崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
女神(あね)と怪物(いもうと)と不幸を願った男の末路
前書き
どうも、クソ作者です。
今回のコラボであるステンノ様のお話、予定より長くなってしまいましたがついにこのお話も完結です。
他人の不幸で飯が美味い奴にはそれ相応の裁きを受けてもらうとしましょう。
それでは、本編どうぞ。
「だったら俺も…やるぜ!!」
化け物を前に奮い立つ中、暮馬もまた立ち上がった。
「お前どーすんだよ!」
「このままじゃバットエンド一直線…だから物語の結末は…俺が変える!!」
そうして懐から取り出したのはベルトのようなもの。
それを腰に巻き、腰のポケットから取り出したのは
「あれは…!」
「聖晶片!?」
聖晶片をベルトのバックル部分に装填。
すると暮馬はキレッキレのポーズを決め、
「だから見ててくれ…巴さんの…転身!!」
バックルの上部分を押すと中に入れられた聖晶片が砕け、彼の令呪も光る。
「巴さん!フォームチェンジだ!!」
「ええ…了解しました!!」
「それじゃあ行くぜ!但馬さん!新陰流の力…お借りします!!」
それに呼応するように巴御前の身体も光り輝き、石となった手足は弾け、完全復活。
空へ跳び上がり、輝く流星のごとく舞い降りたのは水着の最強ゲーマー
「今、巴さんはレベルの概念を超え最強無敵のハイパーゲーマーとなった!!」
いやレベルなんて元からねーよ。
「初お披露目だから祝わせてもらうぜ…というわけで祝え!水着の力を受け継ぎ、過去と未来を知ろ示す水着の王者…その名も水着巴御前VRゲーマーX!!まさに感動の瞬間である!!」
「くどい。」
と、戦いの場面であるにも関わらずやりたい放題やらかし始めた暮馬。
なんか色々言ってるけど俺元ネタ分かんねーよ。Wとアマゾンズしか見てねーんだから。
「はァ?何やら長々と述べてるが所詮は霊基が変わっただけだろ?強くなったわけでもねぇのによォ!!」
「ふふ…言いましたね?」
暮馬いわく、水着の最強ゲーマーとなり、水色を基調とした競泳水着のようなものに着替えた巴御前が丹下にライトセーバーみたいなものを向ける。
「VR新陰流を極めた今の巴に、斬れぬものなどありません!そしてここは暮馬さんお気に入りのセリフを拝借致しまして…。」
光の剣を振るい、巴御前は宣言する。
「ノーコンティニューで、クリアしてみせまする!!」
VRゲーマーとなった巴御前の反撃が、今始まった。
「■■■■■■■■■■ーッ!!」
人とも獣ともとれない声を上げながら、継ぎ接ぎのメドゥーサだった怪物は蛇をけしかける。
しかしその程度、最早巴御前の敵ではない。
「いざ!VRにて候!!」
光の剣はいとも簡単に蛇達を焼き切っていく。
猛攻の間を走り抜け、ビームすら真っ二つに両断してみせる彼女。
動きのキレも段違いだ。
そして
「はぁっ!!」
「■■■ー!!!」
すれ違いざまに切り裂く。
一度に三本の腕を切り落とし、怪物は悲痛な叫び声を上げ鮮血を迸らせた
「■■■…!」
「何してやがる化け物!!とっとと殺せ!てめぇの存在意義はそれだけだろうが!!!」
丹下はそれを許さない。
叫ぶことを痛みを感じることを。
「元はと言え私の妹よ?もう少し丁重に扱って貰えないかしら?」
「はぁ?丁重だぁ?この世界で誰がゴミを丁寧に扱うんだよ?言ってみろオラァ!!」
次に蛇が狙いを定めたのはステンノ。
しかし彼女は動じない。
「守りなさい。」
そう言い、彼女が一歩踏み出すと地面からなんと種火の腕が。
彼ら(?)は襲い来る蛇めがけ光の弾を飛ばして迎撃していく。
「ちっ…だったらァ!」
蛇達はカーブし、狙いを変える。
その先にいるのは
「えっ!?姫!?」
「雑魚から狙うのは常識だろうがよ!!おめでとさん!!てめぇが代表のちんぽケース1号だ!!」
襲い来る蛇。
おっきーもまた蝙蝠を用いて迎撃を試みるのだが
「えぇ!?食われたー!!」
無惨にも、蝙蝠達は蛇に食われ、レーザーに焼かれなんの役にも立たず消え去った。
けどな…。
「俺を忘れてもらっちゃ…困るんだよ。」
銃声。
それと同時に弾かれる蛇達。
呆気に取られるおっきー
無論、その視線の先にいるのは
「まーちゃん!!」
「これが俺にやれる…戦いのやり方だ」
硝煙立ち上る銃をかまえ、決め台詞をかっこよく言い放つ俺。
そう、手に持っているのは銃。大口径のリボルバーだ。
「まーちゃん…それって!」
「1.5部で裏切るおじさんに作ってもらった。こいつが俺の武器だぜ!!」
周りにいるマスターがおかしいせいで俺も戦わざるを得ない空気になっちまった昨今。
そんな俺はbarのモリアーティに頼み込み、あるものをつくったもらったのだ!!
