崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
騎士王と剣豪と崩壊世界の夜明けを告げる者
前書き
どうも、クソ作者です。
最高潮に筆が乗ってるのでこのまま突っ走っていこうと思います。
同時刻…。
葛城財団本部、最上階。
「ん…んぐぅ!?ぶふぅぅ…っ!!」
「接触禁止の騎士王サマ、ね。」
捕らえたサーヴァントに無理矢理自分のモノをくわえさせながら、代表葛城恋は部下からの話を聞いていた。
「はい。それがまた関東エリアに現れまして。」
「アーサー王か…てかそいつ男だろ?なんで女なんかになってんだ?」
「それは私達にもよく分からず…。」
部下からの話によれば関東エリアにアルトリアのオルタが現れたとのこと。
ちなみに、葛城財団もまた彼女の存在は認知しており、極秘に捕獲作戦が行われたりしたのだが…。
「あれこれ試したがどれもダメ…強すぎだろそのアルトリアオルタとかいうの。」
全て失敗に終わっている。
さらに葛城財団は三笠防衛戦以降、掃除屋やマフィアなどいわゆる裏世界の住人に目をつけられており金輪際、関東エリアへの侵入を禁止されている。
なのでアルトリアオルタのことは諦めるしかないのだが
「で、それがなんだよ。」
「"アレ"を試すのには…丁度いいのでないでしょうか?」
部下がそういうと、代表の口元がにやりと歪む。
「ああ…"アレ"な。」
「テストも兼ね、あわよくばそのオルタをとらえられるかもしれません。さらに彼は葛城財団の人間ではありませんので。」
「ほう…いいなそれ。じゃあそうしよう。」
代表がそう言うと部下は「それでは、すぐに準備にとりかかります」と礼をして去っていく。
「騎士王…ですか。」
「ああ、置鮎。お前はどう思う?」
部屋の隅にて一連の話を聞いていた代表お気に入りの傭兵、置鮎が言う。
「産廃…とでも言いましょうか。」
「でも強いらしいぜ?辺り一帯の魔力探知機がぶっ壊れたそうだ。」
「へぇ…でもただそれだけでしょう?」
そういい、置鮎は隣にいる自らのサーヴァントに話題を振る。
「反転しているとはいえ、かつてあなたも仕えた王でしょう?まぁ、現実はあなたには遠く及ばない産廃なわけですが。」
現実というのはゲームだ。
確かに性能上、アルトリアオルタはランスロットに劣ってはいる。
この崩壊世界ではそれがどう勝負を左右するかは分からないが、置鮎はランスロットに対して絶対の自信を持っていた。
「誓ったはずです。あなたに捧げるのは勝利のみと。」
「ほう…つまり負けるはずがないと?そう言いたいのですね?」
ランスロットはただ、頷く。
「騎士王に背くことに対しては?」
「かつて私は騎士王に仕えました。しかし今私のマスターは貴方だ。過去の王に対する未練など微塵もありません。」
「…ありがとう。完璧な回答だよ。」
満足気に笑い、置鮎は汚れひとつない純白のネクタイを締め直す。
「さて代表…私は何をすれば?」
「騎士王は"アレ"に任せ、この前クソマンコがしくじった種火島は丹下に言ってもらう。お前は東北だ。」
関東エリアへの侵入はダメ。
ということで葛城財団は地方への侵略を考えたのだ。
「期待してるぜ。置鮎。」
「必ずや、その期待以上の成果を持ち帰ります。」
彼とランスロットは一礼し、部屋を出ていく。
これでこの部屋には代表のみ、というわけでもない。
さっきから自分のモノをくわえさせ、モノのように扱われているサーヴァント。
「う…ぶぇ…!ごふっ!!」
「おい吐き出すな、殺すぞ。」
彼女はまだ洗脳されていない。
