしろォ!!」

だだっ広い社長室。
ここにはパッと見2、30のサーヴァントがいる。
それらに100画の令呪を使って魔力ブーストをかけようものなら俺達はあっという間にやられるだろう。
けどな、

「…な、何笑ってやがる!!」
「言ったろ?こっちはこっちでお前用の対策をガチガチにかためてきたってさ。」

けどそんな令呪、
届く前に"断ち切らせる"

「大和!いけぇ!!」
「承知した!!」

サーヴァントの間をくぐりぬけ、にやけづらでふんぞり返る代表のすぐ前へとやってきた大和。
ダンッ!とデスクの上に着地し、魔力の通った稲妻迸る紅い光を纏った刀を振り上げると

「ひ、ひぃいっ!!」

情けない声を上げ、反射的に両腕で顔を覆う代表を斬った。
しかし、

「…あ、あれ?」

思わず顔を手で覆っていた葛城恋は自分が無傷であることに気付く。
自分は斬られた。しかし何も無い。
腕を見ても身体を見ても傷1つついていない。

「ふふ…ぶっふふ…ぶっっははははははは!!!!」

目の前で刀を振り下ろし、そのままの姿勢の大和に対し思い切り唾を撒き散らし笑って見せた。
お前の攻撃は届いていないぞと、

「なんだそりゃあ!?ビックリしたがなぁんも斬れてねぇじゃねぇかよぉ!!あぁ!?それはナマクラか!?それとも低脳だから距離の計算ができねぇのかァ!? 」
「いや、斬ったさ。」

大声でまくし立て煽りまくる恋。
しかし大和はそれと対照的に落ち着いていた。

「よく見ろ。」
「…?」

そう言い、刀をヒュンとはらう大和。
大和の周りに変わったところは何も無い。
じゃあどこだと周りを見渡す。
どこを見ても目に入るのは敵に一方的にやられる自分の下僕のみ。
そう、変わらず一方的にやられる自分の下僕のみだ。

「どうして…令呪が…?」

こいつが命じた令呪の内容は簡単に言えば「パワーアップしろ」というものだ。
けどどう見てもパワーアップしていない。
令呪が、効いていない。

「ど、どうして…!!まさか…!」
「俺の刀は少し特殊でな。目に見えないもの、触れられないものでもそこに"在る"のなら断ち切れる。それが概念だろうが令呪だろうがな!!」

ここで奴は自分の置かれた状況に気づき始める。
まずいのはこいつらではない。
自分なのだと。

「それにお前のその令呪…"貰った物"だな?」
「…!」
「誰から貰ったかなんて答えなくていい。ただ貰った物なら…"斬り離せる"と確信しただけだ。」

高価な革の椅子から転げ落ち、死に物狂いで逃げ出そうとする恋。
しかしどうやら逃げ道は俺達が上ってきたエレベーターのみ。
そこめがけてにげようとしているのだから多分よくある社長しか知らない秘密の抜け道や脱出経路はないもよう。
必死そうだが遅い走りでエレベーターへと駆けるも、

「どこに…!」

後ろの襟を掴まれ、ずいと戻される。

「行くんだよッ!!」

3ケタはありそうなその身体は葵の馬鹿力によって投げ上げられ、恋はデスクに派手にダイブした。

「ひ…ひっ、ひぃぃ!!!」

腰を抜かし後退りながら必死に距離を取ろうとする。
間抜けなことこの上ねぇ。
俺達は今までこんなやつに手こずっていたのかと思うと、悔しくなる。

「守れ!守れマンコ共!!あいつらをぶち殺せ!!俺様を死ぬ気で守れェ!!」

自分が負けるかもしれない。
そういった危機感を覚えるとさっきまでの余裕そうな態度はどこへやら、
焦りきった顔で残りのサーヴァント達に命令を下す。

「…武蔵。」
「何?」

各々が武器をかまえ、主である恋を守るべく立ち塞がるサーヴァント達。
そんな中大和は武蔵を呼び、ある提案をした。

「別にどうということはないが、あいつの令呪は地味に厄介だ。ここで"斬り離す"。」
「ってことは、"アレ"を使うのね。」
「…ああ。」

大和が周囲のサーヴァントを斬り伏せ、武蔵の元へと向かう。提案とは何か、そして武蔵の言った"アレ"とは何か。
それは、いずれわかる事だった。

「30秒…いや、20秒時間を稼いでくれ。そうすれば葛城恋を完全無力化できる。」
「なんだって?」
「時間が惜しい。ともかく俺と武蔵を守ってくれ。少し集中する。」

そういい、こちらの返事は聞かず大和は刀を下向きにかまえる。
変わったところといえば、武蔵と2人でその刀を握っているということ。
何をするかは分からないがともかくこいつらを約束の時間まで守ればいいだけのこと。
だったらやるしかない。