衝撃は最小限。力のない俺でも扱える程よい軽さ。
弾丸は魔力で強化されたゴム弾。
その名も
「ディテクティブトリガーマグナム。略してDTマグナム!それがこの銃の名前だ!!」
再びトリガーを引く。
今度は普通のゴム弾ではない。
「■■!!」
着弾すると同時に蛇達を粘着状のものが覆い、身動きをとれなくする。
ギミックの一つ、トリモチ弾だ。
「そういえばまーちゃん…!そういうゲームだけは得意だった…!!」
そう、
特にこれといった描写はなかったが基本的にゲームはクソザコナメクジな俺だが、銃を扱うゲームにおいては天賦の才能があったのだ!!
嘘じゃないぞ!!
「次!お熱いの…かましてやるか!!」
弾倉を回し、かまえて撃つ。
着弾と同時に爆発し、蛇は見事に爆ぜた。
「まーちゃんすごい!!かっこいい!!さっきの早撃ちもすごいよ!!」
「おうドンドン褒めろ。別に何にも出ねーけどな!」
サーヴァントが後方支援だからマスターが前に出る?
そんなのできるわけねーだろ。
だったら2人して後方支援になればいい。
無理に前に出る必要なんざねぇ、得意なものは得意なままで、短所を補えばいい!
「こいつ…!!」
「やろうぜ相棒。俺達も逆襲のお時間だ!!」
いい加減じっとしてるのにも飽きたしな!!
「みんな…皆が頑張ってる…!」
陸もまた、己を奮い立たせ拳を握り締める。
「もう一度だ!!もう一度あれを撃ち込む!!」
片方の拳が使い物にならない。
なら、もう片方の拳を使えばいい。
腕というのはその為に二本ある。
身を低くし、脚に力を込めて地面を思い切り蹴る。
夥しいほどの髪の蛇は陸に襲いかかろうとするが
「道なら俺達が開ける!!行け!」
道を阻む蛇は暮馬、巴御前、そして俺とおっきーが片付ける。
「行きなさいマスター。駄妹を楽にしてあげなさい!」
「了解…しましたぁッ!!」
足が悲鳴を上げている。
しかしここでスピードを緩める訳にも行かないし止まる訳にも行かない。
これが終われば休ませてやる。自分の身体にそう言い聞かせ、陸は駆けた。
「■■■!!」
「っ!」
しかし怪物の攻撃手段は髪の蛇だけじゃない。
腕と同化していた鎖鎌が伸び、蛇のように陸に襲い掛かる。
しかし、彼はそれを避けるのではなく。
「ぐ…うぅ!!」
あえてうけた。
「むしろ…好都合…ッ!」
肩にざっくりと刺さったままの鎖鎌。
その鎖を両手でしっかり握ると、力の限り引っ張った。
まだ再生の追いついてない片腕に強引に魔力を通し、血が吹き出るが気にしない。
痛いが、こうでもしないと自分は怪物を救えないと思ったのだろう。
「!!」
腕と同化してしまっており、鎖鎌を手離すことは出来ない。
そのため怪物は陸に引っ張られ、逆に彼に無防備なまま近づく結果になった。
「これで終わりだ…!!」
空中に投げ出された怪物。
落ちた先には、もう片方の手に魔力を溜めた陸。
髪の蛇は皆使い物にならない。
今から再生しようにも間に合わない。
「うらぁッ!!!」
鳩尾に、もう一撃、
怪物は強烈な拳をくらい、大ダメージを食らった。
「■■…■■■…っ。」
口をパクパクさけ、なにか言おうとしたが怪物はそのまま後ろにどさりと倒れる。
「これで…終わった…!」
両手をだらりと垂らし、ひび割れた両手からはどくどくと血が流れている。
ステンノにいくらかいじられていたとはいえ陸は人間。
しかしその人間が、サーヴァントであった怪物を倒したのだ。
「怪物を倒すのはいつだって人間…よくいったもんだぜ。」
これで終わりだろう。
銃をホルスターに戻し。陸に歩み寄ろうとする。
そのときだ
「嘘だ…嘘だろおい!立てよこの野郎!!!」
1人残された丹下が叫ぶ。
部下は皆倒れ、彼いわく最高傑作も無惨に果てた。
もう、彼を護るモノは何もない。
「お前が倒れたらどうする!?量産化の話も!昇進の話も全部泡と消えるんだぞ!!オイ!!」