なので令呪を用いて言うことを聞かせ、直々に自分の精液を飲ませていた。
「おう、どうだ?目の前で自分のサーバントが犯されてるってのは?」
彼女の、マスターの前で。
「ぐぅ…!ふ、ふーっ!!」
猿轡を噛まされたマスターであろう男は必死に何かを叫ぼうとしている。
自分の愛したサーヴァントの名前か、それとも代表に対する罵倒か。
それはともかく、彼の手の甲からは令呪が消えつつあった。
そう、
「さて、まずはお前の名前は?マスターは誰だ?」
サーヴァントの所有権は、既に葛城恋へと移りつつある。
精液を無理矢理飲まされ、咳き込んでいた彼女はその直後ゆらりと立ち上がり、虚ろな目で代表を見る。
「アサシン…シャルロット、コルデー。マスターは、愛しの恋様…。」
「…!!」
彼女の発言にマスターもとい、元マスターは動揺する。
「そうか、シャルロットか。今日からお前の名前はマンコだ。俺様が名前を与えてやったんだ。感謝しろよ?」
「はい…ありがたき…幸せ。」
ぶははと代表が下品な笑い声を上げる。
なんとも言えない、恨みにも怒りにも似た感情がふつふつと湧き上がるマスター。
目の前で犯されてるのに、何も出来なかった。
そして彼はこれから
「じゃあマンコ。手始めにそこの何かうるせぇ奴殺せ。」
「…かしこまりました。」
「…!?」
自分のサーヴァントがこちらを向く。
手にはナイフ。窓から差し込む陽の光に反射して光り、その切っ先は間違いなく自分に向いている。
「…!」
ナイフをかまえ、シャルロットは走り出す。
椅子に縛られ、身動きの取れない元マスターの胸めがけて。
「…。」
傍から見れば抱きついているようにも見える。
だがその実は、元マスターが自分のサーヴァントにナイフを深々と突き立てられているという悲惨なもの。
最愛の者に裏切られ、失意と絶望の中死んでいくマスター。
涙一つ流さず、ゴミを見るような目でナイフを引き抜くシャルロット。
「ぶふっ…ぶっははははははは!!あーやっぱたまんねー!マスターの前でサーバントを犯して、そいつに殺させんのは病みつきになるなぁ!!!!!」
そこに響くのは代表の笑い声。
そしてひとしきり笑い終えた後、彼は次の獲物について妄想を膨らませにんまりと笑い出す。
「接触禁止…ねぇ。きっと誰も触れたことのねぇマンコはさぞかし極上なんだろうな。」
アルトリアオルタを捕らえ、犯す。
先程新しいサーヴァントを捕らえたばかりの彼だが、目的は既にそれだった。
しかし、それはあくまで通過点に過ぎない。
「待ってろよガイジ弟、ゲロマンコ…てめぇらの幸せは俺様が必ずぶち壊してやるからよ。」
⚫
「アルトリア…オルタ…!!」
場所は戻り荒れ地。
そこにいたのはアルトリアオルタだった。
どこでもないところを見つめ、何かをぼそぼそと呟きながら彼女はどこかへと歩いている。
なんだ?何か捜し物か?
そう思っていた時だ。
「ヒャッハー!噂通りいやがったぜ!!」
俺達とは別の方向から何やらいかにもな奴らが現れた。
「ほう…これが噂のはぐれサーヴァント…!」
「こいつが俺達のサーヴァントになりゃ最早敵無しだ!早速とらえるぜ!!」
手には銃をかまえ、いかにも噛ませ犬っぽい世紀末な格好をした奴らがアルトリアオルタを取り囲む。
「そこの嬢ちゃん、止まりな!」
手下であろう奴らはアルトリアオルタに銃を向け、彼らのボスらしき男はゆっくりと歩いてくる。
どうやらあちらは、俺達の存在には気づいていないらしい。
「お前、マスターのいないはぐれサーヴァントなんだってなぁ?」
「…。」
「どうだ嬢ちゃん、俺と組まねぇか?」
俺のサーヴァントになれ、とまぁストレートに言い放ったボスらしき男。
