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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
最終章へと向かうその前に…
  水・着・勢・揃(後)

 
前書き
続きとなります。
 

 
数分前のこと

「それじゃあ北斎さんの次は私ね。行ってくるわ!あなた!」
「ああ、行ってらっしゃいマリー。」

いってきますのキスを交わし、水着にチェンジしたマリーはご機嫌に舞台へと上がっていく。
しかし、途中で彼女は振り返ると、

「ねぇ、おっきー。」
「え?」

隅っこにいるおっきーに駆け寄り、優しく話しかける。

「どうしても出ないの?」
「で、出ないよ!水着になったら筋肉痛になるんだよ何故か!」
「そう…それはとても辛いのね。」

やはり一緒にステージに立ちたいのだろう。
マリーはおっきーを説得するつもりなのだろうかと思ったが。

「無理強いはしないわ。でもここに来た人達は絶対、あなたの登場を楽しみに待ってる。それだけは忘れないでいて。」

そういった無理矢理連れていくということはせず、それだけ言うとステージへと駆けて行った。

「…。」
「あんなん、出ろって言われたようなもんだよなぁ?おっきー。」
「マ、マリーちゃんに言われたって…!ひ、姫は出ないからね!絶対に!!」
「ふーん、そう。」

さて、これで水着サーヴァントは出切った。
後はおっきーが美しくトリを飾らなきゃいけないわけだが、それでも彼女は出ないと意志を固めている。

「この後シナリオ通りなら、刑部姫さんが出るんですよね?」

確認のためか、ステージを映す液晶を見ていた子ギルが俺に尋ねる。

「まぁ、そうっすね。あーでも実はその前にゲストがいまして…。」
「あぁ、そうなんですか。じゃあ面白くするためゲストもう1人増やしましょう。」
「…え?」

なんつったこのこどもスポンサー。

「シルク・ドゥ・ルカンにはジャンヌと対になるヒーローがいることを、探偵さんはご存知ですか?」
「なにそれしらない」

キュア☆おっきー以降、様々な水着サーヴァントが会場でデビューした事は知ってるが…
ヒーロー?
ということは男か?

「もしかして…」
「僕じゃありませんよ。水着ありませんし。でも今年こそは夏イベントで霊衣もらいたいですけどね。」

そういって子ギルは指をパチンと鳴らす。
王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)伸びてきた鎖は

「えっ!?な、なに!?」

死んだ顔をしていた弟くんを拘束した。

「出番ですよ。」
「なんの!?」
「マスク・ド・ルカン。」
「!!!」

謎のワード、マスク・ド・ルカンを聞くと弟くんは顔色を変え猛烈に抵抗を始めた。
なんだよマスク・ド・ルカンって

「さぁ出番ですよ。お姉ちゃんの為に頑張りましょうか。」

変なマスクを取りだし、じりじりと近寄るギルガメッシュ。
その笑顔はとてもにこやかだった。
まだ子供なのに人の嫌がること好きな愉悦野郎なのな。

「探偵さん!助けて!」
「いや、いいかもな。」
「何が!?」
「男のヒーローが出ることで、この後やってくるゲストもいくらか出やすくなるだろーなーと思ってな。俺はギルガメッシュの意見に賛成するぜ。」
「そんな…!」

大和もYES NOTシャツのNOの部分を指し、助けを拒否している。
この場において弟くんに、味方などいない。

「大丈夫ですよ弟くん。改良したので肉体にかかる負荷も以前ほどではないですので。」
「肉体の問題はこの際どうでもいいです!!問題なのは精神面なんです!!アフターケアなんです!!」
「大丈夫ですよ。大好きなお姉ちゃんもベタ褒めだったじゃないですか。ほら、心の準備してください。」
「いやだ…いやだーっ!!!!」

鮫を模したようなマスクを目元に装着される弟くん。
猛烈に首を振って拒絶していたあたり本当に嫌だったのだろうか。
しかしそのマスクを付けるなり弟くんは大人しくなる。
鎖の拘束も解け、自由になった弟くんはスッと立ち上がると…。

「私の名は…マスク・ド・ルカン…。」
「は?」
「行かねばならない…キュア☆ドルフィンを救うために…!」

え…誰この人…。
ホントに弟くん?