「…。」
怪物はぴくびくと震えるのみ。
もう、残された猶予は少ないのだろう。
「諦めろよ。お前はここで終わる。」
「うるせぇ…ここで終わってたまるか…!!俺は…俺はあのクソデブが作った世界が見てぇんだよォ!!」
涙を流し、子供のように泣きじゃくる丹下。
「俺が不幸になる!?そんなの無理だ!不幸になるのはテメェらだ!!俺はそれを見て笑いてぇだけなんだよ!!」
「…!巴さん!」
そのとき、暮馬が何かを察知し巴御前に声をかける。
その嫌な予感めいたものは見事に的中し
「そうだ…そうだったァ…俺にはまだ"こいつ"があるんだったァ!!」
手袋を外し、見せつける。
そこに刻まれているのは紛うことなき令呪であった。
「お前…!」
「クソデブから譲ってもらった令呪だ!こいつがありゃいくらでも逆転可能だァ!!さァ!!令呪を以て命ずるゥ!!」
巴御前が走り出す。
おっきーも折り鶴を飛ばして彼の命令を阻止しようとする。
何をしでかそうとしているかは分からない。
でも、とてつもなく嫌な予感がする!
「メドゥーサ!!俺と融合しろォ!!」
「!」
怪物が動き出す。
令呪によって無理矢理動かれたボロボロの身体が、丹下の方に向いた。
「重ねて令呪を以て命ずる!!全ての傷を回復!そして全ての力を解放しろ!!」
おっきーの折り鶴が彼の身体を切りつける。
だが、その程度で彼は止まらなかった。
「さらに重ねて命ずる!!全ての主導権を俺に渡し!お前という意思は消えてなくなれ!今日から俺が…メドゥーサだ!!」
「■■…■■■■!!!!」
叫び声を上げる怪物。
それは何かを嫌がるようにも見えた。
丹下に向かって伸びる蛇達。
それらは彼に噛み付くと、そのままメドゥーサの方に引き寄せた。
「さぁこれでおしまいだ!!てめぇらはここで死ね!!ゴミカスサーヴァント共は達磨にしてから代表にお届けしてやらねぇとなァ!!!!」
いくつもの蛇に包まれ、彼は完全にメドゥーサと同化する。
するとどうだろうか、
怪物は巨大化。最早見上げるほどの図体となり、言うなればバビロニアのゴルゴーンそのものだった。
しかし、強いて違うところを上げるとするならば
「ウハハハハハハハ!!!へぇァハハハハハハハ!!!!力が!力が漲るゥゥゥ!!!!」
美しき姿はどこにも無い。
歪んだ笑顔を浮かべた面影のない歪な顔。
枯れ枝のようなボロボロの翼
いや、こいつはゴルゴーンでも、メドゥーサでもなんでもない。
奴のきったねぇ心の内をそのまま具現化させたような、本物の怪物だ。
「消え失せろォォォォーッ!!!!!」
先程とは比べ物にならないほどの全方位レーザーが俺らを襲う。
地面はえぐれ、森は焼き払われ、種火の島はこのままだと焦土と化すだろう。
だから止めなければならない。
「どうしようまーちゃん!!このままじゃ!」
「とはいっても俺達じゃ止められねぇ。こんな化け物相手ならそれこそ対軍…いや、対城宝具とか必要なんじゃねーの?」
しかしここにそんな宝具を持ち合わせたサーヴァントはいない。
だが
「いや、やれるぜ。」
暮馬はそうでないと言った。
「お前正気かよ!?相手は」
「よく見ろ。リクが頑張ってくれたおかげで…活路が見いだせそうだ。」
暮馬が指さした先には怪物の鳩尾。
そう、陸が殴った場所だ。
「強烈なパンチを二度同じ場所に食らったんだ。再生が追いついてない。」
巨大化し、太刀打ちできないように見えるが確かに腹の傷はそのままだった。
つまり、
「あそこにもう一度宝具クラスの攻撃をぶち込む。そうすりゃ、ワンチャン行けるかもって話だ。」
そこに賭けるしかない。
もうやれることはそれしかないのだから。
「じゃああそこに巴御前の宝具をぶちこめば…!」
「いや…その必要は無い…。」
俺の言葉を陸が遮る。
「あの怪物は俺が倒さなきゃいけない。だから…!」