続けて部下達も声を上げ始める
「兄貴に気に入られるとはな!あんたかなりのラッキーガールだぜぇ!?」
「…。」
「兄貴はすごいお方でな!何せこの前ワイバーンに素手で立ち向かい絞め殺したんだぜぇ!すげぇだろ!?」
「…。」
「どうだ?賢いサーヴァントなら、今どうするべきか分かるよなぁ?」
「…。」
しかしアルトリアオルタは兄貴と呼ばれたボスの問いにも、部下達からの問いにも全て無視で返す。
「おい、なんとか言ったらどうだ?」
「どうしたんだよサーヴァント様よォ!」
「きっと兄貴にビビって声も出ねーんすよ!そうだろ!?」
「いや、惚れちまったってのも有り得るかもですぜ!!」
「どけ。」
その時だった。
彼女の発した声は、恐ろしく冷たく、そして重いものだった。
「…。」
「な、なんだよ…。」
あまりの威圧感にボス以外の部下は皆黙り込み、数歩後ろに下がる。
「どけと言っている。私の道を阻むな。」
彼女の言葉を聞き、ボスはため息をついた。
「はぁ…どうやら、多少痛い目見ねぇと分からねぇらしいな。」
腰に携えていたショットガンを手に取り、そのまま躊躇なく彼女に向けてトリガーを引く。
「…?」
引いた…ハズだった。
「な…に…?」
がちゃりと落ちるショットガン。
しかし落ちたショットガンを見てみれば自分の腕はきちんとそれを握っている。
そう、
「痛い目を見ないとわからない。それは貴様らだ。」
「あ…ああ!ああああ…!!」
いつの間にか血の滴る聖剣を持っているアルトリアオルタ。
知らないうちに、刹那とも言うべき速さで彼女はボスの両腕を切り裂いたのだ。
しかし、それが気づく頃に本人は…。
「おれ…どう、な…って?」
一緒に切られていた首がどさりと落ち、絶命した。
「ひ、ひいいいいい!!!」
自分達の中で1番強いボスがやられた。
しかも一瞬で。
その光景を見せられ、イキっていた部下達はたちまちパニック状態へと陥る。
武器を捨てて逃げる者、腰を抜かしその場で失禁するもの。
しかし、何をしようが
「私の道を阻んだのだ。生きて帰さん。」
死は平等に訪れる。
彼女から魔力が放出され、一瞬で部下達を吹き飛ばす。
衝撃波ともとれるそれは人間程度なら簡単にバラバラにしてみせた。
「なんだよあれ…やべぇよやべぇよ…!!」
無理だ。
あれには関わっちゃいけないやつだ。
このままスルーしよう。恐ろし過ぎる。
真壁さんには悪いがここは見なかったことにし
「たのもーーーーう!!!!!」
え?
「…何者だ?」
アルトリアオルタがゆっくりとこちらを向く。
そして物陰から飛び出て、彼女に勢いよく挨拶かましやがったのはまごうことなき
「武蔵…バトルジャンキーなところあるからな。あんなの見せられてもういてもたってもいられなくなったんだろ。」
宮本武蔵だ。
てかなにしてんの?見ただろ今の。
いや、見たからこそなのか?
「我が名は新免武蔵守藤原玄信!!あなたに勝負を挑みに来ました!!!」
あちゃー。
「…。」
勝負を挑まれたアルトリアオルタは冷たい視線をこちらに向け、すぐにどこか別の場所へと向いた。
まるで、こちらにはこれっぽっちも興味がないように。
「あの…聞いてる?」
「…失せるがいい。邪魔をしないのであれば私も手を出さん。」
武蔵からの挑戦を放棄。
そしてアルトリアオルタはこちらに背を向けると、またどこかへと歩き出す。
「マス……わたしの…ター…。」
またぼそぼそと何かを呟きながら。
「…。」
無視され、途方に暮れる武蔵。
ほらやめなよ。騎士王もああ言ってる事だしさ。
ちゃっちゃと返ってうどん食お?ね?
