IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第252話】
前書き
遅れました
バトルって言いながらバトルじゃなかったり
ごめんなさい
実践訓練を終えた鈴音と俺は、走って一組二組合同グループに戻るが、やはり暑さの残る中のダッシュはかなりキツく、次からはグループ近くの上空で試合決着を決めようと心に誓った。
「さて、本来ならもう一戦クラス代表同士の戦いを見せたい所だが――凰の機体はさっき見た通り、有坂に衝撃砲一基破壊された為、細かくレギュレーション決めて試合をしなければならないのだが生憎そんな時間は無い」
眼光鋭く、いつも以上の威圧感を放つ織斑先生。
……破壊って言っても、一応セッティングすれば直る筈なんだが……まあ時間が掛かるから無理か。
「其処でだ。 専用機持ちで誰か代わりに模擬戦を行う者、誰か居るか? 自薦他薦は問わない」
……専用機持ちの模擬戦に拘るのは、多分展開の早さ的な問題だろう。
打鉄もあるが、色々セッティングしないといけないし、他にも手間がかかるから――と。
「はい」
グラウンドに響く声に、全員が振り向くと手を上げていたのは――。
「……篠ノ之か。 良いだろう、では前に出ろ」
「はい。 ……織斑先生、対戦相手ですが私が選んでもよろしいでしょうか?」
「……ああ。 自薦したんだ。 それぐらいの自由は許してやろう」
「ありがとうございます。 では――」
前に出た篠ノ之は、真っ直ぐと視線を逸らさずに対戦相手を見つめるのだが眼光険しく、睨み付けてる様にしか見えない。
そして、その対戦相手というのが――。
「……もしかして、私?」
その視線の先に居たのは未来だった。
まさか指名されるとは思っていなかったのか、きょとんとした表情のまま自分に指差す未来。
「……前に言っただろ。 模擬戦で決着をつけてやる――と」
篠ノ之の言葉に、頬に手を当てて記憶を遡る様に考え込む未来は――。
「もしかして、夏祭りでの話?」
「そうだ。 あの時の借りを、今ここで返す」
……言ってる事はかっこよく聞こえるが、確かあれって金魚すくいの話だよな?
途中参加の未来にフルボッコにされた挙げ句、自分の金魚は全部逃げられるというオチ付き。
「……いいよ? 断る理由も無いし、天照でちゃんと模擬戦するのって、これが初めてだけどね」
軽くウインクしながら前に出る未来に満足してか、静かに頷く篠ノ之。
「ふっ、前まではお前や他の専用機持ち達に全敗していたが私も専用機を手にした。 もう誰にも後れをとるつもりはない」
自信満々にいい放つが、忘れてはならないのは彼女は実力で専用機を手にした訳じゃなく、【姉がISコア製作者】という身内贔屓のコネで手にしたという事実――だが。
「篠ノ之さーん! 頑張ってー!」
「紅椿の力、見せてよねーっ!」
「……ああっ!」
声に力強く応える篠ノ之だが、残念ながら彼女達は篠ノ之に取り入って専用機を手にしたい子だという罠。
……涙ぐましく、篠ノ之の取り巻きの様に買い物に行ってはよいしょしたりしてるとか美冬が言ってたな。
……まあ倍率一万倍で入学して結局ISにあまり携わる事が出来ずに埋もれるぐらいなら、篠ノ之に取り入ってもしかすると姉に頼んで専用機をコア付きで作ってくれるかもと思うのは仕方ないのかもしれない。
本人がまた気付いてないってのがまた滑稽に思えるが、俺が言っても聞かないし、美冬未来の二人が言っても聞かないから後は一夏ぐらいだが……。
チラリと一夏を横目で見ると――。
「箒ー。 頑張れよー!」
「一夏……。 ……一夏の応援があれば、百人力だな」
一夏も気付いてるのか気付いてないのか全く解らず、呑気に篠ノ之にエールを送っていた。
今は篠ノ之よりも、未来の応援するかな……。
「未来。 頑張れよ? ……お前の実力、見せてやれよ」
「……うん。 ヒルト、ありがとね? 頑張るよ♪」
振り向き、左手は腰に当て、右親指をグッと立てて笑顔で俺に応えた。
「みぃちゃん! 頑張ってねぇっ!」
「おー? 未来ーっ。 頑張れぇー!」
「みぃみぃ、頑張ってねぇ~~」
そんな感じに未来を応援する声も聞こえる――因みに、美冬、宇崎、のほほんさんの順で応援されていた。
てかみぃみぃってもう完全に猫じゃん。
そんな応援に、恥ずかしそうにはにかみながら応えると、未来は天照を呼び出し、展開する。
白亜に輝きを放つ装甲に所々にあしらった鮮やかな蒼が、俺には眩しく見える。
一夏の白式と似た色だが、彼方は更に黄色も混じっているので別物だろう。
俺の村雲第一形態の時の様なハーフ・スキンタイプで露出は少ないながらもやはり女性らしいフォルムを保っているのが目に優しい。
……美冬の村雲も、同様のハーフ・スキンの所を見ると母さんは多分、絶対防御にそこまでの信頼はおいてないのかもしれない。
未来が天照を纏うと、直ぐ様篠ノ之も紅椿を呼び出し、その身に纏った。
「織斑先生、レギュレーション等の取り決めはどうしますか?」
山田先生が駆け寄り、織斑先生にそう告げると篠ノ之の眉が一瞬動く。
未来は軽く屈伸したり、腕を回したりと柔軟しつつも稼働域を調べてる様にも思えた。
「今回はレギュレーションの取り決めは無しだ。 ……そういう訳だ、二人とも準備しろ」
「「はいっ!」」
腕組みしたままチラリと横目で見る織斑先生。
それに応えた二人は、ほぼ同時に急上昇し、俺と鈴音同様上空八〇メートル付近で停止した。
二人の様子は、大型空中投影ディスプレイのお陰であらゆる角度から試合が見れる様になっている。
……技術って、凄いなと思う瞬間だ。
それと同時に先ほどの様に周囲をバリアーが包み込む。
触れてみると、やはりそのまま手が抜けるのでこれはこれでやはり技術の凄さ――というか、母さんの凄さが理解出来る。
これまでのバリアーだと、触れたら軽い電流みたいなのが走って不用意には触れなかったし、声も遮断されていたがこれは正直、声も届くし触れても電流走らないのがいい。
そうこうしてると、シグナルが点灯し始めた――。
後書き
って事で次回は未来対箒の対戦で
時間かかるかもですが
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