「お、弟くん?」
「今の私はマスク・ド・ルカン。ジャンヌの弟ではない。」

マジで誰だよコイツ。

「雰囲気がガラリと変わった。まるで歴戦の兵士のような…まさか仮面に秘密が?」
「正解です。武蔵のマスターさん。」

弟くんの半端ねぇ変わりように大和は思わず口を開く。
その通りだと答える子ギル。

「あの仮面は一種の礼装みたいなものでして。装着した者をマスク・ド・ルカンに強制的になりきらせます。」

こえーよ。

「さぁ行きましょうマスク・ド・ルカン。上ではキュア☆ドルフィンがピンチですよ。」
「ああ。」

そういい、マスク・ド・ルカンは凄まじい速さで駆けて行った。
なんでも、あの仮面は身体能力を向上させる効果もあるらしい。
副作用もデカいらしく、あれを初めて使った後の弟くんはまさに水着になった後のおっきーのように、全身を動かせなくなったとか。

「それじゃあ俺も行ってくる。」

そして続けざまに何故か広海さんも駆けていくではないか。

「え、広海さんも?」
「マリーの応援に行く。」

それだけ言い、走っていった。



「憎い…!憎いィ!!!わざわざ向こうからやってきたとはなんたる僥倖ッ!!!!!マスク・ド・ルカン!!!ここが貴様の墓場だァ!!!!!」
「え?落ち着いて、落ち着いてジル殿。あくまで演技ですからな?ね?ね?」

宿敵らしいマスク・ド・ルカンを目の前にし、プレラー・Tは感情を剥き出しにし新たに触手を召喚。
夥しい数のそれはうねうねと不気味に動き、尚も数を増やし続けていく。

ねぇ、これ演技だよね?そうなんだよね?
よく知らんけど私情混じってないよね?

「墓場…か。なに、棺桶なら予約してあるさ…お前用のだがな。」
「……!!!!!!!!!」

マスク・ド・ルカンの煽りにプレラー・Tは声にならない声を上げ、触手に指示を出す。

「殺し尽くせぇぇぇぇ!!!!」
「フッ!」

叩きつけられる触手。
しかし彼は寸前で飛び、さらに襲い来る触手達に次々と飛び乗っていくでは無いか。
ギルガメッシュの言った通り、身体能力は格段に向上しているというわけだ。

「どうしたプレラー・T。私はここだぞ。」
「ンヌゥゥゥゥ!!!!!!」

もはや暴走に近いぞプレラー・T。いや、ジル。
こんな大変な事になるならマスク・ド・ルカンなんて出すんじゃなかったよ!!


あれ?
マスク・ド・ルカン出そうって言ったの誰だっけ?

「ジル殿!!もう少し落ち着こう!これあくまでショーだから!」
「お黙りなさい!!!そもそも私の目的は偶然の事故に見せ掛けマスク・ド・ルカンを葬る為!!この時を!どれほど待ちわびたか!!!!」
「コイツやべー事サラッと言いやがりましたなーーー!!!!逃げて弟くん!!こいつヤバすぎですぞ!!!!」