と、言おうとしたその時だった。
「ッ!」
「武蔵ちゃん!?」
驚きの声を上げるおっきー。
武蔵は走り出したのだ。
アルトリアオルタに向かって。
「…!」
両手に握られた刀を振り上げ、彼女の背中めがけ斬り掛かる。
しかし、騎士王はダテじゃない。
「聞こえなかったか?」
「ええ、キッチリ聞こえたわ!失せろってね!」
聖剣を持ち、ノールックで後ろからの攻撃を受け止める。
「あなたを仲間にしたいって人がいるの。」
「興味が無い。勝負をもちかけたのもその為か?」
「うーん…それもありますが、ただ私はあなたと純粋に手合わせしてみたい。そう思ったのだけれど。」
「…。」
魔力が再び放出され、武蔵が吹き飛ぶ。
だが空中にて身をひねり、バランスをとって華麗に着地。
「邪魔だ。貴様の都合に付き合うほど私は暇ではない。」
「邪魔なら斬ればいい。その為の剣でしょ?」
ニッと笑う武蔵。
こいつは…大和も言っていたようにバトルジャンキーであり、強敵と戦えるのを楽しむタイプのやつだ…!
「ならば来るがいい。剣豪。」
「そうこなくちゃね…!」
聖剣をかまえる騎士王。
対する剣豪もまた、二刀の刀をかまえ直した。
「その名は世界に轟く聖剣使い!相手にとって不足は無し!いざ尋常に…勝負ッ!!」
地を蹴り、武蔵は駆け出す。
アルトリアオルタもまた、魔力を聖剣に纏わせ武蔵を迎え撃つ。
聖剣を持つ騎士王。
生涯負け知らずの剣豪。
その2人の戦いの幕が、斬って落とされた。
⚫
騎士王と剣豪が戦っているその真上。つまり上空。
そこには輸送ヘリが飛行していた。
「アルトリアオルタ…宮本武蔵と交戦中のようです。」
「武蔵…まさかあの武蔵じゃないだろうな?」
「いや、そのまさかっぽいですね。」
ヘリの中にいるのは数人の大人。
その制服から彼らは葛城財団の職員ということが分かる。
関東エリアへの侵入は許さない。
その地へ足を踏み入れることが出来ないのであれば、元から足を踏み入れなければいい。
そう捉えた彼らは空からヘリを使ってここまで来ていた。
「どうだい"教祖様"。お身体の調子は?」
職員の1人が奥にいる人物に気さくに話しかける。
ここにいる全員が大人であるが、教祖様と呼ばれた男のみまだ子供…十代後半くらいであろう見た目であった。
「ええ、あなた達のおかげでとても調子がいいです。ありがとうございます。」
"教祖様"はゆっくりと立ち上がり、腕にはめられた小型の液晶端末を見る。
「霊基安定…良し。魔力充填…良し。身体も軽い。脳も冴えている…異常なし…オールグリーンです。」
液晶に表示された何かを読み上げ、教祖様は職員達に笑顔でそう伝える。
「そうか…なら行けるな?教祖様!」
「ええ、これなら悪魔達を徹底的に潰せる…本当にありがとうございます!」
「お礼なら私達ではなく代表に言ってくださいよ。」
パソコンをいじっていた職員がそう言い、教祖様は窓から地上の光景を見渡す。
「要注意の悪魔に接触禁止の悪魔…纏めて退治して…恋様への手土産にしてやる…!!」
降下準備を整え、彼は覚悟を決めてヘリから飛び降りようとする。その時だ。
「…雷?」
突然、空が暗くなった。
見てみれば暗雲が立ち込め、ゴロゴロと雷の音がする。
するのだが、何かが変だ。
「赤い…稲光?」
時節黒い雲から漏れ出す光。
それは血のように赤く、不気味なものだった。
やがてそれは
「っ!!」
「危ない!!」
ヘリを掠めるようにして落ちる。
赤い雷は騎士王と剣豪の戦う真下へと落ちていったのである。
赤い雷の正体…それは
⚫
数分前…。
「はああッ!」
交差する刀と剣。
散る火花。
荒れ果て、倒壊したビルがそこら中に倒れている荒れ地にてサーヴァント同士の戦いは始まっていた。
「技量も一級品だな。悪くは無い。だが私の興味は惹かん。」
騎士王と剣豪。
最優のセイバーであり性能もトップクラスの二騎のぶつかり合いはすさまじいものだ。
二刀流で迫る武蔵だがオルタはそんな数的有利をものともせず、聖剣1本でその刀をさばききっている。
「消えろ…!」
魔力を纏わせ、聖剣を振るう。
魔力を使い、己の能力を限界まで強化する。
言っておくが彼女ははぐれサーヴァントだ。
マスターはいない。
なのにオルタは莫大な魔力を用いた攻撃を当たり前のように連発してくる。
さながら映画HFのオルタそのものだ。
「聖杯と繋がってるとか?」
「違うだろうな…あの莫大な魔力は全て、彼女自身が生み出している。」
「マジで?」
大和の赤く染った瞳がオルタを見る。
彼女から溢れ出る黒い魔力の奔流。
それは何の助けもなく彼女が自分で生成してあるものだといった。
さらに
「あの騎士王…あれでもまだ"本気"じゃない。」
「嘘だろ?」
あの武蔵を相手に本気を出していないと?