「葵!舞!大和と武蔵を死ぬ気で守るぞ!!」

完全無力化出来るのなら賭けてみようじゃないか。
そう思い俺達はこれで最後だと気合を入れ臨む。

「何をするか知らねぇが…!マンコ共!!あの二人を集中攻撃だァ!!」
「させるもんか!!!」

当然恋は何かをしようとする2人を見逃すはずがない。
下僕のサーヴァント達に集中攻撃するよう指示を出す。
そして、

「今そいつが動けねぇのなら…使えるってことだよなァ!!」

右手を掲げる恋。
また令呪を使うつもりだが次は

「令呪を以て命ずる!!"俺様に仇なすそこの四騎"!!指1本動かすな!!」

対象は自分のサーヴァントではなく、俺達だった。

「ぶっはははは!!馬鹿だなてめぇら!!サーヴァントさえ使えなけりゃウンコ以下のゴミクズ野郎なのによ!!」

サーヴァントの動きを封じて高笑いする恋。
うん。笑えてくるよマジで。
てめぇがそんなもんごときで勝った気でいる姿はな!

「そんなもんでおれ達を止められると、思ってんのかい?」
「…なんだ今の声? うそだろ?どうして…どうして!?」

奴の背後から聞こえてきた声。
そしてからんからんという下駄特有の歩く音。
自分のサーヴァントのものではない。
後ろにいたのは

「…どうして?どうして動いてやがる!?ゲロマンコ風情が…!!!」
「さぁ、どうしてだろう、ナっ!!」

北斎。葛飾舞のサーヴァントだ。
振り返ると力一杯振るわれる大筆。
全力を込めた大筆のビンタは奴の顔にクリティカルヒット、
勢いのままくるくる回転しながら吹き飛んだ。

「げぶぅ!!」

強化ガラスにぶちあたり、何が起きたか分からない恋は辺りを見回す。

「まずは一発。これは前の世界で強姦しまくった分だ。」
「ひ…来るな!!来るなゲロマンコがァ!!」

筆に青い炎が宿る。
ごうごうと立ち上るそれは、北斎の怒りの感情を表しているようでもあった。

「どうして!?どうして俺様の令呪が!!」
「だそうだ。教えてやったらどうだ?マイ。」

恋の視線が北斎の後ろにいる舞へと移る。
何の変哲もない弟。
だが彼の目、普段は前髪で隠されている右目は今、黄色く光っていた。

「な、なんだそれ!?」
「"霊基描換"」
「お、俺様の…俺様の技をパクったって言うのか!?」
「ううん。だいぶ違う。僕のものはお前のものなんかよりもずっと上だ。」
「!?」

葛城恋は自分の体液…ストレートに言えば精液を体内に入れたサーヴァントの霊基を自由に書き換えることが出来るスキル、"霊基書換"を持っている。
しかし、そんなチートじみたスキルを持っているのは、彼だけではなかった。

「お前だけが使えると思うな。お前ができるのなら僕にも出来る。お栄ちゃんが教えてくれたものだ!」
「お前が…? ふざけんな!!低学歴クソガイジのてめぇごときが俺様の真似なんざ生意気なんだよ!!」
「真似?そりゃどうだろうナ?」

この舞も、それと同じものを持っていた。
しかし、

「お前が"書く"なら僕は"描く"。僕の霊基描換はお前みたいな回りくどいことをしなくても、"見ただけ"で霊基を描き換えられる!」
「!?」

今までは使えなかったがゴッホに怪我を治してもらった際、"あちら側"と再接続したことで使えるようになったとか言ってた。

「お前が書き換えたものを僕が即上書きする。そして上書きし返されないように僕が今の霊基を固定した!鉛筆で書けたものは消せたとしても、墨で描いたものは消せないようにね!!」
「…。」

唖然とする葛城恋。
そこでさらに、俺が追い打ちを掛けてやることにする。

「ま、弟のスキルはアンタの完全上位互換ってワケだな。下位互換の"お兄さん"」

と、たっぷりの皮肉を込めわざわざお兄さん辺りを強めて言ってやった。

「ぐっ…くぅ…ぅぅぅぅ!!!!」

歯ぎしりをし、地面を叩く。
顔は真っ赤になり割れたメガネからは憎悪に満ちた瞳がこちらを覗く。

「何ボサーっとしてんだクソマンコ共ぉ!!俺様を守る壁になれ!仇なすクソ野郎共を殺せ!!俺様は王だぞ!!淫虐王ソロモン=レン様だ!!そんな王が弟に劣るなんて…有り得ねぇんだよォ!!!!」