私情絡みまくってるわ。
ブラックバード様さすがに焦ってるわ。

「ならば…倒すまで!!」

しかし事情を知ったとてショーは中断しない。
皆思ったのだろう。あくまでこれをショーとして続行し、観客に満足してもらおうと。

「出禁の武蔵!!」
「はい?」

危機的状況を察してか、観客席の方にはいつの間にか大和が。

「こいつを使え!! 」
「えっ、なにこれ。」

投げ渡されたのは黄金の杯、聖杯。
…ではなく、それっぽく作られた作り物。
上には蓋がされており、それを開けると中からは湯気が
その中身とは

「うどん!?」
「そう、うどんだ。」

戸惑う武蔵、
だが彼女はヒロインショーにおける自らの設定を思い出した。

「ええ!そうだったわね!それじゃあ頂きます!!」

付属の割り箸を手に取り、暖かなうどんをすする。
するとどうだろうか、

「霊基再臨…だとォ!!!!!」
「なんだあれは…!まさか仙女様だったのかい!?」

星条旗ビキニではなく、白と青を基調とした水着へと変化。
得物もガンプレイドから、身の丈ほどもある細身の大剣へと変わった。
その格好はまさに北斎の言う通り、仙女を彷彿とさせた。

『あれぞまさに出禁の武蔵の究極形態!!うどんを食べることにより限定的にパワーアップするのだ!!!その名も!超出禁の武蔵!!!』

滅茶苦茶出禁くらったみてーな名前だな。

「名前は些か気に入らないけどそれはそれ!さぁ、涼やかに、舞うように斬り結びましょう!」
「さぁ!みんなで出禁の武蔵を応援するんだ!武蔵ーーーー!!!!!」

結局お前も応援したいだけなんじゃねーの?

「お栄ちゃぁぁぁぁん!!!」
「マリィィィィィーッ!!!」
「武蔵ィィィィィーッ!!!」

だから張り合うなよ。

「ぬぅぅ!こうなったら拙者も最後まで悪役を演じ切るまで!役者魂がごうごうと燃えてますぞぉ!!!!」

黒髭もまた、これをショーとしてと押し切ることを決意。
ブラックバード様として、彼らに立ちはだかるのであった。

「マスク・ド・ルカン!ここで会ったが100年目!!血祭りにあげてやるぜぇ!!」
「フ…来い!ブラックバード!!」

ブラックバード様は駆け、マスク・ドルカンも駆ける。
ぶつかり合う両者、交差する拳。
ニチアサヒーローさながらのアクションだ。

そして

「マスク・ド・ルカン!このままブラックバード様共々押し潰してくれる!!!」
「そうは…!」
「させるかヨ!!!」

ブラックバード様を巻き添えにしてでも弟くんを葬りたいジル。
しかし推し潰そうとした触手は北斎と武蔵が真っ二つに。

「折角の正々堂々一対一の決闘でい。邪魔するってのはどうかと思うナ!!」
「そ、出目金さんは私達と遊びましょ?」
「デ…デメキンだとぉ…!!!!」

まさかの金魚呼ばわり。
さて、2人が頑張る中主役のお姉ちゃんはというと

「弟くん…♡」

さっきからずっとこの調子なのだ。
弟くん扮するマスク・ド・ルカンが現れるなり見惚れ、まさに魅了にかかりっぱなし状態。

「最高です弟くん。別にピンチではありませんがお姉ちゃんを助けに来てくれたんですね…!」
「あのぅ…。」
「え、あ、はい!?お姉ちゃんです!」

肩をキューティーパープルにトントンと叩かれ、お姉ちゃんはやっと我に返る。

「ブラックバードは任せるとして、私達は私達で、あちらを片づけましょう?」
「ええ、そうですね!」

加勢してあげたいがマスク・ド・ルカンにはマスク・ド・ルカンのルールがある。
お姉ちゃんは弟くんを尊重し、キューティーパープルの言う通りまずは邪魔をするプレラー・Tを片付ける事にした。

「弟くんも頑張ってるんです!お姉ちゃんも頑張らないと!!」

そうして、第三再臨へと変身を遂げ、光の輪をまとう。
なにあれ…スターゲイザーかな?