確かにそうだ。戦いが始まってからオルタは、1度も聖剣を両手で握っていない。
片手で軽々とあしらうように、まるで周囲を飛び回る蝿を払うように
先程も言っていたが、オルタは武蔵に"興味が無い"
「なんとかしないのかよ!?このままじゃ負けんだろ!?」
「横槍を入れるのはダメだ。これは武蔵の勝負。ここで俺が助太刀したとしても機嫌を悪くされるだけだからな。」
「そんなこと言ってる場合かお前!?」
2人の勝負に視線を戻せば、さっきと変わらない状況の2人。
いや、このままではジリ貧で負ける。
魔力がほぼ無尽蔵、しかもまだ本気を出していないオルタに勝てるなど難しいのではないか。
「…ッ!」
オルタからの強烈な一撃を受け止めきれず、武蔵が吹き飛ぶ。
そのままバランスを崩し、地面に落ちるとゴロゴロと転がって倒れた。
「おい!やべーって!」
「やばいだろうな…武蔵!」
刀を突き立て、再び立ち上がろうとする彼女に大和は声をかける。
「勝機はあるのか!?」
「ないわね…今の…ところ…!」
「そうか。」
助けるのか?
そう思ったが彼はただそれを聞いただけだった。
「聞くまでもないが、助けは?」
「必要ない…だってこれは私の死合ですもの。助太刀もとい邪魔しようものなら…斬る!」
「…な、言ったろ?」
俺の方を見てそう言う大和。
言ったろ?じゃねーよ。お前のサーヴァントがヤバいんだぞ。
「待ちなさい…騎士王!!」
と、こちらに背を向けまたどこかへ歩きだそうとしたオルタを武蔵は呼び止める。
「なんだ?」
「どこへ行くの?まだ勝負はついてないわ!」
「ふん…既に目に見えているだろうに。」
仕方なさそうに振り返り、聖剣を構え直す。
走る武蔵。魔力を放出するオルタ。
「これ以上阻むのであれば…消えてもらおうかッ!!」
聖剣を振るい、そこから魔力を纏った斬撃が飛ぶ。
しかし武蔵は止まらない。それどころかさらに速く駆け出した。
「!」
二刀を振るい、斬撃と斬撃がぶつかり合う。
やっとのことでオルタの斬撃を相殺したとしても、彼女は再び斬撃を飛ばす。
先程よりも強大で、より殺意に満ちたものを
「まだまだぁ!!」
斬る。
なんだろうが斬る。
魔力だろうが斬撃だろうが、斬る。
スピードを緩めず、次第に距離を詰めていく武蔵。
だが
「これで終わりだ。剣豪…!」
「…!?」
その先に待ち構えていたのは、魔力を聖剣にまとわせたオルタ。
聖剣は溢れ出る魔力に包まれ、巨大な剣と化した。
故に、回避など不可能。
「だったら…ッ!!」
振るわれる聖剣。それに対して武蔵は✕字に刀をかまえ、
「あえて受け止めるッ!!」
真正面からその攻撃を受けた。
「く…うぅ…っ!!」
苦悶の表情を浮かべ、耐える武蔵。
しかしオルタの表情はさっきから眉ひとつ動かさず、冷たい表情のまま。
さらに無傷であり、対する武蔵は所々ボロボロだ。
誰が見てもわかる。
劣勢だと。
だがそれでも大和は
「…。」
指ひとつ動かさず、その光景を腕を組んで見ていた。
「ああッ!!」
そしてついに武蔵が押し負ける。
再び投げ出され地面に無惨にも倒れ込む。
しかし刀は離さない。
降参もしない。後退もしない。
あるのはただ
「ったく…ほんとに強いなぁ…!」
燃え上がる闘志のみ。
もっと強い者と戦いたいという、本能のみ。
「…大和くん!」
フラフラと立ち上がり、また無謀にも突っ込むのかと思いきやそうではなかった。
1人では無理だとわかったんだろう。ついに助けを求めるか?