「だからもクソもねーだろ。第一お前人間だし。それにその使い物にならない両手でどう戦おうってんだよ。」
先にも言ったが、陸の手はボロボロだ。
まさに指一本動かせない。そんな感じだろう。
だけど彼はやると言った。
「じゃ、しょうがねぇな。」
「暮馬!?」
無理だと思うがこいつだけは違った。
「リクがそうしたいならそうすればいい、ただな。ほら!」
暮馬が陸に何かを渡す。
「これは…?」
「俺のベルトと同じやつ。魔力の流れをサポートする働きがあってな。無茶な使い方をするリクに特別に貸してやるよ。」
そういい、暮馬は両腕が動かせない陸の代わりにそれを腰にはめた。
「多少はラクになるはずだ。さぁ、リク、女神様のためにもここはいっちょやってやろうぜ。」
「…ああ!」
暴れ続ける怪物。
俺達はそいつを見上げ、最後の作戦に打って出た。
「それじゃあよろしく!」
暮馬はそういい、陸と共に生きて走り出した。
「ったくよ…こうなったからには真壁さんに報酬うんとはずんでもらわねーとな!!」
「姫も!これが終わったら半年は休む!」
「それは休み過ぎだバカ! 」
襲い来る髪の蛇。
いや、それはもう蛇ではない。ドクロの形をした蛇のような何かだ。
それらを片っ端から撃ちまくり、おっきーと援護しあいながら片付けていく。
「巴も参ります!!」
巴御前も走り出し、怪物の尖兵を切り刻む。
攻撃をかわし、蛇から蛇へと飛びうつって忍者のような身のこなしで次々と無力化していく。
「チョロチョロと…小バエみてぇに鬱陶しいんだよクソカス共ォ!!!」
蛇が全方位レーザーを再び放とうとするが
「!!」
蛇はもう二度と動くことはなかった。
何故なら
「か、髪が…身体が石に…!!」
少しづつだが蛇達はどんどん石化。
そして怪物の下半身もじわじわと動かなくなっていく。
「てめぇの仕業かァ!!」
「ええそうよ。ただ身体が大きい分時間はかかるのだけどね。」
神性や女神の真核は失われ、石化が効くのは実証済み。
ならば遠慮する必要はない。
そうとでも言いたげにステンノは妹だった怪物を容赦なく石にしようとする。
「ふざけんな…ふざけんなチンカスがぁぁぁぁーッ!!!!!」
悪態をつこうにももう遅い。
懐にまで接近を許し、もうすぐそこにまで暮馬と陸は来ていた。
「フィニッシュは必殺技で決まりだ!行くぜリク!!」
「分かった!!」
2人はベルトのバックルに聖晶片をセット、そして上部のボタンを押して叩き割る。
聖晶片はサーヴァントの霊基を変えるためのものだが、もう一つの使い方として莫大な魔力リソースを手に入れるためというものがある。
魔力が迸り、ベルトの機能によって安定化された魔力リソースが足に集中する。
「必殺技と言えばキックって相場が決まってんだよ!はァっ!!」
二人同時に飛び上がり、空中で身をひねりキックの姿勢をとる。
「これで…終わりだァァァーッ!!」
「んなわけねぇだろうがァァァァ!!!!!!!」
しかし、現実はそこまで甘くなかった
怪物が腕を振るい叩き落とされてしまう。
だが
「タダで終わるもんかよ!!」
暮馬は足に充填された魔力を急遽手に移動。
その力をこめ、怪物の鳩尾めがけ己の武器を投げつけたのだ。
「ぐ…うぅ!!」
魔力ブーストのかかった全力の投擲。
武器は見事に突き刺さった。
「やれ!!リク!!後は任せた!!」
はたき落とされ、地面に叩きつけられた暮馬。
吐血しているのも気にせず、彼は全力で叫んで全てを陸に託した。
そう、彼は運良く叩き落とされずにいた。
「そんじゃあオマケだ…!」
俺もただ見てるだけにはいかねぇ。
「おっきー!蝙蝠だ!!」
「りょーかい!!」
銃をかまえ、おっきーに折り紙の蝙蝠を出すよう指示。
怪物の周囲を飛び回る蝙蝠。
銃をかまえる俺。
この銃、DTマグナムにはおっきーの折り紙とリンクする機能がついている。
