艶やかな天使の血族
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3部 公人と私人
14話 淫らなバスタイム
水菜との関係を愛妻にはまだバレていないエリオットは、別の宵に珍しく風呂場で妻を抱いた。
水に濡れた愛妻を後ろ側から優しく抱くエリオット。2人してバスタブの中で激しいキスに溺れている。
彼の手のひらが愛妻の身体にボディソープを馴染ませ丁寧に洗う。洗いながらきちんと花びらを弄る。
彼ら夫婦にとっては風呂場も愛の交換になり得る場所だった。
「それにしても……好きだね。アネット。このプレイ…?俺も好きだけどさ…ンンッ…」
「いつもベッドだけじゃあ…つまらないじゃない…ハアッ…ハアッ」
「確かに。ココは相変わらずよく濡れるね…君のココは…」
「ンンッ!んうッ!エリオット…」
淫らな音が風呂場に響く。
その度に刺激される、夫としての本能。
俺達はいつもそうだ。これに溺れると2人して周りが見えなくなる。これだけに夢中になる。大学生の時も、ジオニック社に入社しても、娘が産まれた時も、全部。
そこに水菜がきた。そして俺は雄に堕ちた。この性への欲望が彼女を前にすると抑える事ができない。俺はこんなに淫乱な男だったのだろうか?いや…今は。この人の前では自分はまだ淫乱ではないよな…アネット。
無意識なのか、意識的なのか、わからないキスを交わす。
「どうしたの…?エリオット…?」
「え…?」
「様子が変よ。考え事?」
「……ああ。考え事だよ。ただの…」
「ンンッ!んうッ!ねえ…エリオット」
「なんだ…?」
「最近…すごく情熱的ね…。特に最近…水菜さんが来てから、セックスが…」
「冷めているよりマシだろう?……やりたがりだからさ…」
アネットも気付いている。俺のセックスが激しさを増しているのを。
自分でもわからないんだよ。何故、こんなに情熱的なのか。俺の内なる悪魔が覚醒したとしか表現できない。
自分自身の年齢にしてみれば、盛り過ぎなのはわかっている。もう、かれこれ47歳。普通なら衰える頃だ。だけど、俺は、拍車がかかってくる。
そして、女にも、異様に目を付けられるようになった。
ジオニック社では俺は話題になっているらしい。魅惑的な容貌の男性だと。ナイスミドルと言われるのも嬉しい。しかし、魅惑的とは俺は思えない。
明後日の夜にはジオン国防軍とジオニック社とのパーティの夜だ。何が起きるのか。この手のパーティは相場はだいたい決まる。最後に待ち受けるのはコールボーイ紛いの夜。金の為に女を抱くのだ。
何かがおかしいと思う。俺は単なる技術屋だ。身体を売る男ではない。でも。違う。ジオン公国には魅惑的な男も女も等しく人材不足なのだ。技術屋まで連れて来ないとならない程、人材不足なのだ。
でも関係ない。今はこの人のたった1人のパートナーなのだ。俺達にはそれがあればいい……。
「エリオット……また後ろから思い切り抱いて…!」
「……いくよ……」
「あハァ!アアッ!……奥まで来て…」
「君の中は本当に気持ちいい。隅から隅まで俺に開拓されたものな…」
「貴方のセックス……痛くないから…好きなの…」
そういえば、水菜も、騒がなかった。
痛いとか。止めてとか、したくないとか。
そんなに気持ちいいのか。俺のこれは。
初めての時は、そういえば、アネットは正直に訴えたな。痛い。優しくして。
そこからたぶん、研究みたいに楽しんだ。
お互いのセックスパートナーとして。
こういう感じ?…違う。もっと優しく。
これは痛いか?…うん、痛い。
どうしたら気持ちいいものに出来るか随分と悩んだ。
そして集大成が今の俺のセックス。
何より相手を悦ばせる事にした。
そして俺もその相手の乱れる姿が好きになった。もっと俺の前で乱れてみせて欲しい。
この甘いキスも、相手がいたから上手くなったんだな。きっとそうに違いない。
「アンッ!アンッ!なか…気持ちいい…かき回して…動いて」
「お前……生理はまだ来てるのか……?」
「まだ来てるわ……女よ…私…」
「じゃあ……もう一人……産まれるかもな」
「ウウッ!アウッ!でも……もうすぐ来るのよ…その生理……できないわ……たぶん」
「嬉しいやら嬉しくないやら…複雑な気分だね…」
腰を回しながら、笑った。
これももう無意識でマスターした動きだ。
風呂場のこれは汗がすごい。
温めに入れた風呂なのに、灼熱地獄のような暑さだ。
腰を激しく動かす。そろそろアクセル全開だ。こうすると彼女も喜ぶ。
「アアッ!ウンッ!……そう、激しく燃えてみせて……エリオット」
「ウウッ…ウウッ…気持ちいい…気持ちいいよ…アネット」
「好き…!私…あなたが最高…!若い頃より…好き…今のあなたが」
もう…何分、つながっているのか。
俺が絶頂に行く時も、決まって彼女も一緒に行く。
その時は俺は彼女にしがみつくように身体を抱いて…融けていくのだ……。
「イ…いっちゃう!エリオット!」
「俺もだ…!」
俺もそして……頭の中が真っ白になった。
そうして、アネットを抱いて、この宵は俺は狂ったように水菜を求める。
その時もまた風呂場で抱いた。
「エリオットさん……ンンッ!ンンッ!」
「気持ちいいかい?」
背後から俺は水菜の胸を貪る。
この感度抜群の乳首を舐めて、手のひらには彼女の花びらを感じる。
どうしたものか。俺はさっきよりも濃厚なものをしている。
この身体を全部支配したい。
俺だけのものにしたい。
欲求に合わせて、俺は彼女に己の唇を這わす。彼女に傷を付ける。
水菜に俺の熱が移ったように、熱に浮かされた表情をする。それがいい。
温かい水菜の蜜が指先に絡まる。
なんて扇情的な光景だ。
俺の心は雄に堕ちる。男としての享受を存分に受ける。
美味しい蜜が零れているね。味わったらどんなにいいだろう。
水菜を自分と向かい合わせにして、そして俺は口で禁断の蜜を味わった。
「アウッ!アンッ!アンッ!エリオット!」
「ンンッ…ンンッ…美味しいね…」
「エリオットのこれ…大好きなの…!」
「俺も好きだよ…このプレイ」
水菜のはしたない声が俺を煽る。
この魔性の花に魅せられるのを抑えられない。
後から考えた。
俺の一生の中で1番、この時期が、この身を快楽に、淫楽に、溺れさせた人生だった。
この時期が1番乱れていたのだ。
それは後の悲劇に備えた、俺なりの保険だったのだろう。
この子だけは、身近に置いていたのだ。
例え、愛する家族を、避難させても。
この子だけは、俺の悲しみを埋める、スケープゴートだったのだ。
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