「アレ、お願いしていい?」
「ああ、アレな。」
そう言われ、大和は鞘から真っ赤な刀身の刀を抜いた。
「助太刀はしない。そう言ったな。」
刀を高く掲げると、いきなり空が曇りだした。
さらにゴロゴロという雷の音。
「援護はするさ。俺は武蔵の…マスターだからな。」
振り下ろされる刀。
その先には武蔵。
すると雲から一筋の赤い雷が落ちた。
落ちた先には
「武蔵ちゃん!?」
「おい!落雷くらってんじゃねーか!!!」
武蔵。
彼女はなんかよく知らんが大和が落とした雷に直撃。
なにこれ、オルタに当てるものなんじゃないの?
「…?」
その光景を見、オルタも多少驚いたような表情をするがすぐに興味を失い、踵を返してどこかへ行こうとした
だがその時だ。
「…っ!?」
「どこ行くの?騎士王さん。」
目の前に武蔵が。
振り下ろされた刀を咄嗟に受け止め、鍔迫り合いとなる両者。
そしてこの時、オルタは確かに感じていた。
(力が…いや、速さもだ…先程とはまるで違うだと!?)
片手で持つ聖剣に、もう片方の手をそえる。
目の前には、不敵に笑う彼女の顔、
そしてその瞳は、マスターと同じく赤く光り、身体からは赤い稲妻が迸っていた。
「そうか…あれは強化の類だったのだな…!」
「ご名答!興味が無いのなら湧かせるまで!あなたがどこまでも魔力が生み出せると言うのなら、私の大和くんも負けてはいないわよ!!」
弾き、聖剣を振るう。
だがそこには既に武蔵姿はなく、剣は空を斬る。
「疾い…ッ!」
振り向きざまに剣を薙ぎ払い、火花が散る。
有り得ないほど疾く、そしてありえないほど一撃が重くなった。
そして最早人間の視力では、武蔵を捉えることはできなかった。
「あれは…?」
「俺の身体は少し不思議でな。微々たるものだが魔力を生成できる。」
「マジで!?」
「ああ、世界崩壊の際にちょっとな。」
そんなこと初めて知ったわ。
てかなにこいつ…ほんとに一般人?それとも最近の社畜って劣悪な労働環境のせいでこんな能力身につけてくんの?
とまぁふざけた冗談はそこまでにして…
「今のは日々蓄積していた魔力を雷にして放出し、武蔵に譲渡したものだ。」
「すご…。」
「本来ならもっと効率のいい渡し方があるんだが…武蔵はそれを嫌がるからな。」
「それって?」
おっきーが不思議そうに尋ねる。
あ、なんか俺わかった気がする。
よくあるよね。深夜アニメとかでもなんかそういうやり方のやつ見たことある気がする。
「キス。」
「あー、武蔵ちゃんだめだわそれ…。」
ほらな。
「くっ…いくら強くなろうと…だが面白い…興味が湧いた!全力で屠ってやろう!!」
「それはどうも!騎士王さん!!」
さっきまで不利だった武蔵。
だが大和からバフをかけられ段違いにパワーアップした彼女はオルタをどんどん追い込んでいく。
「屠る?やれるものならやってみろ騎士王。"俺の"武蔵は他の武蔵とは違うぞ!」
「おっ…俺の!?」
そこ反応すんのな。
「うん…これなら武蔵ちゃん勝てるかも!」
「お前行ってみる?」
「ううん!あんな化け物クラスの戦いに乱入したら姫一瞬で消し炭にされるから応援するね!武蔵ちゃん頑張れー!!」
勝負は僅かに武蔵に傾いた。
気を良くしたおっきーは応援し、そして大和もまた若干表情が柔らかくなっていた。
これなら確かに…行けるかもな。
「面白い…マスターを思う以外でこんなにも心が躍るのは久方ぶりだ!」
「私も!身体が熱くなって…ここまで昂るのはあの鬼以来ね!!」
素早い剣閃がいくつも交差する。
周囲の瓦礫は切り裂かれ、廃墟は衝撃で崩れ去る。
縦横無尽に駆け巡る両者。
やべーわこれ、表現出来ねぇ。
誰かufot⚫bleの方呼んできて。
「あぶね!」
ただ、こっちの被害も考えろよなマジで。
さっきから瓦礫飛んでくるんだよ。
「…楽しそうだな。武蔵。」
と、瓦礫を切り飛ばしながら大和はそう言う。
こっちもなんとかしてくれよ!!!