「さぁプレラー・T!なんだかさっき聞き捨てならないことを聞きましたよ!!」
「なっ…!ジャンヌ!?」
「偶然の事故に見せかけて弟くんを葬る?そんなのお姉ちゃんが許しません!!!」

そういい、襲い来る光の輪。
いろんな思いが載せられた輪はいつもより切れ味は良く、次々と触手を切り落としていった。

「違いますジャンヌ!違うのです!!あれは気の迷いといいますか…そう!つい勢いに任せて口に出てしまったのぐはぁ!!!」

問答無用。
そう言わんばかりに彼の顔面にバレーボールが炸裂した。

「すごくいい狙いよ!キューティーパープル!今度一緒にビーチバレーをしましょう?」
「王妃様にお褒め頂く上にお誘いなんて…香子、光栄です。」
「そんなの気にしないの!今は同じヒロイン同士。身分なんて関係ないわ!」

キュア☆マリーが投げ上げたボールをキューティーパープルがスパイクでプレラー・Tの顔面にぶつけたようだ。
にしても紫式部…バレーボール似合うよな。

「なんかいいよね。ママさんバレーの人みたいな背徳感あってさ。今度ブルマでも着せよっか。」

ショーをR-18にしかけたおめーは黙ってろクソレズ。

「…。」

さて、場所は移り変わり控え室。
そこでは思いが揺らぎ始めるおっきー。
もうひと押しって感じだな。

「よし。」
「え、どこいくのまーちゃん。」

カバンからあるものを取り出し、俺は控え室から出ていく。

「ちょっと野暮用だよ。ま、お前はじっくりショーの様子でも見ててな。」

取り出したもの…隣町の暮馬からもらったベルト、マスタードライバーを腰に巻き俺は階段を上がっていく。
マスタードライバー。
ただ聖晶片を砕くためのアイテムではなく、装着者の身体能力を向上させる機能がついている。副作用はナシ。
え?なんならこれ弟くんに渡せばよかったって?
生憎一つしかなくてな。
それにこれは今から、

「どうやら"切札"は…常に俺のところに来るようだぜ…!」

俺が使う。
あ、最後のは言ってみたかっただけ。



「ハァ!」
「なんのこれしき!!」

ヒロイン達がジルを抑えている中、
ブラックバード様とマスク・ド・ルカンの戦いは熾烈を極めていた。
一見互角に見える戦い。
だが、

「くっ…!」
「おいおいどうしたマスク・ド・ルカン?」
「貴様…一体何を…!」

彼は、徐々に劣勢になっていた。

「聞かれれば答えてやろうか?俺様は今までの俺様とは違う!言うならばネオブラックバード!今まで倒されてきた奴らの怨念を取り込みパワーアップした究極の姿だ!」

見た目に変化こそないが、ブラックバード様はパワーアップしたのだと言う。

「そしてついさっき!メカクレスキーの怨念を取り込みまさに無敵となった!今の俺様の強さは1万の軍勢を相手してるのに相当するぜぇ!!」
「なんだと…!?」

そう言われると確かに、ブラックバード様改めネオブラックバード様の周囲にはいかにもダークな感じのオーラが溢れ出ていた。

「へっへっへ…聞こえるかマスク・ド・ルカン!貴様やキュア☆ドルフィンに倒されてきた者の"声"がよぉ!!」
『メカクレェ…メカクレェ…!!』

一個人の怨念が強過ぎる。

「さぁて、最後に言い残すことはあるか?俺様は優しいからキュア☆ドルフィンに伝えておいてやる。」
「あるわけ…ない!」
「そうか…なら死にやがれ!!」

ネオブラックバード様の蹴り。
ただの蹴りだがその威力は凄まじく、とっさに両腕をクロスさせガードきた弟くんは吹き飛び、無残にもバランスを崩し倒れてしまう。

「強い…!」
「マスク・ド・ルカン!これで終わりだァ!!」

フックがギラリと光り、ネオブラックバード様はこちらに向け走ってくる。
このままでは負ける。
そう思った時だ。

「待ちな…。」

一陣の風が吹く、
フックは、マスク・ド・ルカンの心臓を貫くことは無かった。

風と共に現れ、間に割って入った何者かがフックを掴んでそれを止めたからだ。

「お前…お前は!?」
「俺の名前は…仮面探偵、ジョーカー…。」

メキメキという音を立て、フックが握りつぶされる。
そう、ヒーローのピンチに駆けつけるのは、また別のヒーロー。
帽子を被り直し、マフラーをたなびかせる黒いスーツの男。
その名は仮面探偵ジョーカー。
正体は、