怒りのままに、そして力の限り叫ぶ恋。
突っ立っていたサーヴァント達はマスターの支持を受け、恋に近付く北斎を止めるべく立ちはだかる。
だが

「いけ!おっきー!!全力で妨害だ!!」

俺の刑部姫がそうさせるもんかよ。

「刑部姫様!!合わせてください!!」
「えっ、もしかして合体技!?」

おっきーの放つ蝙蝠、
それに紫式部がまじないをかけ、さらに自身の周囲に現れた扇を飛ばしていく。

魔性特攻のかかった蝙蝠の一撃はえぐいものとなり、容赦なくサーヴァントに襲いかかる。
蝙蝠達の襲撃、一撃一撃は肉を抉る程に凶悪な威力。
やば…メタルクラスタホッパーかな?紙だけど。
あとそれに合わさって紫式部の援護によりサーヴァント達はたちまち身動きが取れなくなる。

「葵様!」
「分かった!!」

紫式部に呼ばれ、葵がチェーンソーのスターターロープを思い切り引っ張る。
より激しくうなるチェーンソー。そして赤黒いいかにもヤバそうなオーラに覆われ、チェーンソーの刃はより大きく、より危険なものへと昇華される。

「魔性絶対殺すチェーンソー『すみれちゃん』!最大解放します!」

何かの叫び声にも聞こえるエンジン音を響かせるチェーンソー。
葵は思い切り地を蹴って駆け、

「これで…終わりだァッ!!」

すれ違いざまにサーヴァント達をまとめて切り裂いた。

迸る血飛沫。塵となって消え去るサーヴァント達。
魔性特攻のついたチェーンソーは猛威を振るい、一気に10騎以上ものサーヴァントを葬った。

「なんだよ…なんだよこれ!?」

明らかに慌てている恋。
彼の周りにいるサーヴァントはあと5騎。
あれだけいたものは皆、俺達が倒した。
そして、

「…!」
「ここで終わりだ。」

目の前に立っているのは、北斎と舞。
自分が今まで見下し続けてきた2人だった。

「と言いたいところだが…もう時間だ、マイ。」
「時間?」
「ああ、こいつに後おれの分とマイの分で二百発ずつぶん殴ってやりたいケド…どうやらもう"準備完了"とのことだ。」

舞が振り向く。
向こう側にいるのは大和と武蔵。
紅く光り輝く刀を2人でかかげ、周囲にはバチバチと稲妻が迸っている。

「ええ!時間稼ぎありがと!!それじゃあ…」
「断ち切るぞ!!」

刀を握る力がぐっと強まる。
それと同時に光に包まれた刀は大きく、そして長くなり巨大な光の束となった。

「これぞ…私と大和くんの万物を切り裂く至高の刃!阻めるものなど他になし!!」
「因縁も令呪もこれで斬る!いくぞ!二者抜刀!!」

天井を突き破り空を見上げるほどの巨大な刃。
それをかまえ、2人はそれを横へと振るった。

「「くらうがいい!天に響く紅雷の刃!!その名も…『響天』!!!」」

雷が落ちたような轟音。
視界が光で覆われ、辺り一面が全く見えなくなる。
しかし分かっていることは1つ、

奴は、葛城恋は間違いなくこの刃で切り裂かれたということだ。 
 

 
後書き
⚫霊基描換
葛飾舞の持つスキル。
彼の兄、葛城恋が霊基"書"換なら、自分は"描く"
そういった意味と兄への当て付けじみた思いも込めて霊基描換とした。
効果は葛城恋の霊基書換と同じ…と思いきや、
舞の場合描き換えた霊基を上書きされぬよう固定したり、方法も対象に自分の体液を入れる必要はなく、ペンでなぞるだけ、
さらには見ただけで自在に描き換えることができるという兄の完全上位互換。
よって葛城恋の天敵は強いサーヴァントではなく、殲滅力のある戦略兵器でもなく、今まで下に見続けてきた血の繋がった弟なのだ。

⚫DTマグナムとEDカノン
作中でも言っていたが字面が最悪なまーちゃんの拳銃。
対モンスター、人間用ならDTを。対サーヴァント用ならEDを。と状況に分けて使い分けられるようになっている。
EDカノンもまた4人のマスターの中ではいちばん非力な彼に合わせ、発砲時の反動も最小限に抑えられていながら想像以上の威力を誇る。
さらにまーちゃんの早撃ち技術も相まってEDカノンの弾丸を見切ることはより難しいものとなっている。
ちなみに、後に早撃ちだけでなく狙撃にも向いていることが判明した。

⚫二者抜刀『響天』
大和と武蔵の合体技。
大和の刀を通して2人の魔力と気持ちを練り上げ、巨大な刀を作り出して概念、真理、果ては空をも切り裂く大技。
この気持ちというのは互いを思う気持ち。
言ってしまえば好きという気持ちである。
赤く光って愛の力を剣にしてぶつけるのでトランザムライザーの皮を被った石破ラブラブ天驚拳と思っていただければよろしい。
 
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