「貴様…名は?」
「最初に言ったでしょ!新免武蔵守ふじ…ああもういいや!武蔵!宮本武蔵よ!!」
「武蔵か…!その名…覚えておこう!!」
2人が止まり、互いに対峙する。
「感謝するがいい。宝具で全力を以て貴様を葬る。」
「だったらこちらも…全力で迎え撃つ!!」
オルタから魔力が溢れ出る。
今までのモノとは比較にならないほどの、莫大な量の魔力が。
そう、宝具の発動だ。
そして対する武蔵もまた
「南無。天満大、自在天神…。」
宝具を発動し、真正面からぶつかりあうことを選んだ。
「卑王鉄槌、極光は反転する…!!」
胸の前に掲げられた聖剣に、魔力が集う。
「剣気にて、その気勢を断つ! この一刀こそ我が空道!」
彼女の背後に現れるのは仁王。
武蔵の構える刀に光が宿り、巨大な一筋の光の奔流と化す。
「光を飲め!!」
「我が生涯ッ!!」
カッと見開かれた目。
オルタは聖剣を振り上げ、武蔵は刀を振り下ろす。
「『約束された勝利の剣』!!!!!」
「『伊舎那大天象』ッ!!!」
ぶつかりあう2つの宝具。
その威力はすさまじいものであり
「やべぇ!飛ぶ!!どっか飛ぶ!!」
「まーちゃん!?」
すさまじい衝撃波が俺達を襲う。
吹き飛ばされそうになり、俺は瓦礫の鉄骨に必死にしがみついて耐える。
大和もまた、刀を突き立て踏ん張り、戦いの行く末を見守っていた。
「おっきーやばい!!助けて!死ぬ!!」
「まーちゃん捕まって!!早く!!」
そして最大出力でぶつかりあった宝具はやがて
(あ、やべーわこれマジで死ぬ)
大爆発を引き起こした。
⚫
ビルや廃墟、たくさんの瓦礫が転がっていたそこは今、何も無い焦土と化していた。
そして、その原因となった2人はそこにいた
「…。」
「勝負ありだな。武蔵。」
刀を突き立て、膝をつく武蔵。
息も荒く、方を上下させながら辛そうに呼吸している辺りもう限界なのだろう。
対するオルタは、やはり表情ひとつ変えていない。
強いて言うならば、甲冑の一部が破損していたくらいだろう。
で、俺達は
「た、助かったぁ…!」
おっきーのやる影に潜るやつあるじゃん?
あれやってもらって一緒に避難してた。
「あと一秒でも遅かったら…まーちゃんミンチより酷いことになってたと思うよ。」
「想像したくねーから言うのやめろ。」
影から出ると、そこにはさっき説明した光景が。
「おい…どうすんだよ。」
「さぁな。ここからの逆転は…無理だろう。」
なんとか爆発に耐えた大和がそう言う。
冷静だなこいつ。
「おっきー、なんとかできねーの?」
「無理かな…姫がどうやったとしても…あの騎士王からは逃げられないし時間も稼げないと思う。」
ネガティブになってんじゃねーよと言いたいが、実際マジでそうだろう。
あのオルタの実力は嫌でもわかった。
おっきーがどうしようも、小手先のずる賢い作戦では一瞬でなぎ払われるのは目に見えている。
つまり、武蔵を逃がすことはできない。
「…?」
その時、大和が上を見る。
なんかバタバタうるせーなーと思ったら上空にはヘリコプターが飛んでいた。
こんなやべーバトルにでくわしちまうなんてパイロットも不運だな。
いや待て、なんかドア開いてね?なんか飛び降りてない?