「えっ?」
「ま…まーちゃん!?!?!?!?」

俺だ。

「ウォラ!!」

回し蹴りでネオブラックバード様を退け、後ろにいるマスク・ド・ルカンに手を差し伸べる。

「大丈夫か。マスク・ド・ルカン。」
「すまない…ジョーカーと言ったか?」

彼を助け、俺達二人はこうして並び立つ。

「くそぉ…!ジョーカーだかなんだか知らねぇが今の俺には勝てるわけねぇ!二人まとめてあの世へ送ってやらぁ!!」
「さてな…あの世へ送られるのはどっちだか。」

そうして俺こと仮面探偵ジョーカーは黒髭を指さし

「さぁ、お前の罪を…数えな。」

ずっと前から言いたかった決めゼリフを言い放つのであった。

「罪なんぞ!数え切れないくらい侵してきたわァ!!」
「やるぞマスク・ド・ルカン。」
「しかし、今のブラックバードは…!」
「関係ねぇ。俺達二人が力を合わせれば、たかが怨念ごときなんともねぇよ。さぁ、ハードボイルドにキメるぜ…。」

互いに頷き、駆ける。

「野郎…!!たかがふたりごとき…!」
「探偵パンチ…!」

駆けながら腰の横にあるスロットを押すと、『マキシマムドライブ!』という音声と共に右手にエネルギー的なモノがたまる。

「行くぜマスク・ド・ルカン!」
「ああ!」
「お熱いの…かましてやるか!!」

ネオブラックバード様のパンチをかわし、二人同時に鳩尾へと拳を叩き込む。
まともにくらったネオブラックバード様はその威力に耐えきれず、衝撃の余波でズザザと後ずさった。

「なんだ…何だこの力は…!!」
「いくら怨念が集まったとて、俺達ヒーロー二人には到底及ばねーんだよ。覚えとけ!」

もう一度スロットを押すと今度は右足にエネルギーがたまっていく。

『探偵!マキシマムドライブ!!』
「これで決まりだ…!」

マスク・ド・ルカンもまた、必殺技の予備動作に入る。
手をちょうどピストルのような形にし、怯んでいるネオブラックバード様に向け、

「ハッ!」

ガンドを撃ち放つ。
見事に命中した黒髭は身動きがとれなくなり、その場に貼り付けられたかのようになった。

「か、身体が…動かねぇ…!!」
「これで終わりだ!ネオブラックバード!!」


二人同時に地を蹴り、高く飛び上がる。

「探偵キック…!」
「マルトゥー・ド・ルカン!!」

マスク・ド・ルカンは展開された光の輪を潜り、亜光速ともとれる速さで、
そして仮面探偵ジョーカーは紫色のエネルギーをまとい、二人は必殺技のキックをネオブラックバードに叩き込んだ。

「そんな…この俺様が…そんなバカなぁぁぁぁぁーッ!!!」

爆発。
悪役のお約束とも言える最後だ。
でも黒髭は死んでないよ。大丈夫。
まぁ仮に死んでたとしてもガッツで耐えるでしょ。

「やったな…。」
「ああ。」

着地し、握手する二人。
だがショーはまだ終わってはいない。

『見事ネオブラックバードを倒したマスク・ド・ルカン!仮面探偵ジョーカー!しかし悪は途絶えていない!まだここに!1人の邪悪なるものが残っているぞ!!』
「ぬぅぅぅ!!許すまじマスク・ド・ルカン!!神聖なるジャンヌの隣に立つまでに飽き足らず!!よもや虜にするなど!!許せぬ!許せぬぞこの匹夫めがぁぁぁ!!!!」