折り紙蝙蝠達から相手に関するデータ、情報、そして様々な状況がこの銃に送られ、最適な撃ち方を算出してくれる。
その名も
「オサカベ・バットスナイプ!!」
放たれるいくつもの弾丸。
それらは蝙蝠達の超音波を受け、多少の軌道修正も可能。
そして弾丸は全て
「がっ…がああああーッ!!!!!」
突き刺さった武器の柄に全て命中。
つまりはより深く突き刺さったのだ。
「お膳立ては完璧だ!!やれ!!」
「…よし!」
威力は充分、覚悟はとうに出来ている。
陸は全身全霊のキックを、怪物の腹にぶち込んだ。
「あああ!!!ああああああああぁぁぁ!!!!!」
押し込まれる剣。身体中に電撃のように駆け巡る魔力。
「これで…本当に終わりだあああぁぁぁぁーッ!!!!!」
より一層力を込め、彼の全力のキックは身体を貫通。
怪物の後ろに着地し、ワンテンポ遅れて陸のそばに暮馬の剣が突き刺さると、怪物は大爆発を起こした。
「そんな…そんな…そんな!!ありえねぇ!!!こんなのありえるわけが!!ぐああああああああぁぁぁ!!!!!!」
すっげぇ爆発…。
何はともあれ、怪物は倒された。
「終わった…。」
「リク!!」
ふらつく陸。そんな彼に暮馬が駆け寄る。
「やったな!」
ボロボロになりながらも、怪物を打ち倒した陸に暮馬は笑顔でサムズアップを送る。
「…ああ!」
彼もまた、サムズアップを送り返した。
さて、
「ほんと…見るに堪えない姿になったものね…。」
爆散し、無惨な姿と化した怪物。
顔だけになった怪物にステンノはゆっくりと近付いた。
「…■■…。」
「そう。苦しかったでしょうね。でももう安心よ」
微かだが、怪物は口を動かしてなにか喋っている。
苦しかった?まさか…まだメドゥーサとしての意識が残っているのか?
「…。」
「へぇ…そう。」
メドゥーサの声はここからでは聞こえない。
いや、聞かなくていいだろう。
何せ姉妹同士の会話だ。俺らのような部外者が入っていいものじゃねーしな。
「ほんと…可愛くて仕方の無い妹…。」
ステンノがメドゥーサの頬を優しくさする。
するとどこか満足気な表情を浮かべ、怪物だったメドゥーサは灰となり、風に乗って霧散した。
「…。」
空を見上げるステンノに通常の霊基に戻った巴御前が歩み寄る。
「これにて…終焉ですね。」
「いいえ、まだ終わりではないわ。」
振り向くステンノ。
その目が見るのは、そう
「あいつ…!!」
ギリギリで融合を解除することにより、爆発から逃れた丹下。
彼は今船に乗り、エンジンをかけようとしていた。
あと融合してたせいかな。全裸なんだけど。
「へへ…へへへへ!まだだ、まだ俺は終わらねぇ!!」
歪んだ笑顔のまま、彼は嬉々としてエンジンをかける。
「俺は代表に気に入られてる!つまりはまだチャンスはある!もう一度やり直せる!まだ…世界を見られるチャンスはある!!」
操作盤を押し、彼はこちらに向かって走ってくる一同に捨て台詞を吐こうとする。
が、
「か…かは…あ?」
口が、動かない。
どうしてだ?首も動かない。
それどころか手も、足も、
しきりに目を動かし、ミラーに目がいく。
そこには
「…!!」
ほぼ石化している自分の姿が映っていた。
「!!…!!!!」
皆が走ってくる中、1人だけ立ち止まってずっとこちらを見ている者がいる。
(あの…クソアマァァァァァ!!!!!)
ステンノだ。
逃げようとも、ステンノの石化の魔眼だけは逃れることは出来なかった。
船には乗れた、だがもう身体は動かせない。
そうしている間にも石化は進行し、もう自分は石像となり始めている。
(嘘だ…嫌だ!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!)
最後に見えたのは、こちらに向かって矢を放つ巴御前。
(死にたくない!!どうして俺が死ななきゃならない!?嫌だ!これじゃ俺は…代表の世界のその先を…見ることが出来ない!!!)