「あれは…!!」
大和にもそれは見えており、反射的に刀をかまえる。
そしてヘリから飛び降りた人はちょうど、
武蔵とオルタの間に落下したのだ。
⚫
「…!?」
「なに…?」
二騎の間に何かが落下し、後ろへと下がる両者。
巻き上げられた土煙が晴れ、やがて正体が明らかになる。
「…!?」
驚愕した。
おっきーもまた、信じられないという顔をしている。
「また会ったね…一誠君。支部建設以来かな?」
スーパーヒーロー着地を決めたそいつはゆっくりと立ち上がり、俺の存在を認知するや否や話しかけてくる。
え、なんで?なんでこいつ生きてんの?
確かマルタさんに…
「知り合いか?」
「知らねーの?人間同盟の教祖様だよ。」
「教祖…!?あの若さでか!?」
どうしてやつがいる?
どうしてあんな着地してただの人間が無傷でいられる。
こいつは…なんだ?なにをした?
「貴様…何者だ?」
突然やってきた乱入者にオルタはやや動揺する。
「悪魔共に名乗る名前はないが…敢えて名乗らせてもらおう。」
両手を広げ、天を仰ぐような仕草をすると、そいつは言った。
「僕はセイヴァー『神代正義』神に変わって正義を成し、そしてこの腐った世界の夜明けを告げる者だ。」
救世主、この崩壊世界の夜明けを告げる者
正義は、自らをそう名乗った。
後書き
かいせつ
⚫アルトリアオルタとは?
正体不明のはぐれサーヴァント
ある人物を探してるけど見つかんない。
すさまじく強いがこちらが何もしなければ向こうも何もしない。ただ彼女の邪魔をするならば全力で消しにかかる。
RPGとかによくいるエンカウントしちゃいけないタイプのやつ。
倒せることは倒せるけどものすごく手間かかるやり込み要素的なやつ。
⚫代表の言ってたゲロマンコって誰?
北斎のこと。
彼はただ北斎が欲しいのではなく、自らの弟である葛城舞が持っている葛飾北斎が欲しいのである。
自分より出来の悪い弟が幸せになるのが許せず、いつかその幸せを台無しにし、彼の目の前で北斎を自分の女にして愉悦に浸るのが目的
ちなみに由来は
舞くんが北斎のことを『お栄ちゃん』と呼んでいたので
おえいちゃん➡おえーちゃん➡おえー➡げろを吐く声➡ゲロ+マンコ(彼は女性をそう呼ぶ)➡ゲロマンコとなっている。
あんまりにもひどすぎる渾名である。
⚫神代正義とは?
人間同盟の教祖。元まーちゃんのクラスメイト。
彼は過去にマルタさんにぶん殴られ、顔が大変なことになるくらいの重症を負った。
もう元の顔に戻ることは不可能、さらに治療したとしても車椅子生活だろうと診断され、教徒たちは絶望と悲しみの波に飲まれた。
だがそんなとき、彼らの前に現れ手を貸したのが葛城財団代表、葛城恋である。
彼は正義の身柄をあずかるとある特殊な手術を施す。
それから数日、彼は顔も元通りになりちゃんと二本足で歩けるようになっていたのだ。
しかし代表の目的はただ善意で彼を治したのではない。
己の目的のため、彼には都合のいい駒になってもらおうと考えたのである。
⚫じゃあ葛城恋って医者なの?
(医者じゃ)ないです。
彼は別の世界にて目指そうとはしてましたが途中で大学受験に落ち、さらに病院の院長を勤める父親からも見捨てられ医者としてのエリートロードは閉ざされました。
なので免許も持ってないんです。
⚫葛城恋って何者?
彼の精液にはサーヴァントの霊基を書き換える能力が備わっていたり、333画の令呪が備わっていたりと明らかに普通の人間ではありませんが今はまだ彼の正体を明かすことはできません。
ただ分かる人に言えることなら、そういった能力は悪戯好きで、人間が大好きなとある神様からもらいました。
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