たった1人になろうとも自らの悲願を成し遂げようとするプレラー・T。
ここはもう全員で袋叩きにすれば勝てるがここはあえて

「ジョーカー!」
「ああ、このままじゃダメだ。」

勝てないことにする。
いや、ある人がいないと勝てないことにする。

「あいつを倒すにはあの"必殺技"でなければ倒せない。」
「けど…"アレ"を使うのには…メンバーが1人足りねぇと来た…!」

プレラー・Tはとある必殺技でのみ倒せる。
しかし、その必殺技を使うのには人数がちょうどあと一人足りないのだ。

「そうです!私の妹の一人!あの人がいないとできません!」
「妹の一人!?キュア☆ドルフィン!それは一体誰なんだ!?」

マスク・ド・ルカンがわざとらしく聞く。
もう知っていることなんだけどね。

「ああ、俺の相棒だ。」
「相棒?」
「お前とキュア☆ドルフィンのように、俺にも相棒のヒロインがいるのさ。」
「じゃあその相棒はどこに…?」

数歩歩き、観客に向け俺は両手を広げる。

「という訳だ!!俺の相棒を呼ぶにはちょっと皆の力を借りたい!!」

観客達も勿論知っている。
これから誰が来るのか、
誰を呼ばなきゃならないのか、
そもそも宣伝しまくったんだ。当然その子目当ての観客がたくさんいるに決まってる。
さぁ、呼ぼうぜ。

「さぁ!引きこもりのお姫様を呼んでやろうぜ!!ご唱和下さい!姫の名を!!せーのォ!」

「「「「「早く来てーっ!!キュア☆おっきー!!!!!」」」」」

観客が1つとなり、全員が彼女の名前を呼ぶ。
さぁて、お前にはこの期待を裏切れる度胸はあるか?
ないよな?
サーヴァント全員が出て、さらにはマスターである俺も出場した。


「みんな出てるし…まーちゃんも出てる…こんなの…こんなの!!

もう姫が出るしかないじゃん!!!!!」

そうして彼女は、表舞台へと飛び出した。

「よくやった。」

マスタードライバーのバックル部分に聖晶片をセットし、スイッチを押して叩き割る。

「さぁ来い!キュア☆おっきー!!」

触手達にまるで雨あられのごとく降り注ぐ銃弾。
蜂の巣状態となり、最後にとどめのロケット弾を撃ち込まれ爆散。
その爆炎をバックに降り立ったのはそう、

「キュア☆おっきー!只今参上!!!!!」(やけくそ)

まちかねたキュア☆おっきーだ。

「また新手!?しかしその程度では」
「させない!」

キュア☆おっきーは両手のマシンガンを投げ捨て、ライフルをかまえる。
狙うはプレラー・Tではなく。

「そこっ!」

彼の手にある、触手達を無尽蔵に生み出せる宝具、螺湮城教本(プレラーティーズスペルブック)だ。
射撃においては右に出る者はいないキュア☆おっきーの命中精度は正確であり、見事にそれを撃ち抜いた。

「なっ…!」
「どうだ!!これでもう気持ち悪いのは出せないでしょ!」

螺湮城教本は撃ち抜かれ、塵となって消える。
今召喚された触手達も魔力の源を失い、どんどん弱っていくではないか。

「キュア☆おっきー!来てくれたんですね!」

そうした活躍を見せた後、おっきーにジャンヌやその他ヒロイン達が駆け寄る

「来てくれるって信じてたわ!キュア☆おっきー!」
「だ、だってあそこまでされたらもう出るしかないじゃん…。」
「でも良かった!」

マリーに手を握られるおっきー。
観客席も大いに盛り上がっている。

「キュア☆おっきーが帰ってきたぞ!」
「やっぱすけべだなぁ!!」
「色んなヒロイン出たけど俺の推しは昔から変わんねぇからなキュア☆おっきー!!」

さぁ、これで役者は揃った。

「行くぜ…相棒。」
「おっけー!もうこうなったらやけくそだもんね!!」

後で筋肉痛になろうがどうなろうがもう関係ない。
おっきーの目には確かにそう言った覚悟があった。

「で、まーちゃん。」
「仮面探偵ジョーカー。」
「そ、そうだね…ジョーカーだね…というわけでジョーカー、あの目ん玉飛び出てる悪役を倒すにはどうしたらいいの?」
「ああ、あいつを倒すにはヒロイン全員の力を集結させることが必要だ。」