火のついた矢は見事に船に突き刺さる。
やがてそれは燃料に引火し、大爆発を引き起こした。
「ゲス野郎にはお似合いの最期…だな。」
「ああ、あいつ…代表の作る世界の先が見たい…なんて言ってたよな…。」
黒煙を上げながら沈みゆく船を見て、陸はそう呟く。
「だったら見てろよ。お前の思いどおりにならなかった世界を…水底からな!」
⚫
(死なない!なんで!?どうして!?)
石化した丹下。
しかし彼にはまだ意識があった。
(爆発に巻き込まれたのに!?こうして海に沈んでいるのに!!なんで!?俺は!?)
女神のいたずらか、彼の"心"だけは石化していなかったのだ。
爆発も石化していたからこそ無事で済み、そして今、自重に任せてどんどん湖の底へと沈みつつある。
(まさか…俺は…一生このまま…?)
身体は指一本動かせない。
視線が捉えるのは水越しの太陽
しかし、それもだんだん見えなくなり、冷たく暗い湖の底へと落ちた。
(生きることも…死ぬ事も出来ない…いやだ!死なせてくれ!!一生このままなんて嫌だ!!誰か誰か助けてください!!いいや!ころして!!ころしてください!!おねがいします!!こんなじんせいいやだ!!れんさま!ねろ!おれをころしてください!!だれか!!だれかぁ!!!!)
死んだように生き、生きているように死んでいる。
女神のきまぐれは彼に残酷すぎる余生を与えた。
そのうち彼は死のうとしても死ねず、いずれは発狂し、
誰にも気付かれぬまま、石として一生水底で生き続けるのであった。
後書き
かいせつ
⚫水着巴御前VRゲーマーX
暮馬の持つベルト、『マスタードライバー』を用いて転身する巴御前のもう一つの姿。
要は水着。あと聖晶片フツーに砕いた方が早くね?とか別に変身すんの巴御前だしお前ポーズ決めなくてよくね?と言ってはいけない。
それが彼のこだわりなのである。
数々のVRゲームのトロフィーをコンプリートし、また柳生宗矩から新陰流を伝授してもらうという数々のサブイベントをこなす事で入手出来る別霊基…らしいが別にそんなことしなくても普通になれる。
修行の果てにゲットする。
それが彼と巴御前のこだわりなのだ。
⚫マスタードライバー
暮馬の持つベルト。聖晶片を割る以外に装着したものの身体能力を向上させるという効果がある。
魔力の流れをサポートし増加させる機能も持っているため、劇中にて無茶な魔力の使い方をする陸を心配し、一時的に彼に貸し与えた。(ベルトは延長できるから太った人でも大丈夫!)
これを作り出したのも弓張町にいる自称天っ才物理学者犬飼によるもの。
ベルト型のアイテムを作って欲しいと言う暮馬のリクエストにお答えし、苦悩と困難の末割と最近完成した。
予定ではブレスレットタイプなどに簡略化し、武器と共に量産する見込みとのこと。
⚫DTマグナム
童貞マグナムじゃない。ディテクティブトリガーマグナム。
見た目は銃身が四角く、少しゴツめの印象を受けるリボルバー。
まーちゃんは狙い撃つことよりも早撃ちに優れているため、見た目の割にかなり軽い。
撃つ際の衝撃も非力な彼を考慮し、最小限にまで抑えられているが威力はサーヴァントでも多少痛いと感じさせるほど。
一応リボルバーなので弾倉はあるがこれはあくまで"スイッチ"であり、回した回数によって撃てる弾が変えられる。
弾は実弾ではなく魔力で生成されたゴム弾。
なので理論上は弾切れは起こさず、リロードというガンマン特有の隙もない。
モリアーティに制作を頼み、巨額の投資をしてようやく完成。
ハードボイルドな探偵に似合う、黒光りする銃身に銀の装飾が施されたシックなリボルバーに仕上がった。
(装飾にはなんのタクティカルアドバンテージも以下略)
さらに劇中ではまだ明かしていないギミックがまだまだあるとのこと。
⚫まとめ
終わりました!
今回はサーヴァントよりマスターが活躍すると言った感じに仕上げてみましたが、どうでしょうか!?
それはともかくとして次回はお約束のエロ回です!
よーし!頑張るZO!!
最後にこれを読んで崩壊世界シリーズを書きたいなーなんて思ってる読者の方々!
思い立ったら書くんだよ!!あくしろよ!!
それでは次回もお楽しみに。
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