じゃあ全員で必殺技を叩き込む。
それは違う。

「それじゃあよろしく頼むぜ…キュア☆マリー。」
「はぁい!」

全員の視線がキュア☆マリーに集まる。
彼女が掲げているのはバレーボール。
しかしそれは黄金に輝く、いつもとは違う特殊なバレーボールだったのだ。

「これを使ってみんなの力を1つにするの!そーれっ!」

マリーがトスし、ボールが高く打ち上がる。

「なるほど!つまり全員でトスすればいいわけね!!」

飛び上がった武蔵がボールを受けとり、次なる人物へと回していく。

「お栄ちゃん!!」
「合点だ!!」

滑り込むようなスライディングでボールをギリギリキャッチ。
彼女もまた次へとパスを回していく。
しかし

「そのようなこと…させるかぁぁぁ!!!!」

この悪役は、必殺技を待ってくれるタイプではなかった。

「縛り付けてくれる!!」
「キューティーパープル!あぶない!!」

またキューティーパープルが触手の餌食になってしまう。
誰もがそう思った時だ

「来い!!」

マスク・ド・ルカンがそう叫ぶ。
するとプールから巨大な影が飛び出し、迫る触手を噛みちぎったのだ。
その巨大な影とは

「よくやった。リースXP!」
「あそぼ」

鮫だ。
夏イベントでご存知の、あのリースXPである。

「私の相棒、リースXPだ。」
「あそぼ」
「お、おう…。」

無機質で真っ黒な目が俺を見据えてくる。
いやこえーんだけど。

「次、お願いします!」

さて、必殺技妨害というタブー中のタブーをなんとか乗り切り、紫式部にボールがまわり無事トスをする。

さぁ、残りは2人のエネルギーのみ。

「行きますよキュア☆おっきー!二人同時にパワーを送り込み、プレラー・Tにキツいお灸を据えてあげましょう!」
「え!?同時!?」

キュア☆おっきー、
キュア☆ドルフィン。
偶然にも、トリを飾るのは最初に誕生した2人のヒロインだった。

「タイミングを合わせてください!!」
「わ、わかった!!」

落ちてくるボール。
二人同時に飛んで強烈なスパイクを叩き込む。
だが、悪役というのは常に諦めが悪い。

「おぉ…!ジャンヌ!!ジャンヌぅう!!!」

再び伸びる触手。
リースXPにいくつか噛みちぎられたとはいえ、それらはまだまだ健在だ。
しかし

「大人しく…おねんねしてな!!」

この俺、仮面探偵ジョーカーが腰のホルスターから素早く銃を抜き、おっきーに迫る触手達をほぼ同時に撃ち抜いていく。

「まーちゃ…仮面探偵ジョーカー!」
「礼はいらねーよ。さぁ、くらわせてやれ!!」

みんなの力が込められたバレーボール。
それを二人同時に残りの力を叩き込み、


「「ダブルアーチャースパイク!!」」

渾身のスパイクをおみまいしてやった。

「ありえない!!…こんな事が…!!おのれ…おのれぇぇぇぇえーッ!!!!!!」

断末魔の叫びとともにプレラー・Tは大爆発。
今までで1番ド派手な爆発だけど多分死んでないでしょ。

「勝ったな…。」
「ああ。」

さて、ヒーロー二人はここで退場。
あくまで今回の主役はヒロイン達。
俺達はあくまで彼女らを助けるだけ。所謂タキシード仮面的なポジションだ。

なに、またヒーローは現れるさ。
このイルカショーで、観客を泣かせるような人がいればな。

『勝った!!だがしかし悪は完全に途絶えてはいない!明日も!そして明後日も奴らは懲りずに来るだろう!負けるなキュア☆ドルフィン!頑張れキュア☆ドルフィン!このシルク・ドゥ・ルカンの平和を守るために!!』

ジャガーマンさんのナレーションと共に、ショーは幕を閉じる。

「皆さん!今日は集まっていただき本当にありがとうございます!!!」

最後にジャンヌが観客席に向け手を振るファンサービス。
会場は拍手に包まれ、出演した他のヒロイン達も手を振り始めた。

「最初はどうなるかと思いましたが…やってみると案外楽しいものですね。」
「ええ、大和くんに勧められて出た甲斐があったわね。」

満足気の紫式部と武蔵。

「お栄ちゃぁぁぁぁん!かっこよかったよぉぉ!!!!!」
「マリィィィィィー!!!!1番輝いてるぞぉぉぉー!!!!」

「人前であんまり褒めんなっての…このばか。」
「みんなも…そしてあなたもありがとう!大好きよ!ヴィヴ・ラ・フランス!!」

各々が感想を述べる中、

「…ああ、姫、頑張ったんだ…。」
「ええ、出てくれて本当にありがとうございます。お姉ちゃんとしてこれは嬉しいです。」

大勢の観客から拍手を送られる。
ありったけの声援に包まれ、おっきーもまたなんとも言い難い満足感に包まれていた。


 
 

 
後書き
はんせい

まず最初に言わなければなりませんね。
他の作者様の舞台を勝手に私物化し、挙句の果てにはやりたい放題やってしまいました。
本当にごめんなさい。
でもこれいつかやりたかったんです。
去年の夏、紫式部の水着が出てから「よっしゃあ推し鯖水着オールスターヒロインショーやりたいぜ!」って思ってずっと温めてたネタなんです。はい。

⚫かいせつ

⚫マスク・ド・ルカン
シルク・ド・ルカンのヒーロー。
キュア☆ドルフィンとは対をなす存在であり、彼女がピンチの際どこからともなく駆け付けてくる。
リースXPは彼の相棒であり、幾度となく彼を助けてきた。
その正体は弟くん。
しかし仮面で自我を書き換えられている。


⚫仮面探偵ジョーカー
キュア☆おっきーを支える裏方的存在、というか相棒。
ハードボイルドに事件を解決する探偵の戦士。
たなびくマフラーは正義の証。帽子は一人前の男の証。
武器は徒手空拳がメインだが銃による遠距離戦もこなせる。
正体はまーちゃん。前々からヒーロー役というものをやってみたかったそうだ。
アクション監督、指導は弓張町の狩井 暮馬。

それでは最後に次回予告をして、終わりましょう。


次回予告!!


「彼らの居場所…私なら突き止められるかもしれません。」

「約束はどうした!?あいつらもう東京には入ってこれねーんじゃねーのかよ!!」

「頭が高いぞ悪魔、そして契約者共々!我らが王ソロモン=レン様のお通りである!!」

「許さない…!彼を…アストルフォを馬鹿にしたな…!!」

「そんな下品な言葉でしか女性を言い表せないなんて…アンタ最ッ低だな!!」

「完璧なサーヴァントなど居ない。そう、全てが産廃だった。いないなら作ればいい!そうして出来たのが彼だ!!!」

「なんだ、使えねぇ部下に頼らず最初からこうすれば良かったんだな。」

「おうおう派手にやられたのう。どうせこの世はあいつに支配される運命じゃ、今のうち飲め飲め。」

「言い換えればあいつにとって都合のいい展開ばかり…まるで主人公…そうか…分かった。分かったぜ!あいつの中にいるサーヴァントが!!」

『淫虐王S=レン/そして最終章へ…』

次回もおたのしみに! 
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